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~鍼灸専門学校の勉強について話をしました~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 アジサイ塾スライド表紙 鍼灸専門学校の勉強の仕方
アジサイ塾スライド表紙 鍼灸専門学校の勉強の仕方

 

 

昨日は休みですが治療院を開けて<アジサイ塾 臨床に役立つ鍼灸専門学校の勉強の仕方>というタイトルのオープンセミナーを開催しました。誰か特定の人からの依頼で行うものではなく、参加者を募る形式のオープンセミナー。久しぶりの開催です。自身の勉強、アウトプットのために開催するようにしていたのですが、段々と個人的に依頼されることが増え、また患者さんの予約が埋まるようになってきたこともあり、しばらく控えていました。昨年、鍼灸マッサージ専門学校進学希望者の方が来院して当院の「学生ペア割」を受けました。学生ペア割とは学生あるいは進学希望者が2名で来院して施術体験と見学を交互に行い、通常料金よりも割引で行うという当院の施策です。そのときに来院された方向けに鍼灸専門学校での勉強方法について話をしようと昨年考えました。その方は既に別の医療資格を取得しているので鍼灸専門学校特有の勉強内容、特に東洋医学分野の勉強方法について話をしておこうと思いました

 

私あるいは当院は、学生さんとの交流がある方だと思っています。直接対面していなくてもSNS経由やメールでの質問や相談に乗ることも少なくありません。Xでフォローしてポストを眺めている学生アカウントも多数あります。経験上、免許を取ってから業界から姿を消す方がまあまあいます。単にSNSで情報発信をしなくなっただけかもしれませんが、はっきりともう辞めます、辞めましたということが確認できる場合があります。辞めるまでいかなくとも職場や業界全体に対して不満を表している様子を目にする。そのような状況を目の当たりにするととても嫌な気持ちになります。あれだけ苦労して免許を取ったのにその技術を活用しないのか。文句を言って何か状況が好転するのかな。そのような心情に。私がしている職業はしょうもないものだと言われているような。消費者、外部にあたる一般の患者さんがどう思うかは別です。消費者側の意見です。同業者からそのように思われると、自分で選んだ道なのにどうして、という気持ちなのです。

 

既に別の資格を持つ方でこれから鍼灸専門学校に入ろうという方。縁ができたので役立つことをお伝えしたいなと思って今回の企画を立ち上げました。マンツーマンより他にも参加者がいた方がいいだろうということで日程と内容が決まった段階で一般参加を募ったのでした。誰も応募がなかったら二人でやろうと思っていたのですが想像以上に参加希望者がいました。合計5名の参加者になりました。それは嬉しいのですが参加者の状況がバラバラでした。

・別の医療資格を取得して既に現場に出ている。

・会社員をしていて将来鍼灸マッサージ専門学校への進学を考えている。

・別の医療専門学校に通い、卒業後に鍼灸専門学校への進学を考えている。

・鍼灸専門学校1年生。

・鍼灸専門学校2年生。

この5名です。全くこの業界の勉強をしたことがない現会社員から別の専門学校に通う方、既に鍼灸以外の資格を取得していて既に国家試験を経験している方、現役の鍼灸学生(それも学年が異なる2名)。どういう講義内容にするか調整を余儀なくされました。専門学校の勉強に関する講義は過去に3回行っているのでその資料を流用すればいいと思っていたのですが、3名は鍼灸専門学校に入っていません。そうなると鍼灸専門学校の選び方についても話した方が良さそうだと。最初の想定では東洋医学に関する学習内容とその勉強方法について話そうと考えていましたがそれはやめておこうと考えなおしました。反面、鍼灸専門学校に入学して現在進行形で勉強している参加者には具体的なノウハウを伝えた方がいいはず。教員免許を持つ学校側の意見を取り上げた方がいいのではないか。経験上、鍼灸学生さんは多かれ少なかれ学校側に不満があるもの。しかし学生側の言い分があるように学校側の言い分もあります。学校側の事情も話をした方がいいだろうと考えました。

