開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:[email protected]
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

昨年から私の周囲であん摩マッサージ指圧師の集合が増えています。主だったものでは、多くの出身校からあん摩マッサージ指圧師が山小屋に集まった『あましフェス』、関西のあん摩マッサージ指圧師が集まった『関西あまし師交流会』、今年1月の『あまし新年会』。個人的には結合織マッサージや後藤流按腹術を学ぶ、神奈川県指圧師会の相互指圧デーに参加するといったイベント。個人で開催した『あましセミナー』。外部では吉田流按摩の東京医療福祉専門学校の特別講義に吉田流按腹術4代目の先生が講師として登壇。大宮呉竹医療専門学校で開催された『あまし甲子園』は今年で3回目に。これまで出身校で固まりあまり横の繋がりが無かったあん摩マッサージ指圧師業界に交流の流れが起きていると感じています。特にあん摩マッサージ指圧師だけの科がある晴眼者向け専門学校の浪越学園、長生学園、京都仏眼の卒業生が交流し、そこに私の呉竹や後藤流の術者が集まって。
互いの理解が進むとあん摩マッサージ指圧師業界をどう良くしていこうかという話題になります。昨年の『あましフェス』では私もパネラーとして参加した各流派の紹介とともに経営や社会的地位向上について語るパネルディスカッションがありました。パネラーは浪越卒開業者、神奈川衛生学園卒教員、長生学園卒開業&メディア運営者、横浜呉竹卒経営者の4名。活発な意見が交わされました。そこで私が課題と感じたのが広報戦略です。
あん摩マッサージ指圧師の広報戦略。私のように鍼灸師、更には柔道整復師を持つ者にはあん摩マッサージ指圧師が構成要素の一つです。あん摩マッサージ指圧師だけの術者はあん摩マッサージ指圧を、そしてあん摩マッサージ指圧師をどのように世間にアピールするのか。経営にも関わりますがまず広報をどうするのかが大事だと思います。パネラーには視覚支援学校の教員と訪問マッサージ会社の社長がいます。同じあん摩マッサージ指圧師でも働き方がかなり違います。よりシビアに言えば金の生み出し方(キャッシュポイント)が異なります。私のように施術所を開設して(治療院を開業して)患者さんに施術をして対価をいただくキャッシュポイントとは勝手が違います。宣伝や集客方法がそれぞれ。それ以前にあん摩マッサージ指圧師業界を世に知らしめることが前段階にあると思います。
理由の一つに、あん摩マッサージ指圧師のみの先生からの意見で、あん摩マッサージ指圧師に夢が無いと次の世代がやろうと思わない、もっとお金が儲かる業界でないといけない、というものがありました。あん摩マッサージ指圧師になればこのような生活ができると。高級外車を乗り回すとか豪邸に住むとか。金銭面の良さが目に見えて分かりやすい。そういう意見です。確かにあん摩マッサージ指圧師になる人数は減少の一途です。視覚障害のない晴眼者はあん摩マッサージ指圧師を養成する定数が決まっており、現状増えることはありません。晴眼者の新規は頭打ち。それも全国で定数一杯というわけでもありません。そして視覚障害者があん摩マッサージ指圧師になるための視覚支援学校からの新規数は年々減っています。視覚障害者だからあん摩マッサージ指圧師になるしか道はないという状況から変わりつつあるようです。視覚障害者にあん摩マッサージ指圧師以外の生き方ができているならば、それは喜ばしいこと。反対に晴眼者のあん摩マッサージ指圧師が減るようでは本当にあん摩マッサージ指圧師がいない世になってしまいます。お金が稼げるというのは大切なこと。
