開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

昨日は『2025年度第70回全日本学生競技ダンス選手権大会』の観戦のため埼玉県草加市の獨協大学35周年記念館まで朝早くから行きました。昨年も第70回全日本学生競技ダンス選手権大会に行ったとブログに書いています。新型コロナの混乱で主催の東部日本学生競技ダンス連盟が大会回数を間違えてカウントしたようで今年が本当の第70回。混乱を避けるために“2025年度”と頭につけたものが正式名称になるとしています。
学生競技ダンス連盟、通称「学連」。社交ダンスを競技として行う競技ダンスを行う大学生の組織。学生の自主運営を基本としています。私も1996年に東京理科大学に入学して学連の世界を知ります。学連は地区ブロックで分かれていて、北から北海道ブロック、全東北ブロック、東部日本ブロック、中部日本ブロック、関西ブロック、中四国ブロック、全九州ブロックの7つあります。私の母校東京理科大学は東部日本ブロックに属します。全国7ブロックの大学すべてが出場する全日本選手権が例年12月最初の日曜日に行われます。なお7月には各ブロックから選抜された学校が出場する全日本選抜があるため、12月の全日本を「冬全」、7月の全日本選抜を「夏全」と称するのが慣習です。夏全と違い、学連加盟校はどこでも出場することができます。そして各ブロックで推奨選手として個人でのエントリーが一部認められています。
冬全は学連最大の大会であり、部歴4年生はこの冬全が最後の公式戦となるため最重要な大会。学連選手は4年生の冬全で優勝し学生日本一の称号を得ることがほぼ全員の目標となります。冬全は学連での他の大会と一線を画すもので会場の雰囲気は別格。出場校・出場選手の数はもちろん、応援にくる観客の数も桁違いです。
冬全はまた特別なルールが存在し、単種目戦です。競技ダンスは社交ダンスを競技として行うのですが、スタンダード・ラテンアメリカンの2部門で各4種目ずつ、合計8種目のカテゴリーがあります。本来は合計10種目ですが今年の冬全は従来通り8種目での開催です。夏全は既に10種目(5種目総合戦)になっていて来年以降ルール変更があるかもしれません。冬全は各カップル1種目しか出場できず、1種目だけで成績を出すというのは、初心者の競技会を除くとまずなく、学連特有のシステム。4年生は4年間の集大成を一つの種目にかけるのです。よって冬全では毎年8組の全日本チャンピオンが誕生します。そのため最後にチャンスがあるともいえます。
私がこの仕事に就いた大きな理由は社交ダンス関係者のサポートをしたいという願い。特に学連選手のケア、サポートをしたいという気持ちが強くありました。四半世紀に渡って学連選手のパフォーマンスアップを研究。あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業したのもその環境を自ら創り出した結果です。そして4年生の冬全を一番重要視していて、4年生の冬全で結果を残せるようにという願いが強くあります。それは私自身が学連時代、4年生の冬全の約10日前に自主練習で太もも裏を肉離れしてしまい、直後はまともに歩くことができなかった経験が大きく関与します。当時は知識がなくどうしていいのか途方に暮れて自然治癒に頼りました。太ももに違和感を覚えての競技会でした。たらればの話ですが万全のコンディションであのフロアーに立ったならと考えてしまいます。
また誰もが出場できるとも限りません。私は3年生の夏にカップル解消をして1年間組んでいたパートナーがいなくなりました。二人で行うペア競技でやっと入賞できるようになった矢先のことでした。次の相手がいたから良かったのですが相手と組めなければ当然出場できません。そして相手が自分の大学にいないと困難です。私の頃は存在しなかった制度ですが、シャドー制度というものがあります。自分の大学内に相手がいない場合は他の大学と組むことができます。それをシャドーカップルといいます。競技ダンスで一人で練習することをシャドー練習ということからその名がついたと思われます。