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~染谷知里さん主催の舞台を観に行きました~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 ちの湯 はじめまして公演「ともだちのおわりに」
ちの湯 はじめまして公演「ともだちのおわりに」

 

 

月曜日の仕事終了後に染谷知里さんが主宰する演劇ユニット『ちの湯』の舞台、『はじめまして公演「ともだちのおわりに』を観てきました。

 

縁があって最近は劇団『文学座』の劇に足を運ぶことが増えました。そのせいでこれまで興味が無かった演劇に少し気が向くようになってきています。今回、知人の染谷知里さんが脚本を書いて本人も出演する舞台があることをSNSで知りました。染谷知里さんは俳優で、舞台に映像に出演をしています。最近ですとNHKのドラマ『大奥 Season2』にも出演しました。以前から出演舞台が気になっていて、花園神社境内にテントを設営して行われた舞台も行こうか迷っていました。今回、台本に演出と俳優以外の裏方も行うということ、そして場所は四谷三丁目というとても近い距離であることを知り、観にいこうと決めました。

 

12月18日、月曜日、当日。最後の患者さんが終わってから身支度をして自転車で四谷三丁目にあるライブハウス『CON TON TON VIVO』へ向かいました。ライブハウスという場所に入ること自体初めての経験。地元でよく知った場所ですライブハウスがここにあることを知りませんでした。予想通り地下にあり階段で下っていきます。入口には観客が並んでいて、入場料を支払い、ワンドリンクをオーダーして席に就きます。非常に珍しい飲み物を飲みながら観劇するスタイルです。文学座公演でも、幼少期に親に連れ行ってもらった演劇でも、飲食しながら観るということはありません。飲みながらとは。意表を突かれました。店内は狭く、奥にスペースがあり、手前にバーカウンター。その間を縦長のテーブルが3列。演出の染谷知里さんは奥にいるものかと眺めていると、声を掛けられました。まさか入口にいるとは思わず。ご挨拶をしました。

 

ソフトドリンクをもらい空いている席に座りました。前売りの段階で全席完売。お客でびっしりの空間。知らない人が左右隣に座っています。奥のスペースが舞台になるのだろうなと分かりました。開演5分前に染谷知里さん自らが前説をして会場案内や上演中の注意事項、物販などのアナウンスをしました。

そのうち奥のスペースで店員さんが荷物を整理しだしました。ずっと荷物を片付けているなと思っていると段々と店内のBGMが大きくなり。照明が落ちてその店員さんにライトが当たります。いつの間にか劇が始まっていました。店員さんと思われた女性は演者だったのです。幕が上がるという表現がありますがそこはライブハウス。舞台の幕があるわけではありません。さあこれから始まりますという仕切りはなく自然と始まっていました。俳優さんの知り合いなら推測できたのでしょうが私は事前情報がほとんど無かったためそういうことかと意表を突かれました。壁の黒い部分にプロジェクターで『ともだちのおわりに』というタイトルが映し出されます。

 

ストーリーは30歳を前にしたシェアハウスに暮らす3名の女性の話。一人が明日引っ越してシェアハウスを出ていきます。もう10年も一緒だったともだち同士。その会話は現代的というか、令和というか、まさに今。

ファミマの一番くじ。ちいかわ。バグる。ウーバー。

まさに今この時代の言葉。これまで観てきた文学座の劇は現代劇ですが時代が過去のものが多いため台詞が文字通り文学的な感覚。口語なのですが今の若者(これが適切な表現なのかは疑問ですが)が使うのは少し違和感を覚えるような言い回し。それに対して本劇の台詞は非常に今風で、私では意味が分からない知らない用語や言い回しが多々ありました。20代女性達のリアルな会話を聞いているような。また登場する3人の俳優。先ほどまでうろうろして会場案内やドリンクオーダーをしていた人たち。服装もメイクもお客さんと変わりがなく、本当にそこら辺にいるような姿でした。メイクが濃いわけでもなく。社交ダンス経験者の私はダンス用のメイクに慣れているので演者があまりに普通であることにも戸惑いがありました。

 

シェアハウスの女性の一人は小説家。そこで小説の世界なのか精神世界なのか、恐らく実在しない世界に場面が移ります。島にいる少年と少女。少年とありますが見た目は完全に女性。髪も長い。オーバーオールのズボンであることが少年を表しているのでしょうか。言葉は少年の語りです。そこに現れる少女。その少女を染谷知里さんが演じていました。役に入る彼女を初めて目のあたりにしました。会場に入ったときにイベンターの姿に少し違うなと感じつつ、演じているときの雰囲気もかなり違うなと思って観ていました。空想世界か小説の世界か。ここでは台詞がとても文学的です。星空の演出。石炭袋という単語。宮沢賢治作の銀河鉄道の夜をモチーフにしているようです。照明でプラネタリウムのように星を照らし出す演出はよく考えているなと思いました。

 

シェアハウスに場面が戻ると生歌を披露するところがあります。ライブハウスであるので音響設備が非常に良いのです。それを差し引いても目の前でなされる歌の凄さに圧倒されました。うまいというより凄い。凄味がありました。他にも楽器の生演奏も。録音された音をスピーカーを通して聞くのではない、その迫力。歌いだすとまた別人格のようでした。

 

おもむろに少年、少女が現れ白いシーツを広げます。そこには動画がプロジェクターで映し出され海岸で花火をしている様子、部屋でくつろぐ姿などが映し出されました。絶妙に低画質で素人がスマーフォンで撮影したような感じ。TikTokやインスタグラム、動画配信が当たり前の今らしい感じです。ちょっとしてショートムービーのような。それを真っ白いシーツを用いて簡易的なスクリーンに見せる。演劇に動画を組み込み、設備がないことを逆手にとって演出です。このために少年、少女の衣装が白で統一されていたのかもしれません。劇団の舞台では行わないだろうなと思う工夫された見せ方でした。

 

非常に狭い空間を動き回る演出でした。机の周りを駆け回り。お客さんの横を歩き。裏に隠れて時間を置いて登場し。まさに会場全体を駆使している。あの空間で動きを見せることを練られた脚本・演出です。私も過去に大学学園祭等で狭い空間でダンスのデモを行ったことがあるので、その発想に共感できます。どうしたら動けるだろうかと。

 

最後。演者が横に並んでお辞儀をすることで終幕が分かります。いつもそうですが俳優さんは役が抜けて素に戻る瞬間です。雰囲気も骨格させも変わるような感覚を私は覚えます。役の登場人物がこの世から消えるような。今作は開演直前まで演者たちがすぐ近くをうろうろしていたので、その切り替えの感触は薄かったです。ですが染谷知里さんの挨拶を目の当たりにして、大きく感情が揺すぶられました。立ち上げから脚本・演出・制作・宣伝まで行ってきて初日舞台をやり切った姿。俳優とは違う人格(役割)がそこにみえました。そのやや涙目になった表情からこれまで続けてきたことがどういうものだったのか伺えました。そこは演劇ではないドキュメンタリー。これまで観てきた舞台では感じなかったものがありました。染谷知里さんの元に集まった演劇仲間で造り上げた空間、イベント。組織・集団が生み出すダイナミズムもいいのですが、一個人が創造した小規模ながら濃密な情念もいいものです。個人事業主としてアパートの一室で開業した私には後者の方がより思い入れが強くなります。帰りに好きではないので飲まない珈琲を物販で買ってしまいました。

 

これまで縁遠かった演劇。観賞するようになって今までにしてこなかった体験をしています。人との出会いを大切にしながら新たな経験を積んでいこうと思いました。

 

甲野 功

 

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