開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:[email protected]
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

先月末に以下のような報道がありました。
<読売新聞オンライン 施術していないのに助成金を不正に受け取り、佐賀県唐津市が助成対象の施術所指定取り消し
どのような内容かというと佐賀県唐津市が、実際には施術していないにもかかわらずはり、きゅう、マッサージ施術費の助成金を不正に受給したとして、同市にある2つの施術所に対して助成対象の施術所指定を取消したというものです。2つの施術所はどちらも鍼灸マッサージ院でした。報道は唐津市が発表したプレスリリースを元にしたもので自治体ホームページには正式な発表がされています。
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助成対象の施術所指定を取消した理由は『複数回、施術をしていないにもかかわらず虚偽の請求を行い、助成金を不正に受け取った事実が判明したため。』であり、その根拠は『唐津市はり、きゅう及びマッサージ施術費の助成に関する条例第7条第1項第5号によるもの。』としています。つまり不正受給が発覚したため指定取消しにいたったわけです。発表によればA鍼灸院(仮名)は2016月~24年度に32人分47万5200円を、B治療院は2025年6月~10月に6人分8万4000円の助成金を不正に受け取りました。唐津市はそれぞれの施術所に対して助成金の返還を求めています。
接骨院の不正請求は以前から多数あり報道されてきました。今回のものは鍼灸マッサージ院による不正受給。珍しい事例です。この件について深くみていきます。
まず厚生労働省管轄の国家資格免許として
・あん摩マッサージ指圧師
・はり師
・きゅう師
・柔道整復師
があります。他にも理学療法士や看護師、そして医師といった厚生労働省管轄の国家資格が当然あります。上記4つの資格はかなり特殊で法的に開業権が認められております。医師、歯科医師を除くと開業を法的に認めている医療系国家資格はほぼありません。多くは医療機関において医師・歯科医師の指示のもと業務を行います。上記4つは、法律上は“開設”といいますが、独自に開業することができます。つまり医師の指示下になく独立して業務を行うことができます。私はこの4つの資格を保持しています。
開設した施設(店舗)を法律上“施術所”といいます。鍼灸院とかマッサージ院、整骨院というのは屋号で施設区分は施術所になります。施術所を開設するには所轄の保健所に開設届を出して登録される必要があり、保健所職員の臨検(現地でのチェック)を受けることが法律で決まっています。また所轄の都道府県知事や保健所(厚生労働省)の指示を受けなければなりません。
施術所には各4つの資格で区分がされています。あん摩マッサージ指圧師ならマッサージ院や指圧院など。はり師・きゅう師なら鍼灸院など。柔道整復師なら接骨院、整骨院など。ほとんどの術者がはり師・きゅう師の両方を取得しているので鍼灸で施術所登録します。この場合、資格の頭文字から“はき”という分類になります。また私のようにあん摩マッサージ指圧師も持つ者は“あはき”となります。あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師が一つの法律(通称、あはき法)で管理されています。一方、柔道整復師は単独の柔道整復師法で管理されており施術所は“柔整”という区分の接骨院になります。よって施術所の分類はほとんどが“あ”、“はき”、“あはき”、“柔整”のどれかになります。とても稀ですがきゅう師だけの登録の“き”、あん摩マッサージ指圧とはりだけで登録している“あは”という場合も理論上はあるのですが、まず見かけません。法律が異なるので“あはき柔整”という区分は存在しません。
当院のあじさい鍼灸マッサージ治療院は保健所の区分では“あはき”になります。柔道整復師を持つ私は“柔整”の施術所は開設していません。4つの資格を持ち、一人で行っているので「あじさい接骨院」を別に開設して「あじさい鍼灸マッサージ治療院・接骨院」とすることは可能ですが敢えて“あはき”しか登録していません。
