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~ラテンでハムストリングスを意識する~

学連OBOG練習会ラテン 2025年6月19日 
学連OBOG練習会ラテン 2025年6月19日

 

 

DANCE GRAND Harajuku』で行われた「学連OBOGダンス練習会ラテン」に参加しました。学連とは学生競技ダンス連盟の略。私は東京理科大学卒ですが、大学で出会った学生競技ダンスがその後の人生を大きく左右しました。現在の仕事にも直結しています。学連OBOG練習会は月に一度、モダンとラテンの交互に行っています。社交ダンスを競技として行う競技ダンス。2種類、10種目があります。私が学連時代はモダンといい、今はスタンダードと呼ぶのが一般的な種類と、ラテンあるいはラテンアメリカンという種類。モダンにはワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイックステップ、ウィンナーワルツ(ヴィニーズワルツ)の5種目。ラテンにはチャチャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ、ジャイブの5種目。このような種目があります。

学連では2年生になるときに専攻分けといってモダンかラテンに分かれて、それを専門的に練習し競技会に出ます。私のいた東部日本ブロックでは原則としてモダンに進めばモダン種目だけ、ラテンはラテン種目だけを競技会で行います。1年生のうちは両方を練習して両方の競技に出ます。このシステムは学連特有でプロやアマチュアは両方踊ることが多いです。学連ではモダン人、ラテン人という言葉がありどちらか一方に偏るのです。ちなみに私はモダン人でした。

 

学連からプロの世界に進む人がたくさんいます。学連OBOG練習会を仕切る先生もそうです。モダンは武蔵野美術大学OBの本池淳先生。ラテンは東京外国語大学OBの金光進陪先生。この二人が毎月交互に練習会で講師を務めます。しかし今回のラテン練習会では諸事情により講師を欠席した金光先生の代わりに東京農業大学OBの新井健伊稚先生が初めて担当しました。新井先生も会場であるDANCE GRAND Harajukuの先生です。またパートナーの新井由紀子先生とともに学連OBOG同好会学連OBOGダンスフェスタを主催しています。ちなみにですが、新井健伊稚先生は学連時代に私の1学年下、本池先生は1学年上、金光先生は3学年下という先生方とは近い世代です。同時代の学連生活を過ごしました。

 

新井健伊稚先生は東京農業大学のラテン人で学連時代から名選手だったのでよく覚えています。学連OBOG同好会でよく知っています。今回は90分の練習会できちんと習うことになりました。

 

学連OBOG練習会の特徴は細かいこと。学連という最初から最後まで競技ダンスの体育会系を経験した者が参加するこの練習会。社交ダンスとして楽しく踊りましょう、よりも、専門的な視点でしっかりとダンスと向き合います。努力、根性、勢いで無茶な練習を乗り越えた面々。その学連スピリットがあるので地味で基本的な練習内容が容赦なくあります。本池先生は根性練習に近い地味で辛い基礎練習を入れます。金光先生はマニアックと自負する単純な動作を突き詰めて研究してレクチャーします。普段のラテンは金光先生が行っているところ、新井健伊稚先生はどう教えるのでしょうか。学連OBOG同好会では少し習ったことがありますが、みっちり習うことは初めてです。金光先生とどう違うのか楽しみな部分がありました。

余談ですが私は普段、現役の学連選手をよくみています。あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業して11年。その数はまあまあの多さになっています。過去に金光先生の教え子も新井健伊知先生の教え子も来院して施術しています。その際に先生がどのように説明して選手にどうしてもらいたいのかをよく聞いて、選手の体付きや動きから内容を解析する努力をします。そこから先生が気にしていることやこだわりが透けてみえてくるのです。そこで直接先生のレクチャーを聞くことで理解が深まる部分がありますし、謎が深まる場合もあります。私の場合本気でラテンを競技として取り組んだのは学連時代の1年生まで。それも後半はモダン志向だったため本気度は低かったです。きちんと習ったのは東京理科大学でのラテン人の先輩だけ。その時の財産で今もやっている感じです。その分特に癖や色がついていない(つくほどやっていない)の素直にラテンは受入れられます。

 

