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~近江商人の三方よし~

新しい経営学 三谷宏治著 ディスカヴァー・トゥエンティワン刊
新しい経営学 三谷宏治著 ディスカヴァー・トゥエンティワン刊

 

 

少し前に「三方よし」についてAIに質問して、その回答が三方よしは八方美人という認識をしていたことがあり、とても驚きました。三方よしとは近江商人の経営哲学であり、誰にでもよい顔をする八方美人という意味ではありません。またそのAIの回答を引き合いにしていて同調している意見があることにも驚きました。AIの回答にはファクトチェックが必要であると言われますが、知識として三方よしのことを知らないということに。AIを使いこなすにはその人間がしっかりとしていないと大変なことになるということを痛感したものでした。

 

それでは「三方よし」とはどういうものでしょうか。それは「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方です(経営哲学とも)。近江商人とは中世から近代にかけて活動した近江国(現在の滋賀県)出身の商人をいいます。大坂商人伊勢商人と並ぶ日本三大商人の一つとさています。その近江商人が持っていた、売り手・買い手・社会全体の三方全てに良い商売をしようという考えが三方よしです。

滋賀大学宇佐美名誉教授によれば、「『売り手によし、買い手によし、世間によし』を示す『三方よし』という表現は、近江商人の経営理念を表現するために後世に作られたものであるが、そのルーツは初代伊藤忠兵衛が近江商人の先達に対する尊敬の思いを込めて発した『商売は菩薩の業(行)、商売道の尊さは、売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの』という言葉にあると考えられる。」とのことだそう。

初代伊藤忠兵衛は江戸時代末期の天保13年(1842年)に生まれ明治まで生きた商人・実業家で、伊藤忠商事丸紅という二つの大手総合商社を創業した人物なのです。近江国(当時)に生まれまさに近江商人でした。理念自体は初代伊藤忠兵衛以前からあり、それを彼が世に広めました。なお「三方よし」という言葉は戦後に研究者が評語化したもので当時は存在しなかったそうです。

 

私が三方よしというものを知ったのは『新しい経営学』(三谷宏治著 ディスカヴァー・トゥエンティワン)からでした。経営について学んでいるときに出会い、心に残っていました。自らの利益のみを追求することをよしとせず社会の幸せを願う三方よしは、現代のCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)につながるとされています。私は個人事業主で企業に属しているわけではないのですが、三方よしという考え方が今とても重要であると感じています。

なぜならば今現在世間が注目している企業の問題は三方よしから外れたものばかり。中古車販売での保険不正請求のことは大手芸能事務所の問題など。どういうことでしょうか。売り手(従業員、スタッフなど)・買い手(お客さん、消費者など)、世間(社会)の3つの区分があり、そのどれにも良いものでないといけない。

買い手であるお客さんにとって不利益を与えるようなことをするのは商売の基本から外れます。それはもう恐喝に近いわけです。なぜ不利益を被りながらお金や対価を支払うのでしょうか。またバレなければいいだろうという考えもあります。私の業界もそうですが専門職であればあるほどお客(消費者)と知識の差が大きくなります。接骨院の不正請求が横行していたのは、受領委任払いといってどのような保険請求をしているのか利用者には分かりませんし、例え書類を見ても専門用語が羅列されていて理解が困難なのです。初見料、後療、温罨法、休日加算なんて用語をみても意味が分かりません。そのようなことを繰り返して私腹を肥やしていてもどこかでバレてしまいます。

次に売り手に苦労や苦痛を強いるのも長持ちしません。厳しい労働環境やノルマを課せる。いわゆるブラック企業というもので従業員の過剰な頑張りによって持たせている、あるいは恐怖政治で従順にさせていく。この情報化社会では問題が広がり大事になります。圧力をかけて広まらないようにもみ消していても海外メディアまで行ってしまえば国際問題レベルになるわけです。

そして社会対して良くないこと、それは商売ではなく犯罪の領域になるでしょう。例えば違法薬物を売る。買い手は中毒になり、得られれば大いに喜びます。売り手も高額で販売できるので儲けられます。一見、売り手も買い手も双方にメリットがあるように見えますが、もちろん違法行為。社会に大きな問題を及ぼすからこそ法律で禁じられているわけです。本人たちが良ければいいじゃないか、という理屈は通じません。昭和時代は公害が問題になりました。企業の出す環境により近隣住民の健康被害が生じました。令和の現在はSGGsが叫ばれています。

 

三方よしはやったほうがいいよ、という努力義務のようなものではなく、やらなければ遅かれ早かれ経営破綻を招くから絶対にしておかなければいけない戒めに近いのでは、と考えています。それは企業だけでなく個人事業主も。三方よしは誰にでもいい顔すること、なんて認識されているのであればそれはとても危険なことです。三方全てに良いものでないと生き残れない。顧客も、自分たちも、社会全体にも、誠実で良いものであることをとみに感じます。

 

甲野 功

 

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