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~神奈川県指圧師会研究会に参加~

神奈川県指圧師会ホームページ 相互指圧デー「夏の疲れを指圧で癒そう」
神奈川県指圧師会ホームページより 相互指圧デー「夏の疲れを指圧で癒そう」

 

 

昨日は神奈川県指圧師会研究会、相互指圧デーに参加しました。

 

神奈川県指圧師会 令和7年8月11日 相互指圧デー 「夏の疲れを指圧で癒そう」

 

神奈川県指圧師会はプロの指圧師が集い、技術と知識を磨き合う専門家の団体です。ここでいうプロというのはもちろんあん摩マッサージ指圧師免許を持った者ということでしょう。この日出席された方は全員、浪越学園日本指圧専門学校(通称、浪越)を卒業していました。

指圧といっても指で押せば指圧というわけではありません。一般的な認識ではそうかもしれませんが、プロたるあん摩マッサージ指圧師にとっての指圧は非常に定義が難しいところがあります。国家資格にするにあたり、様々な徒手療法をまとめて“指圧”とした経緯があるからです。専門学校で用いる教科書にはアメリカ三大整体を取り入れたと記載されています。そもそも日本には按摩(あん摩)という1300年以上前からある徒手療法がありました。中国から伝わりました。当時に按摩師は現在のものに急性外傷も扱う仕事だったという話もあります。長らく視覚障害者の生業としてあった按摩(あん摩)。明治時代になりヨーロッパからマッサージ(massage)が導入されます。ここでいうマッサージ(massage)もあん摩マッサージ指圧師がいうものは世間の方がいうマッサージとは少々違います。そして指圧。按摩でもマッサージでもない技術を指圧として一まとめにして徒手療法を行う免許(営業免許からのちに国家資格に変わる)にしてあん摩マッサージ指圧師という長い名称になります。そのためあん摩マッサージ指圧師の指圧は様々な技術が入っています。

 

指圧といって最も有名なのが浪越指圧でしょう。故浪越徳次郎氏の指圧。50代以上の方だとマリリン・モンローに指圧したことでその存在を知っているのではないでしょうか。「指圧の心は母ごころ、おせば生命の泉湧く。」というキャッチフレーズがありました。日本指圧専門学校は浪越徳次郎氏が創設した学校で、日本で2つしかないあん摩マッサージ指圧師だけを養成する専門学校です。その特徴は垂直圧と母指のみで行うものだと私は認識しています。同じ指圧でも長生学園長生術は浪越指圧とは大きく異なります。骨格をみてそこにアプローチをするもの。カイロプラクティックやオステオパシーといった技術の方に近いと私は感じています。長生学園はもう一つのあん摩マッサージ指圧師だけを養成する専門学校です。視覚支援学校だとあん摩マッサージ指圧師のみを養成する科があり、また視覚障害者が入学する筑波技術大学もあん摩マッサージ指圧師を養成しています。晴眼者向けの専門学校においてあん摩マッサージ指圧師だけを養成する学校は浪越学園と長生学園しかないのです。それ以外のあん摩マッサージ指圧師を養成する専門学校は鍼灸マッサージ科(あるいは本科)ばかりで鍼灸と一緒に勉強し、同時に国家試験を受験します。私が出た呉竹学園東京呉竹医療専門学校がそれに該当し、私はあん摩マッサージ指圧師と鍼灸師(はり師、きゅう師)を一度に取得しています。

 

私はあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師であり鍼灸マッサージ専門学校の教員免許も持っています。複数の資格がありますがベースとなっているのはあん摩マッサージ指圧師。徒手療法が基盤になっています。あん摩マッサージ指圧師になりたくて東京呉竹医療専門学校に進学したのです。そして20年以上勉強、研究、実践を積み重ねています。あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業して数年経ってからは毎年のテーマを決めて過ごすことにしています。今年2025年のテーマが~按マ指を探究する~としています。按マ指というのは按摩、マッサージ、指圧のことです。敢えて漢字とカタカナを組み合わせているのは3つの技術を網羅して比較する意思を出すため。また日本にはあん摩マッサージ指圧師を養成する“専門学校”は21校。各学校の特色を調査したいと考えています。これは昨年から行っていて今年1年間では終わらないでしょうから来年以降も継続することになると予想していますが、各種技術を調べてその特徴を知り比較検討することをしています。

 

今回の神奈川県指圧師会研究会は『相互指圧デー 「夏の疲れを指圧で癒そう」』というもの。主催者の黒澤一弘先生は過去に何度かイベントで一緒になったことがあります。浪越卒ですが、大学は東京理科大学を、また呉竹学園鍼灸マッサージ教員養成科を卒業しているので、大学と教員養成科の先輩でもあります。とにかく互いに指圧を受けるという内容。日程も合ったので今回初めて外部から参加させていただきました。

場所は溝の口。公共施設にある畳敷の和室でした。指圧は本来床で行います。ベッドではしません。専門学校でも畳の部屋で実技授業をしていました。指圧の良いところは設備がほぼ要らないこと。手ぬぐいと着替えを持参咲いて畳に会場備品の座布団を並べればできてしまいます。マッサージだとオイルやパウダーを使うのですが指圧は必要ないのです。参加者は私を入れて9名で、一人事務作業などをしていて指圧には参加していませんでした。やり方はまずくじ引きでペアを作ります。概ね30分交代で互いに指圧をします。そこから一人ずつとなりにずれていきまた同じようにします。それを3セット。3名の指圧をして3名の指圧を受けるという。

