開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
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本日は筑波大学東京キャンパス文京校舎で行われた『日本東洋医学系物理療法学会第51回学術大会・総会』に朝から参加しました。いわゆる学会です。主催は日本東洋医学系物理療法学会。
恥ずかしながら今回初めてその存在を知りました。日本東洋医学系物理療法学会とは、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師が生涯研修、研究発表を行い、免許者の資質向上に寄与するために昭和50年(1975年)2月14日に設立された学術団体です。主に手技(あん摩マッサージ指圧師の徒手療法)と鍼通電の、そして教育・研修を研究しています。それは創始者である故芹澤勝助氏の理念によるもので、氏は手技療法と低周波鍼通電の研究をしました。初めての学会が昭和51年(1976年)に開催されました。あん摩マッサージ指圧の研究発表を行う唯一場と言われます。平成7年(1995年)に公益財団法人東洋療法研修試験財団が定める生涯研修の関連団体の一つとなり、平成22年(2010年)には一般社団法人の法人格を取得し、翌平成23年(2011年)に学会単独開催を行います。昨年節目の第50回学会を行い、今年が第51回という歴史のある学術団体です。
今学会のテーマは「痛みの新しい概念からみた鍼灸手技療法 難治性疼痛の治療戦略を探る」です。3月7日、8日の2日間行われます。私は初日だけの参加です。会場の筑波大学東京キャンパスは理療科があるところ。理療科とは視覚障害者の学生があん摩マッサージ指圧師、鍼灸師になるための勉強をする科。教員養成科もあります。以前から気になっている場所でした。この日本東洋医学系物理療法学会は視覚障害者の先生も登壇しますし、参加者もいます。視覚障害者のためにサポート制度が充実していました。旧知の先生方や学生さんと待ち合わせして入場しました。
最初は会長講演「専門医より診療依頼があった頭痛患者の鍼灸手技療法 ―臨床的効果とその科学的根拠-」です。登壇者は日本東洋医学系物理療法学会会長であり、埼玉医科大学医学部客員教授の山口智先生です。頭痛に関する発表で私が専門学校時代に習った分類と今では異なることを知りました。エビデンス(医学的根拠)、それもシステマティックレビューのレベルで話をしていました。
続いてスキルアップ講座 「医療の中での手技療法を目指して」です。ここでは手技に関する発表です。あん摩マッサージ指圧師の研究発表は非常少ないのが現状。それはあん摩マッサージ指圧師の大学は筑波技術大学しかなく、それは視覚障害者が入学する大学です。晴眼者が入学して研究する大学がありません。鍼灸は複数あるのですが。昨年宮城県に仙台赤門短期大学が設立された短期大学では晴眼者のあん摩マッサージ指圧師研究が始まりました。これからです。座長は一枝のゆめ財団の藤井亮輔先生と東京呉竹医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科の大島三千恵先生です。お二人とも面識がある先生です。3演題ありました。
最初は「末梢性顔面神経麻痺後遺症の予防・軽減を目的とした手技療法の実際」。東京大学医学部附属病院リハビリテーション部鍼灸物理療法部門の林健太朗先生が演者です。東大医学部附属病院は長らく粕谷先生が在籍し研究と臨床をしていました。林健太朗先生も粕谷先生と同じ国際鍼灸専門学校卒です。末梢性顔面神経麻痺の後遺症に対してマッサージやストレッチなどの徒手療法を紹介しました。私も過去に大学病院で数年に渡り末梢顔面神経麻痺患者さんの後遺症と向き合いました。その時の経験と照らし合わせて講演を聴きました。
2演題目は東京衛生学園専門学校校長である新井恒紀先生の「用手的リンパドレナージの理論と実際」です。新井恒紀先生は神奈川衛生学園専門学校と東京衛生学園専門学校学の両方の校長を務めています。どちらも衛生学園で同じ学校法人。元々看護マッサージから始まった学校でこの分野に強い学校というイメージがあります。用手的リンパドレナージ(Manual Lymph Drainage:MLD)のことを説明しております。教員養成科時代に習ったLTの技術と同じで復習と新たな知識を得るものでした。教員養成科のときよりも理解が深くなり、あの時習ったことはこういうことだったのかと納得しました。
午前中最後は「廃用症候群、緩和ケア領域の手技療法」で演者は病鍼連携連絡協議会発起人世話役の長谷川尚哉先生です。長谷川尚哉先生は非常に有名でこれまでも学会等でお顔を拝見しています。鍼灸のイメージが強かったのですがあん摩マッサージ指圧にも造詣が深いことが分かりました。一緒に参加した先生も手技を習っていたといいます。
そのままランチョンセミナーに入ります。ランチョンセミナーはお昼ご飯を食べながら聞くものだと思っていましたがそのままセミナーに突入しました。座長は山口智先生で、「慢性疼痛に対する鍼灸治療の最前線 ―臨床に活かす最新知見―」をテーマに帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科並びに帝京平成大学東洋医学研究所の皆川陽一先生が登壇しました。疼痛、すなわち痛みについて。慢性疼痛の新たな定義とそれに向き合う鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の取り組みを説明しました。この後に行われる加藤総夫先生との講義内容とリンクしているものだと後から知ります。
