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世間的にはあまり注目されていませんがこのようなネットニュースが出ています。
週刊女性PRIME 浅田舞が『金スマ』企画以来の社交ダンス復帰も、かつて所属した連盟とは別団体の競技会に出場する“不義理”
『
確かに人は、何度だって挑戦していい。他人にそれを咎める権利などない。ただ、それは真摯に取り組んでいた場合ではなかろうか……。
』
このような書き出しで始まる記事。内容はフィギアスケーターでタレントの浅田舞さんのことを“悪印象にみせる”内容でした。悪印象にみせると敢えて書くのは複数の意味で悪意が感じられるからです。
浅田舞さんは歴史に残る名フィギアスケーター浅田真央さんの姉。オリンピックメダリスト、世界選手権制覇という輝かしい成績を残した浅田真央さんの姉という、いわば大変な環境にいました。自身もフィギュアスケート選手でしたが妹の圧倒的な成績からメンタルを崩した時期もありました。芸能人としてタレント活動を開始し、「あの浅田真央の姉」という世間の目を払拭していきました。
学生競技ダンス連盟(学連)経験者の私にとっては何と言っても、テレビ番組の企画でアマチュア競技ダンスに挑戦した印象が強いのです。もう番組が終了したバラエティー番組で社交ダンスを競技として行う競技ダンスに選手として挑戦し、世界選手権を目指すというもの。元々TBSアナウンサーの挑戦企画でしたが変遷を経てお笑い芸人のキンタロー。さんとロペス(※番組内のあだ名。本名は岸英明。)のカップルがWDSF世界選手権出場を果たして大きな注目を集めました。キンタロー。さんは超売れっ子芸人ですが、元々関西外語大学の学連選手。ロペスこと岸英明さんも千葉大学の学連経験者。お二人とも世代は違いますが全日本学生競技ダンス選手権大会(冬全と呼ばれる学連最大規模の競技会)でのファイナリスト。トップ選手でした。特に岸英明さんの学連時代のダンスを私はよく覚えていて凄く強かったです。その経験者、しかも学生で全日本ファイナリスのトップ選手が、巡り巡って芸人となり、テレビ番組の企画で再び猛練習をして競技会に挑んだのでした。本人の努力にテレビ番組のバックアップもあり、非常に良い成績を残します。ドキュメンタリーとして見られており、私もリアルタイムで注目していました。その後継者という形で浅田舞さんが同じく競技ダンスに挑戦する形でした。
浅田舞さんのご両親が社交ダンスをしていたこと、既に同じくフィギアスケーターの村主章枝さんが社交ダンス企画に挑戦していたこと、フィギュアスケートと社交ダンスは親和性が高いことなど複数の要因があったと推測します。社交ダンス企画は新たな男性相手(ダンス用語でいうリーダー)を付けて競技会挑戦が始まりました。番組内でオチョというあだ名を付けられたリーダーも一時期学連に残席した経験者。別ジャンルのダンスをしており優秀でした。浅田舞さんの能力も高く、一般的な芸能人チャレンジ企画の域を超えたダンスのレベルだったと私の目には見えました。ただ前任のキンタロー。&ロペス組ほどの成績は残せませんでした。やはり若い時に練習を重ねていた積み重ねは違います。また浅田舞さんは他にも仕事があるので全精力を競技ダンスに費やすことはできなかったでしょう。キンタロー。さんの場合は元プロダンサーで、こだわりが強く本業のお笑いが疎かにするほど集中していました。またシニアⅠというカテゴリーが注目されて有望選手が本戦あるいは選手権(年齢上限区分のない最もレベルが高いカテゴリー)からシニアⅠに変えるケースが出てきて以前より層が厚くなってきました。競技ダンスに詳しくない一般視聴者からするとキンタロー。&ロペスが勝てていたのになぜ浅田舞さんでは勝てないの?という疑問が出ることでしょう。出場する競技会は公式のもの。結果は実力通りになります。経験者から見ればほぼ妥当な成績だったと思います。メンバーが薄い地方大会に出るなどして好成績をみせている部分はありましたが、少なくとも大きな不正はないでしょう。大会ルールが急に変更になったということもありましたが。