学校を背景とした団体競技であることを原則とする学連でも大学の垣根を超えたカップルは特例扱い。様々な制約があります。その一つが冬全に出るためには、東部日本ブロックに関しては、秋の東部戦で準決勝以上まで勝ち進み「東部推奨選手」にならないといけないのです。秋の東部戦は東部日本ブロック全ての大学が出場する大会でかつて東部Ⅰ部戦といわれていたものです。(※来年からコロナ前まであったⅠ部校、Ⅱ部校の制度を復活させる予定があるとのこと。来年から東部Ⅰ部戦に戻るかもしれません。)このシャドー制度により過去に後輩たちは何人も冬全出場が叶わず卒部していきました。エントリー数を埋めるために2年生のときは出場できたのに、途中でカップル解消してシャドーカップルとなり東部で予選落ちしてしまうなど。4年生の冬全を経験しないまま学連を終えることの無念さをたくさん見てきました。今年も当院に来ていたある学連4年生が先月の秋東部で予選落ちしてしまい冬全出場できませんでした。また層の厚い大学では4年生でも出場できない場合があります。母校の東京理科大学でも全盛期で冬全団体3位をとった年は4年生が多くてモダン(スタンダード)5組いたため1組がシャドーカップルではありませんが出場できず。他にも大学によっては完全実力制をとるところは強い下級生に出場枠を取られて冬全出場ができないこともあります。あと稀ですが出場停止処分や部活動停止処分を受けて出場できないことも。
そのような障壁を越えて冬全に出場する4年生が来院してきました。最後の勇姿を目に焼き付ける、応援するために今年も会場に行きました。今年の4年生はほぼ新型コロナの影響が終わった年に入学した世代。マスク着用で競技会をしたことを知る最後の世代でしょうか。密を避けるために無観客、2日間に分けての競技会開催だったコロナ禍の4年間。入部した年の冬全が有明アリーナという大会場を使用し、数年ぶりの有観客で1日開催の冬全だった学年です。あの年の冬全からコロナを乗り越えたと感じる象徴的な大会。それを1年生で経験した世代です。当院に来た学連選手は全員その後の競技会結果をチェックしています。昨日の冬全では1年生の時に来院してまだスタンダード・ラテンの専攻分けもしていない状態だった選手が4年生として最後の冬全に臨む姿がありました。知識も技術も知らなかったあの頃から3年間でこれほど踊れるようになっている。それだけでも感動です。学連を4年間続けて卒部することがどれだけ大変なのかを知っていますから。
一人、2年生の頃からずっと来院していた選手がいます。途中上手くいかないことだらけでした。最後に冬全ファイナルに残り日本一に挑戦できるところまで行きました。過去の成績から考えたら奇跡といえるくらい。いつ敗退するかもと祈るように最後まで見ていました。冬全開催の週は3回も来てコンディションを調整して。ここまで信頼されているのは私にとって術者としての誇りです。
当日。朝から会場に行きました。コロナ以降入場にチェックが必要。入場に時間がかかると思い早めに到着。チェックの人数が増えていてスムーズに入れました。パンフレットに広告を出していることもあり購入しました。かなり売れているようで出した甲斐があります。予想はしていましたが昨年よりもずっと観客が多くコロナ前の冬全に近付いています。1次予選から混雑。名だたるプロがうろうろしている。教え子の応援や視察、OBOGとしてなど理由は様々ですが同窓会の雰囲気もあります。私の年齢でも確認できるだけで2名同期のプロが会場にいました。
今年の冬全は2日間開催。フォーメーション競技を前日に行います。会場を借りる時間の関係で別日にしないといけません。フォーメーションとは最大8組で行う団体でのダンス。フロアーに1大学ごとに踊りジャッジが採点して順位を決めます。日本では公式に競技ダンスのフォーメーション種目をしているのは学連だけ。学校を背景とする団体競技という原則を最も体現しています。冬全フォーメーション競技に出場できる枠は制限があります。東部日本ブロックからは4校だったのですが今年は6校に増えました。またフォーメーション競技だけの日にしたため出場校が昨年の9校から13校に増えていました。前日の競技会で電気通信大学フォーメーションチームの3連覇が成されました。その前の王者だった大阪大学がフォーメーション競技に復帰を果たしましたが万全ではなかったことが動画から分かりました。過去に2回、翌年のスーパージャパンカップという競技会で優勝校はフォーメーションを披露しています。来年も電気通大学が出場するかもしれません。