ここで午前の部が終了。昼休憩に入り、お弁当をもらい食事をしました。セミナーの合間に多くの先生と再会しご挨拶をしました。
午後は特別講演です。先ほどセミナーをした皆川陽一先生を座長に、東京慈恵会医科大学名誉教授の加藤総夫先生による「ここまで分かった痛みの基礎研究 ―痛覚変調性疼痛の最新知見」というテーマです。加藤総夫を存じ上げなかったのですが、疼痛研究の権威でした。東京大学理科Ⅰ類から東京大学大学院へ。紹介されている経歴が凄くて驚きます。痛みのとは何か?という哲学ともいえるような生物の根幹的な疑問を考えます。そして最新の疼痛の定義を紹介します。疼痛は感覚ではない体験だという。これまでの概念を覆す講演内容に大変驚きました。
休憩が入ります。この間にも既知の先生を通じで紹介してもらう方がいました。
初日のシンポジウム1「鍼通電療法の最新知見とそのエビデンス」がメイン会場で始まります。座長は井畑真太朗先生(埼玉医科大学東洋医学科)と佐々木皓平先生(筑波大学理療科教員養成施設)です。5演題あります。
最初が「鍼通電療法の安全性」。東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科准教授の菅原正秋先生です。(公社)全日本鍼灸学会臨床情報部安全性委員会が「鍼灸安全対策ガイドライン2025年版」を出しています。ここで低周波鍼通電療法の安全対策ついて唯一全面的な見直しが実施されています。パルス通電や直流通電など各種鍼通電療法の誤解、混同が問題視されていたことを踏まえて。私は教員養成科卒業研究で低周波鍼通電を用いた実験研究をしました。あの頃よりも新しい器材が誕生しています。また応用物理学科を卒業しているので電気、波形、周波数など物理学の知識が若干あります。この経験からもためになる講演でした。更に物理学的な学習は必要だと気付かされました。
次は「手指の神経・軟部組織障害に対する鍼通電療法 ~治療点探索と鍼陰極直流通電の活用~」というテーマで大阪大学大学院医学系研究科招聘教員の永田宏子先生が登壇します。永田宏子先生は教員養成科で1期上の先輩にあたります。教員養成科卒業後も更に学業研究を積んだことが伺えます。研究の対象疾患としては珍しいと私は思う手指・手関節の障害です。手根管症候群やTFCC(三角線維軟骨複合体)損傷。永田先生は日本良導絡自律神経学会に所属していることを知っています。直流の良導絡とパルス通電という2種類の鍼通電技術を用いて臨床に取り組んでいます。なかなか珍しい術者だと思いました。
その次が「不眠症に対する鍼通電療法の有効性と臨床応用」。帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科講師の脇英彰先生が登壇しました。不眠症の定義、分類を説明し、鍼以外の治療法も紹介しました。鍼通電でいると四肢(手足)にするものと頭部(頭皮)にするものがあります。近年の研究でその狙いが明確になってきました。
「非特異的腰痛の病態(脊椎(運動器)と脳の機能障害)に対する鍼通電療法の実際とその効果」を発表するのが新潟医療福祉大学リハビリテーション学部鍼灸健康学科教授の粕谷大智先生。粕谷先生は長らく東京大学病院にいました。私にとっては教員養成科時代の講師。粕谷先生の授業は、私が大学病院で働くときに大いにプラスになりました。恩師の一人です。私が養成科にいたときから腰痛に対する研究をしていた粕谷先生。脊椎(運動器)由来と脳(中枢)由来の腰痛があるとし、「脊椎と脳の機能異常」という視点をもちます。それぞれに応じた鍼通電を行っています。
最後の演題が「坐骨神経痛に対する鍼通電療法 -安全性・再現性の高い坐骨神経鍼通電療法の提案-」です。筑波技術大学保健科学部保健学科鍼灸学専攻客員研究員の渡邊健先生が講演者です。臨床でよく目にする坐骨神経痛。それに対して鍼通電療法を行うのですが、解剖学的にどこが安全なのかを検討しています。CTを用いて人体組織との兼ね合い。4パターンに分けて調査していいます。
5演題が終わった後に演題者が並び質疑応答タイムが持たれました。
講演が全て終了すると会場で挨拶が色々なところで始まりました。そのまま懇親会会場に移動します。事前に懇親会出席も登録しておりました。懇親会は立食パーティーかと思いきやきちんとした円卓にコース料理。ここまでしっかりとした食事の席は知人の結婚披露宴以来です。業界の大御所や議員も出席していてその規模に大変驚きました。乾杯までの挨拶もとても長く。その代わり議員から医療界の現状やあはき業界の問題が述べられて、政治家で行政に直接携わる立場からの意見がとても参考になりました。こういう場に来ないと会えない人がたくさんいます。食事をしながら情報交換や交流をしました。
今年のテーマとして~鍼通電技術を研究する~を掲げています。先日頭皮鍼通電を体験し、術者の先生に話を聞いてきました。今回の学会参加は自分のテーマ(課題)に合っているとして。午前中は手技療法の研究発表でそれは昨年のテーマに合致します。知見を深める意図もありますが、多くの交流と業界の底力を感じた1日でした。国立の大学キャンパスで学会を開き政治家も参加する会食。どちらかというとフリーの立場でやってきた私には知らなかった世界。来年であはき師になって20年ですがまだまだだと感じました。新しいステージに向かえそうな気がしました。
甲野 功
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