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~2026年春東都戦視察~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 2026年春東都戦
第132回東都大学学生競技ダンス選手権大会 会場にて

 

 

調布の電気通信大学で行われた春東都戦を観戦視察にいきました。

 

今から30年前。私は東京理科大学に入学し学生競技ダンス連盟という世界を知ります。通称“学連”。学連とは、全国の加盟している大学が社交ダンスを競技として行う競技ダンス(すなわり学生競技ダンス)をする団体です。学連を知ってから人生が大きく変わったと言えるわけで、今の仕事も環境も大いに学連が関わっています。

社交ダンスの存在は知っていましたが競技ダンスというものは知りませんでした。私が大学に入学した1996年(平成8年)当時、1月に邦画『Shall we ダンス?』が公開され大ヒット。作中に会社員がダンススタジオで社交ダンスを習い、更に競技会に挑戦する様子が描かれています。大学入学当時は映画を観ていなかったので本当に競技ダンスという存在を知らず。まさに30年前の春東都戦を1年生の時に先輩の応援のため観戦して学生競技ダンスを体感したのでした。今回の春東都戦観戦で30周年でした。

映画『Shall we ダンス?』では社会人のアマチュア選手が出場する競技ダンスが描かれました。職業として社交ダンスをするプロによるプロフェッショナル選手が出場する競技ダンスがあります。3月に観戦したスーパージャパンカップはどちらのカテゴリーもありました。その中でもセグエというショーダンスの種目はプロフェッショナルしかありません。学連は大枠ではアマチュア部門に属しますがかなり特殊で学連に加盟した大学に在籍していないと学連の競技会に出ることができません。そしてそのルールは複雑になっています。

 

学連は全国の大学が対象で大きく全日本学生競技ダンス連盟があります。その下に各地域でブロックが分かれていて北海道、全東北、東部日本、中部日本、関西、中四国、全九州があります。私の母校は東部日本ブロックに属し、最も規模が大きくなります。東部日本ブロックは更に六大学(慶應、東大、早稲田、明治、法政、立教)とそれ以外の東都大学に分けられます。六大学野球と同じです。つまり東京理科大は東部日本ブロックの東都大学になります。そして春と秋に東都大学戦と六大学戦がそれぞれ行われます。よって“春東都戦”という通称を用いるのです。正確には『第132回東都大学学生競技ダンス選手権大会』といいます。これが今回観戦した大会です。翌週には春六大学戦が開催されます。

 

この春東都戦は東京理科大学他、東都大学に属する22校が参加しました。翌週の春六大学戦は当然ですが6校。規模が大きく違います。そして6月に東部戦(東部日本学生競技ダンス選手権大会)が開催されるのです。選手権大会とつくのはレギュラー戦と言われるもので出場選手に制限がありません。どういうことかというとレギュラー戦以外の新人戦、ジュニア戦、招待試合と言われる競技会は原則として部歴4年生のリーダー(※男性を社交ダンス界ではリーダーといい、女性をパートナーと呼ぶ)は出場できません。レギュラー戦しか出場できません。部歴が下の分には制限が無く、1年生もエントリーできます。ただし1種目につき出場できるカップル数が制限されています。そのため通常は最上級生の4年生からエントリーが埋まり、3年生、2年生と順次入れていくのです。東都戦は1種目につき各校2カップルまで。六大学戦は3カップルまで。春東部戦は2カップルまで。

 

