開院時間
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
私が仕事とする、そして国家資格としての名称である、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師。これらは厚生労働省が管轄する国家資格免許であり3年以上の学習を経た上で国家試験に合格しないとなれない職業です。はり師ときゅう師は多くの術者が両方取得するため鍼灸師と省略されることが一般的です。この3資格の頭文字をとって「あはき」という略称を業界内では用います。「あはき」は『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』(通称、「あはき等法」)という一つの法律で括られています。職種は異なりますが。細かいことですが私は普段は「あはき法」と書くのですが、今回は「あはき“等”法」とします。何故かというとこの表記にしている業界団体、通称“業団”のトピックに触れるためです。
業団。業界団体の略なのですが、開業及び勤務している主に臨床現場で働く人のための師会(『全日本鍼灸マッサージ師会』や『日本鍼灸師会』など)。あはきの学術研究を行う学会(『全日本鍼灸学会』、『日本東洋医学系物理療法学会』など)。あはき師養成学校の団体である学校協会(『東洋療法学校協会』、『日本理療科教員連盟』など)。これらも業界関連の団体になりますが業団というと師会のことを指します。その中で『公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会』という業団があります。この全日本鍼灸マッサージ師会が機関誌で以下のような発表をしました。
2025.05.01 (木)月刊東洋療法
冒頭で「あはき等法改正に向けた基本方針」という記事があります。タイトルをそのまま読めば現行の「あはき等法」を改正するために活動していることが伺えます。今年2月に発出された業界の広告内容に関するガイドライン、『あはき・柔整広告ガイドライン』。こちらもあはき等法改正に向けたものだとしています。
この全日本鍼灸マッサージ師会の声明に少なからず驚きました。戦後、大日本帝国憲法から日本国憲法に変わり、それに伴い新たに制定された法律、あはき等法。昭和22年(1947年)のこと。それから約80年、細かな変更をしながら続いてきました。制定当初は柔道整復も同じ法律でした。それが途中で柔道整復師法が単独法として独立しています。そういった意味では改正はされているとは思うのですが、全日本鍼灸マッサージ師会としては、現在の社会状況に即していない点も多くあはき等法の改正が必要だとしています。法改正において重要な目的として(1)あはき師の地位確立、(2)無資格者の規制強化の2点を挙げています。全日本鍼灸マッサージ師会がさらに重要視しているのは「無資格者の規制強化」の方だと感じます。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格免許を持たないで医業類似行為を行う者を無資格者、無資格施術者としています。そして現行のあはき等法の“等”にこの無資格者も含まれると解釈され、あはき師ではない者も「あはき“等”法」による無資格者への処罰規定が存在すると考えているようです(第12条がそれに該当する)。ところが法律に対する解釈にばらつきがあり、機能していない。
(※まず医業類似行為とは何か。あはき及び柔道整復も医業類似行為に該当するのか。その解釈についても意見があります)
国民の健康を守るためにあはき等法を改正して免許保有者と無資格者の法的な違いを明確化することが必要だと全日本鍼灸マッサージ師会は訴えています。それがそのまま「(1)あはき師の地位確立」という目的を達成すると思われます。ただし、それが無資格施術の抑制に直結するかどうかは更なる検証が必要だと、また全日本鍼灸マッサージ師会は述べています。その布石として『あはき・柔整広告ガイドライン』があるのだと。本ガイドラインを最大限に活用し、現行制度の効果と限界を見極める必要があると。そして、それでも無資格問題が解決されない場合には、あはき等法の改正すべき法的課題がより明確になるであろうとしています。
この内容からあはき・柔整広告ガイドラインが出された次の展開を全日本鍼灸マッサージ師会が考えていたことを知りました。法改正に向けての布石。ガイドラインの運用でどう変わるのか。先日全日本鍼灸マッサージ師会の都道府県師会のひとつである東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会が開催したあはき・柔整広告ガイドラインに関する講習会で少し話題に出たのですが、はっきりと意思表明をして法改正に向けて動いている。率直な感想として本当にするのか、できるのかという疑問もあります。もちろん法改正には立法機関である国会の審議が必要です。簡単なことではありませんし、できるのであれば80年の歴史で行ったのではないか。一方、あはき業界に足を踏に入れて20年以上経過した私。専門学校に入学したのは2004年の春でした。そのときから業界状況をみてきて、大きな変化が起きそうな気配を感じています。まさにあはき・柔整広告ガイドラインはその起点となるような。
個人事業主として開業あはき師としては大いに関わりのある内容。アンテナを張って情報収集を怠らないようにします。
甲野 功
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