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先日、テレビ朝日で放送された『池上彰のニュースそうだったのか!! 【完全保存版!】日本はなぜ戦った?世界は終戦の日をどう考える?戦後80年…池上彰が戦争と日本を徹底解説!』を視聴しました。
戦後80年という節目。日本はもとより各国の終戦(この場合は第二次世界大戦や太平洋戦争)をどうとらえているかを検証した番組です。私が小中学性の頃、約30年前よりずっと冷静な考証ができているのではないかと思いました。あの頃の歴史教育は、とにかく日本が悪でアジアを侵略し謝罪をし続けないといけない、というものでした。世界情勢を冷静に見返すと、戦争という選択肢をとった理由と取らざるしかなかった事情と戦争すれば上手くいくという野心が混ざっていると、考えられますし、掲げた正義と傲慢が同居していると感じます。戦後の捉え方は各国様々で日本と戦争をしたアメリカはその後もたくさんの戦争を経験しているので(ベトナム先生、湾岸戦争などなど)戦後っていつの戦争のこと?という意見。日本の戦争相手となったインドは占領されるも結果的にヨーロッパから独立することに成功するので日本に好意的で、終戦より独立を成し遂げたという。ヨーロッパ各国はヨーロッパ戦線が重要でナチスのことを絶対に忘れてはならないという感じ。中国、韓国は従来通りですが若い世代からは過去は過去として割り切って日本と付き合っていこうという意見も紹介されていました。
重要なことは第二次世界大戦、太平洋戦争はいきなり起きたものではないこと。第二次とあるようにその前に第一次世界大戦がありました。太平洋戦争と言いますが当時は大東亜戦争と日本は呼んでおり、アメリカ以前に他の国々と戦争をしていました。また明治維新後に他国との戦争を何度か経験してのこと。日清、日露、日中戦争。更にいえば幕末、まだ江戸時代だった頃に長州藩(現在の山口県)はフランスと、薩摩藩(現在の鹿児島県)はイギリスと藩単位で戦闘を行っています。時の徳川幕府が200年続いた鎖国を解消したのは黒船と言われる軍艦でアメリカが乗り込んできたから。更に遡れば豊臣秀吉は朝鮮出兵をして朝鮮半島を領地にしようとしました。もっと前には元(モンゴル)が日本に攻め込んできています。歴史の延長上に今があります。太平洋戦争に至る経緯があったはずなのです。
明治維新以降の歴史を近現代史ということがあります。近代史はどこからか、現代史はいつからか。時間が過ぎれば曖昧になります。今の小中学生にとって昭和はとてつもなく昔に感じるでしょう。しかも昭和といっても63年間ありますから一括りにするには長すぎます。平成だって30年ありました。令和になってもう7年経ちました。昭和52年生まれの私には平成初期は青春時代です。2000年代は社会に出た頃。今は平成レトロブームといって“レトロ”なのです。そのような状況で明治維新から昭和20年まで。ここら辺の知識が私は疎いのです。日本史は好きで特に戦国武将は結構調べました。高校に入り幕末好きの部活同期がいて、その影響で幕末の知識も大いに入れました。ところが。明治10年の西南戦争くらいまでは分かるのですがその後がよく分かりません。小中学校の授業では自由民権運動とか2.26事件とか政府側に反発した事件は目にしたのですが明治中後期、大正、昭和初期へと進んだのかを習いませんでした。特に第二次世界大戦付近を。後に知るのですが歴史解釈が複数あり教科書の内容も各社乖離があったよう。学説として定まらないので教える方も困ったそうでした。現在もそうですが国際問題につながることになり兼ねない。日本史が詳しいので定評のある國學院高校に進学した私ですが2年生から理系コースを選んだため、それでも日本史選択ですが、きちんと近現代史を習うことなく卒業しました。大学は東京理科大学理学部ですからますます日本の近現代史を学ぶ機会が遠ざかります。それより量子力学や熱力学を勉強しないと進学できません。
社会人になってから日本、中国、韓国、北朝鮮の関係を学ぶようになりました。その時まで親を含めて誰もはっきりと教えてくれなかったなと気付いたのです。何かタブーのような。私が住む東京都新宿区は新大久保、大久保エリアがあります。近くには韓国学校があります。韓国人は身近な存在です。しかしどういう関係性か歴史に何があったのかを分かっていなかった。それは今も変わらないかもしれません。それは良くないなと思いながら日常が過ぎていました。
