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~2026年スーパージャパンカップ観戦~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 2026年スーパージャパンカップ観戦
2026年3月1日 スーパージャパンカップ2日目を観戦しました

 

 

3月1日(日)。東京マラソンが行われた日に千葉の幕張メッセ(幕張イベントホール)に向かいました。競技ダンスの祭典、スーパージャパンカップ観戦のためです。スーパージャパンカップとは公益財団法人日本ボールルームダンス連盟(JAPAN Ballroom Dance Federation)、通称JBDFが主催する大会。JBDFは日本最大の社交ダンスのプロ団体にあたります。ちなみに他には国内にJDSFJDCJCFなどが、海外にはWDCWDSFWDOなどがあります。外から見ると似たような略称でどれも社交ダンスの団体であるので区別がつきにくいです。さて、JBDFが開催する競技会の中で3大大会の一つにあたるのがこのスーパージャパンカップになります。

 

スーパージャパンカップの特徴は全日本セグエ選手権が行われることセグエ(Segue)はイタリア語の『続く』を語源とし、休みなく切れ目なく続けることを意味し、転じて二つ以上の種目をつなげてひとつの作品として踊ることとされます。芸術要素が通常の競技ダンスよりも高く、カップルがソロで踊ります社交ダンスを競技として行う競技ダンス。私は東京理科大学に入学して学生競技ダンスと出会いました。そこから人生が変わり、今の仕事に直結しています。競技ダンスは社交ダンスを複数のカップルが同時に踊り、それを審査員が審査して優劣をつけます。芸術であるダンスをスポーツとして競技化したもの。近年ではダンススポーツという概念が生まれています。通常のJBDFの公式戦では通常の競技ダンスを行い、最大10種目。通常は5~2種目で順位をつけます。セグエは広い会場を1カップルで踊ります。公式戦ではダンスの種類、テンポは決まっていますが、その場に立たないとどのような曲がかかるか分かりません。ですから曲に合わせて振り付けを決めることができません。まして他の選手が周囲を踊っているので都合よくこなせることなどほぼ不可能。それがセグエでは自ら曲を決めて、振り付けを作り、衣装もそれに合わせることができます。当日は会場のライティングも加わります。非常にショーの要素が強くなるのです。

 

JBDFのセグエは出場基準がかなり厳しくなっています。誰でもエントリーできるものではありません。出場資格は以下の3つの大会の決勝入賞者および準決勝2回以上の入賞者。

・全日本選抜選手権大会(総合成績)

・日本インターナショナル選手権大会(準々決勝入賞者で上位12組)

・JBDF全日本プロフェッショナルダンス選手権大会

今回で言えばいずれも前年2025年の大会での成績です。これらの大会の成績上位者はA級の中の上位陣ばかり。JBDFのプロ選手はSA~D級までありますが、コロナ禍を経て以前よりも昇級しやすくなったとはいえ、A級まで上がることは簡単ではありません。SA級はほぼ別格です。A級同士で競い上位に入賞しないとセグエ出場権は取れません。早い段階で出場権を獲得する選手もいれば秋頃までかかる選手もいます。一度も出場できず現役生活を終えるプロが大多数なのです。

 

私がいた東京理科大学舞踏研究部。学生競技ダンスの部活です。先輩、同期、後輩を含めて数多くプロ選手を輩出しています。その中でセグエ出場を果たした者は本当に数が少ないです。JBDFではない団体でプロになった選手は出場対象外になりますが、多くの理科大学舞踏研究部卒はJBDFでプロになってきました。ただプロA級になれただけではダメ(それだけでも相当な選手ですが)。全日本で上位入賞が必要。セグエ出場がどれだけ困難なことか。それが今年、後輩が4名セグエに出場することになりました。それもボールルーム部門で。

競技ダンスにはボールルームとラテンの2部門あります。私が学生競技ダンスをしていた頃はモダン、後にスタンダードと呼称が変更。そしてプロ団体はボールルームにだいたい統一されています。ボールルームはワルツ、タンゴ、ヴィニーズワルツ、スローフォックストロット、クイックステップの5種目。ラテンはチャチャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ、ジャイブの5種目。通常はボールルームかラテンのいずれかを専攻にします。私は学生時代にモダン(ボールルーム)専攻でした。私はお世辞にも強豪選手ではありませんでしたが、後輩達はどんどん強くなっていき、多数のチャンピオンを輩出します。そしてプロ選手に転向し、プロボールルームA級選手になっています。

