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先日以下のような報道がありました。
HTB北海道ニュース
施術せずに保険金約110万円を請求か 会社社長ら7人逮捕 従業員らに整骨院で施術を受けさせたように装う 2025年11月 5日 17:45 掲載
交通事故での保険金(おそらく自賠責保険だと思われますが)を事故被害者が整骨院で施術を受けたことにして保険金およそ110万円を騙し取ろうとして逮捕された事件です。この手の事件は過去にたくさん起きています。私は柔道整復師であり整骨院勤務時代に交通事故の自賠責保険を扱ったことがあるので状況が分かります。交通事故を起こした方は良心の呵責があるため怪我の治療や物理的損害を賠償しようという気持ちがあります。20年くらい前は交通事故の保険審査が厳しくなく、整骨院での保険適応もかなり簡単に認められていました。
本事件は詐欺未遂での逮捕、送検です。逮捕者は建築会社の社長、会社従業員4名、柔道整復師1名、保険代理店勤務者の合計7名です。7名もの逮捕者が出たことがまず気になりました。
報道によると事件のあらましはこの通り。まず昨年2024年2月に建築会社従業員4名が車に乗っていて、札幌市の作業現場で別の車と衝突します。交通事故です。おそらく勤務中の交通事故だったのでしょう。事故のことを建築会社社長が知ります。この建築会社社長は保険代理店に勤務する知人に整骨院の紹介を依頼します。保険代理店勤務者は柔道整復師を建築会社社長に紹介します。柔道整復師の整骨院で事故にあった従業員4名が合計47回ほど施術を受けたことにして、施術料約110万円を保険会社に請求して騙し取ったという。請求を受けた保険会社は整骨院に問い合わせたところ、交通事故に遭った従業員の通院事実が確認できず、警察に通報して事件が発覚したというもの。
こういっては問題があるかもしれませんが、これまでによく聞く交通事故保険金詐欺事件です。
従業員が事故に遭ったことを知り、事故による保険金を取ろうと考えた社長。
社長に犯行の手助けをしてくれる柔道整復師を紹介した保険代理店勤務の者。
虚偽の書類を作成して行っていない施術料を保険請求した柔道整復師。
ここまでは納得なのですが、事故にあった従業員4名も逮捕されています。最初私が思ったのはたまたま交通事故に建築会社従業員が遭って、これはチャンスと建築会社社長が保険金詐欺を画策した事件だと思いました。しかし検知各社従業員4名も逮捕されています。どちらかというと従業員4名は詐欺に巻き込まれた方ではないのかと思ったのです。しかし報道の最後には『警察は7人の認否を明らかにしておらず、誰が詐欺を計画したのかなど、余罪を含め調べを進めています。』とあり、従業員4名も詐欺を計画した可能性があると警察は考えていることがうかがえます。更に『余罪を含め』とあるように本件以外も同様の事件を起こしているかもしれないという。この手の交通事故保険金詐欺事件の報道は過去に何例も知っていますが、映像で報道することは珍しいと思います。顔をフードで隠しているとはいえ保険代理店勤務の容疑者の姿を撮影し、保険代理店、建築会社、整骨院まで映しています。極め付きはリポーターが整骨院まで出向いて休業している様子をレポートしています。かなり人員を割いている印象です。またこの手の報道では実名を出さず、“柔道整復師の男”とか“建築会社社長”などとする場合が少なくありません。事故に遭った従業員4名も全員実名と年齢まで出しています。
更に柔道整復師である私の立場からするとよく分からない点があります。それは逮捕された柔道整復師が経営する整骨院に保険会社が問い合わせたが通院事実が認められなかったという点。自賠責保険でも健康保険でも書類は代表者(施術管理者)が記入するはずです。それを逮捕された柔道整復師が行っていたという。その整骨院の経営者なのですから、保険会社からの問い合わせも対応できたと思うのです。これは他のスタッフが対応し、施術履歴が無かったと回答したのでしょうか。普通は書類を書く柔道整復師、すなわち容疑者に確認させるのではないでしょうか。どうのように事件が発覚したのか腑に落ちません。このような不正を働くなら手を打っておくような気がします。
事故に遭った従業員4名も逮捕ということは共犯であると警察がふんでいることでしょう。保険金を請求する際に従業員4名も署名するなどしているでしょうし、保険会社との照会で整骨院にかかっていると回答したのでしょう。不正を理解して共犯関係になったのでしょうか。大した問題にはならないと認識していたのでしょうか。
実は大きなポイントは、交通事故が起きたときに整骨院にかかったと偽り保険金を保険会社から請求するという手口、それを知っていたということ。過去に報道されているから手口を知っていたかもしれませんが実行に移すというのはなかなかできないことです。不正に加担する柔道整復師を紹介してもらうために(知人である)保険代理店勤務の容疑者に話をしている。そして保険代理店勤務の容疑者は共謀してくれる柔道整復師を知っている。柔道整復師なら架空請求になるので罪になることは理解しているはずです。全く知らないのならば書類作成ができません。虚偽の施術報告をするのです。なぜこのように保険金詐欺のやり方を知っている者がすぐに見つかったのか。警察は『誰が詐欺を計画したのかなど、余罪を含め調べを進めています』という。それはもしかしたら主犯が保険代理店勤務の者か柔道整復師かもしれないこと、また過去に何度か同じような手口で詐欺を働いているのかもしれないということかもしれません。従業員も含めて。裏で捜査はかなり進んでいて逮捕に踏み切ったのかもしれません。職業がらこのような事件報道があるとチェックをしていますが、報道内容に力が入っていて容疑者の氏名、年齢、職場まで映像に出していることに違和感を覚えます。発覚していない更なる事件があるのかと思わせるような。
札幌では過去に個人で10年にわたり交通事故による保険金詐欺を働いていた整骨院があったと報道されています。そのため厳しく取り締まるのかもしれません。何にせよ不正によってお金を騙し取ろうという行為はいけません。私も柔道整復師として犯罪の片棒を担がないように今後とも注意しないといけません。
甲野 功
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