開院時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休み:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:[email protected]

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~人生の棚卸し~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 紫陽花
人生の棚卸し

 

 

棚卸しという用語があります。会計業務に用いられ、企業・店舗にある商品や製品などの在庫数を調べることです。私は大学を卒業して新卒社会人のときに半導体商社に就職しました。東京理科大学で4年時は半導体の研究室に入って青色発光ダイオードを研究していました。技術部門希望で入りましたが商社である以上、在庫管理や物流などの基本を新入社員研修で学びました。またあん摩マッサージ指圧師・鍼灸師の資格を取った現在の職業における新卒で入った職場が鍼灸整骨院で年末に棚卸し業務があり若干作業していました。棚卸しをするのは企業あるいは個人が利益を正確に計算するためです。仕入れた商品や製品のうち、どれくらい売れてどのくらい残っているかを把握しないと利益を確定させることができません。私の仕事はモノを仕入れて売るわけではないので在庫管理は必要ありません。鍼などの消耗品がありますが使用期限が年単位でありますし、鍼そのものを売っているのではなく鍼を利用した技術を売っています。多くの企業やお店では決算時に棚卸し業務が必要になると思いますが私の場合は基本的に必要ありません。ただし毎月の月末時にどれくらい資産があるのかは正確に把握するようにしています。即現金化できるもの(実質現金と同様な効果があるもの)は全て数えています。商品券、切手、ポイントなど。これは仕事だけでなくプライベートのものも全てひっくるめて。

 

今年5月であじさい鍼灸マッサージ治療院を開院して11年。個人事業主になって13年。そして今年父親が亡くなり父の行っていた業務も継承しました。新しいフェーズに入り多くの混乱、戸惑いがあります。1月はじめに父が急死してから、今年はずっと手続きだらけです。区役所、出張所、年金機構、霊園、火葬場、葬式所など幾多の施設に行って手続きをしました。私だけでなく高齢で色々なことができなくなっている母の分も。どれだけ書類を書いて電話をしてメールのやり取りをしたか。この文章を書いている日も区役所出張所に行きました。人生で初めて書いて裁判所、法務局にも行きました。警察署にも。新たな人生が始まる感じです。開業する時の混乱を思い出します。

 

これまでの経験を踏まえてあん摩マッサージ指圧師・鍼灸師の専門学生さんにセミナーを行ってきました。最初はある社会人さんかメールで進路相談を受けたこと。どんな資格を取るのがいいのか。どの専門学校にしたらよいのか。結局、私の母校に入学し直の後輩になった相談者。その先もサポートしておこうと勉強や業界情報を個人的に教えるようになりました。そのうち開業するときの心構えとか就職先はどういうところがあるのかといった専門学校卒業後の話題に。国家資格を取るのに3年間必ずかかります。その3年間で知識の勉強・実技の練習はするのは当然で資格取得後の身の振り方を考えてもらいます。残念ながら鍼灸師は卒業しても相当な割合で業界から去っていきます。鍼灸師として鍼灸施術をできている人は卒後数年でごくわずかになると言われています。その事を鍼灸マッサージ教員養成科を出て、学校関係のことが分かるようになってから知ります。非常に衝撃的で元々私は鍼灸に興味が無くあん摩マッサージ指圧師になるためのついでに鍼灸師にもなった者で、こんな私でも鍼灸師として日々鍼灸を臨床でやってきたのです。夢みて入学して3年間という時間と数百万円の学費・生活費を支払って鍼灸師免許を取ったのに、やらなくなる者が多いという事実。私の同級生にはそんな人をほとんど聞いていなかったので耳を疑いました。調べてみると本当のことですし、その理由も分かってきました。それから鍼灸学生さんが卒業後に生き残れるようになってもらいたいと学生支援を広げるようになっていきます。

 

私の所に相談にくる学生さん、あるいはこの業界に入ろうと考えているプレ学生さんはみんな社会人か別の医療系国家資格を持っています。私が大卒でサラリーマン経験を経ていることや柔道整復師・専門学校教員免許を持っているからなのでしょう。高校生から一度も相談されたことはありません。特に20代後半以降で開業を目的に鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師になろうという方ばかり。専門学校進学前から独立開業を視野に入れている。むしろ開業できるからこの仕事に就きたいという。そうなると自ずと開業に関する話をたくさんすることになります。技術は当然してそれに加えて経営全般の知識が必要になります。技術も経営のうち。優れた技術でも誰に向けてどのように提供するかを考えないといけません。老人保健施設でアスリート向けの鍼灸技術が必要あるのか。整形外科の医療機関で美容鍼の技術を使えるのか。腕があれば食っていける、というのは幻想に過ぎず食っていくための腕(技術)をまず見定めないといけません。誰に(WHO)、何を(WHAT)、どこで(WHERE)、どのように(HOW)提供するかを考えるのは基本中の基本です。英語の文法のようですが、経営というか開業のための予備動作。そういったことを学生のうちから考えておかないと、専門学校で日々の授業、試験、実技に追われて考える(模索する、試す、決定する)余裕がなくなります。国家試験が終わったら何も考えていなかったというのはよくある話。自身の方向性が定まらないまま何となく就職して理想と現実が違うと不満を漏らして辞めていく。このようなことが少なくありません。開業する、独立するということは自分で進む道を決めることになります。その時に必要なこととして“人生の棚卸し”があると思います。