他にあん摩マッサージ指圧師専門学生さんからの意見でもっとエビデンス(医学的根拠)を構築するというものがありました。近い職種といえる鍼灸に比べると研究が乏しく論文や報告がとても少ない。もっと医学的に効果が認められれば患者さんがあん摩マッサージ指圧を選択するようになるのでは、というもの。学術的な面から医療の土俵で戦うといった感じでしょうか。私は鍼灸マッサージ教員養成科を出ていて、1年をかけて自分で研究をしました。今も学会等に参加します。確かに言われた通りであん摩マッサージ指圧の研究や症例報告は比較して数が少ないです。また現実的な問題としてあん摩マッサージ指圧の大学は国立の筑波技術大学しかありません。そして筑波技術大学は視覚障害者向けの大学で晴眼者が入学することはできません。今年度、仙台にあん摩マッサージ指圧の短期大学が設立されました。ただ鍼灸と一緒の本科(鍼灸マッサージ科)であん摩マッサージ指圧専門の科ではありません。鍼灸の大学は短期大学を含めて13校もあるのに。学術研究をする施設が圧倒的に足りないのです。
私の意見を述べると、もっとあん摩マッサージ指圧師同士が交流し互いのことを知ることだと考えています。何度も書いていますがあん摩マッサージ指圧師は自分の学校(流派)で完結しているところがあり、他を知ろうとしません。そもそも按摩・マッサージ・指圧の発祥が異なる3つの技術を扱う資格。学校によって按摩メイン、指圧メインと特色が強いのです。しかも臨床レベルで3つの技術を扱う術者はかなり少ないのです。指圧だけ、按摩だけ、マッサージだけのように。多くて2つ。プロであるあん摩マッサージ指圧師が技術や専門学校のことを知らないのに、あん摩マッサージ指圧師をアピールしても、それは自分のところのアピールに過ぎず混乱を招きます。実際に『あましフェス』、『あまし新年会』には非あん摩マッサージ指圧師で業界に興味がある一般の方が参加したのですが、あん摩マッサージ指圧に違いがあるとは知らなかったといいます。それは3つの技術のことであり、流派が多数あるということでもあり。このような一般のあん摩マッサージ指圧ファンが周囲に紹介するときにどう説明するのでしょうか。我々術者は職人でこだわりが強く、それはうちとは違うから、と紹介された人を突っぱねてしまってはいけません。だったら世間に人にも伝わる(それぞれを比較した)解説がないといけないのでは。そう考えています。
他にも法律面からきちんと違法行為を摘発するというもの。あん摩マッサージ指圧師免許(国家資格)を持たずにいわゆるマッサージ行為を業とするのは違法行為です。しかし取り締まられていないのが現状。ここをしっかり違法行為だと取り締まる。これは広報戦略ではないのですが、我々あん摩マッサージ指圧師は法律に則った立場で施術をしているということをアピールするのは大事なこと。問題はそれを言っても、違法行為が取り締まられないのならば何の効果もないことです。変な比喩ですが、美容院で男性がカットしてもらうのは厳密には2015年まで違法でした。法律ができたときは美容院とは女性が利用するものとされていました。男性は理容室(床屋)に行くのです。そのため美容師と理容師は法律が異なる別の資格。規制緩和となる2015年までは男性が美容室でカットだけをしてもらうのは、法律上は違法行為だったのです。当時からそのことを認識している人はほとんどいませんし、警察も取り締まらなかったです。形骸化していました。非あん摩マッサージ指圧師のマッサージ行為に関しては別の観点(広告、不正競争防止法など)から規制がかかると私は踏んでいます。違法行為として取り締まるのは保健所、厚生労働省、警察らの行政の仕事。今後行政の指導が進むと私は予測しています。そうなったら自然とあん摩マッサージ指圧師が法に基づいた国(厚生労働省)が管轄指導する立場にあることがアピールできてくることでしょう。なお私のような待ちの姿勢でなく、攻めの姿勢でいこうというあん摩マッサージ指圧師もいます。
あん摩マッサージ指圧師の広報戦略。大きく4つ案を紹介しました。それぞれもっと深く考えることができますがまた別の機会にします。全体を通して言えるのはこういう話題が(私の周囲だけかもしれませんが)出るようになったことが変化の兆し。当事者としてこの先、あん摩マッサージ指圧師業界がどうなるのか楽しみです。
甲野 功
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