 

その結果、これまでに行った講義資料を組み合わせた長い講義内容になってしまいました。結局再編集することになり予想以上に資料作成に時間がかかる始末。それでも妥協せずに作ろうと意気込みました。

 

内容について。毎回必ず行う自己紹介のパート。これはセミナーを受ける受講者は講師のバックボーンや主義思想等を知ったうえで聞きましょうと伝えるため。今回のテーマは鍼灸専門学校の勉強についてですが、私は専門学校入学以前に理科系大学を卒業しています。大学までに勉強のスタイルを確立して社会人経験を経て専門学校に入学しています。この条件で話すということを理解してほしいわけで、私にとって苦も無くできることが受講者にとっては到底不可能であることもあるわけです。その上で“自分ならどうする?”と考えてもらいたいわけです。

本題に入る前に長い前段階を経ます。まず鍼灸専門学校とはどのようなものかを説明します。鍼灸専門学校の役割、他にできないこと。究極の役割は学生に鍼灸師(正確にははり師・きゅう師)国家試験の受験資格を認定することです。それは(大学、視覚支援学校を含めた養成機関という意味で)鍼灸専門学校にしかできません。技術を学ぶことも勉強を教えてもらうことも、外部講習でなすことが不可能ではありません。しかし国家試験を受験するには所定の専門学校(養成機関)の受験認定がなければできません。どれだけ優秀でどれだけ技術があった者でも。経営テクニックや役立つ技術を学校は教えてくれないと学生や臨床鍼灸師が訴えることがありますが、専門学校の最低限のそして最大の役割は何かということを知ってもらいます。その上で鍼灸専門学校の現状を伝えます。全国の学校一覧。伝統校と新設校の違い。学校法人はどのようなものがあるか。国家試験結果の数字から読み取るなど。

 

続いて非常に重要だと考えている鍼灸師の特異性について説明します。厚生労働省管轄の他の医療職種、例えば柔道整復師や理学療法士、臨床検査技師、薬剤師らと何が大きく違うのか。そこから鍼灸師は人生の戦略が必要であると。本人が鍼灸という技術・知識などを用いて何をしたいのかを明確にする。それは学校も先輩も教えてくれません。助言はしても決断するのはあくまで本人。そこを履き違えてしまうと学校での勉強に軸がなくなります。入学してしまえば目の前の授業や課題に忙殺されて進路を考える暇がなくなってしまうもの。まして3年生になれば卒業認定試験や国家試験が現実を帯びてきます。1、2年生のうちに、むしろ専門学校入学前から考えて欲しいという私の願いを込めています。卒業後に業界から去るケースがあるのはこういうところからだと学生さんをみていて考えるのでした。

 

やっと本題の臨床で役立つ具体的な勉強方法に入ります。個人的に気になっているのが、学生さんは早くから国家試験対策に力を入れ過ぎているということ。それは何ら悪いことではないのですが、現状の国家試験は4択問題のみ。どれか一つ正解を選択する。当てずっぽうでも25%の確率で当たります。4つの選択肢のうち一つを確実に除外できれば33%、2つまで絞り込めれば50%に確率が上がります。そのような感覚で4択問題を解くことに意識が集中してしまうことを懸念しています。学習内容を効率よく確かめる手段が国家試験であり、国家試験を解くことが問題になってしまうと卒業後に学習内容を活かすことができないのでは。そのように私はずっと考えてきました。実際に鍼灸マッサージ科、柔道整復師科を経て1年生のうちから国家試験の過去問題を解いてばかりいた人で、卒業後に臨床で活躍している同級生を知りません。反対に学生時代は勉強の成績が低くて赤点再試験を繰り返していた人が卒業後は臨床で活躍している例が多々見受けられます。4択問題を解くことと臨床現場で使う勉強法は繋がっていますが別物であると思っています。臨床で使うための勉強をきちんとし、それを確認するために4択問題があるという考えです。

