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~呉竹医学会に参加しました~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 第34回呉竹医学会
第34回呉竹医学会学術大会に参加しました

 

 

9月30日に呉竹医学会に参加してきました。呉竹医学会とは私の鍼灸マッサージ、柔道整復、教員養成科の母校である学校法人呉竹学園が開催する学内のイベントです。今年で34回目。正式な名称は「第34回呉竹医学会学術大会」となります。省略して呉竹医学会と表記します。

学校法人呉竹学園は3つの専門学校を有し、東京医療専門学校呉竹鍼灸柔整専門学校呉竹医療専門学校の3校です。それぞれ東京都、神奈川県新横浜、埼玉県大宮にあり、東京校である東京医療専門学校には四谷と代々木に校舎があります。よって4拠点となります。設立順は東京校、新横浜校、大宮校の順番です。呉竹学園が2026年に創立100周年を迎えます。それに向けて変革している最中で学校名を統一するために

東京医療専門学校⇒東京呉竹医療専門学校

呉竹鍼灸柔整専門学校⇒横浜呉竹医療専門学校

呉竹医療専門学校⇒大宮呉竹医療専門学校

と来年度より変更になります。また来年には東京校は四谷に新校舎が竣工し代々木校舎にある鍼灸マッサージ教員養成科と柔道整復科が引っ越してきて四谷エリアに集約します。現在使用している代々木校舎は手放します。来年には学校名が変更、統一されたものとなり、東京校は校舎が四谷に集約することになります。鍼灸専門学校が3校を有している学校は他になく、大元は同じ資本であるという姉妹学校が多数あるものを除くと、唯一の規模を誇ります。

 

呉竹医学会は年に一度3校合同で行う学内学会なのです。会場は新横浜校と大宮校を交互に使用することが通例となっております。私が鍼灸マッサージ科に所属していた時は大宮校がまだ無かったので毎年、新横浜校での開催でした。後に大宮校舎が完成すると大宮校でも行うことになりました。中心にある東京校でやればいいだろうと思われるのですが、最も古い東京校は小さな校舎が点在しているため3校の生徒や関係者を収容できないのです。新横浜校と大宮校はビルですのでそれが可能。今年は新横浜校校舎での開催でした。

呉竹医学会では各学校、各科2年生が研究発表を行う「分科会」、教員による研究成果を発表する「一般口演」、付属施術所の研修生による「症例報告会」、外部講師による実技講演である「実技セッション」、そして医師を招いて講演をしてもらう「教育講演」があります。他に時間内を通して「企業ブース」が設置されて鍼灸器材のメーカーや関連企業が出展しています。開始と閉めには学生及び職員が出席する開会式、閉会式が行われます。私は鍼灸マッサージ科と柔道整復科でそれぞれ2年生のときに呉竹医学会で発表しています(分科会)。大学では4年時に研究室内での発表をしただけでしたので学会と付く場での発表は呉竹医学会が初めてでした。そのため2回は演者として出席したことがあります。それ以外にも教員養成科を含めて勉強のために出席してきました。新型コロナ流行前には卒業生として大宮校舎で開催された呉竹医学会に入場し、各種発表・講演を聴きました。2020年、2021年は外部の参加はできなかったと記憶していますし、開催自体できなかったかもしれません。

 

教員養成科を卒業して9年。参加する必要はないのですが、今年は知り合いが発表をするということで出席を決意しました。当院に来ている学生さんが今年分科会で発表するのです。過去にも専門学校入学前から相談に乗り、複数回のやり取りを経て東京校に入学した学生さんが呉竹医学会で発表する機会があり、発表を聴きに行きました。昨年もある学生さんから呉竹医学会に来ませんかとお誘いを受けたのですが、それまで金曜日開催だったものが昨年から土曜日開催になっており、土曜日は患者さんが来るので断ったのでした。今年は昨年誘ってくれた学生さんが発表するということと昨年断ってしまった負い目からスケジュールが確定した時点で参加を決めました。患者さんの予約をずらしてもらい朝からの参加です。

 

呉竹医学会当日。朝一番に時間外で対応した患者さんの施術を終えて急いで新横浜へ向かいます。前日は教員養成科特別授業で東京校代々木校舎へ。そのときスーツが暑くて大変だったので、上着の着用をやめてワイシャツにネクタイだけで行くことにしました。新横浜校は副都心線が東急線と直通になったので早く行けるようになりました。幸か不幸か地下鉄が遅れていたので一本早い電車に乗ることができて開会式に間に合いました。呉竹医学会会長である斎藤校長の挨拶でした。斎藤校長は昨年度まで東京校の校長でおなじみです。他先生方の挨拶などがあり呉竹医学会の始まりです。

