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~整骨院経営企業に課徴金納付命令~

消費者庁 株式会社くまのみに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について より
消費者庁 株式会社くまのみに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について より

 

 

2026年2月17日に消費者庁は整骨院・エステサロンを運営する企業に対して景品表示法違反(優良誤認)に基づき課徴金納付命令を出しました。

 

消費者庁

株式会社くまのみに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について

 

まず景品表示法について。景品表示法とは、正式名称「不当景品類及び不当表示防止法」といい、虚偽広告や誇大広告など、実態よりもあたかも優秀なように広告することを取りしまる法律です。消費者を守るためのもの。具体的な違反行為として、「優良誤認表示」、「有利誤認表示」、「ステルスマーケティング」の3つが主にあります。そして景品表示法違反の処分には「措置命令」と「課徴金納付命令」があります。これらの用語を説明しながら今回のことについて触れていきます。

 

景品表示法はここ数年でよく耳にするようなった気がします。法律自体は前からあったのですがインターネットが普及して広告の中心がネットになってから目立つようになったきがします。景品表示法の“表示”とは広告に関わるもの全てを指します。看板、ポスター、チラシといった物。テレビCM、ラジオCM、雑誌広告、新聞広告といったマスメディアに出すもの。電話のアポイント、口頭でのセールストークなど人の行為。そこにインターネット広告、SNS、ホームページらのネット上の情報による広告が存在感を増してきた。加えて新型コロナウィルスが大流行した際に医学的根拠のない情報が出回ったことが後押ししているように考えています。

 

景品表示法による違反として「優良誤認表示」というのは実際の商品やサービスよりも著しく優れていると誤認させる表示(広告)です。いわゆる誇大広告というものです。これは分かりやすいと思います。「優良誤認表示」というのは価格や取引条件を実際よりも著しく得であるかのように見せかける表示です。具体的には二重価格表示の偽り(いつも100円で販売しているのに、特別に300円を100円にします!)、虚偽の期間や数量限定(今月までのサービスといいながら、翌月も継続している)など。そして「ステルスマーケティング」が近年加えられて、一般消費者の意見のように見せかけた広告です。裏で有名人が対価をもらい依頼されているにも関わらず、それを隠して、有名人が自分の意志で商品やサービスが良かったからファンに勧めるような行為。構造はテレビCMと同じなのですが、SNSの普及により有名人個人が発信できるようになったからこそではないでしょうか。またインフルエンサーという一般の人でもSNSを通じて大勢のフォロワーを集めて影響力を持つ存在もステルスマーケティングが生まれる遠因でしょう。

 

これらの景品表示法違反広告(表示)が認められた場合は消費者庁ら行政が、その広告内容の根拠となる資料を提出させて審議します。根拠とならないと判断すれば処分を実施します。私の知る限り、景品表示法違反を取られて覆った例は1つしかありません。処分をうけた企業が不服として裁判を起こし、企業側が国(消費者庁)に勝訴して景品表示法違反の処分を取り消す判決が出ました。ただし、国は控訴して現在も係争中。ですから厳密には景品表示法違反が覆ったというわけではないのです。

処分内容の「措置命令」とは、命令を受けた企業などは景品表示法違反の広告をしたことを周知させ、再発防止策を講じ、実行しなければなりません。これに対して「課徴金納付命令」は違反広告で得た売上金額が大きかった場合にその一部を課徴金として納付しないといけません。つまりいわゆる罰金を支払うということ。措置命令は売上金額が少ないなど課徴金納付命令の要件を満たしていない場合で課徴金が課せられません。過去に海外自動車メーカーの日本法人が景品表示法違反となり課徴金納付命令が出ましたが、その金額は億単位になりました。

2024年10月からは直罰規定が加わり、優良誤認表示、有利誤認表示が認められた場合は100万円以下の罰金が課せられます。措置命令であっても。なお「確約手続」という防止策を提出するなどして措置命令、課徴金納付命令を行われないシステムも加わりました。

今回の特徴は3年前に既に措置命令処分が出ていることです。埼玉県は2023年3月14日に同企業に対して優良誤認表示による措置命令を出しているのです。措置命令は消費者庁だけでなく都道府県知事が出すことができるのです。このときのことも私は取り上げていました。そこでもう終わったことだと思っていたのです。今回の課徴金納付命令は消費者庁から出されたもの。そして違反広告は3年前に埼玉県が認定した内容と同じです。この3年間の期間が空いての更なる課徴金納付命令が出たことが驚きました。措置命令で終わった話ではなかったのかと。

 

消費者庁のホームページには『景品表示法違反被疑事件の調査の手順』という図が公開されており、確かに都道府県及び消費者庁が一度措置命令を出した後にも更に「弁明の余地」を経て課徴金納付命令に至ることがあることが示唆されています。私は何年も業界の景品表示法違反をチェックしてきましたがこのケースが初めてでした。

 

 

消費者庁 景品表示法違反被疑事件の調査の手順 より
消費者庁ホームページ 景品表示法違反被疑事件の調査の手順 より

 

 

またこの業界で課徴金納付命令が出たケースも初耳です。処分が出た企業は整骨院を経営しており、違反広告はエステ部門の方でしたが、創業者は柔道整復師、鍼灸師で整骨院から始まっています。課徴金納付命令が出るほどの売上があったのかという驚きも。消費者庁の資料によれば課徴金対象期間の売上額は1億2063万5355円(景品表示法の規定に基づいた算定額)とあります。個人でやっている身としては、率直に凄いな、という感想です。

 

この課徴金納付命令処分は柔道整復師あるいは鍼灸師の企業倫理が問われる大きな出来事だと感じています。重要なケース。グループ院展開、他業種展開をして企業として大きくなったところが都道府県の措置命令処分から3年後に消費者庁から課徴金納付命令を受ける。課徴金は361万円で経営規模からすれば大した額ではないかもしれませんが社会的ダメージは小さくないでしょう。

 

甲野 功

 

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