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~映画『国宝』~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 国宝
実写邦画 国宝 を観ました

 

 

話題の映画『国宝』を長女と一緒に観てきました。

 

映画『国宝』公式サイト

 

2025年9月7日時点で興行収入133億円という実写邦画歴代2位の記録を出しています。100億円を超えたのは22年ぶりの快挙。歴代1位の2003年公開『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』が持つ173.5億円に記録を超えるかもしれません。アニメーション映画では『劇場版「鬼滅の刃」』は異次元のヒットを飛ばしております。興行収入100億越えの作品が多数あるアニメと違い、実写邦画はそこまで興行成績が出るものではありません。またこれまで100億越えの実写邦画はどれもテレビ局が制作しており、テレビ局のサポートありきでした。この『国宝』は初めてテレビ局が関わらない作品で100億円の壁を突破した異次元の作品となります。そして来年発表されるアメリカ本家のアカデミー賞国際長編映画賞日本代表作品に決定しました。来年初頭には北米での公開も決定しています。『ゴジラ-1.0』が第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞、ドラマ『SHOGUN 将軍』がエミー賞を複数受賞と日本の実写映像が世界的に評価される流れです。それを更にこの『国宝』が後押しする予感があり、アニメだけではないことを印象付けることができるかもしれません。

話題になっているのは記録だけでなく。近親者にも本作を観賞して素晴らしかったという声がありました。そこまで高評価であり、歴史を変える作品になるかもしらないという予感から最近気になっていました。長女に話すと観に行ってもいいかもというので二人でTOHOシネマズ新宿に行きました。

 

折に触れて語っていますが私は邦画マニアだった時期があります。約20年前の鍼灸マッサージ専門学生時代。名画座を巡り週に4本のペースで実写邦画(ときに洋画も)を観賞していました。額割と2本同時上映の名画座を活用して。ですからもともと映画館で実写邦画を観ることが好き。子どもの付き添いでアニメ映画ばかり観るようなったのはここ最近です。そしてこの『国宝』は久しぶりに観た本格的な映画でした。

ここ最近映画館で観た実写邦画は『翔んで埼玉』。これも映画ではありますがギャグ要素が前面に出たコメディ作品。国家資格を取り、結婚をし、子どもが生まれ、確実に面白いと思う作品しか映画館に行かなくなりました。損をしたくない。損というより時間を取られたくない。安全策をとる感覚。作品自体は後でサブスクリプションサービスで観ることができると考えてしまいます。2時間、携帯を触れない状況にいるのが怖くなります。子どもの付き添いならまだしも、個人的に映画館で映画を観ることは長らく不安でした。最近は余裕が出てきて、『国宝』は見ておこうという気持ちにさせました。

 

主演の吉沢亮、助演の横浜流星はもちろん知っていますがそこまで興味がありませんでした。マンガを実写化した映画『キングダム』の政(後の秦始皇帝)を演じている吉沢亮、大河ドラマの主演を務めた横浜流星。そういうイメージでした。それよりも監督の李相日に目がいきました。李相日監督は2004年公開の方が『69 sixty nine』を撮った監督。原作村上龍、脚本宮藤官九郎、主演妻夫木聡安藤政信で1969年の佐世保を舞台にした作品。映画館で観ました。そしてこの後の2006年公開『フラガール』で李相日監督はその名を世に知らしめます。常磐炭鉱が閉山となり常磐ハワイアンセンターを作った実話をもとにした作品。この年の日本アカデミー賞を総なめにしました。映画館で複数回観ました。非常に思い入れのある作品です。その李相日監督が手掛けている『国宝』とはどんなものだろうかという期待でした。キャストに渡辺謙が入っていることも興味をひきました。言わずと知れた名優でハリウッド映画『ラストサムライ』でもメインキャストを勤めた世界的俳優。何度も映画館で出演作を観ており、渡辺謙が出るなら大丈夫だろう、という安心感がありました。他にあらすじは色々なところから情報が入っていて、歌舞伎の世界の話であること、主人公は最後に人間国宝になるということは知っていました。それくらいしか前情報や期待がなかったのです。あとはとにかく内容が素晴らしい、大ヒットしているという評判。