 

今回のボールルームセグエでは杉野貴史先生(杉野貴史・IREP組)、室伏宏明先生(室伏宏明・室伏彩組)、若代慎先生(若代愼・辰巳友莉亜組)、井崎沙織先生(井﨑健太・井﨑沙織組)の4名が出場です。

2年前のスーパージャパンカップにも私は会場に向かいました。その時は杉野貴史・IREP組と井﨑健太・井﨑沙織組が初出場。杉野貴史先生は私の2学年下で、3年生の時の1年生という関係。足型を教えた代。ダンスを始めた時を知っています。井崎沙織先生も世代がかなり離れていますが入部当初を知っていますし、組んでいる井崎健太先生は大学が違いますが私の同期。私の代における全日本選抜チャンピオン。この2組がセグエ出場を決めて、幕張メッセまで観に行きました。若代慎先生は東京理科大学舞踏研究部のモダン(スタンダード、ボールルーム)史上最強の選手で、1年生の頃から出場する大会のほとんどがファイナリスという逸材。プロ転向後もあっという間にA級に駆け上がりました。私の知る限り、理科大学舞踏研究部出身で最初のセグエ出場者。長く若代慎先生だけだったところに2名が出場権を取ったのでした。杉野貴史先生が2学年下、井崎健太先生が同期。つまり私と同世代。年齢が変わらない者が年齢を重ねて成績を上げていることにとても勇気をもらいます

 

そして今回。室伏宏明先生がセグエ初出場です。室伏宏明先生にはまた特別な想いがあります。私が新卒で入社した会社を辞めて、今の仕事に就こうというときに入部してきました。室伏宏明先生が1年生の時に、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の国家資格を取ろうと専門学校を受験。彼が2年生とのときに東京医療専門学校(現東京呉竹医療専門学校)に入学しました。彼が4年生で学生競技ダンスを終えるとき、私も国家試験に合格しこの仕事を本格的に始めるときでした。学校で習ったことを、後輩にダンスの指導をしながら、研究研鑽を積み理解習得していきました。特に室伏宏明先生は1年生の時から知っていて、チャンピオンに成長し卒業していく姿を近くで見ることができました。同時に私が学ぶ技術と知識をどのように競技ダンス選手に活用できるのかを手探りで試していった4年間。今も社交ダンス関係者向けのコースをしていますが、この原型が4年間で育まれました。私は常々、今の仕事における師匠はいない、師匠は患者さん達、と言っています。誰か特定の術者に手取り足取り教わったことはありません。専門学校で学んだ基礎に多くの臨床で出会った患者さんから得たもので力をつけてきました。室伏宏明先生は私にとって裏師匠のようなもので、彼のダンス途上期に多くのことを見つけ、気付き、試し、検証しました。このときにできた理論は今も来院する学生競技ダンス選手に多数活用しています。

その室伏宏明先生がパートナーの彩先生と室伏宏明・室伏彩組として全日本セグエ選手権、プロボールルームセグエ部門に遂に出場です。会場に行くことを決めて室伏宏明先生に連絡してチケットを取ってもらいました。今回はアリーナ席で正面。2年前よりもより近いところでの観戦です。

 

 

2026年スーパージャパンカップ2日目当日。2日間行われるスーパージャパンカップですが2日目だけ会場へ。2日目は主に3部門の競技会があります。

全日本セグエ選手権 プロボールルームセグエ

全日本選抜ダンス選手権プロラテン ラテン5種目(チャチャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ、ジャイブ)

全日本選抜ダンス選手権アマボールルーム ボールルーム5種目(ワルツ、タンゴ、ヴィニーズワルツ、スローフォックストロット、クイックステップ)

カテゴリーにプロとアマチュアがあり、プロとアマの選手権がラテン、ボールルームとそれぞれあり、それとは別にセグエボールルームがあります。1日目は種目を逆にしています。

他にも級が低いライジングスター、年齢制限のあるジュブナイルジュニアグランドシニアの競技会。更にデモンストレーション車イスダンス、学生競技ダンスチャンピオンである電気通信大学によるフォーメーションらのショーも。朝の9時から夜の9時過ぎまである一大イベントです。土曜日の1日目よりも更に長いのが2日目。私は患者さんで来院している選手のこともあり、午前中から会場に行きました。全カテゴリーを観戦するのは大変なので選んでいました。フロアーサイドは結構熱くて定期的に外の空気を吸っていました。

 