 

まず「企業ブース」に行きました。お目当ての分科会まで少し時間があったからです。企業ブースには鍼灸関連のWebメディア「ハリトヒト。」がブースを出していました。メンバーである2名の先生がいました。ハリトヒト。には取材許可がおりており会場内の写真撮影が許される腕章を持っていました。これはかなり異例のことです。呉竹学園以外を卒業した鍼灸師が呉竹医学会の会場内にいて、かつ撮影許可がある。講演等の写真撮影は参加者にも認められていません。撮影は学内関係者しか認めなかったのです。それが外部メディア、そして呉竹学園外の先生ができるという。数年前には卒業生でも呉竹医学会の内容が分からなかったのですから大きな変化です。実際に会場にいた呉竹学園卒業生ではないハリトヒト。の先生は、学校だけでこの規模の学会が開けるのは凄いと話していました。専科(鍼灸科)、本科(鍼灸マッサージ科)、柔整科(柔道整復科)、教員養成科(鍼灸マッサージ教員養成科)がそろい、それが3校分あるわけです(※教員養成科は東京校のみ)。分科会は4会場で同時に進み、午後の部門は6会場で同時開催するのです。生徒数が以前より減っているとはいえ相当な規模であるでしょう。企業ブースでは艾を購入しにきていた有山先生と合流し、一緒に分科会会場へ。

 

分科会」でまず当院に来ている学生さんの発表を聴きます。鍼灸マッサージ科2年生で同級生数名との研究。発表者として登壇し、堂々とした余裕のある姿。普段は教えてもらう姿ばかり見ていたので、発表する側が新鮮に映りました。ときにユーモアを交えて。器の大きさを感じました。発表後は質疑応答の時間があるのですが、事前に抄録を読んでいたこともあり、素直に疑問になった点をぶつけてみました。この手の発表は質問が出ないと発表者はきつい質問が出たら怖いと思う反面、寂しいものです。発表後は学生さんと合流し、有山先生と一緒に別の「分科会」会場に移動します。当院と有山先生の院、両方訪れた学生さんの発表です。その研究内容はひいき目抜きで素晴らしい研究プロトコルでした。予備実験をしているであろうし、被験者数もそろえ、主観的・客観的の双方のデータを取り数学的統計処理を行っている。実験でも一般性が確保できるやり方を採用しています。質疑応答で、私は素直に良くできた研究で学生さんだけで考えたのですか?と質問してしまいました。すると指導教員が嬉しそうに、少し手を加えましたが学生自らやり遂げましたよ、と代わりに回答していました。発表後にその学生さんとしばし会話。

 

早めに昼飯をとることにしました。校舎の近くにある飲食店の割引券を学生ホールで配布していました。それをもらってうどんを食べました。

 

かつては午前中に行われていた「教育講演」。誰でも参加できるように12:00~13:00の時間に設定されました。この時間帯は他に何も行わないので全員が出席できるようにスケジュール調整されています。改善されていると思いました。「教育講演」のテーマは『頚肩腕痛のred flags』。埼玉医科大学総合医療センター整形外科税田和夫医師による講演です。いわゆる肩こりも含まれる頚肩腕痛。その中で重篤な病態も隠れています。医師側の視点から注意しなければならない症例を説明します。実際のCTやレントゲン画像を出しての解説。また医師からみた鍼灸師、柔道整復師が活躍できることを説明してくれました。“医師の優位性がない”という表現が印象的でした。

 

次は「一般口演」会場へ。一般口演ですが学生が発表する演題です。ちょうど火曜日に東京校教員養成科見学で話をした学生さんが発表するということでした。この発表もとても面白いものであん摩の手拳叩打における音についての研究でした。あん摩とは古くから日本にある徒手療法でその名前は大宝律令にも出てきます。我が国では視覚障碍者の生業として共に歩んできた歴史があります。そのあん摩の技術に叩打法という技術があり、その叩打法の一つに手拳叩打があります。手拳叩打を行った際に生じる音に対する好感度と音が発生するメカニズムを調査したものです。徒手療法であるあん摩、マッサージ、指圧の研究は鍼灸に比べると非常に少ないので貴重です。また叩打法、それも音について着目したのは非常にユニークでした。そして動作を撮影してスロー再生し解析するという試み。このような視点に驚きました。本研究は外部の学会でも発表されるそうなので期待です。

