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~夏全出場が本当に選抜になってきた~

学連 春東部2025団体成績 Fullcheck より
春東部2025団体成績 Fullcheck より

 

 

先日春の東部日本学生競技ダンス選手権大会が終了しました。それにより夏の全日本選抜出場校と出場選手が決定しています。コロナ禍を経て選抜にふさわしい状況に戻ってきました。

 

学生競技ダンス連盟、通称学連。社交ダンスを競技として行う競技ダンスにおいて特異な存在にあるのが学連です。どのスポーツもだいたいそうでしょうがプロフェッショナルとアマチュアに分かれます。アマチュア部門でありながら全国の学連に加盟している大学だけで競技ダンスを行うのが学連。大学生という4年間だけ。本人の意思があればずっと続けられるプロフェッショナルや他のアマチュアとは異なります。また年齢層も狭い。概ね18歳から24歳くらいまでの選手しかいません。学連時代の経験は非常に濃く、私が今の仕事をしているのも学連4年間が大いに関係しています。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師になったのも学連選手をサポートしたいという目的からであり、11年前にあじさい鍼灸マッサージ治療院を開業した時からずっと継続しています。

 

学連は特殊なルールが多数あります。基本となるのが「学校を背景とする団体競技」というもの。文言は若干変わることがありますがこれが基本理念です。そのため使用する背番号に大学名が入ります。文字通り大学を背負って競技する。東部日本ブロックでは新人戦やジュニア戦と言われるものは「通し背番」と言われるものを付けますがレギュラー戦と言われる選手権大会やシニア戦は学校名入りの背番号を使用します。番号も各大学に割り振られているのでどの番号を付けるのかを上級生になると選べるようになります。大学によってはローカルルールがあり役職によって背番号が決定することも。私の母校であるALL東京理科大学舞踏研究部の場合ですと主将が末尾0にすることが習わし。また東京理科大学は東部日本ブロックでは580番台、全日本ブロックでは120番台と決められています。そのため580番、120番をつけるのは原則主将であり主将でなければこの背番号を付けることはありません。便宜的に選手に割り当てる場合は別ですが、ことレギュラー戦においては今も昔も変わりません。先代から主将という役職と共に背番号も受け継いでいくのです。これはプロフェッショナルやアマチュアの競技会では考えられません。

 

7月に大阪で全日本学生選抜競技ダンス選手権大会が開催されます。12月にも全日本学生競技ダンス選手権大会が行われるため7月のものを夏全、12月のものと冬全と称します。夏全は選抜が大会名に付くように出場する大学に制限があります。冬全は原則どの大学も出場可能。夏全に出場するには各地域ブロックから出場権を取らないといけません。私がいた東京理科大学は東部日本学生競技ダンス連盟で東部日本ブロックになります。全国で最大規模を誇ります。他には北海道、東北、中部、関西、中・四国、九州とブロックがあります。東部日本の中で東京六大学(東大、慶應、早稲田、法政、立教、明治)を除いた大学を東都大学で分けます。これは大学野球と同じです。例年4月に東都大学戦、5月に六大学戦を行います。そして6月に東部日本学生競技ダンス選手権大会を行います。この大会を通称、春東部といいます。春東部で団体成績18位以内に入らないと夏全に大学として出場することはできません。学校を背景とする団体競技であることを示す規定です。

私が学連に在籍していたのが1996年4月~1999年12月。当時の東京理科大学は団体として弱小校で夏全に出場できるか毎年瀬戸際でした。1年生から4年生の4回で夏全に出場できたのは1年生と4年生のときの2回。半分は出場できませんでした。1年生の時に春東部戦の応援で会場にいたとき。始まる前の大学全体集合で当時の主将が「今日は前期最大の大会です。気合を入れましょう。」と述べていたのを覚えています。その主将は春東都戦で優勝したスター選手。その主将が凄く気合が入っているなと感じたものでした。ここで団体成績を残さないと夏全に出られない、すなわち日本一に挑戦することもできない。そのような事情を理解できていなかったのでした。

余談ですが私の同期である主将は夏全優勝者で理科大の歴史で最初の夏全チャンピオンです。以降も1組しか達成したことが無い偉業。60年近い歴史がありますがその中で2組しか達成していないのが夏全優勝者です。

 