これまで幾度となく取り上げてきた整骨院の不正請求。これは“柔整”区分の施術所における、療養費の不正請求に関することです。療養費以外に自賠責保険の不正請求も取り上げてきましたが。今回は“あはき”区分の施術所における助成金不正受給です。システムが違います。整骨院の不正請求は急性外傷の処置において虚偽の請求をすることで療養費を不正に得ます。助成金不正受給とはどのようなものか説明します。
あはきの助成金は地方自治体によって制度が異なります。当院がある東京都新宿区では(あはきの)助成制度はありません。お隣の千代田区はあります。今回の事件の舞台となった佐賀県唐津市ではこのような助成制度となっております。
唐津市ホームページ
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唐津市では鍼灸、マッサージの施術費の一部を助成しています。指定された施術所で施術を受けたときに、唐津市が交付した「受診券」を使うことで、1回あたり1,000円分の助成を受けられます。「受診券」が使用できる施術所(具体的にはマッサージ院や鍼灸院)は市が登録したところです。今回不正受給が発覚したA鍼灸院とB治療院は「受診券」を使用できる施術所から除外されました。鍼灸、マッサージ施術費の助成対象者は『唐津市内に住民登録がある人』、『20歳以上の人』、『今年度の市県民税課税所得額が145万円未満の人』となっています。多くの市民が該当しています。ちなみに千代田区は年齢制限はここより厳しいです。そして対象となるのが『1回あたりの施術費が2,000円以上(消費税相当額及び地方消費税相当額を含む)の施術』です。当院では2千円未満の料金はないので、とても良心的な制度と言えるでしょう。健康保険を使わないのであれば、ほぼどの施術でも助成金に該当するのではないでしょうか。「受診券」を使えば1回千円安くなり、利用者だけでなく術者側としても非常にありがたい制度です。もちろん「受診券」の有効期限も発行枚数にも制限があります。
具体的にどのような不正受給をしたのでしょうか。唐津市が出した文書にはこのようにあります。
唐津市 Press Release
令和8年3月27日 福祉こども部 唐津市はり、きゅう等施術所指定取り消しについて
B治療院
『令和7年6月(5月施術分)から10月(9月施術分)にかけて、複数回、施術をしていないにもかかわらず虚偽の請求を行い、助成金を不正に受け取った事実等が判明したため。』
不正受給額
『84,000円(施術84回分)』
A鍼灸院
『施術所開設(平成27年1月)以降、多数にわたり、施術をしていないにもかかわらず虚偽の請求を行い、助成金を不正に受け取った事実が判明したため。』
不正受給額
『475,200円(施術528回分)』
どちらも『施術をしていないにもかかわらず』とあるので誰かが申請した「受診券」を使用して虚偽の施術報告をして助成金を不正に受け取ったということになるのでしょう。
B鍼灸院は額が小さいのですが昨年4月に開設したことが市の施術所一覧情報から分かります。不正受給した機関が2025年6月~10月と報道にあるので開設してすぐに不正受給を始めたことが予想できます。有料記事で中身は冒頭しか読んでいないのですが佐賀新聞のニュースで以下のものがありました。
はり・きゅう施術所2カ所、指定取り消し 唐津市 助成金不正受給で 院名変更後に再不正も
冒頭の文章で本件の報道と同じ施術所を指しているのがわかります。タイトルが『院名変更後に再不正も』とあり、どちらが院名を変更したのかは定かではありませんが、この記事のタイトルから常習性が疑われます。
A鍼灸院は、施術所開設(平成27年1月)とわざわざ書いており長期間にわたって不正受給をしていたことが分かります。528回分という数字からも。
どのように調査してのかが定かではありませんが唐津市は徹底調査して罰しました。10年以上前のものまで調べています。助成金は公費であります。特にこの事業は「ふるさと寄付金」を活用して実施しています。寄付金で運用している制度で不正されていた。このような不正が発覚するとあはき施術費の助成金制度自体が取消しになってしまう可能性が出てきます。
あはきの方も不正請求がある。この事実を実感するニュースでした。
甲野 功
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