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~「三つの国家資格取得」トレンド入り~

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Xトレンド 日本のトレンド 三つの国家資格取得

 

 

1月25日のXでの日本のトレンドに「三つの国家資格」が入りました。どういうことだろうと調べると元野球選手の記事がデイリーのサイトに掲載されて注目を浴びたことが分かりました。

 

デイリー

【野球】なぜ元ソフトバンク守護神の馬原氏はトレーナーの道を選んだのか 3年間夜間学校に通学、三つの国家資格取得 阪神・岩貞ら指導

 

この記事は元プロ野球選手の馬原孝浩氏を紹介したもの。失礼ながら野球に疎い私は馬原氏を存じ上げていませんでした。ただ何となく九州で元プロ野球選手が鍼灸師になったということを知ってはいました。改めてこの人なのかと記事を読んで認識しました。馬原氏について情報をみてみると、熊本県出身で2003年度に当時のダイエー(現ソフトバンク)に入団。守備はピッチャー。2006年、2009年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)日本代表メンバーで2度の世界一に貢献。2013年にオリックスへ移籍したのち2015年に現役引退しています。プロ野球を普段見ませんがさすがにWBCは分かります。2009年の決勝戦はリアルタイムでテレビ観戦していました。相当な選手だったことが伺えます。馬服氏は現役時代に右肩を故障してから数多くの治療を体験し、その良し悪しを自身の体とプレーに照らし合わせてきたそう。そしてプロ野球選手を陰足した後はトレーナーの道に進むことを決意します。コーチやメディア関連の仕事には目もくれなかったと記事ではあります。そして2016年に九州医療スポーツ専門学校に入学し、はり師、きゅう師、柔道整復師の資格を目指すのでした

 

ここでトレンド入りした「三つの国家資格」とは

はり師

きゅう師

柔道整復師

のことだと分かります。

もちろん私は察しがついていました。自分も持っている当事者です。当事者だからこそこの記事がきちんと伝えていると思いましたし、反対にちょっと内容が正しくないなと感じる面がありました。そのことについて触れ、馬原氏がどれだけ努力したのかをこちら側の立場から説明します。

 

大体の場合、鍼灸師という言葉を使いますが免許制度上は「はり師」(鍼師)「きゅう師」(灸師)に分かれております。複雑なのが晴眼者の場合、はり師だけあるいはきゅう師だけになるために学ぶ学科は(少なくとも日本では)存在しません。鍼灸科という名称で鍼と灸の両方を一度に学びます。国家資格とありますが、これらの資格は厚生労働省が管轄する資格であり免許です。免許なので無免許の者が鍼灸を行うことができません(正確な法律用語で表現すると、鍼灸を業とすることができない、といいます)。取得するには所定の養成機関で最低3年間勉強し国家試験受験資格を得て、年に一度だけの国家試験(筆記試験のみ)に合格しないと資格を得ることができません。ただ「はり師国家試験」と「きゅう師国家試験」はほとんど共通の問題で構成されており、各専門の問題はごくわずかです。よって2つの国家資格ですが大多数の受験者は2つ同時に受験し両方合格するかどちらも落ちるということになります。まれに片方だけ不合格という場合がありますがその数は非常に少ないのです。このように鍼灸師をきちんとはり師・きゅう師の2つの国家資格と紹介していることに好感が持てます。察するに馬原氏のこだわりのような気がします。

 

次に「柔道整復師」。こちらも国家資格で急性外傷を扱うプロフェッショナルです。観血療法と言われるいわゆる外科手術を行わない保存療法という範囲で急性外傷の応急処置が許された国家資格です。観血療法ができるのは整形外科医をはじめとした医師。柔道整復師は応急処置に限り自己判断で(医師の同意を得ずに)脱臼・骨折の整復(骨を正しい位置に戻す操作のこと)を法的に許されています。野球人生でスポーツ外傷が多かったという馬原氏には必要な資格だったのでしょう。

 

このはり師・きゅう師・柔道整復師の三つの国家資格を取るためには鍼灸科と柔道整復科の両方に入学しないといけません。鍼灸科も柔道整復科も3年間の勉強が必要です。私の場合は鍼灸マッサージ科というあん摩マッサージ指圧師も取得できる科に3年間通った後、1年間フルタイムで働いてまた3年間柔道整復科に通いました。間の1年を入れると7年間で上記の三つの国家資格を取得しました(※私の場合はあん摩マッサージ指圧師免許を入れると4資格になります。)鍼灸師、柔道整復師を3年間で取得するとなると普通に考えて2倍の勉強が必要です。鍼灸も柔道整復も西洋医学(現代医学)の部分は共通しています。解剖学・生理学・病理学などは学ぶことが一緒です。ですからそこは復習になったことでしょう。しかし鍼灸には東洋医学・経絡経穴などの東洋思想に関連する科目があります。柔道整復には鍼灸科以上の外傷知識が必要です。関係法規も各々覚えないといけません。私の場合は1年間空けていたので柔道整復科は復習している部分が半分以上あったのでかなり楽だったと思います。馬原氏の場合は初めてで両方同時に勉強するわけですから非常に大変だったはずです。解剖学や生理学といった人体に関わる勉強は経験で分かっていたとしても細かい病気や東洋医学は初見でしょうから苦労したことでしょう。経穴(いわゆるツボ)だけでも約400種類は覚えないといけません。そこに鍼灸実技、柔道整復実技があります。手を動かしてできないといけない仕事ですから。包帯の練習と刺鍼の練習を同時にこなすというのは本当に大変だったと思います。

 

なおカリキュラムから考えても昼間の科と夜間の科、2つに同時入学しないと国家試験受験資格は得られないはずです。記事にある『夜間の週3日コースで3年間通学』という条件で三つの国家資格への受験資格が得られるとは思えません。もしもそれが本当であれば専門学校のカリキュラムが法令を守っていないのではないかと疑います。夜間部は午後6時~9時半という時間で週3日間だけというのは。夜間部に加えて昼間部にも通わないと3年間で単位を取得できないと思います。平成30年度からのカリキュラム改正前で今よりも取得単位数が少ないといっても鍼灸・柔道整復を週3日だけというのは。この点については疑いの目を向けてしまいます。この記事を読んで、週3日夜間部を通えばはり師・きゅう師・柔道整復師という三つの国家資格が得られる、と勘違いされてしまわないかと懸念するのです。

 

何はともあれ鍼灸・柔道整復の両方ができること(=免許を得ていること)は大きな武器です。互いに苦手な部分を補う関係にあると私は考えています。どちらかあれば十分だろうと考えずに両方いると判断した馬原氏。そして1年間ずらすとか片方卒業してから次を考えようということをせずに3年間頑張って一気に取ってしまおうという決意と覚悟。それをやり切ったことは本当に素晴らしいです。プロ野球の凄さを私にははかり知れないのですが鍼灸師と柔道整復師を3年間で取ってしまうことの大変さは身に染みて理解できると思っています。

 

三つの国家資格という言葉がトレンドに入ってこの業界の仕組みが少しでも世間に周知されたのであれば嬉しいかぎりです。

 

甲野 功

 

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