 

そうなると試験をすることの意味は何になるのか。成績をつける、習熟度を可視化するといった理由以前に、試験は出題者とのコミュニケーションであると考えています。実技試験にしても座学の試験にしても。試験出題者がこう解いてほしいという答えを読み取り回答する。それが究極の試験対策だと私は考えています。試験というのは正解がありき。その正解は出題者が設定する正解。その正解を出すには出題者の意図を読み取る必要があります。問題によっては医学的に正しいのか、倫理的に適切なのか、法的に問題ないのか、などの条件で正解が変わります。出題者はどの意図で正解を設定しているのかで変わるのです。この意図を読み取る能力は臨床現場において患者さんとのやり取りに必要だと考えています。試験テクニックといえばそうなのですが相手が求めていることを読み取る考えを持つことが大事です。

 

それで具体的にどうするのか。私の考えはとにかく自分事にするというもの。こんなこと覚えて意味あるの?と感じて勉強していると頭に入りません。これは自分のために必要なものだから勉強する。そういう姿勢をとる。私の場合、将来を見越して理想の将来像に近付くために今勉強しているという気持ちをなるべく持つようにしていました。便宜上トップダウン式勉強法としています。前に挙げた戦略に繋がりますが卒業して免許を取得したらやりたいことを明確にしてそれに向かう過程として勉強に勤しみました。それとは反対のアプローチでボトムアップ式勉強法もあります。学校では興味のないことも学ぶことになります。その学習内容から将来像をバージョンアップする。例えば私は競技ダンス選手のケアをしたいと願い、その実現のために専門学校に進学しました。美容や小児鍼のことを学ぶ機会を経てそれまで想定していなかった競技ダンス選手への美容や選手が出産したら手助けできるようになりたいと考えるようになりました。男性の自分には必要ないと考えていた内容も学習することで視野に入ることに。このように自分事にする、すなわち他人事にしないこと、で勉強に実が入ります。

 

では自分事として勉強するとしてどんなやり方あるのか。具体例として私が勝手に名付けたペルソナ勉強法や正攻法でひたすら書く・描く・まとめるというやり方。メモリーツリーと言われる一つの項目から連想や余談をはさみ知識を広げていく方法。そういったものを紹介しました。その際に成長曲線を紹介しました。努力の量(時間)と成果は比例関係になく指数関数的に増えるということ。最初は量に対して成果があまり出ないがある段階を超えると上昇率がぐんぐん上がります。ですから最初の時期を頑張って努力を続ける。なんだったら成績が悪くなることもあります。それでも積み重ねることで習熟度が雪だるま式に上がっていくもの。効率の良い勉強法など実際には存在せず、どこかで泥臭く真正面から取り組みもがく時間が必要であると話しました。

 

講義後に少し雑談や質疑応答をしました。そこでは現在鍼灸専門学校で学習している学生へ、これから進学を考えている人からの質問がありました。そこには飾らない本音が飛び交います。授業はどうか。入ってみてどう感じたか。金銭的なこと。どうしてその学校を選んだのか。などなど。進学希望者同士では学校選びの情報交換がされていました。解散後刺激になりましたという意見を参加者からいただきました。受け身で話を聞くだけでなく意見交換ができたことが良かったようです。その様子は私にとっても貴重な情報になりました。学生さんの今はどのような事情なのか。知っておくことは今後の活動にいかされます。

 

改めて鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師という仕事に就きたいと情熱を持つ方がいることを再確認し、感動しました。専門学校はカルチャースクールではありません。高い学費を支払い、3年間の勉強と練習が必要。そして年に1回しかない国家試験を通過しないと就けない職業。それでもなりたいと思う職業であることに誇りを持てる気持ちになりました。

 

甲野 功

 

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