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~22年間のあはき柔整施術所数の推移~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 22年間のあはき柔整施術所数推移
1992年度から2024年度までの全国のあん摩マッサージ指圧・鍼灸・柔道整復の施術所数推移

 

 

昨年11月に~あはき柔整の施術所数の推移~というブログを書きました。

 

あん摩マッサージ指圧はりきゅうの3つを頭文字をとって“あはき”と総称します。柔道整復を略して柔整といいます。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師。この4つの厚生労働省管轄の国家資格は法的に開業権が認められており、施術所を開くことができます施術所というのは各4つの資格を持つ者が開設する店舗(施設)のことです。医師が解説するのは病院、クリニック、診療所など。助産師ならば助産院。施術所というのはあはき柔整の分類になります。整体師が開業するお店は施術所とはいいません。

施術所は法律によって開設時に保健所に開設届を出し、職員の検査を受けて認められるもの。また不備が見つかれば保健所、都道府県知事の指導を受けなければなりません。好き勝手にはできません。コロナ禍での緊急事態宣言下の東京都では、施術所は医療機関と同じカテゴリーに入り休業要請がかかりませんでした。エッセンシャルワークとして緊急時でも必要と認められたわけです。一方で休業要請が出ていないので、自主的に休業したとしても休業補償は出ません。事業者一般として持続化給付金は給付されましたが。このときに一部の整体院は、国家資格を持つ者が営業しているのだから施術所と同じように休業要請がかからない医療機関と同等に分類しろとアピールし認められ、一方で自主休業しても休業補償が出ないと嘆いた整体院もありました。保健所が管理する施術所ならばこのような混乱はありませんでした(保健所の指示に従うという法律の下にあるので)。

 

施術所は厚生労働省が管理をしているのでその数、統計が把握されています。昨年11月には2012年度末(平成24年度末)時点から2024年度末(令和6年度末)時点までの12年間で隔年の施術所数の推移をみました。それを今回は1992年度末(平成4年度末)から2024年度(令和6年度末)の22年間で見ていこうと思います。データは以下の厚生労働省ホームページから確認できた一番古い統計が1992年末でした。

 

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衛生行政報告例:結果の概要

 

改めて施術所の分類です。4つの分類があります。

・「あん摩マッサージ指圧

・「鍼灸

・「あん摩マッサージ指圧鍼灸

・「柔道整復

この4つです。厳密には「鍼灸」ははり(鍼)ときゅう(灸)に分かれるので、稀にはり院のみ、きゅう院のみという施術所があります。ただ数は非常に少ないので鍼灸に入れるかカウントしていないでしょう。

「あん摩マッサージ指圧」はあん摩マッサージ指圧師が開設する施術所。一般的にはマッサージ院や指圧院といった呼び方が浸透しています。

「鍼灸」ははり師・きゅう師が開設する施術所。鍼灸院、はりきゅう院、はり灸院と表記される施術所です。

「あん摩マッサージ指圧鍼灸」はあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師が開設する施術所。鍼灸マッサージ院やマッサージ鍼灸院といった屋号がつくことが多いです。あじさい鍼灸マッサージ治療院はこのカテゴリーです。

「柔道整復」は柔道整復師が開設する施術所。接骨院、整骨院、骨接ぎ院などと言われます。

私はあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の国家資格を持っているので4つのどの施術所でも開設することができます。なお「あん摩マッサージ指圧鍼灸」と「柔道整復」はまとめることができないので、“あじさい鍼灸マッサージ接骨院”ということはできず、併設する形で“あじさい鍼灸マッサージ院”・“あじさい接骨院”なら可能です。「あん摩マッサージ指圧」と「鍼灸」は併設できます。同じ法律で管理されていますので。

 

