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~利害をみる~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 利害をみる 資料スライドより
利害をみる 資料スライドより

 

 

私は色々と鍼灸マッサージ学生さんに講義をしています。その根底にあるのは失敗をしないこと。後ろ向きな、消極的な考えに映るかもしれませんがそうではありません。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、そして柔道整復師という国家資格は開業権が法的に認められています。そのため一生どこかに勤めて終わるという術者は少なく、どこかで開業をするあるいは考えることが常。当院に話を聞きに来る学生さんは皆さんいつかは開業と考えています。開業するというのは経営をするということ。誰かに言われてやるのではなく、自ら考えて仕事を生み出していくことになります。そうなると成功の定義が難しくなるのです。何をもって成功なのか。何が正解なのか。お金、友人、家族、趣味、健康。色々な要素があって完全な正解はありません。お金はたくさん稼げていてもプライベートの時間がない、健康を害する、では成功と言えないでしょう。一方、臨床が趣味なのでどれだけ忙しくても平気でそれが幸せという人もいるでしょう。ただし開業すれば施術すること以外にもやらなければならいことが山積します。それならば雇われて臨床のことだけに集中できる環境にいた方が幸せ(=成功)なのではないでしょうか。雇われている立場ならば雇用主が求める結果を出せば一応成功です。そこに自身の成長とか未来を考えるとまた違ってくるでしょうが。

成功に比べて失敗は比較的明白です。稼げないというのはもちろんありますが、もっと端的に逮捕される訴えられる社会的に抹殺させる、といったことは万人が失敗と理解できるでしょう。健康を害するのも分かりやすい失敗です。失敗は成功よりもコントロールしやすいです。そして人それぞれ、時期によって定義が変わるであろう成功よりも、失敗しないことを注意した方が効果的だと思います。

 

失敗しないための具体策として法を犯さないこと違法行為をしないこと。当たり前なのですが法を破れば逮捕されます。書類送検で済む場合や不起訴になるかもしれませんが。ただ噂が立つだけで社会的信用は著しく落ちるので実質的に社会的制裁を受けることになります。そのため法律や過去の判例、新しくできたルールについてよく学生さんに解説します。法律は知らなかったでは済まされない。最近の例ですとオンラインカジノ問題があります。数年前にテレビやネットでCMがバンバン流れ、著名人が広告等になっていました。まさか違法行為になるとは知らず、オンラインゲーム感覚で海外のカジノサイトに入り賭博行為をしてしまった。それから数年経って違法行為であると書類送検、逮捕されている事例。まさに知らなかったでは済まされない状況です。

 

私の業界は違法行為であるはずなのに堂々と行っていることがままあります。一般的な国語力をもって法律の文面を読めば禁止されていると分かることを行っている。国家試験には関係法規が出るので分かっているはずなのに。なぜ違法行為をするのか。それは摘発、指導、逮捕されないからです。何も言われない、咎められないから。みんなやっているから。このような状況から違法行為を行い、そのうちそれが通常のことになり、外から行動を諌められると逆上するようになる。グレーゾーンと称し、逮捕されないからと違法行為を繰り返す。法律は完全ではない、法解釈が違うなどと言い張り開き直る。ところが明確に法律がある以上、ある日警察が違法行為ですと取り締まり出したらどうでしょう。オンラインカジノ問題と同じで数年前は平気だったけれど、今は逮捕するという状況が起きるかもしれません。そうなる予兆があります。過去の事件や判例を調査し、近年の関係各所の動きをみるとうかがえます。それは景品表示法違反だったり医療広告ガイドラインであったりあはき・柔整広告ガイドラインであったり。業界団体の動きや厚生労働省、総務省の通達も。そのような部分を学生さんに伝えて、先輩方がこれくらい平気ということが専門学校を卒業してプロになったときに違反行為になるかもしれないから注意しましょうと説明するのです。

 

その一環として様々な業界内のトラブルを紹介します。実際に起きた問題。現在進行形の問題。そしてこれから問題視されていくであろう出来事。これらを理解するために、それぞれの立場における“利害を考える”ように教えています。業界の問題やトラブルには、一見何故起きているのか理解しがたいものがあります。専門知識がないと、この人はなぜこのようなことをするのだろうかと疑問に思う。明確に違法行為なのになぜ行うのか。その理由を理解しておかないとトラブルの本質が分かりません。問題の本質を理解できなければ失敗を防ぐことができません。各々の利害はどのようなものか。そこから物事を考えるといいのです。そして利害は金銭面と感情面の2つから考えることが重要です。

 

利害は利と害です。相対することを並べた単語です。

利とはその人にとってプラスになること、有利になること。

害とはマイナスになること、不利になること。

人や組織は利になるための行動をして、害となることを避けるようにします。行動には利を求めているのか害に遭わないようにしているのかで考えると理解しやすいのです。

そして利害を金銭面と感情面の2つから考えていきます。

金銭面:その行為(行動、発言)により金銭的な得がある、あるいは損がある。

感情面:その行為は誇りや好意によるものなのか、それとも怒り・恨み・憎しみからなのか。

 

このような見方です。金銭面は分かりやすいといえば分かりやすいです。お金が入ってくるから違法行為と分かっていてもやる。難しいのは簡単にお金の流れが見えてこないものもこの業界にはあります。事情を知らないと気付かないこと。業界ローカルなシステム、ルール。これを知ることでお金がどう生まれていくのかが分かります。もっと難解なのが感情面の利害です。信念、プライド、こだわり、個人的感情など。得にならないはずなのに何故か頑固に反対する。それに伴い反対勢力を執拗なまでに攻撃する。そのようなケースが少なからずあります。術者は根が職人ですから個々のこだわりが強いです。技術、理論、流派など。譲れないものが大なり小なり持っていることが多いです。私も傍から見れば、そんなことに目くじら立てなくもいいじゃない、呆れられることがあります。それは認めてはいけない、という強い想いがあるのです。そうなると時にお金にならなくても膨大な時間や労力をかけて動くことがあります。イデオロギー戦争のように対立することがあります。学生さんにとっては業界の事情が分からずピンとこないことが多いので説明することになります。

 

まとめると、人は利になることをする。そこにはお金儲けという即物的なこととこれは譲れないという感情的なことが介在します。どちらかあるいは両方も。その利を前にすると法律やルールを遵守しないことがあります。また害となることを避けることをする。お金が入らなくなることは徹底的に反対する。理屈をこねくり回して膨大な労力を使ってでも阻止する。金銭的な関係が無くても感情的になることもある。それだけは譲れないという思想やこだわりがあり、理不尽に思えるような行動をとる。このような背景があって問題やトラブルが生じます。それが行き過ぎると違法行為になってしまう。違法行為だと理解していても利害が絡むと押し通してしまう。今は取り締まれていないが、今後摘発される可能性がゼロではない。

 

このような見方を学生さんに伝えています。

 

甲野 功

 

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