 

再び「企業ブース」に戻ります。各種メーカーを眺めます。業界では知らない人はいないだろうというメーカーが出展しています。ある人曰く、オールスターだと。一学校のイベントにこれだけ出展してくるということが当たり前ではないことを実感します。私が学生の頃はもっと広い会場でより多い出展でしたから。あん摩マッサージ指圧師と違い鍼灸用品が無ければ鍼灸師は仕事になりません。近年メーカーも苦しいという話を聞きますので、共に盛り上がっていきたいと思いました。

 

症例発表会」の会場へ。ここでは学校を卒業し免許を得たプロが発表します。学校を卒業し、学校附属施術所で臨床経験を積んでいる先生による症例報告。実際の患者さんに同意を得て経過を発表します。ここでも過去に当院に何度も来てくれていた元学生さんが発表するので聴きにいきました。呉竹学園らしい、現代医学的な病態把握。問診と理学検査をして考えらえる症例を除外していきます。検査が陽性になることに注目しがちなのですが、陰性、つまり該当しなかったということも非常に重要。きちんと検査をした上で陰性だったのでこの病態は否定しました、という報告が大切で、それをしっかりしていました。脈診、腹診、舌診といった東洋医学的な見立てではなく、現代医学的な理学検査。これをしっかりすることで他の医療業種と共通の情報共有が可能となります。その点をしっかりと指導することが呉竹学園の強みの一つだと思っています。もちろん東洋医学的なものが悪いというわけではなく、医師など他業種と意思疎通ができることが最低限必要であり、そこを徹底して教えるということ。私が教員養成科卒業後、大学病院で鍼灸師として働いたときにこの学習内容に大いに助けられたものでした。そして報告内容に、上からモノを申すようですが、元学生さんの成長を感じて頼もしくなりました。

 

続いては「実技セッション」を回りました。以前は一度しか行わなかった実技セッション。同時に複数の講演があるのでどちらも見たいのに見られない。それが今回は2回あるので改善されていると思いました。また人が入りすぎて手元が見えない問題があったのですが、カメラが入って手元をスクリーンに映してくれるという気配りがありました。コロナ禍でのリモート授業をしたノウハウが活きているのではないかと思われます。4件回ったのですが、台座灸のみで施術を行うという内容があり衝撃的でした。鍼を刺さない。お灸だけといっても艾を捻らないで台座灸だけでするのか。何となく台座灸は簡便すぎてプロの鍼灸師はそれに頼るのは恥ずかしいだろう、という思い込みがあったのですがそれが吹き飛びました。もちろんなぜそうするのかを説明していますし、講師は鍼が刺せないというわけではありません。鍼灸師になって15年。変な価値観に染まっていたと反省しました。

 

最後は閉会式。学生さんが表彰されるので参加しました。呉竹学園(東京医療専門学校)に入学してから19年ですが、呉竹医学会を最初(開会式)から最後(閉会式)まで居たのは初めてかもしれません。閉会式の前後でも新たな出会いがあり、学生さんに教員を紹介するなど交流がありました。オンラインではなく現実に人が会場に人が集まることでできる利点を大いに再認識できました。また2年生という段階で学内ですが学会発表を行い、更に賞状という形に残る成果物をもらう。チャレンジした学生に成長する場を与えています。閉会式まで参加して母校の規模を実感します。3校全ての教職員が集まっています。それだけでもかなりの人数です。教務や関連施設も入れて。そして今年は「ハリトヒト。」の取材を許可したように、呉竹医学会は外部にもっと知られてよい大きなイベントだと思います。土曜日開催になったので進学希望の高校生や社会人が見学するツアーを組んでもいいでしょう。

 

また数年ぶりに呉竹医学会に参加して学生さんの未来に期待できると思いました。本当に素晴らしい発表がありました。外部に出しても恥ずかしくないもの。それでいて学生ゆえに危うく、常識にとらわれない発想の研究テーマが多数ありました。教員養成科や外部の研究会だったら採用されないだろうという内容。それも発表させる懐の大きさがあるからですが。昭和が終わり、私は平成の鍼灸マッサージ師です。これから令和の鍼灸師が表舞台で活躍していきます。平成末の新カリキュラムで学んだ世代が臨床に出ています。コロナ禍で勉強した世代。未来に期待しながら自分自身も成長しようと決意させる一日でした。

 

甲野 功

 

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