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~令和8年6月の学生ペア割~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 令和8年6月の学生ペア割
学生ペア割で鍼灸学生2名が来院しました

 

 

先週末に鍼灸学生さん2名が来院して学生ペア割システムを利用しました。

 

学生ペア割とは2020年から当院で行っているあはき(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師)専門学生向けのサービスです。2名で来院して施術体験と施術見学を交互に行うというもの。2019年当時の学生さんが学校の附属施術所ではなく一般の鍼灸院などで一般の患者さんに対する施術風景を見学したいという要望がありました。専門学校附属施術所に来院する方は卒業生や在学生といった身内や、教育のためと承諾された方が多いので臨床現場のリアルとはちょっと違う、という。しかしそうそう見学させてくれるところはありません。患者さんのプライバーもありますし、見知らぬ学生がそばで見えていると術者にとって邪魔というのが本音。それならば被験者役として誰か連れてきてということから生まれました。ちょうど新型コロナが大流行する直前ですが、発案者の学生さんにヒアリングしてこのシステムを作りました。またあはき業界に興味があり進学を考えている、もう進学すると決めた、プレ学生さんにも対象を拡大して行っています。

 

今回来院したのは鍼灸学生さん2名。私はあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師であん摩マッサージ指圧師も持っています。通った科が本科と言われる鍼灸マッサージ科。来院された方は専科と言われる鍼灸科。同じ3年間ですが前者はあん摩マッサージ指圧師の勉強もして、後者は鍼灸だけです。専科学生さんだとあん摩マッサージ指圧のことが分からないので、私にとってはやややりづらいものがあります。あはき、すなわちあん摩マッサージ指圧と鍼灸をセットで行うことが常だからです。あん摩マッサージ指圧の技術をみせても、体験しても、できないし学ばないので。なるべく鍼灸技術のみでやった方がいいと考えます。

応募した学生さんに事前に質問をしてどのようなやり方(技術)を体験したい、受けたいですかと尋ねました。鍼灸は大きく3ジャンル技法がありまして現代、経絡、中医。同じ鍼灸でも考え方が異なるところがあります。この質問に対してはよく分からないのでおまかせでという回答でした。学生さんそれぞれの主訴(本人が辛いと訴える症状)に対して鍼灸で対応するということになりました。学生さんによっては美容鍼がみたいと指定することがありますし、このやり方を受けたいという場合もあります。また聞きたいことを募りました。聞きたいことの内容でどのような学生さんなのか図ることができます。何に疑問を持っているのかで考えていることがうかがえます。複数質問内容が届き、それらの回答を送りました。

 

当日。予診票を書いてもらいつつカウンセリングのようなことをします。何を求めてうちに来たのかを確認するため。人によってそれぞれなのですが、ただ鍼灸を受けたい、見学をしたい、という目的はあまりありません。それが専門学校の見学実習、体験実習でできます。今は学校附属施術所(つまり学内)だけでなく学外の施術所へ見学実習に行くこともあります。私があはき学生だった時にはなかったカリキュラム。学校によっては医療機関、介護施設、スポーツ関連と複数の多ジャンルの施設に見学実習にいきます。それらではできない体験を求めているのだと思います。現在の状況や卒業後の要望などを聞き、卒業後はどこかに就職しそのうち開業したいという方針を知りました。そういう事となると進路相談が加わってきます。施術に入る前に話し込みました。

先月行われたあましフェス2026「進路相談お悩み相談室」という講義をしました。進路についてどう考えるかという内容。ここではあん摩マッサージ指圧学生、あるいは若手に向けてでしたが、今回は鍼灸学生。本質は変わりません。あなたが鍼灸師になって何をしたいのか、どこに向かいたいのか。その問いに答えられるか。方向性がはっきりしていればそれを実現するためのアドバイスをします。ただ漠然と卒業後はどうしたらいいのかと悩む場合もあります。今回の学生さんは二人とも後者のパターンで卒業後をどうしたらいいのかよく分からないという感じでした。つまるところ情報がない。入学前はこうしたいと考えていたが、学校で多くの選択肢(可能性)を知り、自分が何をしたいのか分からなくなった。流派がたくさんあり何をしていけばいいのか。また卒業しただけでは実力が伴っていないからどこかで修業した方がいいのだろうが、果たして開業までできるのだろうか。このような感じでした。

 

多くの学生さんが持つ悩みでそれに対しては情報(知識)を与える、紹介することにします。ひとまず、学生さんのこんなものだよね、という常識を疑わせる。鍼灸師の働き方はこれだよねという、思い描いているもの以外も知ってもらうのです。将来開業したいという希望があるならば、自分自身で「場」を作らないといけません。そこには個性以外ありません。誰かが与えた職場ではなく、自分で創り出す現場。鍼灸師は出張専門という特殊形態の開業が認められています。そして非常に汎用性が高い技術なので、やれる分野が多い反面、何をするのか自身で決める(選択する)必要に迫られます。そのために考え方を柔軟にしてもらいたいわけです。私は一人の学生さんが既に持っている資格と職歴を活かしたやり方を提案しました。私の知る限り一緒にやってはいない業種の組み合わせ。できるできない以前にやってみようと考えてはいかがですか、というもの。一方の学生さんからは“人生の棚卸し”という概念が響いたようで、後日感想が届きました。

 

施術は主訴に対する鍼になりました。急遽、鍼に按摩指圧を加えた、普段私がよく用いるやり方になりました。これまでにあん摩マッサージ指圧師の手技を受けたことが無いといいます。按摩と指圧とマッサージの区別もついていないと思います。実はいわゆる整体師の非あん摩マッサージ指圧師による手技を受けたことはあってもあん摩マッサージ指圧師免許を持つ術者のそれを体験したことがない鍼灸学生は多いのです。歴史的にも法律的にも近い職種なのですが。私としては触察の大切さを体感してもらいたいと思いました。

もう一人の学生さんは不定愁訴もあったので筋骨格での刺鍼という現代的な(解剖学に従った)やり方と経絡治療的な体全体をみるやり方を併用しました。経絡治療でいう標治法と本治法のような関係。うつ伏せで辛いところに鍼を刺します。仰向けで主に腹部に鍉鍼という、刺さないで皮膚にあてる鍼をします。日本ではお腹を診ることが独自により発達したというエピソードを加えて。あと美容に興味があるということで少しだけ顔をリフトアップする手技を紹介しました。

 

今回の学生さんのニーズ(得たかったもの)は進路相談だったのかなと私は感じました。毎度のことながら先輩鍼灸師達のインタビューが掲載されたハリトヒト。書籍版をあるだけプレゼントしました。当院に来た学生さんが進路における何かヒントを得られればと願います。

 

甲野 功

 

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