春東都戦と春六大学戦はシーズン最初のレギュラー戦前哨戦という意味合いがあります。6月の春東部戦をにらんで。春東部戦の結果により7月の全日本選抜戦に出場できるかが決まります。全日本ブロックの大会は夏と冬の2回あり、そのため夏の全日本選抜を“夏全”、冬の全日本戦を“冬全”と称します。冬全は全ての学校に出場権が与えられますが、夏全は東部日本ブロックから団体成績上位18校までという出場制限があります。学連の基本原則の1つに「競技会は学校を背景とする団体競技を主体とすること」とあり、大学間の団体戦であります。これがアマチュア、プロフェッショナルと根本的に違うところなのです。レギュラー戦では各大学オリジナルの背番号が入ったゼッケンを付けて競技に臨みます。その番号は各大学に割り振られていて変更はありません。例えば東京理科大学では580から589、500から509です。厳密にいえば580番台はⅠ部(昼間部)東京理科大学で500番台はⅡ部(夜間部)東京理科大学に割り当てられた背番号でした。統合されて今は両方使っています。しかもこれは東部日本ブロックの背番号で全日本になると120から129に変わります。非常にややこしい。学連経験者だと最大3桁の数字(正の整数に限る)をみるとあの大学の背番号だと頭に浮かぶものです。背番号は後輩に受け継がれていくのです。東京理科大学では主将は580番(全日本では120番)を付けるという伝統がずっと受け継がれていて、今年主将になった選手が580番で春東都に出場しています。

 

今回、春東部戦の会場に出向いたのは当院に来た選手が出場するからという理由もあるのですが、今年からシステムが大きく変わるのでその実態を確認するためでした。応援もありますが視察という目的が強かったのです。変更点は2つ。レギュラー戦の完全10種目化Ⅰ部校・Ⅱ部校制度の復活です。

上の方で春東都戦は1種目につき2カップルまでエントリーが制限されていると書きました。競技ダンスは2部門のカテゴリーとそれぞれ5種目あります。ボールルーム(スタンダード、モダンともいう)部門とラテンアメリカン部門。ボールルームにはワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイックステップ、ヴィニーズワルツ(ウィンナーワルツともいう)の5種目。ラテンアメリカンにはチャチャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ、ジャイブの5種目。合計10種目。昨年公開されたネットフリックス映画『10DANCE』はこの10種目からきています。しかし学連では長らく8種目の採用でした。ヴィニーズワルツとジャイブを省いていました。アマチュアでもプロフェッショナルの競技会でもヴィニーズワルツとジャイブは上級クラスの競技会でしか踊られない種目です。それも準決勝以上とか最終予選以上などある程度選手を選別した状態から。学連は競技会が長くなるため8種目までにしていました。1995年に正式にパソドブレが導入されて8種目戦になってからずっと。私もヴィニーズワルツとジャイブは学連時代に競技会で踊ったことがありません。ジャイブは踊ったこと自体がありませんでした。

 

学連選手がアマチュア競技会やプロフェッショナルに転向したときに、ヴィニーズワルツとジャイブができなくて苦労します。幼少期からアマチュア選手としてやってきた人は10種目習うのが普通のことなのですが、学連ではしないので。数年前に日本インターナショナルという大きな大会に来院している学連選手が多数出場したので観戦に行ったときのこと。最終予選からジャイブが入るとそれまでのダンスとは別人のように初心者丸出しのダンスになってしまいそこで敗退。露骨にジャイブが踊れないのです。この状況は東部日本ブロック特有とも言えて、選手数が少ないブロックでは種目を増やす余裕があるので10種目を早めに導入してきたそう。そして6年前に新型コロナウィルスが襲います。

 

横浜クルーズ船で日本初のクラスター(集団感染)が認められたといえます。このとき船内で行われていた社交ダンスによって新型コロナウィルスが蔓延したとされました。不特定多数が密接になる社交ダンスはもってのほかと当時思われて悪影響を受けます。他のコンタクトスポーツに比べて長期間自粛、あるいはマスク着用での競技を強いられました。東京オリンピックでは柔道もレスリングもマスク無しで競技しているのにその翌年、さらに翌年くらいまでマスク着用での練習、競技会を強いられました。ドレスにマスクという今思うと非常に珍妙な姿で。活動自粛の影響は学連を直撃します。2020年は新入生歓迎ができずほぼ新入部員0という状態。特に都心部の東部日本ブロックは地方ブロックよりも制限が強かったです。部員数が激減。廃部に至った大学もありました。部活動が再開できる頃には大幅に人が減ってしまったのです。2019年と2020年では環境が激変してしまいます。

 