今回、なぜ22年分で同じようなことを調べたのかというと、2000年付近で業界は大きく環境が変化しているからです。その時代の数字を見ないといけないと思ったからです。法律(あはき法)によって新規にあん摩マッサージ指圧師を養成する専門学校(晴眼者向け)が作れません。正確には定数を増やすことができません。もっと正確に言うと視覚障害者を守るために当分の間、定数を増やすことができないと法律が定めています。平成に入ってこれを不服とする裁判が起きて、国(厚生労働省)を相手に学校法人が争いましたが、最高裁判所の判決は原告の訴えを退くものでした。あん摩マッサージ指圧専門学校は増えません。視覚支援学校は別ですが。反対に1999年の裁判で柔道整復師養成施設(専門学校、大学)の新設が解禁されました福岡で行われた旧厚生省を相手にした裁判で、国(厚生省)が敗訴柔道整復専門学校・大学、そして鍼灸専門学校・大学の新設ラッシュになります。あはき法第19条であん摩マッサージ指圧の養成施設定数を制限しているのですが、それが柔整・鍼灸も適用されると新設許可を出してきませんでした。それがおかしいという裁判所の判断です。戦後制定された法律ではあはき柔整は一括りの法律でした。昭和40年代に柔道整復師法が独立して単独法になります。その歴史的経緯からあん摩マッサージ指圧師の項目を鍼灸・柔整にも適応していたわけです。

 

1999年以降、柔道整復師、鍼灸師の専門学校と大学は激増します。その結果、2002年あたりから柔道整復師、鍼灸師の数も急増していくのです。国家試験を受けるには最低3年間の勉強が必要なので3年のタイムラグが生じます。毎年1000名程の新規柔整師・鍼灸師が数倍になるのです。毎年の数字を私はチェックしていますがその急激な増加はグラフにするとはっきりします。あん摩マッサージ指圧師は横ばいでじわじわと新規が減っている状態で昨年遂に1000名を切りました。今月3月26日に合格発表があり、それぞれ新規の術者がどれくらいになるか分かります。

 

施術所数は実際に働いている規模を映します。免許をとった新卒者が数字として出ますが、全員就業しているとは限りません。資格を取って別の仕事をする人もいます。そして廃業する人もいますし、亡くなる場合も。別に就業者数の統計もありますが、施術所数の方がより経営面で正確に市場規模が分かると考えられます。廃業していないだけという術者もある程度いると思うからです。施術所は開店休業で保つのはなかなか難しいので、閉めるでしょう。ただし保健所に廃止届を出していない場合は、実際には存在していないのにデータ上に残っているパターンはあるでしょう。なお当院のある東京都新宿区はその整理を昨年行ったようで、昨年だけで300もの施術所が廃業となりました。

このような背景を踏まえて、1992年度末からのデータを見てみましょう。前回は2012年度末からですが、今回は柔整・鍼灸養成施設解禁前後の数字も入っております。全国の施術所数を2年毎に4ジャンルで数を列記しました。

 

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 1992年度末~2024年度末の各種施術所数一覧
1992年度末~2024年度末の各種施術所数一覧

 

 

全国の施術所数(1992年度末~2024年度末)

あん摩マッサージ指圧の施術所数(1992年度末~2024年度末)

1992年度末 20,280

1994年度末 20,828

1996年度末 21,199

1998年度末 20,424

2000年度末 21,272

2002年度末 20,772

2004年度末 20,532

2006年度末 21,822

2008年度末 21,092

2010年度末 19,983

2012年度末 19,880

2014年度末 19,271

2016年度末 19,618

2018年度末 19,389

2020年度末 18,342

2022年度末 18,017

2024年度末 17,531

 

鍼灸の施術所数(1992年度末~2024年度末)

1992年度末 12,055

1994年度末 12,481

1996年度末 13,166

1998年度末 13,455

2000年度末 14,216

2002年度末 14,008

2004年度末 14,993

2006年度末 17,794

2008年度末 19,451

2010年度末 21,065

2012年度末 23,145

2014年度末 25,445

2016年度末 28,299

2018年度末 30,450

2020年度末 32,103

2022年度末 33,890

2024年度末 35,494

 

あん摩マッサージ指圧鍼灸の施術所数(1992年度末~2024年度末)