最近、読むようになったマンガがあります。『だんドーン』です。
だんドーン - 講談社の青年漫画誌 - モーニング公式サイト
『ハコヅメ ~交番女子の逆襲~』がヒットした泰三子先生の作品です。『ハコヅメ』を知らなかったのですが幕末を題材にした作品なので読むようになりました。この『だんドーン』は幕末の薩摩が舞台。主人公はのちの“日本警察の父”となる川路利良が主人公です。私が幕末好きになるきっかけが同じくマンガの『お~い!竜馬』です。坂本龍馬を敬愛する武田鉄矢氏の原作。坂本龍馬の一生を描いています。坂本龍馬と土佐藩の立場から幕末を描いています。私は坂本龍馬視点の幕末を見ていて薩摩藩視点は知らなかったのです。また維新三傑と言われた大久保利通、西郷隆盛といった超メジャー人物ではなく川路利吉という、初代大警視(現警視総監)を務めた警察の創設者という大人物ではありますが、あまり知名度がない者を主人公にしています。ペリー来航あたりから物語が始まり、安政の大獄や桜田門外の変がどのように起きたのかを描いています。なおタイトルの「だんドーン」は桜田門外の変が起きるときの作中の擬音です。薩摩藩の人物が多数登場してどのようなことをしたのかが物語から分かります。当然薩長同盟の話にもなるので長州藩のことも描かれます。要所に現代語訳のくだけた表現が入り、当時の情勢を分かりやすく伝えます。コメディ要素がふんだんにあります。
この『だんドーン』を読むことで点と点が線で繋がる感じがします。『お~い!竜馬』で幕末、明治維新の流れは知っていて、そこに出てくる膨大な登場人物を別角度から『だんドーン』で補完している感じ。幕末4大人斬りのうち2名が薩摩。田中新兵衛と中村半次郎(桐野俊秋)。豊富なエピソードとキャラクター付けで分かります。作品は連載中で物語は進行中。いかに生麦事件が起き、薩英戦争に至ったのかがコメディタッチですが詳細に描かれていて勉強になるのです
『だんドーン』から幕末の興味が再び湧いていたころ。別の媒体を知ります。それがBS-TBSで放送されているテレビ番組『関口宏の一番新しい近現代史』です。
著名な司会者関口宏氏が進行役で小泉悠氏(軍事アナリスト/東京大学先端科学技術研究センター准教授)と岩間陽子氏(国際政治学者/政策研究大学院大学教授)の専門家が解説をする教養番組。今年春に始まったもの。学者の視点から歴史、特に戦争を中心に、紹介と解説をします。毎週視聴することで講義を受けている感覚に。ある程度知っている幕末、明治維新から明治新政府が樹立して富国強兵に進み、近代化をはかる日本。そして戦争、領地獲得に動いていく。同時に世界の動きも説明していて鎖国を解いて近代国家となった日本は海外の動向がダイレクトに影響されるようになります。世界史が苦手で日本史以上に勉強することのなかった世界史を学び直す機会になっています。まだまだ知識不足ですが、やはりこれまで単発のエピソードとして知っていた歴史・事件が点と点で繋がり歴史の流れになっていく感覚があります。教養が深くなる。
余談ですが数か月前にベルギー人の患者さんが来ました。仕事で来日しているとのこと。そう言えばベルギーはヨーロッパのどこら辺だろう。母国語は(氏名を書いてもらったが英語ではないので読むこともできず)。私はベルギーの何を知っているのだろうか。チョコレートが有名。アフリカを植民地にしていてカカオを入手できたのでチョコレートが発達したという話を聞いたことがあるような。マニアックなところでは1989年~1990年にUFOが現れ空軍がスクランブル発進したというその界隈で有名な事件がありました。ほとんどベルギーのことを知らないわけです。歴史を知ることでその国の事情や今が分かるもの。
何となくだった日本の近現代史。明治以降を学ぶことから世界史も見えてきます。これまでやり残していた見識を広めることを地道にしていきます。
甲野 功
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