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「老害」。いつの間にか市民権を得て一般用語になった気がします。老害という用語をweblio辞書では複数の説明をしています。
https://www.weblio.jp/content/%E8%80%81%E5%AE%B3
新語時事用語辞典
『
組織や社会で幅を利かせすぎて言動が疎まれる高齢者、あるいは、傍若無人な振る舞いによって若者に必要以上の負担や迷惑をかけている高齢者などを指す表現。ひらたく言えば迷惑な老人を侮蔑交じりに指す表現。
「老害」の語は、もともとは組織の世代交代・新陳代謝を阻む高齢層といった意味が主流だったといえる。昨今では、組織というよりは世間・社会において迷惑な振る舞いをする老人一般を指す語として用いられている。
老害とよばれる言動は典型だけでも枚挙に暇がない。たとえば、前時代的な根性論を持ち出して若者をこき下ろす、自分を無条件に絶対的に敬うように強いる、自分の気にくわない(意に沿わない)ことがあれば癇癪を起こす、てこでも譲歩しない、あるいは、注意力が衰えつつあるにも関わらず自動車を運転して高速道を逆走し、事故を起こす、場合によっては若者を巻き添えにする、といった振る舞いなどは典型といえる。
』
実用日本語表現辞典
『
老害とは、おおむね「自己中心的な行動で周囲に迷惑をかけたり不愉快な気持ちにさせたりする老人」といった意味で用いられる、通俗的な、罵りまじりの表現。「迷惑」「不快」の基準は発話者の主観によるものであり、特に客観的な判断基準があるわけではないが、一般的には、他人を毒づいたり大声で罵倒したり、周囲の人間を顧みない視野狭窄的な行為に及んだりする人が「老害」と呼ばれやすい。
人は年老いると心身の健康状態がままならなくなるものであるが、心身の衰えによる言動は周囲が多少の迷惑を被るとしても特に「老害」と呼ばれることはあまりない。むしろ老害と呼ばれる人やその言動は、自分本位な思考に特徴づけられる場合が多い。その自分本位な考え方が、社会のルールを守らず、常識からも外れるような言動に結びつき、老害と呼ばれるべき迷惑行為につながるわけである。
「老害」という表現は、年上の世代から理不尽な迷惑を被っているという意識を抱えた若者によって主に用いられる。「老害」は、いわゆる高齢者だけを指す表現とは限らず、会社などの組織における(鼻持ちならない)年長者を指すことも多々ある。
昨今の日本では、国民の平均年齢が上がり、若者が相対的に減っている。そのような状況において、一部の(ごく一部の)老人が自分勝手な言動で周囲に迷惑をかけ、若年層にも余計な負担を強いている、という考え方が力を強めている。そうした現今の日本社会を「老害天国」と表現する声すらある。
使用例としては、「あの社長は老害になり下がってしまった」「老害の意見に耳を傾けたくない」など。
』
デジタル大辞泉
『
企業や政党などで、中心人物が高齢化しても実権を握りつづけ、若返りが行われていない状態。
』
細かく見ると多様な意見があるようですが読んで字のごとく老人、高齢者が行うこと、あるいは老人・高齢者そのものを示しているようです。次に害と続くように害悪を伴う、あるいは害悪そのもの。使用されるときは若い人が年上の人間が起こす不快な言動やそのような人物を、老害、と呼ぶのが一般的でしょう。
私もこれは老害だと感じたことはこれまでにままあります。時代が変化してそれについていけない目上の人に的外れなアドバイスや命令をされたときにこれは老害だなと。具体的には生き方や育児に関することはよくあると思います。亡くなった父は会社で同期で何番目に昇進したとか役職がここまでいけたとか支社の部長は本社の係長と同じ扱いだとか、企業内の序列にこだわっていました。終身雇用制度が形骸化しリストラや早期退職が普通になった時代に社会人となった私には時代遅れの概念だと思いますし、なにより自営業を選んだ私には関係のない話。父が若いときというのは日本が高度経済成長期真っ只中。バブル期を会社員として経験しています。42歳離れた私とは社会環境の違いが大きいです。その感覚で語られてもという感じ。また育児に関しても社会環境が変わっているので年長者のアドバイスが害になることがしばしあります。特に私の場合、男に子どもの世話などできないに違いない、という高齢者女性からの目に晒されてきました。毎日オムツを替えて寝かしつけてお風呂に入れて絵本を読んで。普段は何もしないのにたまに子どもの世話をして頑張っているつもりでしょ、という心の声が透けてみえる態度をよくとられました。また今の育児の常識ではやってはいけないということを昔の知識で言ってくることがあり、本当に心外でした。