新型コロナウィルスの影響から立ち直り始めた数年前から東部日本ブロックおよび全日本選抜では5種目目が導入されるようになります。天野杯ミニ東部ツバメ杯といった招待試合では準決勝からヴィニーズワルツとジャイブが入る5種目戦へ。全日本選抜も準決勝から5種目になります。しかし東部日本ブロックのレギュラー戦は4種目戦のままでした。それが今年から遂に完全5種目戦となり合計10種目になったのです。今後、細かいルール変更があるかもしれませんがレギュラー戦の10種目化は推進されます。

 

それがどれくらい違うのか?と大して変わらないだろう、と思うかもしれません。大きな違いがあるのです。学連の特徴として単科戦勝負があります。アマチュアでもプロフェッショナルでも上位クラスはどれも5種目総合戦となります。ボールルームならワルツ、タンゴ、ヴィニーズワルツ、スローフォックストロット、クイックステップ全ての総合成績で順位をつけます。これが学連の場合、東都戦でも六大学戦でも東部戦でも各種目で順位をつけます。ワルツ1位、タンゴ1位というように。更に最も規模が大きい最重要の冬全も単科戦で、1カップルで1種目しかエントリーできません。学連選手は4年生の冬全で優勝することが究極の目標であることがほとんど。最後に決めた1種目で優勝すればいい。4年間という時間制限があるため1つの種目に賭けるというシステムは合理的でしょう。私の場合は学連現役選手のときはクイックステップが一番の得意で次がタンゴでした。スローフォックストロットは特に苦手。このような感じが多く、アマチュアやプロではこういうことはあまり無いのです。全種目やらないといけないので。私はレギュラー戦ではほぼタンゴとクイックステップしか選びませんでした。敢えてワルツ、スローフォックストロットにして練習する機会を作ったこともありますが。

 

今年から完全10種目になるということは1次予選からヴィニーズワルツとジャイブがあるということなのです。このような形式は10ダンス戦という10種目全部踊る特殊な競技会以外ないのです。準決勝から入ってくるのが従来のやり方。どういうことかというと、ヴィニーズワルツとジャイブは篩にかけられて成績上位に残った選手がする競技だったものが、エントリーすれば誰でも踊ることになるのです。そしてヴィニーズワルツ、ジャイブが得意でそれに特化した選手が誕生する可能性が出てきます。

 

今年の春東都。やはりというか他の8種目に比べてヴィニーズワルツとジャイブのエントリー数は少なかったです。1次予選が全アップ、つまり全組が2次予選進出という措置はレギュラー戦で初めて聞きました。またエントリーしている選手も下級生が多く、4年生の出場は少なかったです。そしてこれまでの学連競技会では準決勝から導入されていたため、成績上位の者が踊っていた新2種目をキャリアの浅い下級生が1次予選から踊っています。そして2年生が決勝に残るという事態に。この時期の2年生はまだ正式にカップル結成をしていない状態でローテーションというお試し期間。また専攻分けといってボールルームかラテンアメリカンかを選んだばかり。まだ4月で新入生歓迎イベントが少し落ち着いたところですが、相当忙しかったはず。この時期の春東都戦で決勝に残るなど不可能でした。これが初めてのヴィニーズワルツ、ジャイブ正式導入によって現実になりました。

 

現地で観た感想ですが、ジャイブはかなりこなしていました。むしろジャイブの方が上手いという2年生もいて。最初からやると分かっていれば対策してくるのだと思いました。ヴィニーズワルツはステップが少なく苦労しています。基本的にナチュラルターン、リバースターン、フレッカールという3つのステップとチェンジステップという方向を変えるものだけを踊るのがヴィニーズワルツ。ただフレッカールは非常に難しく、プロでも教えられませんと明言する人もいるくらい。私も習ったことがありますが難しくてまともにできませんでした。春東都戦のフロアーでもナチュラルターン、チェンジステップ、リバースターンだけでした。更にリバースターンの方が難易度が高いため、極力ナチュラルターンだけでやり過ごそうという選手が見受けられます。2年生なら致し方ないこと。

なお今週末の春六大学戦では特例で1組が3種目まで出場することを認めました。それにより4年生、3年生のカップルが2種目プラスヴィニーズワルツあるいはジャイブというエントリーになります。出場大学が6校しかないのでエントリー数を確保するための措置だそう。状況を踏まえて春東部戦のエントリールールを考えていくそう。

