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先週日本の出生数が70万人を下回り、出生率も過去最低となったと報道がありました。
NHKニュース 去年の出生数 初めて70万人下回る 出生率も過去最低の1.15 2025年6月4日20時27分
何年も前から分かっていたことですが子どもが生まれない日本は人口減少に転じ、加速度的に人口減少が進みます。高齢者化社会を通り越した超高齢化社会。高齢者が多いことが問題の本質ではなく、その割合が非常に高くなることが本質。年寄りが多くて若者が少ない状況。これが、年寄りだらけで若者がいない、になっていきます。
私は個人事業主として独立してから経営的視点を持つようになりました。実際には、勤務していたときに管理職となって経営や人のマネジメントに対する業務をするようになり、独立する前から自然とそれを持つようになりました。大学を卒業した新卒社会人のときに商社に就職したことも大きかったです。理系学生として技術職、研究職を目指していたのですが半導体商社で技術営業という技術も営業も行う部署に配属された経験が技術一辺倒の思考にならなくなりました。また独立する前に管理職として経営方針を考える業務に就いた経験も今となっては大きかったです。そのときはまだまだ臨床現場で働きたいから経営側に行くのは嫌だと職場を去ったのですが。
常々考えているのは労働者が減ることより消費者が減ることの方が問題であること。労働人口が足りなくなると危機感をあおる記事がたくさんあるのですが、それよりもお客さんがいない方が大問題だと思います。労働力が足りなくなければ機械が代用していきます。少し前は海外から労働力を導入しようとしていました。昨今の円安や経済の低迷から出稼ぎに適した国ではなくなりつつある日本。一方、ここ数年のAI技術の進歩は凄まじく生成AIは多くの労働力を代替しつつあります。それ以外にも3Dプリンタも。どれだけ効率の良い労働環境があっても商品・サービスを買ってくれるお客さんがいないとダメです。そうなると日本の人口が減ることは死活問題です。海外に輸出したりアニメなどのコンテンツを海外に配信したりして、世界にマーケットを移す。これはずっと日本がやってきたこと。昭和の頃から自動車の輸出販売は基幹産業と言えるでしょう。しかし効率を重視すると海外で販売するならその国で生産した方が良く労働者の賃金が日本に還元されません。ネット上のコンテンツはコピーされやすい上に生成AIが簡単に作れるようになっていくことで中途半端なものは売れなくなります。絵画、音楽、小説も生成AIが自動作成できるようになりました。動画も作れるようになっています。今や、どのように生成AIに指示を出すのか、が重要になりつつあります。現時点では国内で有力なAIを開発できていない日本は使用料と情報を外国資本に渡し続けることになります。
日本でモノやサービスが売れることが重要。そのために消費者が日本に存在する必要がある。日本人が減る一方なら海外からの人間を受け入れる。このような流れが自然です。そうなると海外からの観光客、すなわちインバウンドは貴重です。企業ベースの方が金額が大きいのですが、企業が利益をプールしてしまうと一般庶民に還元されません。観光地で1個100円の団子を売っているお店はインバウンドが多数来ることでダイレクトに売上を得ることができます。私が京都に頻繁に訪れるのは観光地の実際を観察する意味もあります。それは箱根もしかり。普段、東京都新宿区に住んでいて外国人はいつも目に入ります。新宿駅を歩けば日本人以上に外国人がいるときもあります。東京を客観的に観るために地方の観光地を知る。そのような考えです。
先週日曜日に一人京都に行きました。東福寺から三十三間堂まで歩いていきました。バスは周知の事実ですが、混雑・渋滞で時間がかかりすぎると思われます。タクシーもそう。交通機関は電車・地下鉄までにして、なるべく歩くようにしています。結果的にそちらの方が早いこともあります。それと同時に街並みの様子を観察するのです。昨年も京都に行き、京都駅からみて北西方面を徘徊しました。立命館大学前から仁和寺、龍安寺、金閣寺、北野天満宮を巡り二条城まで。徒歩で市内を進みました。今回は南東方面で宇治や藤森、そして東福寺駅から三条駅方面を歩きました。
今回気付いたというか気になったことは想像以上に街並みの新陳代謝が止まっていることでした。昨年は気にならなかったのですが、今回はアーケード内のシャッター商店街がありました。日曜日なのに開いているお店が驚くほど少ない。オーバーツーリズムが叫ばれる京都ですが、どこでも混雑しているわけではありません。場所によります。歩いた道に外国人観光客は少なかったです。昼時に飲食店に行列ができていましたが、人気店というより食べる場所の選択肢が少なくて集中しているという感じ。歩道はアスファルトがデコボコしています。昭和の風景のような壊れた乾電池の自動販売機にレトロな店構え。昭和レトロブームですが、単に建て直すことなく残っているだけのようです。
場所はJR京都駅から歩いて10分から20分くらい。新幹線の停まるターミナル駅の近くでもこうです。これが東京だとどうでしょう。東京駅の周囲は高層ビルだらけ。皇居のように意図的に開発されず景観を残しているものを除くと狭い土地にこれみよがしに建物がひしめきあっています。今回歩いたエリアがたまたま開発が遅れているところなのだとは思いますが、人口減少の影響を大きく示しているように感じます。若者がいなければ土地や建物を引き継いで商売することはありません。いたとしても東京に来てしまえば同じこと。最初に紹介したニュースでは都道府県で東京都の合計特殊出生率は1.0を切る最低です。しかし若者は多く子どもがたくさんいます。生活は都心部で出産、小さいときの育児は千葉、埼玉、神奈川でするという人も大勢いるでしょう。
JR京都駅周辺や駅ビル内は東京と遜色ないほど栄えています。改装された駅ビル内。ファッションセンスに溢れています。お土産が飛ぶように売れて観光客がひしめき合っています。もちろん地元の人や仕事で来ている人も大勢いるようです。それに対して徒歩で20分、電車で一駅・二駅離れただけでその様相は大きく変わります。
東京に戻ってきて感じることは東京がむしろ異常なのかもしれないということ。近年だと京都以外に箱根、小田原、名古屋、伊勢、浜松、日光といった観光地に足を運びました。どこも中心地は活況ですが少し離れると一気に街の変化が滞ります。古い建物、ひび割れたアスファルト、シャッターが閉まった店舗。差が激しい。東京駅周辺はもちろんコンクリートジャングルですが、丸の内も虎ノ門も銀座も近いところがまた別の栄え方をしています。更に離れても新宿、渋谷、上野、浅草、池袋、恵比寿などなど挙げだすときりがないほど。東京の一極集中という言葉がよく分かります。
人口減少により地方から衰退していくというのは自明の理。インフラを保つことができる自治体が集結することになっていくでしょう。あの世界的観光地京都でもエリアの差がはっきり出てきていると感じます。東京にいると気付かない現状を知ることができます。経営をする者として凄いスピードで人口減少が進む日本でどう立ち振る舞うのかを日々考えます。
甲野 功
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