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~東京都のインターネット広告指導~

都庁総合ホームページ より
都庁総合ホームページ より

 

 

先日、東京呉竹医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科2年生を対象に特別授業を行いました。私が教室で話したことは今年正式に発出された「あはき・柔整広告ガイドライン」に関すること。今後は違法広告を取り締まるために保健所にマニュアル(=広告ガイドライン)が渡されました、これまでのようにこれくらい大丈夫だろうと甘く考えるなよ、という意志を込めました。広告ガイドラインを新規で作る必要があったのか。これまでの経緯を踏まえて説明しました。昭和時代から続く問題への対処策だというわけです。授業後、ある学生からとても参考になりましたという声を受けました。教員養成科を卒業したら開業する予定で非常に具体的で知りたい内容だったと。このような行動が一つでも現れればやった甲斐があったと思います。

 

授業中の最後に話したことなのですが、このあはき・柔整広告ガイドラインは我々術者(あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師)を苦しめるためではなく、守るためにあるという私見を述べました。我々が直接関わる業態についての細かな広告ガイドラインを示すことで、もっと大きなところから指導される前に未然に防ぐ役割があると、考えを述べました。もっと大きなところとは消費者庁地方自治体であり、指導とは主に景品表示法違反による行政処分をいいます。景品表示法とは誇大広告から消費者を守るための法律で主に3項目の違反を禁止し、犯した場合は処分を行います。3項目とは優良誤認表示、有利誤認表示、ステルスマーケティングです。景品表示法違反を取られると社会的にも経済的にも大きな社会的制裁となります。はっきり言って大事です。そうならないようにあはき・柔整広告ガイドラインを守ることで未然に防げると私は考えています。

 

誇大広告を取り締まるのは消費者を守る省庁である消費者庁が主な管轄です。消費者センターは国民生活センターなども関わります。そして景品表示法違反による処分は消費者庁だけでなく地方自治体も可能です。当院であれば東京都。東京都も違法広告に目を光らせているのです。それを裏付けるように今年8月28日に以下のような報告が発表されました。

 

都庁総合ホームページ インターネット広告・SNS等広告表示監視事業 実施報告

報道発表資料  2025年8月28日 生活文化局

令和6年度インターネット広告表示監視事業及びSNS等広告表示監視事業実施報告 296事業者に対し、改善指導を行いました!

 

東京都はインターネット上の広告表示の適正化を目指し、誇大・不当なデジタル広告の監視を数年前から強化しています。平成初期くらいまでは広告といえばテレビ、ラジオ、新聞といったマスメディアや、看板・チラシなどの現物の広告媒体でした。今は広告の主流はWEB上にありインターネット広告にも監視の目を光らせています。そして令和6年度(2024年度)からは、SNS等の広告にも対象を広げたのです。その監視・指導結果が公表されました。令和6年度(2024年度。2024年4月~2025年3月末。)に東京都が行った実績。

まずインターネット広告の監視数が16,000件。このうち景品表示法に基づく指導が174事業者(181件の広告)。その内訳が優良誤認のおそれが143件、有利誤認のおそれが32件、ステルスマーケティングのおそれが30件となっています。

SNS等広告監視数が240件。このうち景品表示法に基づく指導が122事業者(160件の広告)にのぼります。内訳は優良誤認のおそれが154件、有利誤認のおそれが53件、ステルスマーケティングのおそれが68件です。

合計296事業者が改善指導の対象となりました。ここでは全事業者を対象としており、厚生労働省が管轄する国家資格者だけを見ているわけではありません。保健所が広告の指導をしてこなかったから安穏としていられないのです。そのような区分けを東京都はしません。医師でも整体師でもエステティシャンでも関係なく違法な広告かどうかを監視しているのです。広告に関して、施術所だから保健所や厚生労働省の業務である、という姿勢はありません。東京都では誇大・不当な広告を見つけたら「東京くらしWEB」の<悪質事業者通報サイト>に情報提供するよう呼びかけていて、業種を問わないのです。

 

東京都の取り組みを過去に遡ってみていきましょう。令和2年度(2020年度)の消費者生活相談における調査報告です。

 

令和2年度消費生活相談年報 都域07 主な相談別特徴

 

 

令和2年度消費生活相談年報 都域07 主な相談別特徴
令和2年度消費生活相談年報 都域07 主な相談別特徴 より

 

 

