開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
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休み:日曜、祝日
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
今日は父の納骨でした。
今年の年始に急死した実父。あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業してから一番の患者さんでもありました。周囲の人は、それまで元気だったのに突然亡くなられて、と話します。実の息子として、そして10年以上に渡り身体に触れてきた私にとっては、そこまで意外なものではありませんでした。ここ最近の衰えははっきりと感じていました。当然すぎるくらい当然ですが若い壮年期の頃も知っています。ある時期からやはり衰えたなと思うようになり、ここ3年ほどでかなり弱ってきたなという感覚でした。倒れた日。救急隊が到着するまで心臓マッサージを行っているなか、どこかここが限界だなという諦めというか達観がありました。覚悟をしていというか。救急車で搬送された病院で医師から告知されたときは母と共に受け入れることになりました。
そこから怒涛の日々でした。目の前に起きる課題が山積みでした。病院で亡くなったわけではなく、かつ死因に直接繋がるような大病を患っていたわけではないので、警察からの事情聴取と捜査。病院から一度遺体は警察署に移送されました。そこから葬式の手配。父が指定した葬儀屋さんに連絡し対応してもらいましたが。火葬場、葬儀場、僧侶の3つが合う日程でないと葬式ができない。初めて葬儀を取り仕切るのでそうなのか、という唖然。しかも警察からはお体をいつお返しできるかははっきりと答えられないと言われます。監察医の判断になると。いつ父が自宅に帰ってくるのか。もちろん素人が運べるわけがないので葬儀屋さんにお願いします。葬儀屋さんも車などの準備があるのでいきなり来てくれと言われても対応できません。そしていつ運ぶのかは翌日の監察医の判断しだいという。その状況で葬儀の準備もしないといけない。お寺に連絡、参列者への連絡。それも葬儀の日程が決まらなければ話が進みません。さらに遺体検案書が死亡届になりそれを提出して火葬許可証になり、さらに埋葬許可証になりますと説明されてどういうことやら。もう高齢となった母では対応しきれないことで大部分を私が担当することになります。
幸い事件性がないという事で翌日に父は自宅に戻ることができました。そこから葬儀の準備に入り、山のように決めることがありました。火葬場、葬儀場の空き状況から日程を選定。お寺に連絡してその日程で来てもらえると分かり日時と場所が決定します。そこから葬儀の内容を詰めていきました。当日まで本当に準備に奔走して、当日も気が気ではありません。一人になると涙が溢れてきていましたが葬儀当日は母と共につつがなく葬儀を終えることを考えて悲しむ余裕がほぼありませんでした。
その後様々なことがありました。ずっと手つかずだったのが納骨でした。四十九日を過ぎたら納骨と言いますが、そのような余裕はありませんでした。父の残したものの整理、把握で手一杯。やっと手を付けようと思ったのが彼岸の頃でした。母とお墓参りに行った際にずっとお世話になっている石材店と話をします。墓守は父が一切をしていたので母も把握できていません。残された書類から状況を確認してはいましたが想定を超えていました。まず霊園に連絡して霊園管理者を父から私に変更しないといけません。それは父の遺言にあったので絶対です。霊園はメール対応しておらず電話のみ。電話をしても繋がらず。時間を空けて何度も電話をかけてやっと繋がりましたが管理者変更の手続きが非常に煩雑だと分かります。本来は配偶者である母が引き継ぐところを長男である私に変える場合は母の委任状が必要。そして私と母の印鑑証明書もいる。印鑑証明を私はしていなかったので役所でしないといけないですし、母も印鑑を紛失している可能があったので再度取り直します。父が亡くなったことを証明する、母と父が婚姻関係にあることを証明する、父と母の子であることを証明する、という3種類の謄本が必要。区役所の担当もこれだけ必要なのですかねと疑問に思っていましたが必要書類の一覧にあるので取りました。これらの書類に加えて変更手数料を現金で、郵送のための切手を用意して所定の場所まで持参しないという。それも予約を入れないといけない(電話で)。電話がなかなかつながらない状況でしたが何とか予約が取れて管理課に行きました。そこでは面接のような状況に。葬儀の領収書を持参するようにとあったので持参したのですが、葬儀屋さんは宛名を「甲野様」と名字だけにしていました。それを見て、本当に喪主が母であるか分かりませんと指摘されてしまいます。喪主が母と証明しないといけないのか、と不満に思いましたがそれも想定して葬儀場使用願いを念のため持っていて、そこには喪主の欄に母の名前があったので認めてもらいました。そして謄本とともにマイナンバーカードで私が長男本人であることを確認します。結局一時間半くらいかかりました。これが平日の午前中。私のような自営業で予定を自分で作れるからいいものの、会社員だったらどうなっていただろうと思いました。
やっとのことで霊園管理者を変更して次に納骨の日程です。お墓を開けるのも素人にはできませんので石材店にお願いします。その準備があるので3週間くらい前に連絡するように言われていました。墓石に名前を彫ることも含めて。参列者の都合も考慮してゴールデンウイークになったというわけです。
そして納骨当日。事前に霊園事務所で納骨手続きをしないといけません。これは現地で直接しないといけません。祝日は混むので並ぶかもしれませんと注意を受けていたので、私はお骨を持って一人現地に向かっていました。埋葬許可証は骨壺を入れた箱に入っています。事務所は想定よりは空いていましたがそれでも手続きには並びました。時間に余裕をもっていましたが若干焦りました。万一納骨開始時間に間に合わなかったらどうしようかと。10分ほど待って手続きが終わりました。そしてお骨を持って石材店に向かいます。喪服を着て、前日より遥かに気温が上がった晴天の中、骨壺を持ちながらの移動はかなり体力を消耗します。石材店に着いて挨拶をしたあとしばし休ませてもらいました。母たちとはお墓の前に現地集合にしていました。
開始時刻の30分前くらいにお墓に到着すると石材店が納骨の準備をしていました。納骨の前にお墓の修繕や今後のことを聞き、また手を加えないといけないことが判明しました。
無事に納骨が終わり、駅前で生前父と食事をしたレストランで、参列者全員で食事をして帰宅しました。実家まで母を送って、やっと一つ終わったね、と話をしました。葬儀から納骨まで大変でした。しかしこれからもやることは幾つかあり、お墓の修繕や年が明けたら一周忌法事を考えないといけません。
ただこの大変さが私を成長させていることも確かです。
家督を継ぐという言葉がありますが、ずっと父が担ってきたことを長男として引き継いだという実感があります。葬式もお墓も無駄な出費という意見があります。しかし祖父の頃から受け継いできたお墓。親を含めて祖先がいなければ、私がここに存在しない。また経営者はみんな祖先を大切にしてお墓参りをすると言います。私も自営業ですからそういう逸話はよく耳にしています。生前の父もそうでしたし。幸か不幸か父が生きていたらやることは無かったし知ることもなかったこと。それを引き継いだことでステージが一つ上がった気がします。
甲野 功
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