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~あまし業界の状況についてセミナーをしました~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 アジサイ塾 あまし業界状況 スライド表紙
アジサイ塾 あまし業界状況 スライド表紙

 

 

昨日はあん摩マッサージ指圧専門学校の学生さんが訪れてセミナーを行いました。

 

あん摩マッサージ指圧師按摩マッサージ指圧という3種類の技術を扱うこの資格。頭文字をとって“あマ指”とか“あまし”と省略します。このあまし業界の状況を教える講義を行いました

今年知り合ったあん摩マッサージ指圧専門学校の学生さん。何度か対面しています。私は通称、本科と呼ばれる鍼灸マッサージ科を卒業しています。3年間で鍼灸とあん摩マッサージ指圧を学ぶ科。2日間の国家試験であん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の3資格を一気に取得しました。対してこの学生さんはあん摩マッサージ指圧師だけの科。我が国では視覚支援学校を除く養成施設(専門学校だけになりますが)は3校しかあん摩マッサージ指圧科がありません。3年間であん摩マッサージ指圧師になるための勉強と練習を積む。視覚障害のない晴眼者では非常に珍しいのです。晴眼者のあん摩マッサージ指圧師は多くが私のように鍼灸も一緒に学び資格を取っているのです。

 

今回のあまし学生さんはプレゼン発表をする機会があり、あまし業界について述べるということを知ります。そこに情報提供しますよと私の方から声を掛けたしだい。すると私の想定以上に前向きに話を聞かせてくださいという反応でした。その時点で発表しようと考えている項目も伝えてきました。そのレジュメを読んでどのような事を発表したい、こんなことに不満があるのだな、といったことが分かりました。それを踏まえて補足する情報を提供しようと考えてこちらも資料を作成しました。

 

偶然にも1週間前に同じくあまし学生さんにセミナーを行ったのですが、その時とかなり内容が変わりました。技術的な情報が多かったのですが、今回は社会的な情報ばかり。過去に幾度とセミナーを開催してきて情報と資料はあります。それを再編集して一つにまとめる作業をしました。とんとん拍子で話が進んだので開催日まで時間がなく、開催当日の時間制限があったので項目を絞りました。普段は目一杯詰め込んでしまうところを。またいつもはしないのですが事前に私のプレゼンテーション資料を渡して読んでもらうことにしました。内容を変に切り取られると厄介なのでいつもそのようなことをしないのですが、今回は行いました。それだけこの学生さんの熱意、行動に感銘を受けたのです。

私が母校の東京呉竹医療専門学校(当時は東京医療専門学校)に入学したのが2004年。20年以上前のこと。その頃から今まで業界をみてきました。教員免許を取ったこともあり法律、裁判、事件も調査し、他校の情報も得てきました。学生さんが見ているものと感じ方が違います。どの世界でもあるのでしょうが、やるせない気持ち、納得できない理不尽があります。それをこのあまし学生さんが抱いているのは分かりました。ただ、情報を得ることで見え方が変わるはず、という期待が私にはあります。単純に知識不足。知られていないけれどこのようなことが進んでいるのだよと伝えたい。またなぜこのような問題が起きているのか?それは歴史の延長線上にあるということ。場合によっては100年、1000年前からの流れがある。今現在の状況だけをみて判断してほしくないと思います。学生さんですからそれは仕方ないのですが、積み重なった事例の結果が今である。その過程も知った上で考えてもらいたい。またあましだけでなく鍼灸師、柔道整復師の立場からするとどうなるのか。私はあん摩マッサージ指圧師だけでなく鍼灸も柔道整復も持っていますし業界もみてきました。あましだけでは分からないことがあることも学生さんに伝えたいと考えました。

当日は以下のようなことを話しました。

 

●あん摩マッサージ指圧師という資格が生まれた経緯

大宝律令にもその名前が登場する按摩。その按摩が今のあん摩マッサージ指圧師に繋がります。そして我が国では視覚障害者(当時は盲人といった)の生業として鍼や楽器演奏と並んでありました。視覚障害者支援という一面を按摩は担ってきたこと。明治維新後の近代化による伝統医療の排他政策。戦後GHQによる東洋医学排斥。これらの大きな困難をどう乗り越えてきたのか。

