開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
箱根は美術館の宝庫です。温泉や関所で有名でしたが平成に入ると美術館がどんどん増えていきました。彫刻の森美術館と箱根美術館はありましたがその後多数の美術館が箱根にできていきます。私がよくいく箱根ガラスの森美術館はそのはしりでしょう。箱根ガラスの森美術館、ラリック美術館、もう無くなりましたが星の王子さまミュージアムは割と近距離にあります。そしてもう一つあるのがポーラ美術館です。強羅駅から施設観光バスに乗ると着きます。車道から見下ろすような位置にあり、立地を生かした施設になっています。開館は平成14年(2002年)。「箱根の自然と美術の共生」というコンセプトを掲げているポーラ美術館を紹介します。
ポーラ美術館はその名前の通り、化粧品メーカーのポーラが母体となっています。ポーラの創業は昭和4年(1929年)。化粧品以外にも美と文化を次世代に繋ぐ文化活動を行っております。昭和51年(1976年)にポーラ文化研究所を、昭和54年(1979年)にポーラ伝統文化振興財団を設立しています。そして平成8年(1996年)にポーラ美術振興財団が設立されました。平成12年(2000年)から箱根仙石原にポーラ美術館の着工が始まり平成14年(2002年)に竣工し、博物館法の定める博物館として登録さます。同年9月に開館しました。
箱根ガラスの森美術館はヴェネツィアンガラスを、彫刻の森美術館は彫刻を、主に展示しています。それではポーラ美術館は何を展示しているのでしょうか。それはポーラ創業家2代目となる鈴木常司氏が収集したものが中心です。鈴木常司氏は昭和5年(1930年)にポーラ創業者である鈴木忍氏の長男として生まれます。父の急逝により約40年間にわたり同社社長を務めます。「美の健康の事業を通して、豊かで平和な社会の反映と文化の向上に寄与する」という企業理念を掲げ、自身のコレクションを展示・公開するポーラ美術館の建設を計画していました。しかし実現を見ることなく平成12年(2000年)に死去。ポーラ美術館開館の2年前でした。収集初期は日本の近代洋画やフランスの現代絵画を購入していました。それから印象派や20世紀の西洋絵画、大型の絵画を収集。独学で美術史を学び19~20世紀の西洋・日本美術の歴史を追うことのできる体系的な西洋絵画コレクションを作り上げるのでした。
展示内容に触れる前にその建物とロケーションが秀逸です。「箱根の自然と美術の共生」というコンセプトを掲げ、自然と調和するように作られています。彫刻の森美術館、箱根美術館、箱根ガラスの森美術館もそうなのですが箱根の地形を活かした高低差を利用しています。下に向かっていく造りなのです。斜面を下っていく。そうすることによって森林に人工物が突き出ていることがなく景観を邪魔しないのです。入口は車道から降りていくようなっています。高さを地上8mに抑えて建物の大部分を地下に置いています。階下に下っていくのです。また大きなガラスを採用し自然光が入るように工夫されています。建築そのものが美術品といえるのです。
また周囲に約1kmある「森の遊歩道」があります。こちらは平成24年(2012年)に開館10周年として作られたもの。私が初めてポーラ美術館に行ったのはそれより前の新婚当時、妻とだったと記憶しています。そのときは遊歩道などありませんでした。昨年訪れて歩けることになっていて驚きました。森の中に彫刻やオブジェが点在しており、森の中でBGMがうっすらと流れているのです。箱根の自然と融合した展示を見せていて進化していると思いました。
文化事業にも熱心です。ポーラ美術振興財団設立以降、助成事業を行っています。①若手芸術家の在外研修、②美術館職員の調査研究、③美術に関する国際交流の3つの分野に対して実施。美術館事業で得た収益を助成事業にまわしています。平成29年(2017年)には開館15周年として現代美術作家の活動を紹介する「アトリウム ギャラリー」を新設します。若手芸術家の在外研修助成を受けた作家の活動を紹介する、展覧会シリーズ「HIRAKU Project」を開始します。
展示作品は時期によって変わります。私が妻と訪れたときは藤田嗣治(レオナール・フジタ)の企画展をしていいました。昨年来館したときはPhilippe Parreno(フィリップ・パレーノ)でした。
現代アートと箱根の自然。美術館がひしめく箱根において開館20周年を越えた美術館です。他の美術館とともに箱根山策にいいところです。
甲野 功
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