1992年度末 28,624

1994年度末 29,451

1996年度末 30,850

1998年度末 31,434

2000年度末 32,024

2002年度末 32,722

2004年度末 33,601

2006年度末 34,517

2008年度末 35,808

2010年度末 36,251

2012年度末 37,185

2014年度末 37,682

2016年度末 37,780

2018年度末 38,170

2020年度末 38,309

2022年度末 38,374

2024年度末 38,595

 

柔道整復の施術所数(1992年度末~2024年度末)

1992年度末 19,800

1994年度末 19,800

1996年度末 21,412

1998年度末 23,114

2000年度末 24,500

2002年度末 25,975

2004年度末 27,771

2006年度末 30,787

2008年度末 34,839

2010年度末 37,997

2012年度末 42,431

2014年度末 45,572

2016年度末 48,024

2018年度末 50,077

2020年度末 50,364

2022年度末 50,916

2024年度末 50,924

 

グラフ化するとその対比が分かりやすいと思います。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 22年間のあはき柔整施術所数推移
1992年度から2024年度までの全国のあん摩マッサージ指圧・鍼灸・柔道整復の施術所数推移

 

 

まず「あん摩マッサージ指圧」の施術所数を見てみましょう。平成初期の1992年度末は20,280ありました。2008年度末までは増減をしながら21,000以上あったのが2010年度末から2万を切り、右肩下がりでその数を減らしていきます。最新2024年度末には17,531まで減っています。数が減少する率が上がっています。まず「あん摩マッサージ指圧」の施術所を開設するのは原則、あん摩マッサージ指圧師のみの人。鍼灸師もあるが敢えてやらないという場合もあるでしょうが、数は多くないでしょう。上で説明したように専門学校の定数は増えませんから、(視覚障害のない)晴眼者のあん摩マッサージ指圧師は一定数しか毎年増えません。それに対して視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師は新規数が年々減少しています。「あん摩マッサージ指圧」の施術所が年々減少しているのは視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師が全体的に増えていない(あるいは減っている)ことが関係しているのではないかと予想します。

また1992年度末時点では「鍼灸」、「柔道整復」の施術所よりも数が多かった。これが1996年度末に「柔道整復」に数が抜かれ、「鍼灸」には2010年度末に抜かれて2024年度末には大きく数が引き離されています。言い換えると平成初期には「あん摩マッサージ指圧」の施術所は今よりもずっと多かったと言えるのです。ここまで戻らないと分からない数の推移があり、前回では気付きませんでした。

 

「鍼灸」の施術所数について。4つの分類で最も増加割合が高いのが「鍼灸」の施術所。1992年度末に12,055だったのが2024年度末には約3倍の35,494に。2004年度末からその増加が目立つのはやはり鍼灸専門学校新設解禁が影響しているのでしょう。ここ10年でもその増加勢いが衰えず。考察の一つとして、鍼灸院は鍼灸師一人で開設することが比較的容易であるので数が増えやすいのではないでしょうか。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院がこの分類になる「あん摩マッサージ指圧鍼灸」の施術所数です。1992年度末の28,624から2024年度末の38,595と約1万も増えていますが、数の変動が他と比べると最も小さいです。安定していると言えます。あはき師と言われるあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の3つの免許を持つ者はその多くが本科と言われる鍼灸マッサージ科を出ています。あん摩マッサージ指圧師と鍼灸師を別々に取るとのべ6年間かかりますが、本科ならば3年で済みます。あん摩マッサージ指圧科と鍼灸科のダブルスクールというやりかもあるにはありますがまず聞いたことがありません。本科のある専門学校は全国で数が決まっていて増えません。視覚障害者のあはき師も含めて新規のあはき師はある程度数が安定しています。また施術所の廃業が少ないのでしょう。近年増加率は鈍化していますが着実に右肩上がりで数を増やしています。ただこの勢いですと2026年度末には「鍼灸」の施術所に数が並ぶか追い越させる可能性があるでしょう。

 

