開院時間
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日曜日に富山県鍼灸マッサージ師会定期学術講習会(青年部)で講習会をしました。場所は富山県の富山駅から徒歩7分ほどのところにある富山県鍼灸マッサージ師会会館です。テーマを「あはき・柔整広告ガイドラインの本質とウェブ活用」にしました。
このお話は昨年末に富山県鍼灸マッサージ師会青年部の先生からメールで依頼がありました。その先生とは直接の面識がなく、Xでのやり取りしかありません。また本名をXで出されていて同じ東京医療専門学校(現東京呉竹医療専門学校)の卒業生ということは分かっていましたが、お顔をXでは出されていないので、非常に意外でした。私は業界団体(※日本鍼灸師会や全日本鍼灸マッサージ師会などの主に開業鍼灸師が参加する団体)に所属していませんし、公益法人の学術大会で発表したこともありません。直接の面識がない地方の先生から講演依頼など青天の霹靂です。過去に普段懇意にしている先生から所属する技術団体の講演依頼を受けたことがありますが、これは推薦者との関係性があります。そして富山県鍼灸マッサージ師会は全日本鍼灸マッサージ師会の都道府県師会で公益社団法人です。公益財団法人の講習会で会員でもない私が話をしていいものなのか。かなり悩みました。しばし考えた結果、依頼されたということは期待されていることであり、プロとして引き受けようという気持ちを固めました。
最初のオファーは「広告ガイドラインに則ったインターネット活用」というテーマでした。昨年2月に正式施行された『あはき・柔整広告ガイドライン』を遵守したウェブサイトやSNS運用について、ガイドランの解釈や実際のSNS運用のアドバイスを知りたいというものでした。窓口の先生はそのことがよく理解しているし実践しているように私には映りました。敢えて東京から私を呼んで話を聞くというのはどのような意図があるのか。やや計り知れないところがあり、先方とメールのやり取りをして疑問点を解消していきます。広告ガイドラインについては既に全日本鍼灸マッサージ師会の法制部長から説明を受けていること。会員の先生はあまりSNSなどのインターネットを活用されていないこと。しかし今後はSNS等の活用が必要になっていくことが想定されています。富山県師会の先生は保険診療をメインにしている先生もいますし、年齢的にもインターネットを活用していないとのこと。東京都新宿区で開業し自費だけでやっている私が、普段学生さん相手に解説していることが果たして効果があるのか?あまりにも環境が違うのではないか。その懸念がありました。ただ、それを分かった上で私にオファーを出したのでしょうから敢えてやってみようと頭を切り替えました。
あはき・柔整広告ガイドラインについては作成の広告検討会から追っかけています。また作成されてからの解説を各所でしてきました。また昨年2月の正式派出以降に起きたことも情報収集しています。これまでの経緯をまとめていけばできると思いました。インターネット活用に関しては数年前から母校の東京呉竹医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科特別授業で話をしてきたテーマ「開業鍼灸師のSNS活用」でいけると踏みました。さらにこの定期学術講習会は45分×3コマが通常のものだというので、それならば3部に分けてやってみようと考えました。というのもあはき・柔整広告ガイドラインが何故作成されたのか、その経緯は、という部分を知らない人が多いと感じていたからです。昨年ある日突然、ガイドランができて規制を始めるようだぞ、と思っている声がネット上に見られました。どうせ法律じゃないから拘束力はない。素人が作ったまがい物。作ったところで効果はないだろう。そのような声。有識者による会議を11回かけ、(新型コロナの影響があったとはいえ)6年もかかり、ひな形が完成してからはパブリック・コメントも募集した上で完成したもの。更にはその前に『医療広告ガイドライン』が完成しているのです。私が常に“広告ガイドライン”ではなく『あはき・柔整広告ガイドライン』と表記するのは医療広告ガイドラインが先にありきだからです。それを踏まえての「あはき・柔整広告ガイドライン」の説明をしないといけない。そう考えました。そこで第1部を「これまでの業界の経緯」、第2部で本題の「あはき・柔整広告ガイドライン」、第3部に「ウェブ活用」という構成にし、全体テーマを『あはき・柔整広告ガイドラインの本質とウェブ活用』にしました。本質と入れたのはこのあはき・柔整広告ガイドラインは誰のためのものなのか、という点を強調したかったからです。広告検討会の議論と完成した内容から、術者たる私達あはき柔整(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師)が持つ捉え方とは別のものがあると私は考えています。またインターネット活用ではなく“ウェブ活用”と若干文言を変えたのも感覚的にこちらの方がしっくり来ると思ったからです。あはき・柔整広告ガイドラインにはウェブサイトという表記があり、インターネットよりもウェブの方がいいだろうと。またウェブサイト(≒ホームページ)だけでなく、SNS全般も踏まえて。
