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~全日本鍼灸マッサージ師会による『情熱大陸』への抗議~

公社)東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会Facebookより
公社)東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会Facebookより

 

 

先日、公益社団法人東京都はり・きゅう・あん摩・マッサージ指圧師会がFacebook上で以下のような報告をしました。

 

公社)東京都はり・きゅう・あん摩・マッサージ指圧師会 Facebookページ

 

8月10日に放送されたテレビ「情熱大陸」『1世紀の時を刻む葉山の名物理容店 息子から父へ いま伝える“覚悟”』 において、マッサージの表記に問題があるのではないかとの問い合わせが、当会を含め複数寄せられました。

これを受け、(公社)全日本鍼灸マッサージ師会より抗議文を送付いたしました。

その後、株式会社毎日放送より下記の回答が寄せられましたので、共有いたします。

 

どのようなことなのか説明します。

情熱大陸』。多くの人が知る有名ドキュメンタリー番組です。『プロジェクトX』と並び出演することが夢だという人は多いです。その『情熱大陸』で今年8月10日に理容師(一般的な呼称をすれば床屋さんです)親子が特集されました。父と息子の繋がりを描いているようです。この放送自体を私は視聴していません。放送時に業界内で話題になった、というより物議をかもしたもので、敢えて観ないようにしていました。ただ内容は把握しております。息子の理容師が本業のカット(散髪)技術以外にマッサージを修得し、お客さんに提供している。それを強みとして売りにしている。また今年5月「MCWTマッサージ選手権ワールドツアー」なる大会で息子が優勝し、“マッサージ世界一”の称号を得たという。

 

まず我々あん摩マッサージ指圧師界隈が問題視しているのが、この息子美容師はあん摩マッサージ指圧師免許を取得していないのです。非あん摩マッサージ指圧師が業としてマッサージ行為をすることは法律で禁じられています。

 

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律>(通称、あはき法)

第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。

 

あはき法はきちんとした法律であり、その第1条で医師を除いてあん摩マッサージ指圧師免許を持たない者がマッサージを業としてはならないと規定しています。法律でいう“業とする”とは「反復継続の意志をもって行うこと」と解釈されます。業は業務の業であり、仕事として継続的に行うことだといえます。ただしそこに金銭の有無は問いません。無料だから、ボランティアだから、という言い訳は通用しないのです。なお行為そのものを禁止しているわけではありません。無免許でマッサージ行為そのものを禁止するとあん摩マッサージ指圧師を取るために専門学校で練習することができません。業とする、の基準としては仕事として、看板や広告を掲げていることが考えられます。不特定多数の理容院利用者に行っていれば、それは業といえるでしょう。まして“マッサージ世界一”を謳って行っていれば。

 

無免許、無資格で堂々とマッサージをしていることを宣伝していることに憤りを感じるわけです。これが反対に、私が美容鍼の一環として患者さんの髭剃りサービス、散髪オプションをしていたらどうでしょうか。おまえは理容師免許、美容師免許を持っているのか?と怒るのではないでしょうか。

 

理容師法

第六条 理容師の免許を受けた者でなければ、理容を業としてはならない。

 

理容師法第6条に理容師免許なしに理容を業としてはならないと規定されています。私が「散髪や髭剃りは利用ではありません、カット鍼という独自技術なのです!」と言い張ったら納得するのでしょうか?。そんなはずはないですよね。あん摩マッサージ指圧師も理容師も法律上、業務独占という職種になります。どちらも厚生労働省が管轄する国家資格です。国家資格を持つ者が別の国家資格(それも同じ厚生労働省が管轄する)の業務独占を破るというのはいかがなものでしょうか。

 

ただし、抗議は無資格マッサージのことではありません。業務独占を守らないという違法行為に関しては、管轄が厚生労働省、保健所、警察等です。そのことをテレビ番組制作者に抗議しません。してもしょうがない。管轄が違うわけです。抗議したのは“マッサージの表記に問題があるのではないか”という番組内での表現に関することなのです。論点は、この放送を見て、マッサージは理容師だってできる、あん摩マッサージ指圧師免許を持っていない無資格者でも行ってもいい(厳密は業とする。仕事として不特定多数のひとにサービスとしてやってよいこと。)と思わせないかということです。前に示した通り、無資格(無免許)マッサージ(を業とすること)は違法行為になりますが、それがあたかも問題ないこと、それどころか美談になっていて推奨しているかのように映っている。東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会はその上の公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会を通して『情熱大陸』を製作する株式会社毎日放送さんに抗議文を出したというわけです。

 