最後が「柔道整復」の施術所です。これが一番、増減が激しいです。1994年度末までは2万を切っていましたが1996年度末に「あん摩マッサージ指圧」を抜いて2万を超えると急激にその数を伸ばしていき、2018年度末には5万を突破します。26年で2.5倍です。最初に説明したように柔道整復養成施設解禁の影響がはっきり数字に出ています。しかし2018年度末をピークにその増加は鈍り、直近では2年で8しか増えていません。全国でたったの8。ピーク時は数千単位で増えていたのに。これは2017年頃から整骨院の療養費不正請求取締りが強化されてきたことが考えられます。悪く言えばそれまでかなり不正請求が横行して、楽して儲かると新規参入が多かったのです。施術所を経営するのは非術者でも構いません。開設者は柔道整復師でないといけませんが。「柔道整復」の施術所の場合、他業種から整骨院経営に入ってくることも少なくなかったのですが、そういう人達が減ってきたのではないかと予想しています。2年間でプラス8という数字は新規開設が廃業に比べてわずかに多かったと言えるでしょう。毎年新規の柔道整復師は出ていますから撤退が増えてきたことがうかがえます。現実に「柔道整復」の施術所から“整体院”に鞍替えするケースが耳に入ってくるのです。

 

更にデータを考察するために東京都に限ってみてみましょう。一極集中が叫ばれる東京。全人口の10分の1が集まっています。東京都の数字を見ると未来の傾向が読み取れると思います。都道府県別の施術所数は2012年度末以降しか分からなかったので、その数字を列記します。

 

東京都の施術所数(2012年度末~2024年度末)

あん摩マッサージ指圧の施術所数

2012年度末 2,228

2014年度末 2,180

2016年度末 2,131

2018年度末 2,179

2020年度末 2,197

2022年度末 2,131

2024年度末 2,131

 

鍼灸の施術所数(2012年度末~2024年度末)

2012年度末 2,618

2014年度末 2,926

2016年度末 3,198

2018年度末 3,515

2020年度末 3,786

2022年度末 4,043

2024年度末 4,324

 

あん摩マッサージ指圧鍼灸の施術所数(2012年度末~2024年度末)

2012年度末 5,161

2014年度末 5,226

2016年度末 5,356

2018年度末 5,575

2020年度末 5,689

2022年度末 5,848

2024年度末 5,943

 

柔道整復の施術所数(2012年度末~2024年度末)

2012年度末 5,377

2014年度末 5,759

2016年度末 5,922

2018年度末 6,197

2020年度末 6,161

2022年度末 6,186

2024年度末 6,180

 

こちらもグラフにすると比較しやすいです。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 東京都のあはき柔整施術所数推移(2012年度末~2024年度末)
2012年度末から2024年度末の東京都のあん摩マッサージ指圧・鍼灸・柔道整復の施術所数推移

 

 

 

東京都だけでみると「あん摩マッサージ指圧」の施術所数はあまり減少していなくて2022年度末と2024年度末が同じです。「鍼灸」の施術所数は大きく増加しています。美容鍼灸の流行りが関係していると考察します。「あん摩マッサージ指圧鍼灸」は全国よりも増加割合が大きいです。当院を開設したのが2014年なので2014年度末の数字に入っています。そこから2年毎に100は毎回増えています。これは本科のある学校が東京に集中していることも関係していることでしょう。驚くのが「柔道整復」の施術所です。東京では頭打ちどころか減少に転じています。2022年度末が6,186だったのが2024年度末は6,180に。マイナス6です。少子化の日本において人口が流入している東京。そこでもう整骨院は減少し始めているのです。これは驚きました。この動きは今後全国的に広がっていく可能性を感じます。先日新潟県整骨院グループが破産したという報道を紹介しました。企業になって複数の院を展開しているところは大元が潰れると一気に複数店舗(つまり施術所)が廃業します。人口が集中する東京で減り始めているなら地方にも伝播するかもしれません。もちろん柔道整復養成施設は東京が特に多いですし。

 

施術所数の推移をみると各分野の勢いが表れているように思えます。今は「鍼灸」が勢いがあり、「あん摩マッサージ指圧」は減少、「柔道整復」は頭打ち、「あん摩マッサージ指圧鍼灸」は安定、という。約1年後の2026年度末時点の数はどうなっているでしょうか。人口減少に転じた日本で私の業界環境はどうなっていくのでしょう。

 

甲野 功

 

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