幕張メッセという大会場での競技会。前年に19年ぶりにWDC世界選手権が日本で開催。この大会はNHKが特集してテレビ放送されました。日本から出場した福田裕一・エリザベスグレイ組がボールルーム部門で、野村直人・山﨑かりん組がラテン部門で、ファイナリストに残る快挙がありました。そして昨年12月から世界配信されているネットフリックス映画『10DANCE』の大ヒット。この2つが追い風となり会場は盛況でした。特に会場には『10DANCE』ブースができていて俳優さんが実際に着用した衣装やシューズを展示しています。俳優陣に競技ダンスを指導した本池淳先生が中心に来場者への解説をしていました。本池淳先生は学生時代からお世話になっているのでご挨拶をしようと思いましたが、本当にずっとお客さんが絶えず、声を掛けられませんでした。8時間以上会場にいて8回くらい試みましたが本当に。作品の影響を感じました。

 

心無しか2024年の時よりも出店しているドレス店、シューズ店、CD店、アクセサリー店などが多かったです。また引退した学生競技ダンス同学年のプロが店頭にいて、世界選手権のTシャツを購入しました。プロの先生は競技を引退すると役員として大会の運営や審査員などの業務に就きます。大きな競技会に行くと様々な旧知の人と再会するものです。

コロナ禍を経て社交ダンス業界の衰退は進んだといわれます。コロナ前から斜陽産業といわれていて。関係者に聞くと異口同音に人が減ったといいます。お客さんも業界側も。しかしこの日の幕張メッセをみるとまだまだ底力があると思いました。私も10年以上個人事業主としてやってきて、経済について調べて体感してきました。幕張メッセという大会場を2日間(リハーサルを含めれば3日間近く)借りてイベントが行える。会場に出店する企業・店舗が多数ある。来場者も出場者もこれだけいる。昔はもっといたと指摘されるでしょうが、JBDFだけだったのがJDC、JCFらと団体が分裂し、それぞれが大大会を開催しているのです。以前よりも人が分散するのは当然。そもそも日本の人口が減少していくわけですから。この日のフロアーに立った人はおそらく下は10歳くらい(ジュブナイル選手)、上は80歳オーバー(デモンストレーター)。文字通り老若男女問わず参加できる社交ダンスのポテンシャルはまだまだあるとみています。協賛するスポンサーを見ても。私も社交ダンス業界に関わる者として悲観する面はありますが、絶望はしていません。むしろ希望があります。

 

仕事面ではトップ選手のダンスを見ておくことも重要です。選抜プロラテン。国内トップレベルの全日本選抜。前日セグエで競った組が翌日5種目戦で競技するのです。昨年のWDC世界選手権ファイナリストの野村直人・山﨑かりん組は他を圧倒する存在感で全種目1位の総合優勝。前日のセグエに続き優勝です。スーパージャパンカップラテン選手権4連覇です。身体つきが鍛えこまれていることが見て分かります。野村直人先生の筋肉量は前から際立っていましたが、山崎かりん先生の絞った肉体が今回特に印象的でした。準優勝は竹内大夢・中島由貴組。表現に定評のあるカップルでWDC世界ラテンショーダンスでは優勝しています。中島由貴先生のスタイルと表現力が異彩を放っていました。この上位2組はベーシックステップ、つまり初歩的な足型、が異常にスムーズ。それくらいは私もできますから、やるからこそ分かる唖然とするような動きです。簡単な動きを簡単そうに、実はとてつもなく細かい高度な技術で、やってのける。派手なバリエーションよりもフロアーサイドでみると目を引きます。3位には八谷和樹・皆川円組。ボールルーム、ラテン両方ハイレベルの10ダンサーです。前日のスタンダードでも準決勝に残っています。トップレベルのラテンは正直なところ細かく判断ができないところがありますが、上位3組の選手は大きくてスタイルが良いことは分かりました。かつては背の低い選手がラテン、高いのはボールルームという風潮がありましたが今は背が高い。背が高い選手がガンガン動く。そういうトレンドになっているのかと思いました。

 

選抜アマチュアボールルーム。学生競技ダンス出身者も多数出場していました。優勝は圧巻の五月女光政・五月女叡佳組。兄妹で幼少期からダンスをしています。国内のボールルームでは現在最強かと思います。他を圧倒していました。若い世代の台頭が激しいアマチュア部門。2位に石垣和宏・苅谷芽唯組、3位に中村エドワード漸・中村エリザベス永理組。どんどん若い選手が台頭しています。今は、若くても幼少期から競技ダンスをしているためダンス歴10年以上がざら。興味深いです。