 

●HS式無熱式高周波事件と昭和35年判決

新しい今の関係法規の教科書には掲載があるこの裁判。数十年前の判例が現在に大きく影響していることを知ることから始まります。業界で“昭和35年判決”と処される最高裁判所判決はどのようなもので、何をもたらしたのか。

 

●あはき法第12条問題

あはき法とはあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に係る法律です。その第12条ある「医業類似行為」。医業類似行為とは何かということが争点となっています。その解釈は平成に入り変わっています。少なくとも行政はそうです。まだ関係法規をきちんと習っていない学生さんにはかなり難解だとは思いますが敢えて話しました。

 

●福岡裁判

柔道整復専門学校新設を巡って福岡の事業者が国(旧厚生省)を相手に起こした裁判。この裁判で国が敗訴した結果、柔道整復師と鍼灸師の養成施設(専門学校、大学)が爆発的に増えることになります。ポイントはあはき法第19条。この法律が該当するからと新設を認可してきませんでした。内容を踏まえて裁判の内容を話します。これにより業界内で“伝統校”と“新設校”という概念が生まれます。

 

●鍼灸師、柔道整復師、理学療法士の現状

福岡裁判以降、鍼灸師と柔道整復師の数は激増します。専門学校、大学が大幅に増えたからです。理学療法士は福岡裁判とは関係なく学校が増加しています。これらの資格者が増加した事実を数字とグラフに示して説明しました。

 

●あまし養成施設新設裁判

一方であまし専門学校は増えません。それはあはき法第19条によって制限がかかっているからです。平成の終わりに福岡裁判のようにあまし専門学校新設を国に認めさせるための裁判が起きました。最高裁判所まで進みましたが原告の敗訴に終わります。あまし学生さんは当事者とも言えますのでぜひ知ってもらいたい。

 

●総務省の大規模調査と勧告

令和に入り医業類似行為等による健康被害が報告される事態を踏まえて総務省が大規模調査を行いました。いわゆる医業類似行為とエステティックによる健康被害が起きていることが判明。またその対応に問題あることが判明します。調査結果を踏まえて総務省は消費者庁と厚生労働省に対して是正勧告を出します。さらにその勧告を受けて行動に移しているのかフォローアップというチェックを総務省は2度行っています。その事実を説明しました。

 

●広告検討会とあはき・柔整広告ガイドライン

医療広告ガイドラインにつづいて開業権のある国家資格あまし、鍼灸、柔道整復に関する広告ガイドラインを作成することになり広告検討会が設置されます。コロナ禍による中断を経て6年かかり、今年2月に正式施行された通称「あはき・柔整広告ガイドライン」。広告検討会の内容から本ガイドラインの内容まで説明しました。

 

●全鍼会の活動

業団と言われる師会。公益社団法人の師会が3つあることが業界の弱点となっています。国はどこに話をすればいいのか迷いますし、医師会も看護師会も一つで複数あること自体異例であることを説明します。その上で全日本鍼灸マッサージ師会(通称、全鍼会)は無資格マッサージの根絶を目標に掲げており活動していることを話します。あはき・柔整広告ガイドラインにNHK・民放連への告知。先のドキュメンタリー番組の件も。

 

あまし学生さんにはかなり難しく幅広い内容だったはずです。国家試験を突破した教員養成科学生でも大変でしょう。それを、メモをびっしりと取りながら説明を聞いてくれました。また質問、意見をぶつけてきて。その様子や話す内容から非常に聡明であると私は感じました。ジャーナリスト気質があるのだとも思いました。セミナー後の感想で『自力では着眼できていなかった大事なことが沢山!』というコメント。そして『骨は折れるがリーガルリテラシー付けていきたいと思います』という所信表明。この言葉使いからも優秀さがうかがえました。

 

技術、知識を学ぶのは最低限のこと。更に業界の状況を学び、声をあげていこうとするあまし学生さんがいました。そこに微力ながら手助けできたと思っています。将来期待できる学生さんとの貴重な時間でした。

 

甲野 功

 

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