そこには背景があります。今年2月に厚生労働省は「あはき・柔整広告ガイドライン」を正式に施行しました。これはあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、そしてそれらの免許を持たない者のいわゆる医業類似行為における広告を規制するものです。あはき法、柔道整復師法はもちろん景品表示法、医療法、不正競争防止法などの法律にも基づいたもの。そして規制対象となるのは我々術者だけにとどまらずマスコミ、インフルエンサーなどにも及びます。つまりテレビ局も該当します。更に全日本鍼灸マッサージ師会はNHKや民放連(一般社団法人日本民間放送連盟)に対して意見書を提出しており、無資格マッサージ問題があることやテレビ放送時に注意するようお願いをしています。そして今年5月にはNHKのEテレ『きょうの健康』であはき・柔整広告ガイドラインが特集されました。NHKの番組にて本ガイドラインの内容を解説したのです。

 

このような背景がある中で情熱大陸を製作した株式会社毎日放送さんから回答が得られたといいます。東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会がその文書を公開しております。

 

令和7年9月8日

公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会 御中

株式会社毎日放送

総合編成局長

田淵 伸

令和7年8月10日放送 弊社テレビ番組「情熱大陸」に関するご指摘について

 

平素より弊社番組にご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、令和7年8月27日付の貴会文書にてお寄せいただきました、2025年8月10日放送の弊社テレビ番組「情熱大陸」に関するご指摘について、当社の見解と対応を以下の通りご報告申し上げます。

 

番組制作担当者に事実確認を行いましたところ、「理容店におけるカットに付帯するリラクゼーション行為を指してマッサージという言葉を使用しており、国家資格をお持ちのあん摩マッサージ指圧師の職域を侵すような意図は一切無かった」とのことでした。

しかしながら、貴会のご指摘の通り、当該表現が視聴者に、無資格者を国家資格を有する施術者であると誤認させる恐れがあったことは否めず、表現が適切でなかったことをお詫びします。

本年4月に民放連を通じてお寄せいただいた貴会からの要望書については、社内での周知を改めて徹底すべく、当社として以下の対応を行いました。

 

①全社員への注意喚起の徹底

賞会より令和7年4月7日付で頂戴した要望書 「無資格者の行為に関する広告について」を、当社イントラネットおよび全社員へのメールで再周知し、注意喚起を徹底いたします。

 

②番組制作関連部署への個別説明

上記に加え、番組の制作および考査に携わる部署の責任者に対し、改めて説明の場を設け、全スタッフへの周知徹底を改めて指示いたします。

 

③当該放送回の再配信における注釈の表示

今後、当該放送回をテレビやインターネットで配信する際には、「当該出演者が国家資格を有していない」旨がわかる注釈を掲載いたします。

 

④「情熱大陸」公式ホームページの修正

公式ホームページ上の関連箇所について、誤解を招く表現を修正いたしました。

 

貴会からのご指摘を真摯に受け止め、今後はより一層の注意を払い、視聴者の皆様に正確な情報をお届けできるよう番組制作に邁進する所存です。

何卒、この度の当社の対応にご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 

以上

 

この文書を読むと制作側には、国家資格をお持ちのあん摩マッサージ指圧師の職域を侵すような意図は一切無かった、としています。意図があったとは言えないでしょうが。そして4月に民放連へ提出されていた全日本鍼灸マッサージ師会からの要望書に触れていて、知ってはいたけれど分かってはいなかったという印象を受けます。謝罪の上、対応策を練り、再発防止に努め、公式ホームページを修正したとあります。現時点でホームページを確認しましたが誤解させる内容だと、あん摩マッサージ指圧師の私には感じます。おそらく法律の業務独占ということを理解していないのだろうなという気がします。それはさておき、この一件は画期的な出来事だと私はとらえています。全国ネットの超有名番組で訂正をするという。ひと昔前なら無視していたと思われます。全日本鍼灸マッサージ師会が抗議しても影響が無かったのではないでしょうか。このような話は数十年前から山のようにありましたから。今回は厚生労働省があはき・柔整広告ガイドラインを出したこと、そしてNHKがそれの特集を組んだことが少なからず関係しているのではないでしょうか。

 

余談ですが、私がずっと携わっている社交ダンス界でも似た問題があります。髪あげといって競技会やデモンストレーションでは髪を綺麗に(それも独自の)セットをするのですが、これを素人が行っている。普段自分でやっていているし、後輩の髪あげをしてあげるという文化が学連(学生競技ダンス連盟)にあります。器用で練習熱心ならかなり綺麗に仕上げることができます。そこから美容師免許を持たない人が社交ダンスの人に対して髪あげを請け負い、その対価をいただいている。定期的に行っている人もいて美容師からすると無免許行為にあたります。美容師の職務であるヘアセットを、美容師無免許者が業としている(反復継続の意志をもって行っている)わけです。美容師側から注意喚起や保健所への通報という話もたまに見かけます。美容師と理容師は違うかもしれませんが似た職種であり、あん摩マッサージ指圧師と同じような問題が存在しているのです。

 

今回『情熱大陸』という有名番組だったからこそ抗議したといえます。地上波の公共の電波を用いる以上、違法行為を感じさせる表現はよくありません。それを垂れ流しにしてきたのですが、今回は株式会社毎日放送さんが抗議に対応したことは大きな変化だと考えています。

 

甲野 功

 

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