 

今回の春東都戦に関していえば、2種目増えることは出場エントリー数が増えたということです。従来は1組で最大2種目出場できます。つまり昨年まではボールルーム、ラテンアメリカンでそれぞれ最大8組(2組×4種目)出場できました。上級生はほぼ2種目エントリーするのでこのようなことはあまり起きませんが。それが今年から各10組まで出場できることに。レギュラー戦の出場枠が増えました。ところが。部員の多い大規模校はいいのですがエントリー枠を埋められない学校が多数あります。2年生まで全て投入しても10種目×2組を埋められない。新型コロナの影響で部員数が激減し、まだ戻っていない大学も多数あります。だったら出られる選手だけ出ればいいでしょうと考えますが(実際にそうするしかないのですが)、今年もう一つの変更がそうとも言っていられなくなります。それはⅠ部校・Ⅱ部校制度の復活です

2019年まで東部日本ブロックにあった制度。春東部戦の団体成績で上位12校を東部Ⅰ部校、13位以下を東部Ⅱ部校とします。この区分けはその年だけのもので毎年春東部戦で決定します。Ⅱ部校になると秋に行われる東部Ⅱ部戦に出場し、そこで団体成績6位以内に入らないと秋の東部Ⅰ部戦に出場することができません。2020年以降は活動大学が減ってしまいⅠ部とⅡ部に分ける意味がなくなり、東部Ⅰ部戦は単に秋東部戦として全校出場としてやってきました。もちろん東部Ⅱ部戦は開催されません。それが2019年以来の制度が復活するのです。現役の学生はこの制度を体験していません。どのようなことになるか実感がわかないでしょう。私はもちろん経験した世代ですし、Ⅱ部校で東部Ⅱ部戦で必死に東部Ⅰ部戦出場権を争った位置にいました。現役時代の4年間で東部Ⅰ部戦に出場できたのは2回。4年生のときは出場できませんでした。Ⅰ部校になるのは無理な話で何とかⅡ部戦で団体成績を残さないといけない。4年生はレギュラー戦しか出場できませんから。このプレッシャーが大きいのです。しかも東部Ⅱ部戦は強豪校が出場しませんから非常に成績を残しやすい。それ故に勝ち上がらなければならないのです。それも大学一丸となって。この経験はⅡ部戦に出ないと分からないでしょう。現役の学生競技ダンス選手に話をしてもぜんぜんピンとこないと言います。Ⅱ部落ちといってⅠ部校だったのがⅡ部校になることは非常に悔しいことでOBOGに申し訳ないという気持ちになります。

 

2019年以前は春東都戦で東部戦の予測を立てていました。春東都戦で団体6位に入れば六大学全てに負けても12位になるのでⅠ部校の可能性が高くなります。ちなみに今回の春東都戦で東京理科大学は6位でした。Ⅰ部校になれる可能性が今のところあります。団体成績を考慮すると増えた10種目エントリーを埋める必要に駆られます。例え1次予選で敗退しても出場すれば点数が入ります。エントリー無しなら0点です。またどの種目にエースを当てるかという考えも今後出てくるでしょう。春東都で東京理科大学は5種目決勝に残りましたが、うち2つはヴィニーズワルツとジャイブでそれも2年生カップルによるもの。

この結果から次の春東部戦ではエースをどの種目にするかという作戦を練ることになるでしょう。まだまだ慣れていないヴィニーズワルツとジャイブに最も上手い上級生をエントリーさせるか。反対に層が薄いだろうから下級生を入れてなるべく予選を勝ち上がらせて、層が厚い種目はエースに任せるか。またヴィニーズワルツ、ジャイブに特化した選手が登場するのではないかと予想します。東部戦のエントリー方法や団体成績への得点計算方法が未知数ですが10種目全てに力を入れていかないといけなくなりそうです。

 

2026年度は大きなルール変更があります。大学ごとに対応していくことになるでしょう。学連選手が来院するので、こちらも状況を確認して対応していきます。

 

甲野 功

 

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