ここで「⑭倒産」という項目があります。契約した事業者が経営破綻して倒産に陥り問題になった相談内容です。この報告によれば倒産に関する相談は831件で前年度に比べて66.5%も増加しています。業態としてエステティックサービス、他の医療、骨つぎ整復などが多いとしています。最も多いのがエステティックサービスで、次が「他の医療」です。報告書では「他の医療」に“整骨院”や“整体院”を挙げており、整骨院と「骨つぎ整復」の違いが柔道整復師の私には釈然としません。おそらく医療保険を用いて急性外傷をみている施設を骨つぎ整復とし、自費で急性外傷以外の施術を行い看板が整骨院のものと分けているのではないかと推測します。その考察が正しいか否かは大きな問題ではなく、「他の医療」(整骨院、整体院)が倒産し、既に購入している回数券の返金に関する相談が多く寄せられていることが報告されていることが重要です。回数券ビジネスの問題が2020年度時点で問題として報告されています。なお倒産に関する相談の平均契約金額はなんと196万6千円、平均既払金額は78万6千円と高額です。エステが大部分であると思いたいですが、整体院や接骨院で高額回数券を売りつけるという問題は耳にすることなので気になります。

またこの報告によれば令和2年度の「骨つぎ整復」の倒産件数は71件で前年の令和元年度が0件から大幅に増加しました。「他の医療」では令和2年度の倒産件数が79件で令和元年度が1件だったことからこちらも激増しています。令和2年度とは2020年4月~2021年3月末の期間。新型コロナによる緊急事態宣言が発令されて東京オリンピックが延期になった時期。倒産が猛烈に増えたことは納得です。令和2年度の報告で消費者問題に整体院、整骨院、骨つぎが報告に上がっていたのです。

 

広告面に話を戻します。令和3年度(2021年度)に東京消費生活調査員庁が広告調査を行っております。

 

令和3年度第1回表示・広告調査結果「東京都消費生活調査員調査」

 

 

令和3年度第1回表示・広告調査結果「東京都消費生活調査員調査」
令和3年度第1回表示・広告調査結果「東京都消費生活調査員調査」より

 

 

ここでの調査テーマは「エステ・整体・マッサージのサービスの提供に関する広告調査」でした。その目的として『エステ・整体・マッサージのサービスの提供に関する広告においては、実際のサービスの品質や取引条件より著しく優良または有利だと誤解をあたえるような表示が多くみられる。』と断言しています。調査をする前段階でこの分野は問題広告が多いと認識しているわけです。ここで国家資格を持つあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師は関係が無いこと。とは言えないでしょう。あん摩マッサージ指圧師はあまりしませんが、鍼灸師、柔道整復師、そして理学療法士は自らを整体師と名乗りマッサージ行為を行っている例が見受けられます。何より世間一般の消費者がその違いを理解しているかというと、私の周囲にいる人の反応を見る限り理解できていないのです。何より東京都は保健所がチェックをしている施術所とそれ以外の施設を区別している(区別できている)のか疑問であります。

 

令和4年度(2022年度)に東京都はインターネットの誇大広告に対して205事業を指導しております。

 

東京都生活文化スポーツ局 令和4年度インターネット広告表示監視事業 実施報告

 

 

東京都生活文化スポーツ局 令和4年度インターネット広告表示監視事業 実施報告
東京都生活文化スポーツ局 令和4年度インターネット広告表示監視事業 実施報告より

 

 

この報告によればインターネット広告監視数は24,000件にのぼり、そのうち景品表示法に基づき指導したのは205事業者(218件の広告)でした。このうち「サービス(7件)」に“痩身エステ、整体、修理など”が該当しました。整体が7件のうち何件を占めているのか、また整体とはどのような者が行っていることなのかが不明です。医療系国家資格を持たない者が行っていることなのか否か。

そして東京くらしWEBでは令和4年度の誇大広告として行政指導した実績を報告しています(令和5年6月28日 生活文化スポーツ局)。

 

皆様からの通報が事業者指導・処分へつながります! ~令和4年度 悪質事業者通報サイト実績報告~

 

皆様からの通報が事業者指導・処分へつながります! ~令和4年度 悪質事業者通報サイト実績報告~
皆様からの通報が事業者指導・処分へつながります! ~令和4年度 悪質事業者通報サイト実績報告~ より

 

 

 

この報告によれば令和4年度のサイトへの通報件数が悪質事業者814件、誇大広告248件、架空請求1147件と都民から東京都に通報がされていることが分かります。そのうち事業者指導・処分等につながった実績は以下通り。

・行政指導:悪質商法28件、誇大広告14件

・行政処分:悪質商法1件、誇大広告1件

・事業者名等の公表:架空請求23件

 

そして最初に紹介した数字として、令和6年度(2024年度)はインターネット広告・SNS広告において296事業者に対し改善指導を行ったわけです。このように見るとコロナ禍以降、東京都の広告に対する監視と指導は厳しくなっています。我々の業種は関係ないとは言えません。通報されれば東京都が動きます。そして行政指導や行政処分を下す権限を持っています。あはき・柔整広告ガイドライン以前に広告面で東京都にチェックされている自覚を持つようにしています。

 

甲野 功

 

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