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今日は子ども達を連れてアニメ『名探偵コナン』の映画を新宿に観に行きました。
毎年コナンの映画を観にいっていたのですが、昨年は行かないと言われてしまい肩透かし。北海道五稜郭を舞台にした作品で幕末から明治初期のエピソードもあるというので密かに期待していました。土方歳三らの話ができると。ところが今年はいいや、と言われてしまい、もう子ども達のブームは去ったのかな、父親と行くのが嫌になったのかなと思ってしまいました。ところが今年は映画公開が迫ってくると非常に前評判がいいということもあり、先週公開となった本作を観にいきたいと子ども達が申し出ました。それではということでいつものTOHOシネマズ新宿へ。相変わらずインバウンドでごった返している歌舞伎町のど真ん中を通りゴジラのモニュメントがあるビルへ。いつものことですが子どもの映画についていくときは社会のトレンドを観察にいく気持ちを持ちます。平日の午後に歌舞伎町にどれくらいの人がいて、映画館内は混雑しているのかなど。コロナ禍のときに”夜の待ち、歌舞伎町”と諸悪の根源みたいな言われようをされて閑散とした姿を忘れていません。外国人観光客が戻り、また何を求めているのかを体感することが大事です。
今回の名探偵コナンの映画。『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』。毎作、どうしてその読み方にするのかという漢字を横文字カタカナで読ませます。今作は残像をフラッシュバックと読ませました。タイトルにも色々な意味が含まれているわけです。個人的には名探偵コナンはあまり好きではありません。『金田一少年の事件簿』派です。連載開始当初は高校生探偵の本格推理少年マンガとしてマガジンの金田一、サンデーのコナンという感じでした。ジャンプは何度か推理ものの作品を出すもヒットせず。反対に犯罪者側を主人公にした『DETH NOTE』まで時間がかかりました。子どもがいつも見ているテレビ放送のコナンは、開始当初の時代背景もあるでしょうが、いつもポケットに手を突っ込んで話をしていて、あまりに警察が無能というところが好きになれません。何より推理ものなのに超人的な人間や便利グッズが出てくることが推理マンガの前提がくずれていると感じます。弾丸を簡単に避ける高校生や素足でブロック塀を破壊できる高校生が存在する世界観で殺人事件が起きたとしても超人的な能力でトリックを成立させたり、なぜ被害者だけそんなにあっさり殺されてしまうのかと疑問をもったり、といったツッコミを入れてしまいます。少年マンガだから構わないだろうというかもしれませんが、前提条件が定まっていないと推理にならないと思います。これが映画になると推理ものから冒険活劇に作風がかなり変わるので好きです。豪快な演出や非現実的なアクションもそういうものだと割り切ってみることができます。
映画鑑賞前からすごく人気があることを報道で知っていました。過去作品に比べても最高ペースの興行成績を出しているとか。ゲスト声優として参加した俳優も実写映画では考えられないと語ったとか。ずっとそうですが日本映画の興行収入上位はアニメ映画で占められています。今日現在で1位から『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』、『千と千尋の神隠し』、『君の名は。』、『ONE PIECE FILM RED』、『もののけ姫』、『ハウルの動く城』と続き7位で『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の実写が入ります。8位からは『THE FIRST SLAM DUNK』、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』、『崖の上のポニョ』と続き、ベスト10のうち9作品がアニメです。興味深いのが昨年公開された名探偵コナン『100万ドルの五稜星』が9位に入っていること。近年大ヒットコンテンツの仲間入りを果たしました。元々人気作でしたがここまでの人気はなかった印象です。数年前にはジブリ作品に並ぶとは思えなかったわけです。更に言えば前作『100万ドルの五稜星』の監督永岡智佳氏は映画興行収入100億円を突破した初の日本人女性監督となります。ここ数年でメキメキと名探偵コナンの映画はビッグコンテンツになっていることが数字として出ています。毎年公表される都道府県魅力度ランキングで今年も北海道が1位を取りました。絶対王者として君臨する北海道ですが今年はコナン映画の影響で大勢の観光客が五稜郭を訪れて、それが得票に大いに貢献したといいます。
