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~効率の良い勉強方法はあるのか~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 菅原道真公像
学問の神様たる菅原道真公の像

 

 

私はよく鍼灸マッサージ学生さんに対して勉強会、練習会を行います。専門学校の学生さんですが、時に鍼灸マッサージ業界に興味があり専門学校進学を検討している“プレ学生”も相談や勉強に来院します。今年も3名、当院で業界勉強をしてきたプレ学生さんが専門学校に進学しました。プレ学生さんの相談はかなり前から行っていることで進学相談から始まり進学、在学中のサポート、国家試験合格を経て開業した元プレ学生さんがいます。他にも卒業して医療機関で研修をしている方、国家試験取得後に鍼灸マッサージ教員養成科に進学する方もいます。あるいは既に鍼灸師でありますが、私が出た呉竹学園の鍼灸マッサージ教員養成科進学を検討しているという、これも言わば、プレ学生さんも相談に来ます。

 

この仕事は厚生労働省管轄の国家資格が必須で正式名称としては「あん摩マッサージ指圧師」、「はり師」、「きゅう師」という各資格免許が必要です。免許を取得するためには所定の養成機関(専門学校や大学)で最低3年間勉強して各国家試験受験要件を満たした上で年に一度だけの国家試験(2月最終週の週末に実施)に合格する必要があります。現在の国家試験は実技がありません。それは各養成機関で済ませておき、国家試験は座学のみ。それも四者択一問題だけです(※今後変わる可能性があります)。医師国家試験のようにこの選択肢を選んだら落ちるという問題はありません。柔道整復師国家試験のように一般問題を8割正答しないと不合格になるということもありません。全体で6割を正答すれば合格です。具体的にはあん摩マッサージ指圧師国家試験では配点が1問1点で問題数160問の合計160点満点中96点以上、はり師・きゅう師国家試験は各試験問題数170問で各102点以上を正答すれば合格です。私が受験したときは必修問題がありましたが現在は撤廃されています。よってこの先合格基準が変更なる可能性はありますが、現行ではこうです。あん摩マッサージ指圧師国家試験では160問。はり師・きゅう師の国家試験は同時開催で160問が共通問題で個別の問題が10問。よって多くの受験生ははり師・きゅう師国家試験を受ける場合、問題数180問(160問共通、10問はり師試験用、10問きゅう師試験用)を解くことになります。なおあん摩マッサージ指圧師国家試験は土曜日、はり師・きゅう師国家試験が日曜日なので3資格を一度に受験した私は2日連続で3つの国家試験に臨みました。

 

何かしらの憧れがあり、セカンドキャリアとしてあん摩マッサージ指圧師や鍼灸師の資格を取りたいと考えて進学を検討するプレ学生。私自身が4年制大学を卒業後、一般企業に就職し、脱サラを経てこの仕事に就きました。その関係で当院に相談に来るプレ学生さんは全員社会人です。唯一、大学生で来春鍼灸マッサージ専門学校に進学しますというプレ学生さんが来たことがあるくらい。既に仕事をしていて新たな業界に飛び込もうという人が来ます。そうなると学生身分から離れているので勉強はできるのか、実技ができるのか、という不安があります。社会を経験して高校生よりも物事が見えているからこそ。学校選び、それどころか進路自体に悩むのです。そして進路先の学校を決めて入学手続きを終えます。その頃から「効率の良い勉強方法を教えてください」という話をよくされます。これはプレ学生さんに限らず専門学校の1年生や2年生からも問われます。私は学習指導も行いますが、そのときにいつも内心思うことが、はたして効率の良い勉強方法などあるのだろうか、と。更には“効率の良い勉強方法”って何を指すの?という疑問

こういっては何ですが私は専門学校時代の成績は優秀でした。最初の鍼灸マッサージ科では卒業式に成績優秀者として表彰されました。柔道整復科では学校全体で一人選ばれる(当時の話)特待生に選出されました。鍼灸マッサージ教員養成科では主席にあたる学園賞を受賞し卒業式では各賞ある中で最初に表彰されました。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の各国家試験も8~9割の正答率で合格しています。結果だけみれば余裕の合格です。そんな私が考えることは、効率の良い勉強方法など存在しないだろう、ということです。

詳しく説明すると、プレ学生さんでも現役の学生さんでもそうですが、あなたの考える効率の良い勉強方法はどのようなものを考えていますか?という問いがあります。短い時間で大きな成果を上げる。もしくは小さな努力でそれに釣り合わないくらい良い結果を出す。これが、効率の良い、ということだと思います。それはいいのですがどこをターゲットにしているのかという話です。学校の定期試験でしょうか。国家試験でしょうか。多くのプレ学生、学生さんは国家試験だと考えています。まず国家試験を通過しないと始まりません。そして国家試験は年々難しくなっています。私が受験したときよりも問題数が増えて範囲も広がります。更に外部実習が必修となり私の学生時代より専門学校で行う課題が大幅に増えています。そのため国家試験は難しいよ早めに対策を始めないと間に合わないよ、という忠告を方々からされています。そのせいか入学前、1年生のうちから国家試験対策をした方がいいですかという声を耳にします。そして、効率の良い国家試験対策勉強は無いのか、という。

 