 

プロ3名から指圧を受ける。これはかなり貴重な体験です。

 

学校を卒業して開業しているとなかなか施術を受ける機会がなくなります。学生時代は同級生でも教員でも周囲にやってくれる環境がありました。職場に勤めていれば職場で同僚から受けるということができます。独立開業するとそうは言っていられません(従業員を雇えばという話ではなく)。機会を自ら作らないといけないわけです。今回浪越卒の先生から指圧を受けることができ、かつ自分自身がやりながら周囲を見渡し他の先生の姿を観察することができます。この仕事は職人でもあるので、技術を見て盗めという一面があります。そもそも言葉で説明されても細かいニュアンスやコツは言語化しきれないので読み取り、感じ取り、自身で試行錯誤していくものです。受けること、見学することは大事な勉強です。そして呉竹学園卒の私には浪越卒の先生方の技術が参考になります。

 

呉竹学園は鍼灸から始まった学校であるためあん摩マッサージ指圧に対するこだわりが鍼灸よりも高くないと感じます。これはどこの学校でも事情があり、創業の経緯や時代の変化があります。浪越学園や長生学園のようにあん摩マッサージ指圧師だけの学校はもちろん比較する科がないので当然ですが鍼灸マッサージ専門学校だとこだわりとして現れます。マッサージから始まった学校はやはりそのこだわりがありますし、按摩からの学校もそう。浪越卒の先生は浪越指圧に対して確固たる意識があり、ベースとしての技術がそこあります。外部の呉竹卒だからそれはよく分かります。一方鍼灸の学校であるからあん摩マッサージ指圧に対してフラットに、こだわりがなく、向き合えるともいえる呉竹学園。按摩もマッサージも指圧も行いそこに優劣はない。呉竹指圧というものもありますが学校が全面にアピールしているわけではないのです。

 

これまで何人もの浪越卒の先生から指圧を受けました。そこでは指圧=浪越指圧という印象でした。今回は3名の先生から連続で受けることで浪越指圧の中での個人差を体験することになりました。私が当事者だからということもありますが、細かい部分で個性があると思いました。また夏の疲れを癒すということで部位や技法の縛りがなく、各自の裁量に任されます。私は一人目に四肢(手足のこと。腕と足。)を、二人目に体幹(背中、腰)を、三人目に腹部をお願いしました。術者側の気持ちが分かるからですが、四肢と腹部は結構面倒なオーダーです。それをどうするのかを試したところがありました。その中でとても興味深く勉強になることが多々ありました。

 

牽引の圧

引っ張ることを牽引といい、技術としてあります。牽引しながら押すのではなく、圧を入れて牽引されるというもの。前腕で受けたのですが初めての感触でした。前腕は軽いので引っ張ることができます。それを押すことで牽引をかける。垂直圧の原則が指圧にはあるのですが、斜めに腕が体が離れる方向に圧を入れていました。

 

・非常に弱い圧

これ触っているだけでは?と思うほど弱い圧。浪越家の逸話で3代目が生まれたとき病弱で赤ちゃんに父親である2代目と祖父である浪越徳次郎氏が指圧をして元気になったというものがあります。赤ちゃんにするくらい繊細にできる技術が浪越指圧にはあるわけで、強く押せば正義みたいな誤った考えではないのです。それにしても弱いなと感じたのですが、結局それが効いてきてやや寝てしまいました。全部覚えようと気を張っていたのですが。弱い圧の方が実は技術的に難しいのです。そしてそれを実行するのはなかなか勇気がいること。相手が不満に思う、やっている方は実感がない。それを、当然私もあん摩マッサージ指圧師だと分かった上で、行うところが同業者として驚きました。新しい観点です。

 

・お腹の指圧

按摩には按腹というお腹のための技術があります。後藤流按腹術という技法もあります。按腹では櫓盪揉捏という独自の揉み方をするのです。では浪越指圧ではどうするのか。見事に押圧だけでした。最初は手のひら、続いて手根。そして指。部位や圧の具合が違いますがずっと押す、すなわち押圧だけでした。これにもかなり驚きます。ずっとお腹を触るというのは術者側からすると難しい。それを一つの技法でやってします。細かく場所、圧、手の使い方が変わるのですが。これも同業者として凄いことです。

 

他にも多々技術的な気付きがありました。総じて分かったのは土台が安定していること。床の場合はベッドよりも体勢を整えるのが難しくなります。立てないので足首、足の裏を使えません。股関節、膝関節が重要です。周りを見ていて足首の使い方が呉竹指圧とは異なることを発見しました。安定させるという点で理にかなっていうのだろうと推察します。圧が安定するには指、腕はもちろんのこと腰や下半身が安定しないといけません。それを床で行うことの困難さを私も理解しています。やる側になると普段少ない床での指圧で苦労しました。

 

最後の方はせっかくなのでタイ古式マッサージの技術や呉竹学園の揉捏を加えて施術を行いました。外部の血が入ることで何かを受けて取ってもらえるのではないかと。同じ術者同士。案の定、あとで技術的な質問があり話をしました。

 

指圧を突き詰める浪越卒のメンバーの中に入って指圧を受ける、指圧をするという体験。貴重なものでした。このような形式はとても面白いと思います。単純にあん摩マッサージ指圧師の技術を受けられて体調が良くなりましたし。さて、この経験をどう活かすか。思案中。

 

甲野 功

 

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