開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
私自身が大学生の時は競技ダンス選手でした。社交ダンスを競技として行う競技ダンス。学生競技ダンス連盟、通称“学連”経験者です。1996年に東京理科大学で出会った学連の世界。もう30年近く前ですが現在の仕事や人生に大きな影響を与えています。大学を卒業後も少しだけ(2試合に出場)アマチュア競技会に出場したことがありますが、早々に競技を引退しました。本当に成績が出ず。学連時代は1次予選敗退の山を築き、卒業後のアマチュア戦でも確実に優勝できるでしょうという大会でも決勝に残ることができませんでした。競技選手として二流だったことは、毎日必死に練習した体験からは見返りが無かった厳しい現実です。その悔しさ、コンプレックスはずっと引きずっています。
一方、後輩の指導には才能があったようでたくさんの後輩が学連時代にファイナリスト、チャンピオンとなりました。その後プロ選手に転向してA級になった者も少なくありません。その延長で今の仕事に就いていると言えます。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師。人の身体をみる仕事でありますが、根幹にあるのは競技ダンス選手の役に立ちたいということ。そのための手段として按摩、マッサージ、指圧、鍼、灸などの技術を持っています。これらは手段・方法であって目的ではありません。鍼灸がしたい、マッサージがしたい、という気持ちではなくそれらを使って携わった選手が納得できるダンスができることが目的です。そして競技ダンス選手にとって納得できるダンスとは往々にして競技会で好成績を出すことです。格闘技、野球・サッカーといった球技、陸上種目などと違い競技ダンスは審美スポーツと言われるジャンル。相対的な美を競います。他の審美スポーツというとフィギュアスケート、新体操などがあります。芸術に近く、バレエやブレイキンと同じようなイメージです。余談ですがパリオリンピックでダンススポーツ・アーバンスポーツの一環として採用されたブレイキン(旧ブレイクダンス)は発祥の地アメリカではスポーツではなく文化であるということで次回ロスアンゼルスオリンピックでは不採用となりました。競技ダンスもスポーツなのか芸術なのかという議論がついてまわります。とにかく来院したり関わったりした選手には成績を出して欲しいですし、そのために依頼するということが多いです。
学連時代から今まで数多くの選手と話をしてきました。国家資格を取ってからは母校の後輩以外にアマチュア選手、プロ選手、他大学の選手と様々なカテゴリーの選手たちと交流しました。その経験で言えることが、名選手は情報収集を怠らない、ということです。成績の良い選手はみんな情報が豊富です。また情報収集に余念がありません。情報収集を良くしている選手は成績が良いとは限りませんが、トップ層の選手は全員情報を持っていました。その逆もまた真なりとは言いません。ここでいう情報というのはダンスに関することはもちろん筋肉や骨格といった解剖学的な知識や食事や筋トレ方法などダンスパフォーマンス向上のために付随する情報も当てはまります。
名選手は自分のことも他人のこともよく分析しています。競技ダンスは相対的な審査で他者より優れているとジャッジが審査すれば優勝です。数字的な記録を出すわけでも直接的な対決をするわけではありません。同じフロアーにいますが故意に他の選手と接触することは禁止されていますから自分との闘いになります。同時に周囲にいるライバル達よりもどう目立つかも勝つための要素になります。つまり自他ともに分析をしないといけません。上位に来る選手は当然ながら分析に長けています。そして分析をするためには情報が必要です。集めた情報を処理する能力が必要ですし、思った通りにダンスをする身体能力も必要です。ただ情報を集めることは基本となるので情報収集能力が皆さんあります。
また将来伸びていくだろうなという選手はきちんと批評ができます。遥かに格上の選手でも、どこか優れている・あそこは弱点だ、といった意見を持ちます。できもしないで偉そうに言うなという意見があるかもしれませんが批評できるということは情報を得てそれを自ら整理して、そして自分の意見を表しているということ。他人のことも自分のことも批評(あるいは評価)できない選手は成長スピードが遅いです。
なぜあの人は勝つのだろう。
なぜ自分は勝てないのであろう。
どうしてあの人はいい動きをするのに競技会では成績が出ないのだろう。
自分が評価されているポイントはここだろうか。
このような問いを自らに課してその答え(持論)を出すのです。合っているかは別としても。
私も情報収集を常にします。来院する学連の選手は過去の成績を可能な限り調べますし、ダンスの動画を検索します。今はYouTubeにアップしてくれるので探すことが難しくありません。また可能であれば会場に足を運び実際に目で確認します。ライバル選手の状態、ダンスのトレンド、状況などの情報を収集するようにしています。同じ競技会でも各カテゴリー環境が違うと戦い方が変わります。学連に所属していましたが今は私のいた当時とは細かくルールが変わっています。現在進行形の状況を把握しておく必要があります。他の学連OBOGさんによく知っているねと言われますが、業務を遂行するためには過去の経験や情報だけでは話にならず、現在(いま)を知る。情報収集をしていくことが選手の目的に沿えるものです。
この情報社会。ネットだけでもかなりのことが分かります。かつては現地に行かないと人に会わないと得られなかったことが。情報収集ができないということは甘えでしかありません。他のスポーツも飛躍的に技術が向上していると言われていますが、その要因として情報化社会となり安価で素早く情報が世界を駆け回るからです。私が学連のときは海外トップ選手の動きは高額なビデオを視聴するか競技会場に足を運ぶなどしないといけません。ところが今はインスタグラムやYouTubeなど情報を得ることが簡単です。
分かりません(理解できません)はいいですが、知りませんはもうダメです。情報はデジタルで0か1の有無。知っているか知らないかの二択でしかも情報収集のツールは非常に発達していて簡単に得られます。得た情報を解析、分析、理解できるかは幅がありアナログの世界。100%理解できる場合からごく一部しか理解できないというグラデーションがあります。まず情報を集めよう。それすらできない、やろうとしないというでは成績を出していくのは難しいだろうなと思います。
甲野 功
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