今作『隻眼の残像』でも公開前から大規模なプロモーション活動がされ、大企業とのコラボレーション企画がされてきました。子ども達も前作は映画館に行かなくていい(そのうち配信やテレビ放送するだろうからそこで観ればいい)という判断をしたのに(それも過去2年連続映画館に足を運んでいたにも関わらず)、今回は劇場に行きたいと思わせたわけです。プロモーションもありますし公開直後の反響も目に入ってきて、やっぱり行ってみたいと言い出しました。ワンピースのときは公開前から観にいきたいと話していたので公開初日に連れて行ったものです。何かが違うということを子どもの態度から感じました。
当日。水曜日は映画料金が安くなります。それでも平日の午後3時台。驚くほど映画館は席が埋まっていました。ちなみにこの日のTOHOシネマズ新宿ではコナンは6スクリーンで上映していました(4D、IMAX含む)。コロナ禍の『鬼滅の刃無限列車編』ほどではありませんが相当なスクリーン数。それで満席になるのです。そして大人が多いのですが制服を着た高校生の集団が目につきました。2年前の光景は圧倒的に社会人ばかりでむしろ子どもや中高生がほとんど目に入りませんでした。アニメ映画を観賞するのは大多数が大人。『クレヨンしんちゃん』も『ワンピース』もコナンも。唯一『ドラえもん』だけが小学生以下の子どもが多かった印象です。子どもが作品を観ないとコンテンツの寿命は長くなりません。ドラえもんだけが子どもも取り込んでいるなという印象。それが映画館の様子をみると高校生のグループが映画館に来ていることから次の世代も取り込んでいるのだと感じます。映画館での映画鑑賞はその時間、スマートフォンを触れない、倍速再生ができない、途中退出も一時停止もできない、わけで効率が良くないと言えます。今の高校生ならなおさらタイムパフォーマンス(タイパ)が悪いと思うでしょう。そもそも有料ですし。そこを映画館まで足を運ばせる魅力がコナンの映画にはあるのだと分かります。
作品内容は今まで観たコナンの映画で一番良かったです。元々コナンを読んでこなかったしアニメも観てこなかったので登場人物がよく分かっていません。さすがに主要メンバーは分かりますが長野県警や公安などのキャラは名前と顔が一致しません。それでも楽しめました。一つは私が抱いていた不快感がないこと。警視庁も県警も公安も、国家の安全を担う組織が無能なわけありません。今作の人たちはきちんとしていて、小学生にこき使われるようなところがなく優秀でした。前半はサスペンスで誰が犯人なのかを求める内容。ストーリーも無理がありません。後半のアクションは作画レベルが高かった。鬼滅の刃以降アニメーションレベルが飛躍したと感じています。CGと手描きが融合し凄いアクションシーンを描いています。世界に誇る文化となって久しい日本のアニメーションですが進化し続けていると感じます。そして個人的に良かったのが長野県を精密に描いていることです。国立天文台野辺山、長野県庁、善光寺、佐久平駅と実物を正確に描いています。作中の場所に行ってみたい(いわゆる聖地巡礼)と思わせる。実際に上映前のコマーシャルに長野県観光が入っていました。長野県がブームになるのではないかと期待させます。
ストーリーには新たな伏線や新事実の発覚があったそう。そこら辺は子どもの話なのでどれくらい重要なのかは私には判断がつきません。ただアニメ本編とも連動して今後の展開に影響を及ぼすものなのだと。これも作者が映画製作にしっかりと携わっているからできることなのでしょう。今作を点で終わらせず線として繋げるやり方も見事だと思います。
最近メガコンテンツに成長していると感じる『名探偵コナン』。子どもの付き添いでしたがそれを体感することができました。劇中の舞台となった長野県に観光客を呼び込む力がありそうです。来年の都道府県魅力度ランキングに影響を及ぼすかも。現在進行形で成長するコンテンツを体感できました。
甲野 功
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