 

実際に映画館で観てみると。3時間という長さを感じさせませんでした。年齢のせいか映画館で観ていると眠たくなるのですが、『国宝』はそうなりませんでした。映像の力が強い。ストーリーや映像美もいいのですが、何といっても演技が素晴らしいのです。邦画が好きになったのは俳優の演技がきっかけでした。テレビで観るドラマにはない大スクリーンでの表情。これに魅了されて好きになったのです。そのことを思い出しました。派手なアクションシーンも軽快な音楽シーンもありません。顔のアップが多く、しかも黙っていることが多い。無言の演技は難しいと言いますが、それで画面に集中させるのです。歌舞伎の世界なので男社会。主だったメンバーは男性ばかり。女性も登場しますがサポート役が多いのです。圧倒的な俳優(男優)の力が現れていました。特にメインの配役に歌舞伎役者がいないことが凄かったです。素人目には本職の歌舞伎役者とそん色ないほどの演技と舞でした。歌舞伎指導として四代目中村鴈治郎が作中に登場しますが歌舞伎をするシーンはなく。歌舞伎は素人である俳優たちが歌舞伎を演じるのです。その姿は、私には素人には見えませんでした。『フラガール』でも俳優たちが訓練をして吹き替え無しでフラのステージで踊っていました。『国宝』も歌舞伎の練習を積んだ俳優たちが演じています。私は競技ダンス経験者なので体の動かし方はある程度分かります。相当鍛えたことが画面から伝わりました。

 

そして映像の編集。通常の歌舞伎鑑賞は舞台を観るだけです。『国宝』では舞台側から演者の背中から映すシーンが多用しています。歌舞伎俳優の背中、そして背中越しから見える観客席。本来ならば誰も観ることのない景色がスクリーンに映ります。本番中に舞台の後ろでカメラを回している人などいないわけですから。そして舞台に立った者が観る景色。視点が役者のそれにもなります。カメラワークは映画ならでは。様々な画角とそれを編集したもの。アップや引き。細かい表情から体全体の動き。カット割りが複雑で、それでいてストレスがない。流石です。相当テイクを重ねているのだと思います。本職の歌舞伎役者では何度もやらせられないかもしらないなと思いました。

 

キャストで驚いたのは寺島しのぶが歌舞伎一家の女将として登場したことです。名歌舞伎役者である渡辺謙の妻役。事前に知らなくてスクリーンで観たときに、マジか、と内心呟きました。寺島しのぶは七代目尾上菊五郎を父に持つ歌舞伎一家の出。女性は舞台に立てないわけで、歌舞伎ではない女優になります。歌舞伎一家出身の寺島しのぶが歌舞伎役者の妻役。実生活で歌舞伎の世界を知る人物が演じるとは。その演技には生々しさがありました。パンフレットを購入して読みましたが、寺島しのぶは歌舞伎の世界を体験しており、実際には起きないストーリーであることに触れていました。また寺島しのぶの母は女優の富司純子であり、約20年前に同じく李相日監督の『フラガール』に出演しています。母娘で李相日監督作品に出演していることも粋というかなんというか。

 

ストーリーに関しては細かくは書きませんが、血筋が絶対の歌舞伎の世界において、血統か実力かで様々な葛藤が生まれます。血とともに別のものも受け継いでしまう。医療系国家資格を持つ私にはその皮肉ともいえる内容に感心しました。そしてそれを歌舞伎演目と関連付けていて。

 

これは確かに超大作だと納得できるものでした。日本伝統の歌舞伎を題材として。世界に打って出ることができる作品だと思います。出演者は本業の俳優ばかり。アイドル、歌手がいません。本当に演技に専念している者が出演しています。1964年から2014年までの50年を描いて。作中何人も亡くなります。今年父を亡くした私には別の意味で感じるものがありました。血統が重要な歌舞伎を題材にした『国宝』を、父を失った年に長女と鑑賞したことは、個人的な想いも乗っかりました。素晴らしい作品でした。

 

甲野 功

 

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