開院時間
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昨日は最近来院するようになった学連選手の競技を観に、獨協大学まで行ってきました。
学生競技ダンス連盟、通称「学連」。私は東京理科大学に入学し、学連の世界と出会い、今の生活に至りました。大学4年間で最も時間と情熱を捧げました。今の仕事、開業している状態も学連時代の熱が原初になっています。学連選手時代に3流選手だった私は競技で勝てない人を勝てるようにしたいという気持ちがずっとあります。私は学連生活4年間で42回1次予選落ちをしています。この数字は異常で、まずこんなに大会に出られません。理由は当時の東京理科大学舞踏研究部はモダン(現在はスタンダードという呼称)専攻の選手が非常に少なく、本来は最上級生からエントリーするレギュラー戦に2年生の始めから2種目エントリーしていました。レギュラー戦はモダン8枠あり、1組で最大2種目(2枠)出られます。4年生が4組いれば4年生だけで枠が埋まってしまいます。ところが私が2年生のときは4年生が0、3年生が2組で後期には1組に。2年生は私を含めて2名しか男性(リーダー)がいません。そのため2年生以降毎回のレギュラー戦に出場し続けます。そこに加えて、現在よりもずっと競技会が多かったわけです。途中カップル解消をして1大会だけ欠場しましたがすぐに新たな相手と組み、また出ずっぱりでした。そして1次予選落ちの山を築いていったというわけです。特に2年生の時は1大会で2次予選落ちしただけで、他の全ての大会で1次予選落ちしました。3年生になって成績が上がってきた矢先にパートナーと解消してしまいます。組み直してまた1次予選落ちに戻るのです。これだけ1次予選落ちしていると、どうしてダメなのかという悪い方のノウハウが蓄積されます。自分を反面教師にして後輩には逆このことをさせて、強豪選手に育てたのが自信となり今に至ります。
強豪選手にするには1年時の基礎が大切。基礎が大切というのはどんなジャンルでも同じ。1年生のときに良い練習をすればだいたいの選手は強くなると考えています。それは技術、知識、思考、肉体など多岐に渡ります。残念ながら致命的に運動神経というかダンス神経が悪い人は稀にいます。恐ろしく不器用。そういう場合はかなり厳しいですが、あまりいません。かつてはスキップができれば社交ダンスはできると言われていました。競技として競うにはそれだけでは足りませんが、身体面を改善すればある程度の成績まで行ける望みがあります。そのために身体面でサポートするのが私の仕事だと考えています。
最近来院しているのが学連の1年生選手。当院には各代選手が来ますが、1年生が一番難しいです。1年生では知らないことが多すぎます。そしてやることも多い。環境もかなり特殊です。今回観戦した天野杯でそれを再認識しました。
学連は社交ダンス界において他に類のない特殊な環境です。基本原則に「競技会は学校を背景とする団体競技を主体とすること」とあります。大学ごとでペアを組んで競技会に出場します。男女で組みます。今はアマチュア競技会(プロアマ戦も含む)では女性同士、男性同士、ソロ(一人だけ)という競技区分がありますが、学連は男女ペアが基本。シャドーコンペという一人で踊る競技会が近年できましたが、本筋とは別です。あくまでも男女ペアで行う競技会です。ですから大学内で男女比が違うとあぶれてしまいます。概ねどの大学も2年生の夏頃に固定カップルといって決まった相手とペアを組みます。同級生がいない場合は上下の代と組む場合もありますが、相手が卒部してしまうと一人になります。どうしても数が合わない場合はシャドーといって他大学で同じようにシャドーになった選手と組むことができます。なおシャドー選手は様々な制約が課せられます。1年生はローテーションといって大会ごとに相手が変わります。1年生同士でなるべく試せるようにするためです。1年生時にシャドー制度はないので同大学だけでローテーションをします。仮に1年生が男女一人ずつしかいなければずっと同じローテーションに。まずそのようなことはありません。だいたい女性(パートナー)の方が多く、男性(リーダー)が足りないです。
1年生が出る競技区分をジュニア(Jr)と称します。2年生、3年生をシニア(Sr)といいます。レギュラー戦は部歴の枠がないのでJrもSrもありません。ルール上は1年生でも4年生でも出場できます。レギュラー戦以外の大会を招待試合とかジュニア戦と呼びます。1年生だけのJrと2、3年生のSrは混ざることがなく、Jr部門で各種目の優勝者を決め、Sr部門は別に優勝者が決まります。
