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昨日、産経新聞らのニュースでこのような記事が出ました。
産経新聞
<東京都柔道整復師会の経費を不正利用、容疑で元副会長を逮捕 数年にわたり私的物品購入か>
2025/5/15 13:00
背景や状況を説明します。
私は柔道整復師という資格を持っています。これは厚生労働省管轄の国家資格免許で厚生労働省(もしくは文部科学省)が認めた専門学校(大学)で3年以上、勉強と練習をした者が年に一度だけの国家試験への受験資格を得ます。毎年3月第1週の日曜日に行われる柔道整復師国家試験に合格すると得られる資格なのです。どのようなことをするかというと、主に急性外傷(脱臼、骨折、捻挫、打撲、挫傷)の応急処置。それも保存療法といってメスを用いた外科手術(観血療法ともいいます)や薬品を用いること(投薬)を除いたもの。整形外科医の業務から観血療法、投薬、診断、薬の処方といった医師の業務を除いた行為ができるといえます。具体的には脱臼や骨折をした際に、正常な位置から逸脱した骨を元の場所に戻す整復という処置を、医師の指示なしに行っても構いません。言い換えると整復を医師や柔道整復師ではない者が自己判断で行うことは法律で禁止されています。
余談となりますが、過去に高校野球の監督が試合中に肩関節を脱臼した選手を整復したことあり、一部で問題視されました。私は柔道整復師として選手の将来を考えて不適切な行為だと考えていますし、同様の注意喚起を整形外科医からも出ています。ところがその監督は有名な人物であるからなのか、監督は資格を持っている、監督のやったことは正しいとコメントする匿名者がいます。肩関節脱臼は非常に再発しやすいので適切な処置をしておかないと後遺症に悩まされることがあるのです。そのような医療国家資格であるのが柔道整復師です。
法律で開業権が認められており、接骨院や整骨院の名前で施術所を開設することができます。施術所とはあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師が開ける院のこと。その要件は法律で規定されており、所轄の保健所に届出を出して保健所職員の現地検査を受けないといけません。私は施術所を開設しておりますが、あん摩マッサージ指圧・鍼灸の治療院で柔道整復の接骨院はしていません。保健所に開設届を出していないのです。柔道整復師は開業している者が多いので個人事業主が多いです。企業にしてオーナーとなっている場合もあります。主に開業者のための業界団体として公益社団法人日本柔道整復師会があります。その地方支部として公益社団法人東京都柔道整復師会があります。人口を考えれば当然です日本柔道整復師会の支部でも最大規模を誇るのが東京都柔道整復師です。
その東京都柔道整復師会ですが、元副会長の新井宏氏が5月15日の取材で警視庁元富士署に逮捕されたのです。その容疑は詐欺の疑いです。報道によれば新井宏容疑者は、令和3年(2021年)4月から令和4年(2022年)12月にかけて東京都柔道整復師会に虚偽の領収書を提出し、合計18万1064円を詐取したといいます。私的な物品を購入したときの領収書を東京都柔道整復師会の経費だとして提出。同会から料金を騙し取っていた。購入した物には化粧品、布団、衣料品、映像ソフト、マンガなどが含まれていました。平たくいえば組織の金を私用に使いこんでいたということ。それも布団と生活必需品からマンガという個人の趣味となるもの。それを「資料代」や「文房具代」などと偽った項目で請求していたといいます。警察は過去数年にわたり、同様の手口で経費を詐取していたとみているとのこと。
まず当時の副会長という立場。逮捕されたのは先日ですが、犯行(とされていること)は3~4年前のこと。このときは東京都柔道整復師会副会長でした。役員で重職です。そのため虚偽の領収書が通ったのかもしれません。報道によれば昨年令和6年(2024年)7月に東京都柔道整復師会が警視庁に新井容疑者を詐欺罪で告訴していました。つまり身内からの内部告発ということです。
金額の多寡は問題ではないとは思いますが、18万円という金額はどうなのでしょう。そこまで高くないという印象です。というのも柔道整復師業界では過去の不正請求では数百万から数千万、ときに億単位のお金を騙し取った経緯があります。それらに比べると少額に思ってしまうのです。この額だと積極的に警察が捜査することは考えにくく、同業者からのリークでないと警察は動かないでしょう。そして報道カメラが容疑者を撮影していることから前もって逮捕する情報が報道に分かっていたものだと思われます。東京都柔道整復師会のホームページには5月14日の段階で元副会長が逮捕されたことを掲載しています。事前に逮捕されるという情報が出ていたはずです。また犯行が起きたのは数年前であり、今まで逮捕が遅れたということは捜査が長かったからなのでしょう。証拠が固まり満を持して逮捕に至ったという。余罪があるのものという含みを報道内容から伺えます。
ここで注目したのが今回逮捕された容疑者は過去に別件で報道されていました。それが写真週刊誌フライデーです。非常に有名な大衆誌フライデーが熟年不倫を見出しに写真入りで記事にしたのです。令和4年(2022年)6月のことです。このとき、公益社団法人幹部とはいえ芸能人ではない一般人の不倫をわざわざ報道することに違和感を覚えました。取材だって無料ではありません。逢引き現場を記者が張って写真撮影をしているわけで。東京都柔道整復師会副会長(当時)と同会職員女性がマクドナルドで持ち帰りした品を地下鉄構内で一緒に食べえている写真にこんなことを記事にして雑誌が売れるのだろうかと思ったものでした。しかし記事タイトルには報酬不正受領疑惑の文字がありました。不倫というセンセーショナルな面を先に出していますが、公益社団法人幹部の報酬を不正に受け取っている疑惑があることにも触れていたのでした。そう考えると3年の月日を超えて物事が繋がってくる気がします。今回は私用物品を経費として買っていたという詐欺容疑での逮捕です。更にその先に不正受領が隠されているのかもしれない。そちらの方が社会的問題は大きいです。
真偽が不確かなサイトにはより詳細な不正疑惑が書かれています。内容の細かさから東京都柔道整復師会内部の人間が書いているように思われます。そこには不倫相手の素性や状況。更には残業をしていないのに仕事をしたと書類に記載して報酬を水増ししてもらっている幹部がいることを書いています。実際にそうなのか判断がつかないので出しませんが、もしも真実だとすると警察の捜査が進んでいくのかもしれません。実はフライデー記事は触りで今回の逮捕が序章に過ぎないとか。
今後、進展があるのか注目します。
甲野 功
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