昨日は個人戦のみ。例年昼休み後にフォーメーション競技が挟まっていましたがそれがなく早いテンポで大会が進んでいきます。1次予選からハイレベルになるのが冬全です。コロナ禍により全国的にも廃部があり選手層が薄くなりました。一方で近年は部員数が戻ってきて選手が増えてきてもいます。各ブロックで推奨選手が出ていて、今年は北海道推奨2組、中部推奨2組、関西推奨5組、中四国推奨1組、九州推奨2組と東部日本ブロック以外にも推奨選手が多くなってきました。ちなみに東部推奨は14組エントリーしています。ですから出場選手数はコロナ前と変わらない数になっているかもしれません。この推奨枠も他ブロックでルール変更があったようです。
審査をする先生は各11名で合計22名。プロ3団体(JBDF、JDC、JCF)、各地区(北海道、東部、中部、西部、九州)から集まっています。審査員だけでも全国から22名ですからその規模が分かります。審査員の数は段々と増えていきました。私が4年生のときの冬全は7名だったので4名も増えています。偏りをなくすためには11名必要ということに。誰もがそうとはいいませんが自分の地域の大学に点を入れるということが起きることがあるわけです。過半数が一つのポイントで11名の過半数6名で順位が決まります。7名の審査だと4名。11名いると個人の偏り(バイアス)がほぼ影響しないそうです。
2次予選になるとフロアー内の風景が変わります。動きが甘い選手が一掃されて運動量が大きく跳ね上がります。スピードが違うというか。今の冬全は予選のうちはフロアーのある1階に応援は降りることができません。上から見ていると全体が見えるのでそのスピードが変わることがよく分かります。1次予選を突破するのも簡単なことではないのが冬全です。そしてコロナ禍を乗り越えてレベルが上がっています。
準決勝戦には12組が残ります。仕方のないことですが同点決勝という点数がボーダーで並んだ選手を集めて再審査をすることが何種目もありました。それだけ拮抗している。11名のジャッジで好みが分かれるということ。準決勝に残るか否かで全然違うので重要です。ちなみに私の最後の冬全でも同点決勝があり、そこに残れませんでした。結果が出ないまま昼休みに突入、フォーメーション競技が始まるという段階まで結果が分からず妙な期待を持たされたまま時間を過ごしたものでした。応援している選手の多くが準決勝戦に残り安心しました。
準決勝戦。ここで上位決勝戦と下位決勝戦に選別されます。応援もダンスも熱を帯び学連特有の音楽が聴きにくいほどの声援に包まれます。12~13組が一度に踊るためぶつかることもあります。ヒリヒリとした環境。今はテクノロジーが発展していてすぐに結果が出ます。私の頃は全て手で計算していて本部席は事務作業に没頭する連盟委員が目を血走らせていたものですが。選手にはアプリで情報共有。採点結果もすぐに出ます。応援している選手が何位で準決勝に残ったかも分かるのでだいたい上位決勝に残れるか予測がつきます。幸いなことに応援している選手の半分以上は上位決勝戦、すなわちファイナリストになることが分かり一安心でした。
準決勝戦の直後に下位決勝戦が始まります。下位決勝戦も学連特有のシステム。レギュラー戦といわれる選手権大会独自のルールで概ね7位から13位までの順位を付けるために準決勝で上位決勝戦に残れなかった選手が再度踊ります。冬全の下位決勝戦は4年生にとって最後のダンス。学連選手は公式戦でこれが最後のダンスだと認識して踊るのは冬全で優勝してオナーダンスをするかこの下位決勝戦だけ。それ以外は結果が出て、あああれが最後のダンスだったのだな、と知るのです。その意味で下位決勝戦は幸せでもあり残酷でもあり。4年生カップルはだいたい泣いています。こんなところで終わりたくなかったという悔しさとこれがラストだと分かっている達成感。毎年涙が多いフロアーです。