骨子が決まると資料作りに入ります。主に複数年に渡ってやってきた東京呉竹医療専門学校教員養成科特別授業で使用した資料を切り貼りしました。昨年行ったあはき・柔整広告ガイドラインを主軸にしたものはとても好評だったので、これをベースに。第3部は2024年以前に同じく特別授業で使用した「開業鍼灸師のSNS活用」を切り貼りしました。ベースはこれまでの蓄積で簡単に完成したのですが、時間配分はどうだろうという懸念があります。13:30~16:00という2時間半。時間が余るのか足りないのか。自分の院で話すとだいたい長くなりすぎるので収まるかどうかという心配です。それを考えて学生さんを招いてリハーサルを2回行いました。1回目は少々口が回らず、しかも資料作りが甘い部分があり話していて整合性が取れないと感じたところがありました。特に第3部は最初に出展したときと年数が経っていて今と合っていないところがあります。5年前にはAIがここまで影響するとは考えていませんでした。一度やってみて資料をもう少し作り込まないといけないと考えて手直しをしました。2回目のリハーサルは参加者の都合により1時間半で終わらせることに。2時間半想定のものを1時間削るのですからかなり早口で飛ばします。この方が自分でもしっくりきました。また資料も細かい修正を加えました。
2回目のリハーサルを3月5日にしたのですが、本番の3月8日までに大きな情報が入ってきて資料に加えることになります。また第3部のウェブ活用については直前まで悩みました。この話をしても聞いている人は分かるのだろうかと。2017年に東京呉竹医療専門学校教員養成科で話を始めたときもSNSはほぼ知りませんという感覚でした。富山県の業団所属の先生方に伝わるのか、という。理解してくれるのか、響くのか。
当日。前日に一日日本東洋医学系物理療法学会と懇親会に参加して、花粉症のせいかあまり寝付けないまま朝を迎えました。今は東京駅から新幹線一本で富山まで行けるのでそんなに朝早くではありませんでした。普段は東海道新幹線で京都に行くばかり。日曜日とはいえ、北陸新幹線がこんなに混んでいるとは思いませんでした。人気があるのだと感じます。途中車窓からの風景が一面銀世界になっていて、富山も雪だったらどうしようと思いましたが富山駅は東京と変わらない気温でした。駅で先にお土産を購入して富山鍼灸マッサージ師会会館に歩いて向かいます。建物一棟が師会のもの。新幹線停車駅近くにあるのが凄いと思いました。関係者と名刺交換をして講習会本番です。
第1部の「これまでの業界の経緯」。業界団体なのでよく分かっていると思いました。昭和に起きた判例、平成に起きた死亡事故を紹介して「医療広告ガイドライン」の説明です。ここでホームページは“医療広告”になったと法改正等により解釈が変わったことを説明しました。必要なことだったのですがこれが混乱させたかもしれません。総務省が実施した消費者事故調査(『消費者事故対策に関する行政評価・監視 -医業類似行為等による事故の対策を中心として-』)について説明し、そこから判明したこととその後の総務省から厚生労働省と消費者庁へ出された勧告内容を説明しました。医療広告ガイドラインとは別に景品表示法違反による処罰事例があることを紹介しました。
休憩を挟んで第2部の「あはき・柔整広告ガイドライン」へ。まずあはき柔整広告検討会が11回あって作成され、パブリック・コメント募集で一般の意見も集めたことを紹介。具体的なあはき・柔整広告ガイドラインのポイントを説明しました。強調したこととして「医療広告ガイドライン」でホームページは“医療広告”にあたるとされましたが、「あはき・柔整広告ガイドライン」ではホームページは従来の解釈通り“広告”にあたらないとなったこと。ですから規制のかかるあはき・柔整広告ガイドラインの広告内容の具体例はホームページには適応されない。ただし「医療広告ガイドライン」で禁止されている表現はホームページでもできない。ここが難解だったように後の質疑応答で感じたことでした。そしてあはき・柔整広告ガイドラインが施行されて何が起きたのか?変わったことはあったのか?ということを、事例を挙げて紹介しました。特に私がいる東京都新宿区の保健所が行っている動きを紹介しました。
第1部、第2部は想像よりも早く進み時間に余裕がありました。悪く言えばあまり手応えがなく。知っていることだから、あまり関係のないことだからか。これでこの反応だと第3部はもっと飽きそうだなと内心思いました。
第3部の「ウェブ活用」は完全に私の持論。開業して12年にわたり実践してきたこと。いわゆるn1(※サンプルであるn数が1つしかない、あなたの体験だけに過ぎないよという意味)で、これを話すことの不安。自分の紹介や“広告よりも広報”という考え方を押し出してしまいました。結局、広告規制が厳しくなるのだから広告をしないで広報活動を充実させた方がいいという考えです。それを実際にどうしているのかを話しました。これが想像よりも反応が良かったです。興味を持っているなという雰囲気を感じました。さらっと終えるかと思いきや一番しっかりと話しました。しかも16:30まで勘違いしてしまい、意図的に時間をかけてしまうという。
終了後に駅前で懇親会という食事をしました。富山はグルメがこぞって集まるとテレビで聞いていて、海の幸がとても美味しいものでした。そこで富山鍼灸マッサージ師会のベテラン先生方と話をしました。やはりSNSはよく分かっていない、ただ業団としての活動を考えると必要なようだ。そのような感じでした。私に依頼した先生はその点が私以上に活用しているので説明しました。特にSNSがどうこうというよりも、SNSによってこれまでになりコミュニケーションが構築されていて業界が動いているという話を。その流れで都内で行ったイベントを富山鍼灸マッサージ師会でもどうですかというお話をしました。人も場所もあるのでとても有利だという意見を出しました。東京や関東圏で起きていることを伝えることも私が呼ばれた理由の一つだと考えて。
大きな仕事でした。スーツを着てノートパソコンを持参しての日帰り新幹線移動はそれなりに大変でした。それでもやり切ったことが大きな経験で、一つステージを上がった実感があります。前日の学会参加に続いて濃い土日でした。
甲野 功
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