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昨日は学連OBOG練習会モダンに参加しました。学生競技ダンス連盟、通称「学連」。大学生が社交ダンスを競技として行う競技ダンスの組織です。
私は東京理科大学に入学し、そこで学連の世界を知ります。ちょうど大ヒット邦画『Shall we ダンス?』が公開された1996年に大学入学。同年4月からは『ウリナリ芸能人社交ダンス部』に企画が始まりました。学連を含めて何度目かの社交ダンスブーム到来の時期でした。学連は非常に独特な世界で独自ルールが多数あります。1年生のうちはモダン種目(現在はスタンダードと呼ぶのが一般的。私が学連現役時代はモダンと呼び、学連OBOG練習会では旧称のモダンといいます。)とラテン種目を両方練習するのですが、2年生になるときに専攻分けといってモダンかラテンかどちらかを選択します。高校生の文系、理系という感じです。どちらも勉強には変わりませんが数学と国語では使う頭が違います。それと同じようにモダンとラテンではかなり違います。同じ社交ダンスですからき基本は一緒ですが、文学部の人間に数学の微分積分を勉強しろといっても厳しいように逆専攻の種目は苦手になります。競技会で踊らないので練習する暇も目的も無くなるのです。そのためモダン人、ラテン人といって偏っていくのです。このルールは学連でも東部日本ブロックで他ブロックでは事情が異なることがあります。またアマチュアやプロでは10ダンスといってモダン、ラテン両方練習することが多く偏りが小さい選手もいます。学連は片方しかできない選手が圧倒的に多いのです。大学の4年間で終わりですから。
私はモダン専攻なのでモダン練習会は専攻種目になります。学連OBOG練習会は月に1回、モダン・ラテンを交互に行っていてラテン練習会はかなり気持ちが変わります。モダン練習会の講師は武蔵野美術大学OBの本池淳先生。学連時代は1学年上の先輩でよく知っています。憧れのスター選手でした。特にクイックステップの名手で私も同じようにクイックステップが最も好きな種目であったので大会ではいつも注目していました。なおモダンにはワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイックステップの4種目があります。ここにウィンナーワルツ(ヴィニーズワルツ)が入るのですが私が学連にいたときは4種目でした。現在の学連では競技会によっては5種目となっています。
学連OBOG練習会は毎回事前にテーマが発表され、今回のテーマは「夏らしくフォーラウェイホイスク&チェスで流しそうめん気分」。長いカタカナはステップ(足形)の名前。経験者なら、あああれね、と分かるものです。これはタンゴをやるのだろうなと予測できます。流しそうめん気分の意味は不明でしたが、美大卒の芸術家気質の本池淳先生の感性だと何かあるのでしょう。いつものことなので深く考えず参加しました。
当日は基礎練習の定番ボックスを行います。大学によってはナチュリバと呼ばれます。単純なステップを繰り返します。学連ならどの大学でもやるだろう定番の練習です。これぞ学連というものです。いつもと違うのはよく曲を聴くという指導。メロディー、リズム。個々の楽器、ボーカル。曲の表現でリズムが変わる部分をしっかりと聞いて表現するようにという。学連時代は声を上げて根性を見せる意図が強かったボックスを音楽表現に重点を置いた練習。中学校の音楽で止まっている私にはかなり難解でした(※高校は美術選択をしたので音楽の授業は中学校で終わり。それ以降音楽を習った経験がありません)。リズムを取ることはできますが譜面は読めませんし休符とか何分の何拍子とか和音といったことがよく分からないのです。音楽を聴いて表現するというダンスの根幹にある意識が乏しいことを再認識させられました。
続いて本題のフォーラウェイホイスク&チェスという足形に。専門的な話ですがずっとナチュラル回転を続けるもの。ダンスにはナチュラル回転とリバース回転があります。ボックスも同様に2つの方向があり、どちらもするのでナチュリバ(ナチュラルとリバースの略)と呼んだりするわけです。モダン種目でずっと同じ回転方向にすることは稀でどこかでリバースに回転方向が転換します。それをしない。それと、これが重要なのですが男女の位置関係(ポジション)が変化し、二人が回転していき、そこにステップが加わるということ。主にスクエアポジションとプロムナードポジションという2つのポジションを変えていき最後の方にアウトサイドパートナーというポジションになります。モダン専攻でやってきた足形の流れなのでよく知っていました。それを細かく理論的に説明していくのです。フォーラウェイとはプロムナードポジションで後退して進むことを言い、その状態からホイスクというステップに入る。このフォーラウェイホイスクを2回繰り返し、一度スクエアポジションで回転してからチェスというステップへ。チェスはチェイスと発音することもあり日本語にすると追跡、カーチェイスのチェイス。女性を後から男性が追いかけるような動きをします。このチェスも2回繰り返して最後にシャッセをしてリンクを切り終了というもの。文字にすると何が何だかという感じですがモダン人だった人には定番といってよい流れです。
これをタンゴで踊るのですが、テーマにあるように流しそうめんのように流れるように行うことがポイントでした。というのもタンゴという種目の特徴でスタッカートという不連続のようなシャキシャキ見せる表現をするのが一般的です。何より見栄えがするので学連時代は凄く派手に誇張していきます。それを敢えて流れるように澱みなく、いわば癖のないように踊るというのです。これがかなり難しい。前に書いた通りずっと同じナチュラル回転が続くのでメリハリを利かせないと足形が分からなくなるのです。フォーラウェイホイスクを2回繰り返すのでその流れで体をコントロールできず体が崩れてしまいます。チェスに入れない。タンゴ特有の切っていく不連続の表現をすると動きがぶつ切りになるのでステップを変化させやすい。敢えてそれをせずに流れを途切れずにするのでコントロールが難しくなるのです。ステップに慣れているからそこまで頭が回るのですが、ラテン人だった人には勢いがついてしまいます。
今度はフォーラウェイホイスクを何回も繰り返す練習。敢えて同じステップを続ける。するとほとんどプロムナードポジションで動くので切り返しが難しくなります。単純に目が回りますし。学連時代にやったことがある練習なので慣れてはいますが相手がいると難易度が変わります。
その後に再びチェスを入れる足形に。抑揚なく回転しながらポジションチェンジを考えつつステップを切り替えていく。頭が追いつかないところがありました。
最後は同じことをワルツで行うという。タンゴは2拍子ですがワルツは3拍子。上下に動く表現が入ってきます。音の取り方もそれぞれになるのですが1、2、3、&で全て取るという指定。ワルツはテンポがタンゴよりゆっくりで表現として優雅にみせます。よってワルツになると流しそうめん感が強くなります。ただしワルツでこの足形をやったことがなかったのでしっくりこないまま練習が終わりました。
学連OBOG練習会は学術的な面が強く出ます。理論をきちんと説明して解説が入ります。もともと研究肌の理科大卒には好ましいもの。学問として改めて学んでいる感じがあります。体力的な消耗よりもはるかに頭脳の消耗が激しかったです。考えながら動き、考えの通りに体を動かす。更に組んでいる相手のことも考慮する。フィジカルに優れていればできるとは限らない社交ダンスの深みを感じるものでした。
甲野 功
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