老害とは何かと考えることがあります。最近も従業員が使えないという不満をSNSに出している鍼灸師(院長)がいて、それに対して老害だというコメントが入っているのを目にしました。直接面識はない方々ですがタイムラインに流れてきたのです。おそらくどちらも私より年下のような気がします。比較的若くてもお前は老害と言われる、あなたは老害と言う。上長として従業員の不満を述べたらそれは老害なのかという疑問と、誰でも見られるネットに従業員が無能であると書き込むというのは好ましいことではなく(それで態度が改善することなのか?と思いますし)それは確かに従業員からみれば老害に映るのではないか、と相反する考えが頭によぎりました。老害というがどういうことなのだ?という疑問が芽生えます。
老害の根底にあるのはアップデートされていないことがあると考えます。時代が変わっているのにそれに対応できていない。それどころか自分本位の解釈でいる。昔だった平気だったと、現在ではパワハラ、セクハラにあたることをする。古い名称のまま用語を使う。このようなことです。新宿区は路上喫煙が条例で禁止なのですが平気で道端で喫煙をするおじいさん。昭和の頃はこれが当たり前だった、という態度です。昔は昔の話で今はダメですよという思考になっていません。またSNSのXをTwitterと呼ぶ。企業が買収されて正式名称が変わって数年経っているのにTwitterと呼んでいる。本人はそちらの方がしっくりくるからなのでしょう。
また驚いたことが過去にありました。私は大学で競技ダンスをしていたこともあり当院には大学生の競技ダンス部選手がよく来ます。そのとき言葉で出来るのが「老害かます」。卒部してOBになったので老害をかましてきた、というような使い方をします。大学を卒業した22~23歳でも老害になるのかという驚き。更には現役の学生でも学年が下の子から老害呼ばわりされることがあるそう。この年齢で老害と言いあうのだったら私はどうなるのかと途方にくれます。そして思うのは老害に年齢は関係ないのかということ。きっと大学生はOBの態度が不快に感じてそれを老害と呼んでいたのでしょう。そして自らが卒部してOBになったら自分の存在が老害になると自覚しているよう。単なる冗談や学生のノリなのかもしれませんが深いものを感じます。若い感性から老害を考えるヒントがあるのではないか。
大学生の言葉から老害を考察してみると老害の根底には、立場が上であるが当事者意識がないこと、があるのではないかと思いました。本来ちょっと前まで先輩として後輩を指導する立場にあった。それが部を離れたら老害になってしまう。そもそも学生競技ダンスの世界は非常に強い上下関係があり、外からみる以上に体育会系です。先輩のアドバイスはありがたく聞き入れるのです。そこに老害という言葉が出てくるのは現役ではない、すなわち当事者ではないからという予測です。もう部活にいるわけではないから。そこが老害の根底なのでは。どういうことかというと責任を負わない立場になったということ。無責任に先輩の立場であれこれ口を出すことが老害なのではないか。現役生は無責任に口だけ出すOBのことを老害と呼んでいると考えたのです。当然なのですがOBでも現役生に慕われている人はたくさん見てきましたから。
現役ではないという点でいうと最前線で活躍するテレビタレント(芸人を含む)は総じてTwitterではなくXと言います。それは民放の場合はスポンサーで成り立つ世界ですから企業名を間違えることはご法度であること。また公共の電波で正しくない情報を発言できないということがあるわけです。時代遅れのキャラを演じて敢えてTwitterと言ってしまうケースもありますが、共演者からツッコミが入りそれ自体がネタになっています。私の感覚だとあまり売れていない、あるいは人気に陰りが出てきたタレントさんはXをTwitterと呼んでいるように感じます。これもテレビの最前線にいる、影響があることを意識していなからではないでしょうか。アップデートできていないのはそれをしなくても構わない位置にいるからだと感じます。
老害という言葉というか概念は高齢者や老人だからではなく、立場が上で無責任な振る舞いをする人、行動に当てはまるようになったと考えています。年齢が上ということは社会通念上は立場が上ということになりがち。その位置から責任を負わない口出しや立ち振る舞いをされると、それを老害と感じるのではないでしょうか。高齢者がブレーキとアクセルを踏み間違える、道路を逆走するといった交通事故を起こしたときに、老害、老害というのですが、それは老害ではなく“実害”であるような気がします。老人だからという話でなく、運転操作のミスによるもの。若者と同じように交通違反で罰を受けるわけで、高齢者だから優遇されることもないですし。老害の概念は変わってきている、あるいは解釈が広がっていると感じています。
甲野 功
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