結果的に浅田舞さんの社交ダンス企画は終了します。番組自体も諸事情により終了。番組も企画も終わりました。
7月30日に「Japan Open Dance Championships 2025」(ジャパンオープンダンス選手権2025)という競技会が開催されました。そこに浅田舞さんが出場したというのがこの記事です。そこには浅田舞さんが不義理をした、過去の大会では練習をサボった、といった内容が書かれています。芸能ゴシップ記事といえばそれまでですが、世間に社交ダンス・競技ダンスを広める一役を担ってくれた浅田舞さんに対して印象を悪くする内容で、私は個人的に嫌な気持ちになります。何よりお門違いだという。
まず浅田舞さんはテレビ番組の企画などではなく(つまり仕事としてではなく)、プライベートの趣味として参加しています。これは社交ダンス専門誌が取材してはっきりしています。仕事であれば事前にプレスリリースをしてもっと注目するように仕向けるでしょう。そして浅田舞さんがエントリーしたのは「オープンプロ・アマ」というもの。相手がプロの社交ダンス講師と組みます。つまり生徒が先生と踊って競技会を体験するという位置づけ。プロ選手はプロ部門の競技会に出場する人もいれば、教えることに専念している人もいます。浅田舞さんからすれば趣味の社交ダンスで先生と競技会に出てみました、ということです。それを前回の世界選手権を目指す(テレビ番組の企画)と同一視しているのが記事の内容です。
社交ダンスは文字通り社交の場で踊られるダンスです。日本では明治時代に鹿鳴館で踊られ、社交ダンス外交なるものがありました。西洋文化の嗜み。私も今はイベントや練習会でランダムに踊ることがあります。これが競技ダンスになると話が大きく変わります。競技として行うなら決まった相手をしっかりと練習していかないといけません。いい相手はなかなか見つからないものです。それはプロでもアマチュアでも。競技ダンスに専念するのは相当な覚悟がないとできません。私が競技会に出ようとしないのは、それをすると家庭に多大な影響が出てしまうと分かっているからです。やるなら時間もお金も体力もつぎ込んでしまうでしょう。先生とのレッスンの延長にパーティーでのデモンストレーションがあります。それではなく、競技会として参加できて成績がつくというスタイルがプロ・アマ戦(アマ・プロ戦)。本気で競技ダンスに復帰するとは思えません。何より仕事ではなく趣味の範疇ですから、以前のテレビ企画と比較することがおかしな話です。例えば、元プロ野球選手が引退後に地域の草野球チームに入って参加したら現役時代にお世話になった監督や企業を裏切った、というでしょうか。野球人生の再チャレンジと書かれるはずがありません、草野球で。またプロチームのトライアルに挑戦するならまだしも。
加えて腹立たしいのは、お世話になった連盟(JDSFのこと)ではなく別団体の競技会に出たという論調。古巣を裏切ったような書き方です。そもそも浅田舞さんは選手登録をしていただけでJDSFと契約していたわけではありません。準強化選手に選出されていましたが。それもすでに解消されています。なにより競技会名のオープンとつくように参加は自由です。主催した団体「Dance Arts for Japan」の代表はJDCという団体のプロ選手でもう一つの主催団体は「Asia Starlight Dance Association」で代表は外国人です。確かにプロ団体は政治的な側面から所属選手が特定の団体が主催する競技会に出場をさせないというケースが競技ダンス界にはありますが、もちろん浅田舞さんには関係がありません。何ならこの「ジャパンオープン選手権2025」にはJDSF(のPD部門)に所属する選手が出場しています。記事で言う連盟(JDSF)に対する裏切りということはないのです。
アンチがクリックすれば儲かるという、浅田舞さんのタレント価値がなす結果なのかもしれませんが、納得できない気持ちがあります。
甲野 功
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