 

そしてセグエ選手権。優勝は圧巻の福田裕一・エリザベスグレイ組。セグエ3連覇です。2024年の時にボールルーム選抜は当時の廣島悠仁組が優勝。翌日のセグエも廣島組が優勝するかと思いきや福田裕一・エリザベスグレイ組の優勝でした。会場にいた私は意外な結果でした。前日優勝してセグエが優勝を逃すというのは聞いたことがなかったので。それから福田裕一・エリザベスグレイ組は他の大会も優勝していき、昨年は新カップルとなった廣島悠仁・大西咲菜組にも統一全日本で勝ちました。セグエは競技ダンス選手経験者の以外に外部審査員が入ります。競技ダンス経験のない。今年は元宝塚歌劇団、武楽創始家元、アーティスト、映画監督という肩書の4名。総合芸術として審査されます。過半数は競技ダンス経験者が審査をするので通常競技の成績と同じようになりがちなのですがセグエは結果が変わりやすくなります。また特別審査員賞として外部審査員だけの採点でトップに立った組を発表されますが、これも福田裕一・エリザベスグレイ組。外部審査員から見ても優勝という文句なしの結果です。

 

注目の後輩達。個人的に井﨑健太・井﨑沙織組が目を引きました。2年前の初出場で4位。審査員特別賞を受賞しました。今年も和の世界観で巫女の雨乞いをテーマにしているようでした(※細かい解説はないので察するかぎり)。神道の世界に興味がある私にはとても面白いテーマで、井崎沙織先生は榊をモチーフにしたフロート(飾り)のドレス。井崎健太先生はしめ縄と紙垂のついた衣裳。タイトルが神鳴(KAMINARI)。神社の鈴は雷の音を示し、しめ縄は組、白い紙でギザギザの形をした紙垂は雷を表すといいます。神社での参拝では雷を呼んでいるとも解釈できます。そのような知識があると非常に崇高な神楽に近い作品かと感じました。8位という成績はもっと上でもよかったのではないかと個人的な感想です。

 

若代愼・辰巳友莉亜組はテーマが番町皿屋敷。こちらも和風で有名な四谷怪談を採用しています。辰巳友莉亜先生が演じるお岩さんが印象的です。四谷怪談は歌舞伎でも演じられます。それを、社交ダンスを含めてセグエ作品に昇華しています。4位でした。

 

杉野貴史・IREP組ハネムーンラプソディー。パートナーのIREP先生が海外のルーツで異国情緒あふれます。3度目の出場で余裕がある感じがしました。11位。

 

そして初出場の室伏宏明・室伏彩組。テーマはfever。事前に公開されているテーマポスターは女性の唇しか映っていないためどんな作品か予想できず。セグエは曲も衣装も振り付けも極秘で進められ関係者しか情報が分かりません。彼らの衣装を制作したダンスコスチュームハセベ(※映画『10DANCE』の劇中ドレスも制作)もかなり神経を使ったそうです。登場するとラテンのような衣装で室伏彩先生はパンツスタイルでした。経験者なら分かりますがボールルームをパンツルックで踊るのは抵抗があるもの。ドレスで下半身が隠れないので動きが丸見え。ドレスが揺れる表現ができません。ラテンでも本当に上手でないとパンツスタイルは避けるといいます。ダンス初心者の頃から知る室伏宏明先生ですが、ここまでショー要素が強いパフォーマンスを見たことがなく。ここまで表現し演じられるのかと驚きます。自我を感じないというかキャラクターが異なっているというか。競技会や一般的なデモンストレーションでは室伏宏明という人間が見えるのですが、セグエでは別人格に。結果は6位という快挙。この出場メンバーで6位に入ることはありません。前日の選抜プロボールルームでは1種目が準決勝に残っただけ。セグエ初出場で準優勝に輝いた景山雄紀・和田有可組に続くサプライズでしょう。

 

ミラノ・コルティナオリンピックでの日本フィギアスケートチームの大活躍が記憶に残ります。普段の競技会よりもフィギアスケートの採点に近いセグエ。ルールがとても細かく、今回は採点が難航して時間がかかる場面がありました。外部審査員も入ることで成績が変動します。フロアーサイドで観戦できたのは大きな経験でした。何より同じルーツを持つ後輩があの大舞台に立ったことを観戦できたことを嬉しく思います。

 

甲野 功

 

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