東部日本ブロックで団体成績18位以内。個人が強くても足りなくて、エントリーを埋めて個人種目で点数を稼ぎ、フォーメーション競技でも点数を取っていかないと団体成績が上がりません。団体成績はほぼ各学校の組織力と直結します。部員数が多い。選手をエントリーさせられる。フォーメーションという8組で一度に踊る競技にもエントリーできて(それだけ部員数がいる)かつ順位を出せる。フォーメーションは個人種目よりも点数が付くので出場した方が団体成績により影響します。私が学連現役選手だった頃は低迷期から抜け出そうという時期で夏全出場は相当な努力が強いられました。特に三流選手だった自分はともかく、私の同期が学生日本一に挑戦できるか否かは重要です。私自身は唯一の夏全出場が4年生の時で1次予選敗退。同じく最初で最後の夏全出場だった同期の主将カップルは初出場初優勝という快挙でした。それもあの1999年の春東部で部員全体で点数を稼いで団体成績18位以内を達成できたから。それくらい夏全は選抜される出場が容易くはない大会でした。

 

そして夏全はレギュラー戦(※東部ブロックについての話です)で唯一の4種目総合戦で最も総合力が問われる大会です。単科戦といって1種目ごとに優勝者を出すことが基本のレギュラー戦において、4種目の総合で順位を出すのが夏全です。説明すると学連はモダン(現在はスタンダード)とラテンアメリカンの2部門に分かれていてどちらか一つを専攻するように決めます(これも東部ブロックの話)。モダンはワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイックステップ。ラテンアメリカンはチャチャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ。それぞれ4種目ずつあります。通常のレギュラー戦は1カップル2種目までエントリーが可能。夏全は4種目総合なのでモダン・ラテンアメリカンとしてエントリーすることになります。これは私の時代で現在の夏全は準決勝以降からスタンダード(モダン)にウィンナーワルツ(ヴィニーズワルツ)、ラテンアメリカンにジャイブが追加された5種目総合戦となっています。このようにどれか1種目だけ得意ならそれで優勝できるわけではないのです。夏全に対して冬全に関しては反対にエントリーできるのは1種目のみ。その種目毎に日本一を決めます。

 

そして。時代が過ぎた2002年からだったと記憶しています。東部推奨枠が誕生したのは。学校を背景とする団体競技という前提がありますが、学生個人としての日本一を決める場として弱小校でも優秀な個人(実際にはペアですが)にはチャンスを与えようという機運が高まり、春東部戦で決勝に進出したカップルは大学が夏全に出場権を取ることができなくても東部日本学生競技ダンス連盟が推奨するという形で個人枠での夏全出場を認めるという制度が誕生するのです。これは大きなルール変更になりました。それまで突出した個人がいるも他に強豪選手がいなくて団体成績が出せず夏全出場が叶わなかった。少なからずこのようなケースはあったのです。その後できたシャドー制度から現在はシャドーカップルの夏全出場措置と思われがちですが元々は団体成績18位以内に入れない学校の強豪選手を出場させるためのものでした。

 

シャドー制度というのは学校を背景とする団体競技という観点から大学内でのペアしか選手として認めてこなかった学連に他大学同士でも組めるようにした制度です。ここも外部から見るとややこしくてなぜそのような縛りがあるのか疑問に思うかもしれません。代表校という表に出る(背番号となる)大学の他に最大3校、共同加盟校を付けることができます。それらをひっくるめて学連で言う“学校”であり“団体”です。私がいた当時の東京理科大学だとⅠ部(昼間部)、Ⅱ部(夜間部)、東京成徳短期大学、女子栄養大学Ⅱ部の4団体が集まってALL東京理科大学舞踏研究部でした。東京理科大学の場合特に特殊で同じ理科大でもⅠ部、Ⅱ部で学校の部としては別々です。学連にも別々に登録していた時代があります。東京理科大学は理数系大学ですからやはり女子部員が少ない傾向に。短大や女子大学と組んで女子部員を入れないとペアを組めません。男女ペアが学連のルールとなっております。つまり学校内で男女比率が異なると組めない部員が出てくるのです。これが学連特有の問題でどれだけ優秀で努力をしていても学校内で組める相手がいないと競技会に出ることができません。東京理科大学は非常珍しい男性が余る時代が長く続きました。他の大学では女性部員が多い傾向があり、組めない女性部員が多数いました。

LGBTQ+が叫ばれる昨今ですが私が知る限り性自認が身体と異なる人の学連選手は聞いたことがありません。またダブルスといった同性同士のペアで踊る競技会がアマチュア部門では現在誕生しています。また学連でも女性選手がソロで踊る競技会が近年誕生しています。

組めなかった部員をシャドー選手と呼びます。これは一人で踊る練習をシャドー練習と呼ぶことに由来します。本来はペアで踊るところを相手がいると仮定して影の相手と踊るという意味だと思います。ボクシングのシャドーボクシングと同じ語源なのだと思われます。大学内で組めず他大学とのカップル結成を求めることをシャドー活動、他大学間で組んだカップルをシャドーカップルと現在は呼ぶようになっています。このシャドー制度も様々な歴史と事件があります。説明すると非常に長くなるので割愛しますが学連にとってのシャドー選手は色々と制限があり不利なのです。その一つが全日本戦出場権。大学内での正規カップルならば春東部団体成績18位以内なら出場できるかどうかは大学ごとの話で決まります。学校と切り離して考えるため、シャドー選手は春東部で個人種目ファイナリストに入らないといけません。そしてシャドー選手は部歴が4年生(最終学年)にならないとレギュラー戦自体に出場できませんから4年生になってやっと挑戦できるというわけです。