学連では2年生になるときにスタンダードかラテンアメリカンか専攻分けをします。東部日本ブロック以外では2年生校も両方やる場合もありますが、専攻は決めます。2年生以降は専攻の種目に専念して競技をしていきます。現在は逆専攻の種目を踊る公式戦は東部日本ブロックではありません。私の頃はモダン新人戦・ラテン新人戦という逆専攻も踊る競技会がありましたが、東部ジュニアを含めて前期新人戦・後期新人戦に統合されております。これが1年生のうちはスタンダード・ラテン両方の競技会に出場します。専攻分けの前に両方体験しましょうという。アマチュアやプロは両方するのが一般的で片方に大いに偏る学連が特別なのですが、4年間という制限があるので満遍なくどちらも練習する時間が取れません。1年生で両方は終わりです。つまり1年生は練習するジャンルが2つあります。そして近年学連も10種目になりました。私の時は8種目でした。今の1年生は大学にもよりますが競技会でまだ踊らないタンゴ、スローフォックストロット、サンバ、パソドブレもステップを年内で覚えるようになっています。そこにウィンナーワルツとジャイブが入ってくるわけです。覚える種目が増えています。
そしてローテーションの関係で種目ごとに相手が変わるパターンもあります。今回の天野杯という大会ではJr部門はワルツ、クイックステップ、ルンバの3つです。ワルツ、クイックステップがスタンダード種目、ルンバがラテンアメリカン種目です。大学ごとの事情によりますが3種目全て相手が異なるという場合もあります。そうなると種目毎に相手と練習時間を確保しないといけません。癖も違います。ワルツとクイックステップは同じスタンダードですからやりやすいのでこの2種目が同じ相手だとまだいいのですが。そして1年生の予選ではリーダーの力量が大きく成績に左右されます。社交ダンスの特性上いかんともし難い事実。実際にある種目は1次予選落ち、ある種目は決勝に残るということが同じパートナーであるのです。それは組んだリーダーの実力そのものという。レベルが段違いのパートナーであればリーダーを引き上げることができますが、1年生同士ではそう簡単なことではありません。パートナーはローテーションで組むリーダーによって成績が直接影響を受けやすいのです。
では上級生と組んだらどうでしょうか。1年生のパートナーが同期リーダーの3倍より多くいると競技会(今回は天野杯Jr部門)に出場できません。経験を積ませるために上級生リーダーが1年生パートナーと組んでJr戦に出場することが現在はあります。なお私の頃にはありませんでした。そうなると圧倒的に有利になります。ですから現在のルールでは上級リーダーには1次予選から審査員がチェックを入れないように指示されます。大会規定ではリーダーは白いワイシャツを着るのですが、上級リーダーの場合は黒いワイシャツを着て、一目で分かるようにしています。この場合、出場する1年生パートナーにとっては本番で練習をするという感覚です。どんなダンスをしても結果は1次予選敗退なのです。一方で上手なリーダーと実戦形式で踊れるというメリットがあります。
上級生パートナーと1年生リーダーが組む場合はどうでしょうか。レベルが格段に上のパートナーと組んでJr部門で1年生カップルと競う。こちらも上級リーダーよりは劣りますが有利に働きます。この場合も大会のルールによりますが、今回の天野杯では最終予選である3次予選で落ちることになります。審査員に上級生パートナーのカップルにチェックを入れないように指示が入ります。ですからどんなに上手なダンスをしても3次予選で敗退してしまいます。この制度は割と最近導入されたようで、新型コロナ前は無かったと記憶しています。東京理科大学の後輩でも上級生パートナーでJr部門の優勝をたくさんしてきました。クラス分けはリーダーの部歴という原則に則り、4年生のパートナーと組んでも1年生リーダーならそのまま審査されていました。歴史的にリーダーが余る東京理科大学舞踏研究部だからこその事態でしたが。男女平等が進み、上級生パートナーは有利だということでしょうか、今は予選までというルールとなっています。ただしこれはJr部門だけ。Sr部門、レギュラー戦では上級生と組んでいようが関係なく審査されます。極端な話、レギュラー戦に1年生リーダーと4年生パートナーで出場しても審査員には何も指示がいきません。
つまりJr部門では準決勝以上は1年生同士のカップルしか残らないようになっています。
1次予選から観戦しましたが、決勝まで残る組はさすがに上手になっています。先月のミニ東部戦でもJrの決勝を観ましたが、レベルが上がっています。1年生はほんのわずかな時間で上達します。それはひと月という単位ではなく、1日、数時間、数分、数秒というレベルで。数秒で変わるのか?と思われるかもしれませんが、一言アドバイスを受けて変わることはままあります。また競技会当日で上達していきます。観ていた選手は決勝まで残ったのですが、1次予選と決勝ではかなり上達していました。経験が乏しい分だけ一つ予選を勝ち上がるだけで別人のように変わることがあるのが1年生であり、ジュニア戦というもの。それを再確認できました。
甲野 功
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