開院時間
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先日、公益社団法人『東洋療法学校協会』が主催する第46回学術大会が開催されていました。母校の東京呉竹医療専門学校の生徒も参加したようです。私が在校中は学術大会も東洋療法学校協会もその存在を知りませんでした。国家資格を取ってから団体のことを認識しました。専門学校教員免許を取ってから業界で重要な存在であることを学びました。東洋療法学校協会とはどのようなものでしょうか。
まずあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師(“あはき”師と総称します)の業界は臨床が最も多いのですが、学術・研究と教育の分野もあります。臨床・研究・教育が3大分野といえます。臨床をするには国家資格が必要で、その国家試験受験資格を与えるのが養成施設(専門学校、大学、視覚支援学校)です。国家試験を取り仕切るのが公益財団法人『東洋療法研修試験財団』です。そして主に臨床現場で働く術者のためにあるのが業団(業界団体)と言われるもので公益社団法人『全日本鍼灸マッサージ師会』、公益社団法人『日本鍼灸師会』、公益社団法人『日本あん摩マッサージ指圧師会』らがそうです。学術・研究に関しては公益社団法人『全日本鍼灸学会』らがあります。そして教育分野に本題である公益社団法人『東洋療法学校協会』があります。挙げた団体は全て公益法人であります。
まず東洋療法学校協会はどのような目的で存在しているのでしょうか。ホームページの活動目的の項目にはこのようにあります。
『当学校協会は、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうに関する教育の調査研究及び教材等の開発、教員の養成・研修等を行うことによって、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の学校養成施設の教育の振興を図り、国民の保健衛生の向上に寄与することを目的としております。』
“あはき”に関する教育面から国民の保健衛生向上を図るということでしょう。臨床に出ているあはき師が直接国民たる患者さんの保険衛生に関わるのですが、その前段階で教育に着目しています。前者は業団(師会)の分野になります。ですから東洋療法学校協会は専門学校、同教員、生徒が主に関ります。
歴史を観ていきましょう。昭和31年(1956年)に「全国あん摩師、はり師、きゅう師、柔道整復師養成施設協会」として創設されます。この頃は柔道整復師も“あはき”と同じ法律下にありました。それが昭和45年(1970年)に柔道整復師法が単独法として独立し、それに伴い協会も「全国あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師養成施設協会」になります。最初に紹介した学術大会が昭和47年(1972年)に、また教育研修会が昭和54年(1979年)に、それぞれ第1回が開催されます。昭和60年(1985年)に「社団法人東洋療法学校協会」を設立となります。法改正に伴い平成24年(2012年)に「公益社団法人東洋療法学校協会」に改称して現在に至ります。私が“あはき”学生だった当時は社団法人で、今の公益社団法人ではなかったわけです。
事業内容は以下の通り。
1.あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの教育に関する調査研究。
2.学校における教科書、参考書等の教材の研究開発。
3.学校教員の養成、研修その他資質の向上に関すること。
4.学校における学術の振興及び学校経営の改善に関する情報、資料の収集及び提供。
5.その他当協会の目的を達成するに必要な事業。
1~4までは学校、教育に関わる内容です。学校協会なのですから当然なのですが、教育に関する調査研究、研究開発、学術振興、学校経営改善と範囲が割と広いのです。
ホームページに掲載される倫理綱領(抜粋)からその理念が分かります。
『
公益社団法人東洋療法学校協会は、東洋療法の医療人を育成する学校の倫理綱領を定め、遵守することを社会に誓う。
一、学校の使命
学校は、国民の保健衛生の向上に寄与する東洋療法の専門医療人を養成することを使命とし、教育水準の維持及び質の向上に努める義務と社会的責務を負う。
二、学校の自主性と連携
学校は、その理念・目的に基づく自主性を持った教育と学校運営を行い、他学校と連携して教育水準の維持及び質の向上に努め、社会に貢献できる医療人を育成しなければならない。
三、学校の公共性と法令の遵守
学校は、学校教育法及び私立学校法により公共性を有するとともに、関係法令等を遵守し、医療系の教育機関としての品位を保持して、倫理性に基づいた質の高い教育と学校運営の実践に努めなければならない。
四、自己点検・評価及び相互評価
学校は、質の高い教育と適切な学校組織の運営の実現に向けて、不断に自己点検と自己評価を行うとともに、研鑽と相互評価の機会を持たなければならない。
』
このように“あはき”教育全般とそれを担う専門学校の向上を東洋療法学校協会は行います。
なお“あはき”養成施設には種類として専門学校、大学、視覚支援学校があります。専門学校は主に厚生労働省の管轄で職業訓練校の意味合いがあります。私は専門学校卒で“あはき”を生業とするために入学しました。大学は文部科学省の管轄で研究が主目的になります。臨床の専門学校(厚生労働省)に対して研究の大学(文部科学省)という対比視点があります。視覚支援学校はかつて盲学校と言われた(※現在も盲学校の名称は一部使用されています)もので視覚障害者の支援、社会福祉の意味合いが強いです。視覚支援学校の多くは公立です。対して専門学校、大学の大部分が私立です。東洋療法学校協会が主に関わるのは専門学校になります。加盟校は専門学校ばかりです(※例外あり。後述。)。
