開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
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電話:070-6529-3668
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

先日行ったアジサイ塾忘年会。当院に勉強に来ている鍼灸マッサージ学生さんを招いて今年1年を振り返りました。参加者はみんな今年4月に鍼灸マッサージ専門学校に入学した1年生ですが入学前の昨年から業界研究のため当院を訪れていました。学校選びから東洋医学のこと、鍼灸のこと、あん摩マッサージ指圧のこと、業界の問題点など。入学後も勉強会をしてきました。
そんな忘年会の席である学生から「学生のうちにこれだけはしておいた方がいいことは何ですか?」という質問をされました。この問いに答えが出せずにお茶を濁してしまいました。
何が適切な答え(決して正解とは言わない)なのか何日も悩みました。
専門学校に通う学生のうちにこれだけはやらなければならないこと。それは当然、勉強です。鍼灸マッサージ専門学校の究極の役割はあん摩マッサージ指圧師国家試験、はり師国家試験、きゅう師国家試験の受験資格を与えることです。これは専門学校他、養成施設でないと認定できません。知識、技術は個人的にいくらでも教えることができます。練習をみてあげて技術指導もできます。しかし専門学校が国家試験受験認定を出さないと国家試験を受験することはできません。もちろん国家試験に合格しないと資格が得られないのですからあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師になれません。勝手に施術をしていたら無資格行為で違法行為になります。巷では無資格でやっている人がいるかもしれませんが。専門学校が課したカリキュラムをやり遂げることが大前提です。必須です。だからこれだけはやらなければならないのは専門学校で授業に出て、課題をこなし、試験に合格して進学していくこと。
そんなことは百も承知でしょう。
聞いているのはそういうことではなく、もっと個別の内容のアドバイス。勉強するにしても古典(黄帝内経とか傷寒論とか)を学ぶとか、看護師の教科書も読んでおくだとか、医療英語を覚えておくとか、そういうこと。技術にしても経絡治療をきちんと学んでおけとか、艾を捻るお灸はできるようにしておけとか。そのような私が考える個別の答えを求めているはずです。
だからといって。私の考える答えは“それは人それぞれだよね”になってしまいます。あなたが将来何をしたいのかで学んでおくジャンルが変わります。美容のこと、スポーツのこと、介護のこと。目指す方向にそったことを学んだ方がよい。あるいは将来社長になりたいのであれば経済の仕組みを勉強しておいた方がいいし、人を雇うための準備をしておくことが意見になる。結局はあなた自身が決めなさいという相手に回答を戻すようなことになります。
質問した学生さんのことは分かっているし、いつも方針は考え続けておきましょうと言ってきました。その上で学校に入学して8カ月の段階での質問です。ありきたりの回答はできないと判断しました。
何より私が鍼灸マッサージ専門学校に通っていた20年前とは環境が違います。あの頃より今は様々な面で便利になっています。ネットには無料で素晴らしい資料が転がっています。ここ最近はAIに質問すれば効率よく情報を出して、そこから更に深く学んでいくことができます。新型コロナ前だったら、SNSをしなさい、特にTwitter(現X)をやりなさい、と言っていたでしょう。今はみんなやっていますし、そもそもXで私のことを知りアポイントを取ってきたのです。SNS活用は今や当たり前です。
学校側のサポートもどんどん充実していて、相当おせっかいになっています。授業外に有効なゼミ、特別講座を用意しています。コロナ禍から配信授業が増えてアーカイブで復習できます。勉強用のアプリケーションもできています。
学校外でも便利になっています。遠隔地のセミナーでも配信で受けることができますしYouTubeには参考になる動画が無数にあります。何を選択するのかがむしろ問題です。
果たして2025年末現在で鍼灸マッサージ専門学校1年生の学生さんに、学生のうちにこれだけはやっておいた方がいいこと、とは何か。考え続けました。そして出した回答が『人に会うこと』でした。人に会う。直に会う。オンラインではなくオフライン(現実)で。会って話をして交流する。それもなるべくたくさん、多くのジャンルの。それが現時点で私の考える答えで一番適切かと思っています。
理由を述べていきましょう。SNSが発達しコロナ禍を経てZOOM等でオンラインで通話が当たり前になりました。SNSの投稿にリプライ(返信)をする。個人アカウントにDM(ダイレクトメッセージ)を送る。その気になれば簡単に繋がれるようになりました。それは個人が情報発信をする時代になったからです。気になる人がいたら直接投げかけることができます。一国の大統領ですらSNSのアカウントがあります。届くかどうかは別としていち市民が直接意見を送ることができる時代です。だからこそ直接対面で会うことの価値が高まります。ネット上に出ている人格と実際の人格は違うことがままあります。実際に会って話すことがこの時代は相対的に勝ちが高いことになりました。こちらの素性を一切明かさずに連絡することができる時代だからこそ。顔を出して交流することは圧倒的な信頼に繋がります。
鍼灸師にせよあん摩マッサージ指圧師にせよ本業は施術であり生身の肉体に施すものです。相手は人です。リモートでできるという術者も稀にいますが大多数は実際に肌に触れて鍼を刺し、灸を据えて、押す・揉むをするのです。人間関係が絶対の仕事です。ならば大勢の人に実際に会って人間関係の練習をした方がいい。人を理解する。人を前にしてどう振舞うのかを学ぶ。所作、会話。学校で習う知識・技術は人のために使います。モノではありません。だから学生のうちから人に会っておく。
業界関係者に学生のうちに会っておいた方がいいです。学生という立場が様々なサービスをもたらします。学生だから。学生さんなのに偉いね。そんな気持ちでベテランは接してくれます。例え学生側の年齢が高くても。わざわざ学生が会いに来てくれたということにだいたいの先輩は喜びます。これが国家試験を取ってプロになるとどうでしょう。商売敵になり身構えられてしまいます。私も突然知らない鍼灸師から技術を教えてくださいと言われたら警戒してまず対応しないでしょう。それならば患者として受けて勝手に学んでくれと。学生さんなら喜んで教えますし、何だったら聞いてもいなことまで参考までにと教えてしまいます。これが例えプロでも学生時代にうちに来ていた人は別で腹を割って話せます。
人脈作りも重要です。学生のうちに様々な人と会って繋がりを持つことは将来を明るくする手立て。困ったときに頼れます。チャンスをもたらしてくれます。学生時代から全国を飛び回り、免許取得後すぐに開業して更に勉強して力を付けている元学生さんを知っています。私の場合は社交ダンス関係者がそれで業界関係者とは交流を全然しなくて鍼灸マッサージ学生時代にダンス関係者と会って見識を広げてきたことが今に役立っています。
嫌な人も中にはいます。会ってみて失敗したという人も出てきます。それも大事な勉強であり経験。これはダメだろう、良くないな。そういう人ややり方をみることで本当に自分がやりたいことが浮き上がってきます。絶対こんな人間になりたくない、こんなことはしたくない。そのようなネガティブ要素が進路をはっきりさせる要因になることもあるのです。
学生のうち。学生という身分があるうちに。人に会っておきましょう。個人的に会いに行く。苦手なら学会、勉強会、イベントなどに学友と参加する。人見知りでも勇気をもって声をかけて自己紹介をする。名刺を作っておく。SNSのアカウントを持つ。それが財産となって後々役立つ可能性があります。学生のうちにこれだけはやっておけということを一つ挙げるなら、たくさんの人に会いに行け、となるでしょう。個人的な事情を分かっていればその人に合わせますが、一般論でするならばこうでしょう。ただ質問した学生さんにはこの回答を伝えません。既に人に会いに行くという行動をしっかりやっているから。
甲野 功
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