今回の練習会で特に気になったのが、新井健伊稚先生が繰り返し述べていた「ハムストリングスを意識する」ということ。ハムストリングス(hamstrings)とは太もも裏にある筋肉群で3つの筋肉の総称です。具体的には大腿二頭筋半腱様筋半膜様筋の3つを言います。私の専門分野なので抵抗なく頭に入りました。なお3つの筋肉の総称なので通常は複数形のsをつけるのでハムストリングスと言うのが一般的です。大腿二頭筋は太もも裏の外側、半腱様筋と半膜様筋は内側に位置しているため、大腿二頭筋を外ハム、半腱様筋・半膜様筋を内ハムと我々はいいます。膝関節を曲げる(屈曲させる)ことが主体の筋肉群です。余談ですがお肉のハムというのはこのハムストリングスの部分で骨が付いていない、すなわちボーンレスのハムストリングスでボンレスハムといいます。膝関節を屈曲させる筋肉群がハムストリングスなら反対に大腿の前側にあって膝関節を伸ばす(伸展させる)筋肉群が大腿四頭筋です。大腿四頭筋は大腿直筋、内側広筋、中間広筋、外側広筋の総称です。ハムストリングスほぼメジャーではないですがクアドと呼ぶ人もいます。大腿四頭筋とハムストリングスは拮抗関係にあります。

 

新井健伊稚先生はこのハムストリングスを意識させるためにストレッチをかけたりスタンスを変えたりして意識がいくように指導していました。これが結構やっかいです。ハムストリングスは太もも裏(大腿後面)にあり主に膝を曲げるために作用します。膝を深く曲げるモダンと違い、動作のほとんどが膝を伸ばしているラテンにおいてハムストリングスを意識するとは。どちらかというと大腿前面にある大腿四頭筋の方が意識しやすくなります。新井健稚先生はむしろ大腿前面がピンと張らないようにしましょうといいます。私が1年生の時に先輩に習ったのは二―バックといって膝関節を過伸展させて膝の皿が後ろ、かつ上方に引き上げると言われました。そうではないのです。もう30年近く前の知識なので古いわけですが、ロアー(フォール)といって膝関節を屈曲する動作を多用するモダン人にとっては膝をピンと伸ばすラテンは慣れないもので、大腿前面を張って膝関節を伸展させる方が納得できるものです。

今の仕事を就くにあたり専門学校で解剖学、運動学を勉強し、後輩の動きや自分自身で動作を研究した今現在だと非常に納得できるものでした。そして金光先生との違いも見えてきました。ハムストリングスを意識するというのは大腿前面よりも後面に意識を置くこと。それは筋肉のテンションをかけること。大腿四頭筋はハムストリングスの3倍くらい筋力があります。人体で最大筋力を誇ります。そのためハムストリングスは大腿四頭筋の筋力に負けて肉離れを起こしやすい部位になります。スクワット動作で太ももを鍛える場合、いかにハムストリングスに効かせるかが課題となり、大腿四頭筋だけで行ってしまうことを防がないといけません。そのために骨盤の角度が重要になります。新井健伊稚先生はパーソナルトレーナーについてトレーニングをしているのでそのことも関係しているのではないかと思いました。筋肉(特に骨格筋)は起始(スタート部分)と停止(ゴール部分)の付着部があり、収縮することで関節を動かします。ハムストリングスの3つの筋肉はそれぞれ起始・停止がありますが3つに共通する起始部分が坐骨結節というところ。骨盤を形成する寛骨の一部である坐骨の突起です。座ったときに当たる骨の出っ張り。この坐骨結節の位置を変化させるとハムストリングスに意識が出ます。というのは、筋肉(骨格筋)は適度な長さでないと筋力が十分に発揮できません。ピンピンの伸びた状態では力が出ませんが、縮んだ状態でも力が出ないのです。筋肉は能動的に収縮することしかできませんので既に縮んだ状態からはさほど力(収縮力)を発揮できません。そのため膝関節進展位にして坐骨結節部分を上に持ち上げてハムストリングスに適度なテンションを与えることで筋力を発揮しやすい、意識できる状態にします。またその状態だと大腿四頭筋の一つ大腿直筋が緩んで大腿前面が張ることが防げます。

鍼灸師であるので東洋医学の陰陽論を用いて考えると、大腿前面の陽よりも後面の陰を使えるように配分を調節する。陽の大腿四頭筋を使いやすいからこそ陰を使う意識をする。その意識配分が少し金光先生と異なるようだと思いました。ハムストリングスを意識するということは膝関節を屈曲させやすいことに繋がります。新井健伊稚先生は膝をピンと伸ばすのではなく少し緩める意識を動作に持ちましょうといいます。時に男性はズボンの中で外から分からないくらいわずかに膝を曲げるところがある。そのように聞くと新井健伊稚先生が行うラテンダンスのメカニズムが少し見えました。そこに腸腰筋の意識が入ってくる。

 

理論は頭で理解できますが体現できないのが辛いところ。圧倒的に基礎練習が足りません。しかし理論がかなり分かってきたので考えて体に覚え込ませていけば少しできそうな気がしました。経験も知識もモダンに比べて乏しい分新しいものを得るのが楽しいです。

 

甲野 功

 

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