勉強方法=国家試験対策となっていると感じることが往々にしてあります。それそれで間違ってはいないとは思います。ただしゴールを国家試験合格にするという条件下で。国家資格取得してからもうすぐ20年になる私にとっては国家試験に合格してからの方が遥かに長くなってしまいました。そうなると効率の良い勉強方法というのは国家試験合格ではなく、臨床で使えるというものがゴールである方が“効率が良い”と考えてしまいます。日々の現場は4択問題ではありません。そもそも国家試験は正解が必ずあります。しかし患者さんへの向き合い方に完全な正解はありません。しかもこの4つから選択してください、という選択肢も提示されません。それまでの知識と経験、そして培った技術から策を講じて行わないといけないのです。それが開業権を与えられた職種であること。多くの医療職種は医療機関で医師の指示のものと行います。医師がベースを判断して指示した上で行います。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師は施術所を自ら開設することが法的に認められているので自分で判断することになります。それができるようになるための勉強方法は国家試験対策では直接身につくものではないと考えます。

 

そもそも国家試験とは3年間の膨大な学習内容を“効率よく”審査するためのものです。全科目全範囲を細かく理解しているか判別するのは時間がかかって仕方ありません。それは各単元で専門学校や大学で確かめてくださいということ。最後の学力判断を厚生労働省が効率的に審査するために記述方式ではなくマークシート方式でできるようにしたもの。4択にすることで1つの問題に4項目入れることができますし。効率化されたものを効率的にこなすことは、書籍を要約した文章をさらに要約するようなもので書籍の目次を読んでいるようなものにならないでしょうか。

そして国家試験というのは文章だけです。柔道整復師の場合は画像診断の試験があるため写真、イラストが出ることがありますが、視覚障害者の生業として存在してきたあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の試験では文章だけが基本です。効率的な国家試験対策となると文章の羅列になる資料ばかりになります。そうなると初学者は文字だけで実態を学ぶ必要があります。例えば橈骨、尺骨という単語が出てきました。橈骨というのは前腕の骨で母指側の骨で尺骨は小指側の骨のこと。では前腕とはどこのことか。母指とは親指のことである。このような前提知識がないと分からないでしょう。膝神経節はどこにあるのか。文字から見て膝関節にあると思いきや顔面神経にあります。膝のように急に曲がっているのです。解剖学はその見た目から名称がついている場合が多く、文字だけでは勘違いすることが多いのです。

国家試験対策をする、資料を作る人はみんな免許持ちです。すなわち全範囲を勉強して国家試験をパスしています。だからやる方は全部分かった上で効率的なものを出そうとします。ところが初見の学生はいちいち用語や症例の意味を調べないといけません。これだけ覚えれば大丈夫!と言われてもそれを覚えるために理解することが何倍もあるのが実情です。だったらまず地道に取り組んだらどうですかというのが私の考えです。

 

これまでたくさんの同業者を見てきましたが残念ながら全然知識が無いなという先生も多数いました。これは学校で習ったでしょう?と尋ねると、授業でやったかもしれませんが国試(国家試験のこと)が終わったら忘れました、という答え。じゃあもう一度勉強し直して頭に入れないといけないよねという。効率が良いのでしょうか。国家試験は究極一つ選べばいいのです(柔道整復師国家試験では2つの場合もありますが)。そのため何となく覚えていれば解けるものが多数あります。何も知識が無くでも25%の確率で正答します。2つにまで選択肢を絞れられれば50%まで確率を上げられます。きちんと理解した正解と当てずっぽうで当たった正解の区別はつきません。受験者にしか分からない。そのような勉強(国家試験対策)をしていれば頭から消えてしまうのです。

 

効率の良い勉強方法など無いというのは、効率化を考える前に真っ向勝負で一つ一つ調べて理解しようと努めた方がいいですよということ。教科書をきちんと読む。一つの単語を更にネットで調べる。関連する症状や症例を検索してみる。絵に描いてみる。人に説明できるようにする。このような地道なことをしていく。急がば回れ、のように面倒かもしれませんがある所までいくと飛躍的に理解が速くなります。結局、これが一番“効率が良い”結果になると思います。

国家試験対策が悪いとは言いません。3年生のある時期からはやらなければいけません。これに受からなければ話にならないからです。ただそれまでにしっかり勉強していないと結局些細なことで引っかかって進みません。基礎知識がないと解答できないのです。ただし選択肢を一つ選べば回答はできます。結局、基礎学力が無いと国家試験対策にならないわけです。その前に基礎を固める努力(勉強)をしないといけません。入学前や入学直後で国家試験の過去問題を解こうとしている学生さんをみると、その前にまず教科書を読んでごらんと思います。国家試験が難しくなっているからこそ初めのうちに泥臭く勉強しないと後で間に合わなくなるよと逆説的に思うのです

 

私は専門学校時代に猛烈にノートを書いて字を書き、画を描き勉強しました。不思議なもので私より成績が悪い人ほど非効率だと言ってきました。成績優秀者はそのようなことを言ってきません。それがお前の勉強方法なのね、という考えです。学生さん、特に初学者に効率が良い勉強方法を教えてくださいと聞かれても、そのようなものはないと答えますし、地道に勉強を続けると自然と効率化してくるから最初は真正面から勉強しましょう、と伝えます。

 

甲野 功

 

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