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~紫陽花のマーケティング~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 淡い色の紫陽花
淡い色の紫陽花 横浜イングリッシュガーデンにて

 

 

先週の5月15日に当院は開院12周年を迎えました。そしてこれから梅雨になり暑い季節になっていきます。道端に紫陽花が咲き始めていて、これから紫陽花のシーズンになります。当院というか私は紫陽花に随分と助けられています

 

経営手法にマーケティングというものがあり、様々なやり方があり、日々新しいものが生まれて廃れています。基本的なもので認知させる、想起させるというものがあります。知ってもらう、思い出してもらう。これはずっと前から変わらずこれからも変わらないと思います。今の日本人でマクドナルドを知らない人はいないでしょう。日清食品のカップヌードルをどんな商品か理解していない人はまずいないでしょう。それにも関わらず、マクドナルドも日清食品も日々テレビCMを流し、繁華街に広告を出しています。どういうことかというと企業や商品は認知されたとしても、人々の記憶から消えてしまわないようにしています。忙しい日常に埋もれてしまわないように。あ、そういえばと思い出してもらう。もちろん新しい商品のアピールや季節限定商品の紹介という認知部分も広告にあるのですが、大企業、それも日常で消費される食品を扱っているところは想起目的の比重が高くなります。さて何かを食べようかと人が想ったときに、マクドナルドのハンバーガーや日清食品のカップヌードルが候補に挙がらないといけません。飲食は人間が生きていく上で絶対に必要なこと。毎日のことですから市場が大きい反面、競合が際限なくあります。そのために想起させる必要があるわけです。

 

自身のことに話を戻すと、私の仕事も同じ一面があります。何か体の不調があったときにあじさい鍼灸マッサージ治療院を想起してもらえるか。それ以前にあん摩マッサージ指圧、鍼灸のカテゴリーを思いつくか、選ぶか。病院に行く、市販の薬を飲む、漢方薬局にいく、家で休む、温泉に浸かりに行くなど他の対処法もたくさんあります。それらの中からあん摩マッサージ指圧、鍼灸がいいと選択し、かつ私のところを選んでもらわないといけない。これはかなり厳しいことです。そうなるとまず大きなカテゴリーである、どのジャンル(医療機関、投薬、レジャー、休息、施術所など)を選ぶか、それから小さなカテゴリーであるどこ(あじさい鍼灸マッサージ治療院、それ以外など)にするか、という点を飛ばして、甲野功(≒あじさい鍼灸マッサージ治療院)を想起してもらえるかということを考えます。まず私自身を想起してもらえることを考えるのです。

これは開院当初から考え、実践していることです。いかに鍼灸が素晴らしいか、あん摩マッサージ指圧師は国家資格であるか、といったことを訴求しても、鍼灸・あん摩マッサージ指圧の施術所が選ばれたとて、この新宿区でも競合が多すぎるのです。最新の新宿区が公表しているデータであん摩マッサージ指圧・鍼灸の施術所(保健所に登録しているものに限る)は549ヵ所あります(4月30日現在)。これ以外のリラクゼーション店などを含めれば軽く1000は超えてきます。一般の人にあん摩マッサージ指圧師の施術所と整体のリラクゼーション店の区別はほぼつきません。区別する気もないでしょう。そうなると甲野功個人やあじさい鍼灸マッサージ治療院という箱(場所)を直接想起させることが手っ取り早いですし、それしかないです。そのための施策を10年以上続けていました。

 

2020年4月半ば。この頃は新型コロナウィルスが東京で感染拡大となっていました。初期の頃です。公立小学校は当校禁止となり、不要不急の外出を控えましょうと言われ始めていたときです。行き先不透明で不安な時期でした。5月の開院6周年を前にして。この状況でできることはないかと、5月15日まで毎日紫陽花の画像をSNS(当時のTwitter)に投稿するようにしました。元々紫陽花が好きで紫陽花の写真を撮影してきました。その中から良いものを選んで。翌年の2021年も4月半ば、開院記念日の一月前からしました。2021年は緊急事態宣言が何度も発令され、延期された東京オリンピックを本当にやるのか?という雰囲気でした。まだまだ暗い時期。その翌年2022年も紫陽花画像の投稿をしました。それから毎年4月16日、開院記念日の一月前から毎日5月15日まで紫陽花の画像を投稿するようになります。習慣になってしまった。

 

そうすると私を知る周囲の方から、紫陽花をみると甲野先生を思い出します、という声が聞かれるようになりました。紫陽花→甲野功という頭の流れができたのです。わざわざ私に報告するという人はそう多くないでしょうから、潜在的にもっとたくさんの人がそう思っていると予想します。またこれはコロナ禍以前からですが、私に何かプレゼントをする際に紫陽花柄のものを選ぶ場合が多くなりました。紫陽花柄の手ぬぐい。紫陽花のイラストの入ったハンドソープ。あじさいという商品名の和菓子。紫陽花そのものもあり、妻からも紫陽花の鉢植えをもらったことがあります。紫陽花をプリザーブドフラワーにして着色した「さかさあじさい」をもらったことも。加工品や柄の入った商品なら季節を問いませんからいつでも紫陽花関連商品をもらいます。

これは想起させるというマーケティング手法に合致しています。何年もかけて私が紫陽花が好きだと周知させてきました。道端で、テレビ番組で、花屋で紫陽花をみると、そういえば甲野先生が好きだったな、と想起してもらう。また屋号が“あじさい”鍼灸マッサージ治療院ですから言葉と連動します。近年は母の日プレゼントにカーネーション以外の花もいいですよと花屋が紫陽花を勧めています。ちょうど母の日に開院記念日は近いせいで花屋さんに紫陽花があふれます。

 

紫陽花は商標権がありません。個別の品種にはあるでしょうが、花の一種としての紫陽花は一般名詞で誰のものでもありません。だから屋号にできているわけです。紫陽花のイラストを使おうが、紫陽花の画像を用いようが、著作権を取られることはありません。そして紫陽花は強いので道端で咲いています。お寺や神社に植えられています。土砂崩れ防止になるので斜面に植えられます。品種も豊富。咲いている時期も桜に比べると遥かに長く、過去には11月でも咲いているところがありました。箱根だとピークは7月です。

 

たまたま好きな花を屋号にしました。一般的には自分の名前や地域を屋号に付けることが多いのですが私は花にしました。それは深い考えはなかったのですが、そちらの方がつぶしが効きそうだと思っていました。何よりこれが良いなと直感で。屋号を決めたのは15年くらい前のこと。迷いがなかったです。それを貫いた結果、紫陽花で想起してもらうという状況が生まれました。幸か不幸か、過去も今も、そこまでネーミングに採用される花ではないので近隣に似たような競合がいません。調べると「あじさい治療院」や「あじさい鍼灸院」はありますが県外です。これが“さくら”だと遥かに多かったでしょう。

これから紫陽花のシーズンになります。紫陽花を見かけたら私や当院を想起してもらえるように、日々地道に活動します。

 

甲野 功

 

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