東洋療法学校協会の会員、すなわち加盟校になるには審査があります。定款には
『
(会員の資格の取得)
第6条 この法人の会員になろうとする者は、理事会の定めるところにより申込みをし、その承認を受けなければならない。
』
という記載があり、専門学校ならどこでも加盟できるわけではありません。この事実が重要で、厚生労働省が設立認可を出した専門学校でも東洋療法学校協会が加盟させない場合があるのです。もちろん学校側が加盟する意志がない、加盟しても脱退するということもあるのでしょうが、東洋療法学校協会の存在目的を考慮すると加盟しないメリットはあまり考えられません。会員には経費支払い義務があり2年以上履行されないと会員資格が喪失されるので、金銭面が理由になることも考えられます。いずれにせよ毎年加盟校を公表しています。現在は2026年度の加盟校一覧を公開しています。所在地が北から順に掲載されています。
注意 ()内は所在地 はき→鍼灸科、あはき→鍼灸マッサージ科、あ→あん摩マッサージ指圧科、あはき教員→“あはき”に加えて教員養成科、があるという意味
<東洋療法学校協会 2026年度加盟校>
・北海道鍼灸専門学校(北海道札幌市西区) はき
・MCL盛岡療大学校(岩手県盛岡市) はき
・仙台赤門短期大学(宮城県仙台市青葉区) あはき ※仙台赤門医療専門学校から加盟校変更
・大宮呉竹医療専門学校(埼玉県さいたま市大宮区) あはき ※旧校名 呉竹医療専門学校
・関東鍼灸専門学校(千葉県千葉市美浜区) はき
・東京呉竹医療専門学校(東京都新宿区) あはき教員 ※旧校名 東京医療専門学校
・東洋鍼灸専門学校(東京都新宿区) あはき
・東京医療福祉専門学校(東京都中央区) あはき教員
・東京衛生学園専門学校(東京都大田区) あはき
・日本鍼灸理療専門学校(東京都渋谷区) あはき
・長生学園(東京都大田区) あ
・日本指圧専門学校(東京都文京区) あ
・国際鍼灸専門学校(東京都葛飾区) あはき
・スポーツ健康医療専門学校(東京都墨田区) はき ※旧校名 了徳寺学園医療専門学校
・日本医専(東京都新宿区) はき ※旧校名 日本医学柔整鍼灸専門学校
・東京メディカル・スポーツ専門学校(東京都江戸川区) はき
・日本健康医療専門学校(東京都台東区) はき
・新宿医療専門学校(東京都新宿区) はき ※旧校名 新宿鍼灸柔整歯科衛生専門学校
・日本工学院八王子専門学校(東京都八王子市) はき
・アルファ医療福祉専門学校(東京都町田市) はき
・湘南医療福祉専門学校(神奈川県横浜市戸塚区) あはき
・横浜呉医療専門学校(神奈川県横浜市北区) あはき ※旧校名 呉竹鍼灸柔整専門学校
・神奈川衛生学園専門学校(神奈川県横須賀市) あはき
・東海医療学園専門学校(静岡県熱海市) あはき
・専門学校浜松医療学院(静岡県浜松市浜北区) はき
・専門学校中央医療健康大学校(静岡県静岡市駿河区) はき
・専門学校名古屋鍼灸学校(愛知県名古屋市中川区) あはき
・中和医療専門学校(愛知県稲沢市) あはき
・京都仏眼鍼灸理療専門学校(京都府京都市東山区) あはき
●【特別会員校】明治国際医療大学(京都府南丹市) はき ※大学
・大阪行岡医療専門学校長柄校(大阪府大阪市北区) あはき
・明治東洋医学院専門学校(大阪府吹田市) はき教員
・関西医療学園専門学校(大阪府大阪市住吉区) あはき
・森ノ宮医療学園専門学校(大阪府大阪市東成区) はき
・履正社国際医療スポーツ専門学校(大阪府大阪市淀川区) はき
・大阪医療技術学園専門学校(大阪府大阪市北区) はき
・大阪ハイテクノロジー専門学校(大阪府大阪市淀川区) はき
・東洋医療専門学校(大阪府大阪市淀川区) はき
●【特別会員校】関西医療大学(大阪府泉南郡) はき ※大学
・兵庫鍼灸専門学校(神戸市中央区) はき
・IGL医療福祉専門学校(広島県広島市安佐南区) はき
・朝日医療専門学校広島校(広島県広島市西区) はき
・四国医療専門学校(香川県綾歌郡宇多津町) あはき
・福岡医療専門学校(福岡県福岡市早良区) はき
・鹿児島鍼灸専門学校(鹿児島県鹿児島市) あはき
・専門学校沖縄統合医療学院(沖縄県浦添市) はき
このように特別会員校2校を除くと全国で44校です。なお仙台赤門短期大学は3年制短期大学で特別会員校になっていません。これは仙台赤門医療専門学校が加盟校で、その仙台赤門医療専門学校が今年仙台赤門短期大学を開設しそこに移行したためです。仙台赤門医療専門学校はありますが生徒募集を停止し短期大学への入学に切り替えています。たくさんあると感じるかもしれませんが、あはき専門学校は81校が私の調べであります(存在していても募集停止の学校は除く)。大学、視覚支援学校の数は入っていません。半分くらいしか東洋療法学校協会加盟校ではないのです。しかも新規加盟や脱退が年ごとにあります。平成12年(2000年)以前から存在する伝統校と言われる専門学校は基本的に加盟校です。1999年の裁判以降急激に鍼灸専門学校が増加しました。それらを新設校と業界では呼ぶのですが、新設校の加盟は少ないのです。だいたい3分の1くらいの割合です。
公益社団法人東洋療法学校協会という法人組織があります。あはき教育の発展を願い活動しています。その加盟校はより良い教育を提供していると考えられ、進路相談に来るプレ学生さんには協会に加盟しているかを学校選択における一つの指標にすると良いと話しています。
甲野 功
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