 

当院で学連手が来院しますが今年も4年生のシャドー選手が来院しました。春東部で決勝に残らないと夏全に出られません。幸いなことに決勝に残れたので大阪で開催させる夏全出場が決まりました。一方、同じ4年生でも大学内でカップルを組んでいる正規カップルの選手だと春東部では団体成績18位以内を取れば出場できて、学校の規模からしても18位以内は入れそうなので最初から夏全出場を想定しています。このようなメンタル面の違いが出てきます。

 

団体成績に話を戻すと新型コロナウィルスが流行する前の2019年。この年の春東部における出場大学数は33校。このうち上位18位までが夏全出場です。この時点で3校はほぼ部員がいなくて選手のエントリーがないようなものでしたが単純に10校は夏全に出場することができません。なお2019年に東京理科大学は18位タイ。新潟大学と同点の18位でした。つまり1点でも新潟大学が上だった場合は19位に転落して出場することは叶わなかったわけです。ギリギリで出場権を掴んだのでした。状況が一変するのが2020年。記憶にあるようにパンデミックにより緊急事態宣言が発令されて東京オリンピック2020が史上初の翌年延期となります。2020年は夏全自体が開催中止となります。この年は満足に活動できる状況にありませんでした。コロナ禍と言える2021年。春東部の参加大学は25校に減ります。2020年にまともな活動もできず学連の衰退は激しく部員数が減少。廃部となった大学も出てきました。出場選手数も激減していました。ちなみに東京理科大学はこの年春東部で団体8位。強豪校になったというより他校が落ちていったというのが実情でしょう。2022年になると春東部の出場大学は20校になります。この年の4年生は2019年入部でコロナ前最後の世代。エントリーが20校ですからほぼ全大学が夏全に出場できるということに。なおこの年の東京理科大学は団体成績19位。この状況で大学としての夏全出場は叶わず、当時強豪選手だった主将カップルが東部推奨枠により個人で夏全に出場したのでした。夏全出場はさほど難しいものではなく選抜の意味があるのか、という実情になっていました。そして今年2025年の4年生はこの年2022年に入部しています。

現在の4年生は新型コロナから立ち直りつつある2022年に入部した代です。2022年の冬全でやっとマスクなし、観客あり、密を回避するために2日間に分けて開催していたのが1日での開催となったのです。上級生が少なく2年生になった段階でレギュラー戦ファイナリスト、更には優勝と、2019年以前では考えられないような好成績を上位陣は残してきました。層の薄くなった上級生を倒していく図式に。春東部では2023年出場校は24校、昨年の2024年22校。ほとんどの大学は夏全に出場できますし、シャドー選手でも選手層が薄いので種目別で決勝に残ることもコロナ前よりずっとやりやすかったわけです。

 

それが今年2025年の春東部は出場学校数が27校。各種目エントリー数は50組を超えるものも出てきました。部員が減って東京工業大学(現東京科学大学)の共同加盟校になっていた明治学院大学が独立し団体成績18位になります。休部していたり部員がほとんどいなかったりしていた大学もエントリーするようになってきて団体成績で出場できない大学が増えてきています。

また個人種目でも3年生選手も台頭してきており、優勝するカップルが出てきました。もちろん3年生は正規カップルでシャドー選手ではありません。決勝枠をシャドー選手が相対的に入ることが難しくなっています。今の3年生以下はほとんどコロナ禍の影響を受けず練習してきていて、人数も増えています。今年1年生のデビュー戦が行われましたがエントリー数を見るとコロナ前に近いくらいの数となり東部ブロック全体の部員数が増えていることが伺えます。来院する選手に聞いても今年は1年生が大勢入部したという声を耳にします。

 

このように夏全が本来の選抜戦に戻りつつあることを感じました。2020年以降、辞めないこと、部が潰れないこと、大会が開催できればラッキー、という厳しい状況が続きました。東京オリンピックで柔道やレスリングが普通のスタイルで実施されているのに競技ダンスはマスク着用という意味不明な状況で大会をしていました。全日本戦を開催しても県外移動を自粛せよということで出場できなかった大学もありました。東部ブロックでも廃部となった大学がいくつもありました。それがかなり回復し今年の春東部をみると夏全出場が簡単なものではない選抜された選手が出場する大会に戻りつつあると感じました。

 

甲野 功

 

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