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~ステマ疑いに確約手続適用~

消費者庁資料より 確約計画の認定について
消費者庁資料より 確約計画の認定について

 

 

もう8月にあった出来事ですが。共同通信で以下のような報道がありました。

 

LAVA運営エステでステマ疑い 消費者庁、確約手続き適用 2025年08月28日 18時20分

 

どのような報道かというと、あるエステサロンの口コミやクーポンにおいて景品表示法における、ステルスマーケティング(ステマ)や有利誤認表示の疑いがあるとして、消費者庁が事業者による「確約手続」制度を適用したというもの。

 

景品表示法とは通称で、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」と言います。ここでいう「表示」とは広告に関わること全般のことでチラシ、サイト、看板、セールストークなども該当します。景品表示法がある目的は、商品やサービスの品質・内容・価格等を偽って表示することを規制し過大な景品類の提供を防ぐためにその最高額等を制限することなどにより、消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ること、にあります。つまり誇大広告で消費者が騙されないようにするため。景品表示法はかつて公正取引委員会が所管していましたが2009年に消費者庁に全面移管されています。したがって本件は消費者庁が行っています。

 

景品表示法では

優良誤認表示(品質・価格・その他の内容について誤認させる広告)

有利誤認表示(価格、その他の取引条件について誤認させる広告)

ステルスマーケティング(ステマ)(広告なのに広告であることを隠すこと)

を不当表示として禁止しています。

これらが疑われた場合、消費者庁は広告を出す事業者に対して合理的な根拠を提示させるように指示し、それが認められない場合は2つの命令(=処分)が下されます。2つの命令とは措置命令課徴金納付命令。措置命令は事業者が不当な広告をしたことを消費者に周知徹底し再発防止を講じ違反行為を繰り返さないようにするようにさせるもの。課徴金納付命令は不当な広告によって得た売上額が一定を越えた場合にその一部を課徴金として支払わせます。

確約手続」とは2年前に法改正され昨年令和6年(2024年)10月1日から施行されたもので、事業者の自主的改善の代わりに措置命令などを免除する制度です。今回は当該エステサロン事業者が提出した改善計画を消費者庁が認定したのです。確約手続が適用されたのは本件で2例目であり、まだまだ珍しいことです。

これまでに何件も景品表示法に関する報道を紹介してきました。今回は法改正により新たにできた「確約手続」について書きます。

 

まずこの報道であった事情を説明します。確約手続を行った事業者はエステサロンを運営していて、その利用者に次回料金を500円割引することを条件に、大手ポータルサイト(口コミサイト)である「ホットペッパービューティー」(リクルート社が運営)に高評価の口コミを投稿させていました。また従業員にも同じように投稿させていました。さらに直近の期間に提供実績のない価格を通常価格としてクーポンのページに併記し、安さを強調していたことが消費者庁の調査で判明していました。利用者の素直な評価に見せかけてサービスにより高評価の口コミを入れされることはステマになります。ステルスとは見つからないように操作するという意味があり、利用者の意見のように見える、実際には広告であるということ。また提供実績のない通常価格を併記してそれと比較して利用者に安いと錯覚させることも有利誤認表示に該当します。実際に消費者庁が問題視したのはステマの部分です。

消費者庁が8月に発表したものが以下の通りです。

 

株式会社LAVA Internationalから申請があった確約計画の認定について

 

消費者庁は、株式会社LAVA Internationalが「フェイシャル専門サロンDanjoBi」と称するエステティックサロン及び「フェイシャル専門サロンMUQU」と称するエステティックサロンで提供する施術サービスについて行っていた表示に係る景品表示法違反被疑事件において、確約手続に付すことが適当であると判断し、令和7年8月4日、同法第30条の規定に基づき、同社に対し、確約手続に係る通知を行ったところ、同社から、同法第31条第1項の規定に基づき、確約計画の認定の申請がありました。消費者庁は、当該確約計画は、前記行為の影響を是正するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同条第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定しました。

 

なお、本認定は、消費者庁が、同社の前記行為が同法の規定に違反することを認定したものではありません。

重要なことはこの事業者が行っていることがステマによる景品表示法違反の疑いがあるとしていること。まだ景品表示法違反と認定していないのです。消費者庁は確約手続に付すことが適当であると判断し、事業者に対して確約手続に係る通知を行っています。事前に反省と再発防止を促した形です。通知を受けて事業者は確約計画の認定の申請を行いました。消費者庁はこの確約計画は前記ステマと疑われる行為の影響を是正するために十分なものであり、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認めました。その結果、消費者庁は確約計画を認定したのでした。

そして『本認定は、消費者庁が、同社の前記行為が同法の規定に違反することを認定したものではありません。』と最後に記載して、確約計画を認定はしたが景品表示法違反と認定したわけではないと注意しています。

 

詳細な内容はこちらに記載されています。

 

景品表示法違反の疑いのあった法令条項は、景品表示法第5条(同条第2号及び第3号(ステルスマーケティング告示))であります。

確約計画の概要としては

(1) 違反被疑行為と同様の行為を行わない旨を取締役全員により決定すること。

(2) 違反被疑行為の内容について一般消費者に周知徹底すること。

(3) 違反被疑行為及び同種の行為が再び行われることを防止するための各種措置を講じること。

(4) 違反被疑行為を行っていた期間に対象のクーポンを利用した一般消費者に対し、支払われた料金の一部を返金する

(5) 前記(1)から(4)までの措置の履行状況を消費者庁に報告すること。

です。事業者として二度としない、周知徹底、再発防止、返金、報告という。提出された確約計画は措置内容の十分性と措置実施の確実性から認定しています。実際に当該事業者はホームページに「指摘を厳粛に受け止め、再発防止に取り組む。深くおわびする」とのコメントを掲載したと報道にあります。

 

違反があった場合に一度反省と再発防止を促し、きちんとそれらの計画を立てて実行することで処分を回避することができるシステム。それが確約手続。昨年10月1日から優良誤認表示・優良誤認表示に対する直罰規定、課徴金の増加という罰が重くなりました。その一方で事業者の自主的な取組の促進を目的とした確約手続も導入されました。厳しくする分、救済処置も講じる。景品表示法の法改正における実態が見えた報道でした。

 

甲野 功

 

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