 

人生の棚卸し。これは私が柔道整復師の国家資格を取って新宿区内のクリニックで働いているときに何かの本で知った概念だったと記憶しています。このときは2011年の4月。3月6日に柔道整復師国家試験が終了。すっきりとした気持ちで次の職場を考えようという矢先、3月11日に東日本大震災が発生。事情が一変しました。自分の将来どころか日本の未来もどうなるだろうかという状況に。4月半ばになり東京は平静を取り戻してきた頃に整形外科のあるクリニックに新卒柔道整復師として就職しました。その前の就職活動中にある医療機関の理事長(すなわち経営のトップ)と面接をした際に、その資格とキャリアと年齢でまだ誰にかに雇ってもらおうと考えているのか?甘くないか、という内容の言葉を投げかけられました。当時はあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の4つの国家資格と臨床歴4年、33歳という年齢で結婚していました。そこまで経験を積んでまだ独り立ちしないのかという問いかけ。日本が混乱している時期で先行き不透明なとき。そんな時だからこそより胸に響いた言葉でした。まして3月11日に一度もう助からないと諦めた。一度死んだものと考えれば生きているだけでもラッキーなこと、本気でやってみようと決意しました。クリニックに就職できましたがいつかのことを考えて開業準備を静かに始めます。そのときに経営関連の本で知ったような気がします。あの時期は混乱していて詳細を覚えていないのです。

 

人生の棚卸しとはこれまでの自分の人生を振り返り、自身が持つリソースを洗い出してみることです。リソースとは経営資源と訳される経営分野で当たり前のように使われる言葉。通常は人、モノ、金、時間、情報などを指します。持っている資源は何か。国家資格、経歴、技術、知識などがまず専門性として頭に浮かびます。そしてシビアに資金。お金をどれくらい出せるのか。ここまでは当たり前というか最低限です。更に自分自身という人。性別、年齢、趣味、出身地、所在地、家族。私が東京都新宿区に生まれて新宿区に住んでいることは大きな武器です。もちろんマイナスに働く面もあるでしょうが東京23区の都心で生まれ育ったことはメリットがあります。当時の年齢と性別も。若ければいいとも言えないのがこの仕事。21歳の資格を取ったばかりでは説得力がありません。かといって60代ならいいかというと独立開業する体力・気力が伴わないかもしれません。また東京理科大学を卒業したこと、半導体商社で勤務したこと、学生競技ダンスに没頭したこと、高校時代は山岳部だったこと。過去の経験が開業に活きる。というより活かすのだと思いました。そして人脈という人。家族や友人、親類、そして妻。当時町内の町会長だった父親と新宿区立小学校の教諭をしていた母親。地元に強いパイプがあります。結婚していて妻がいるということは一人で開業するにあたり大きな安心になります。親類も同級生も後輩も先輩も素晴らしい人に恵まれています。それどころか短所や苦手なこと、汚点となることも上手く使えば長所に転じます。洗い出してみるといかに人に恵まれているのか、と気付きました。またもう使わない、その時は必要ないと思っていたモノも使えるのではないかと考えなおします。自分が持っているモノを洗い出したら開業したときに使えるじゃないかと考えるようになりました。

 

実際にあじさい鍼灸マッサージ治療院を開業して数年。経営戦略の本を読み知識が増えていきます。実際にやってみて実体験から分かることがあります。学生さんには人生の棚卸しに加えてそれをSWOT分析することを勧めます。SWOT分析は経営戦略における古典的なマトリックスで物事を内部環境と外部環境の2つに分類し、それぞれ強み・弱み、ポジティブ・ネガティブに分ける分析方法です。自身のことは内部環境で強みになるもの、弱みになるもの。置かれた状況は外部環境でプラスに働くのかマイナスに影響するのか。これらは表裏一体であり環境で評価が入れ替わることもあります。例えば新宿区は都心で人が大勢住んでいて顧客予備軍がたくさんいます。しかし新型コロナのときは夜の街歌舞伎町があるエリアとして全国から厳しい目を向けられました。こういったことを踏まえて自分が持っているものを洗い出して客観的に精査する。それが人生の棚卸しです。

 

この概念は今でも利用していて失ったもの、得たものを確認する機会にしています。開業して11年も経てば得たものがたくさんありますが、体力や若さは失われていきました。それを踏まえてどうするのかという話です。奇しくも今年父親を亡くし、大きな存在を失いました。代わりに経験や人脈、資産などたくさんのものを得ました。それを年末にかけて一度整理しようと思います。

 

甲野 功

 

★ご予約はこちらへ

電話   :070-6529-3668

メール  :[email protected]

LINE :@qee9465q

 

ご連絡お待ちしております。

 

こちらもあわせて読みたい

経営について書いたブログはこちら→詳しくはこちらへ