冬全の特徴ですが、下位決勝戦・上位決勝戦ともに全員が踊り終わると種目毎に選手が一列に並んで一礼します。これは冬全の風物詩の一つでこの場に来院している選手が立った姿を見るだけでも会場に来た甲斐があります。写真撮影する専門のカメラマンも数が圧倒的にいます。メディアから派遣されたプロカメラマンもいます。学連最後の貴重な思い出を姿に残すのです。
上位決勝戦。ファイナルソロといって1組ごとに踊ります。その後に全組で同時に踊ります。上位決勝戦は一人ずつ見られるので誤魔化しが一切ききません。ここまで来ることがいかに大変か。今の4年生は上級生がコロナ禍で少なかったため、2年生から冬全ファイナリストだった者が少なくありません。一方で下級生が増えていき自分たちがそうだったように3年生や2年生のファイナリストがその席を奪いにきています。かつては4年生でほぼ占められていた冬全ファイナルも3年生が多くなってきました。そしてプレッシャーのない3年生たちがのびのびと踊ります。単種目戦ですから1種目だけにかけている。その集中力の結晶がフロアーに出ます。そして全日本戦。普段目にしない他ブロックの強豪選手がいます。
優勝者がオナーダンスというお披露目をします。フロアーに一組だけで踊る。全国から集まった選手、応援の中で。毎年様々なドラマがあります。今年は無敵の中央大学のカップルがラテン種目完全制覇、通称グランドスラムを達成しました。これは春東都戦・春六大学戦2種目、春東部戦2種目、夏全総合、秋東都戦・秋六大学戦2種目、冬全で全て優勝すること。出場した公式戦で一つも優勝を逃さないというもの。私の記憶では3組目で、1997年の筑波大学ラテン、2006年の東京理科大学ラテン(後輩です)、以来。しかも最激戦区のチャチャチャで冬全優勝です。過去にも近い成績を出した選手はいましたが完璧に取りこぼしなく1年を終えたのは数が多くありません。今年の地方大会で優勝を逃したものがありましたがレギュラー戦では完全な優勝。地方ブロックのことは、情報が定かではないのと環境が異なりますので分かりません。約20年ぶりに記録を出したと思われます。スタンダード種目最激戦区のワルツでは夏全チャンピオンの北海道大学が電気通信大学の選手に敗れて準優勝。優勝した電気通信大学の選手は2年生の頃から冬全ワルツの部ファイナリストであり、3度目の正直での優勝でした。好みが分かれるところですが直接見た上で私は電気通信大学の勝ちかなと思いました。タンゴは昨年3年生でクイックステップで優勝した上智大学の選手が優勝し冬全2連覇。圧巻でした。そのクイックステップでは上智大学3年生選手が優勝という昨年をなぞる結果に。サンバは北海道大学の選手が優勝で、結局地方ブロックで唯一のチャンピオンでした。ルンバは早稲田大学の4年生選手が優勝。スローフォックストロットは東京大学の3年生カップルが秋東部戦に続いて優勝。パソドブレは電気通信大学が優勝で、春東都戦、秋東都戦、秋東部戦に続く優勝であり春東部戦以外全てのレギュラー戦でパソドブレ優勝を果たしました。フォーメーション競技の優勝も電気通信大学であり、今年は東部日本ブロックが9部門中8部門優勝。もともと全学連の半分が東部日本ブロックに固まっていました。人数比で言えば圧倒的なはず。近年は地方ブロックが強くなってきて冬全チャンピオンが各地域から出ていたのですが、東部の選手層が厚くなってきたのか圧倒する結果になりました。団体成績は北海道大学の優勝で冬全4連覇。夏全も団体優勝をしていて、夏冬両方で団体優勝は4年連続です。
今年も冬全が終わりました。自分にとっても一区切りです。しかし次の世代は成長していて、当院にも1~3年生が来院しています。頼ってくれる選手のためにも状況を把握してサポートに努めます。もう来週は3年生以下で最大規模の大会、ツバメ杯があります。来年のレギュラー戦を占う新世代の戦い。1年生のジュニア部門も全国から200組を超える規模。この選手たちが4年生の冬全で結果が残せるように気持ちを切り替えていきます。
甲野 功
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