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~学校法人平成医療学園私学法違反指摘報道~

読売新聞オンライン 大学と6つの医療系専門学校を運営する法人、第三者委が私学法違反を指摘 より
読売新聞オンライン 大学と6つの医療系専門学校を運営する法人、第三者委が私学法違反を指摘 より

 

 

先月から大阪の学校法人が私立学校法違反の指摘を受けていると報道が続いています。

 

 

日本経済新聞

大阪の学校法人、不適切取引13億円超か 第三者委「私学法違反」指摘

2026年5月27日 11:30

 

 

日本経済新聞

宝塚医療大など運営の学校法人、不適切取引計13億円超か 利益相反、私学法違反疑い

2026年5月28日 2:00

 

 

日本経済新聞

大阪の学校法人、不適切取引疑いでコメント発表 「信頼回復に努める」

2026年5月29日 15:57

 

 

読売新聞オンライン

大学と6つの医療系専門学校を運営する法人、第三者委が私学法違反を指摘…「理事長の専断的な運営が財務の悪影響につながった」

2026年6月7日 12:15

 

これらの報道は兵庫県宝塚市の宝塚医療大学(兵庫県宝塚市)などを運営する学校法人平成医療学園(大阪市)が、理事長の岸野雅方氏の関係法人などに貸し付けや仮払金の支出を繰り返し、資金繰りの悪化を招いていたことが、第三者委員会の調査で分かった、というもの。第三者委員会は取引の一部について私立学校法違反を指摘しています

 

学校法人平成医療学園というのは鍼灸、柔道整復の専門学校及び大学を運営しており、私の業界にとって関係の深い学校法人です。全国柔整鍼灸協同組合を母体に平成12年(2000年)に設立されました。つまり元から柔道整復師、鍼灸師の団体から始まっているのです。

 

少し業界の事情を説明すると20世紀の終わりまで柔道整復専門学校、鍼灸専門学校は増やすことができませんでした。養成校の新設制限がかかっていました。今も医学部を簡単に増やせないことと同じような状態でした。その根拠とされたのが、あはき法(正式名称、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師に関わる法律)第19条にある<あん摩マッサージ指圧師の養成施設を視覚障害者の生活を守るため当分の間、定数を増やしてはならない>でした。戦後、日本国憲法への改憲に伴い法律が一新するのですが当時はあはき柔整法で柔道整復師も同じ法律になっていました。昭和45年(1970年)に柔道整復師法が単独法として独立します。福岡にある事業所が柔道整復専門学校新設を認めない国(旧厚生省)を相手に裁判を起こします。これが平成9年(1997年)のこと。福岡地方裁判所は平成10年(1998年)の判決で厚生省が敗訴となります。厚生省はあはき法第19条以外にも柔道整復専門学校新設を認めない理由を挙げましたが根拠に乏しく公正取引委員会から指摘されたこともあり、被告としての訴えは認められない結果となりました。この裁判では柔道整復師の養成施設新設を求めた裁判でしたが、理屈の上でも鍼灸師の養成施設新設も認められることが妥当であります。また養成施設というのは専門学校の他に大学も該当します。この裁判の翌年平成11年(1999年)から柔道整復師及び鍼灸師の養成施設(専門学校と大学)が爆発的に増加することになります。本裁判前には柔道整復専門学校は全国に14校しかありませんでしたが、1999年に福岡で柔道整復専門学校ができ、2000年に全国で9校、2001年に8校、2002年には16校と新設ラッシュとなります。平成医療学園はこの流れに乗ってできたと考えられます。

 

平成医療学園は平成12年(2000年)に大阪で平成柔道整復専門学院(現在の平成医療学園専門学校)を開校。平成17年(2005年)に神奈川で横浜医療専門学院(現在の横浜医療専門学校)を開校。平成23年(2011年)に宝塚医療大学を開校。平成31年(2019年)4月にトライデントスポーツ医療看護専門学校を経営移管し名古屋平成看護医療専門学校に名称変更。令和2年(2020年)4月に法人合併により日本総合医療専門学校を開校。令和5年(2023年)に学校法人合併で福島医療専門学校の経営開始。これらの専門学校、大学が柔道整復科、鍼灸科があります。他に、なにわ歯科衛生専門学校の学校経営を行っておりこちらは歯科衛生士科です。宝塚医療大学は柔道整復、鍼灸の他に理学療法、作業療法、看護、観光などの学科があります。学校法人として他の法人を吸収、合併しつつ学校を増やしていきました。

 

平成医療学園はあん摩マッサージ指圧師養成施設新設裁判を起こした学校法人です。最初に説明したようにあはき法第19条により、あん摩マッサージ指圧師養成施設の定員を増やすことが制限されています。これは視覚障害者を守る目的なので視覚障害のない晴眼者向けのものに限ります。視覚支援学校での定数は関係ありません。全国4か所で国(厚生労働省)を相手に裁判を起こし、最高裁判所までいきました。令和4年(2022年)に出た最高裁判決では原告の訴えを棄却、すなわち平成医療学園のあん摩マッサージ指圧専門学校新設の希望は認められないということになりました。

 

このようにあはき柔整(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師)にとって関係が非常に深い学校法人に問題が起きていると報道されています。報道によれば数年前から運営上の問題が生じており、文部科学省からそれを指摘され、昨年の令和7年(2025年)10月に外部弁護士らで構成された第三者委員会を設置しています。その第三者委員会の調査報告書が今年4月にまとまりました。平成医療学園の公表資料では、令和6年度(2024年度)決算において約12億6800万円が回収困難な「徴収不能引当金」に計上されています。調査報告書によると第三者委員会は計10団体との取引などを調査した結果、リスクの高い取引が頻発し、「学校法人の運営に支障をきたす状況に陥っている」と認定したといいます。そして調査報告書では3団体との取引で私学法違反を認めました。取引のうち平成医療学園理事長岸野雅方氏が理事長を務める社会福祉法人『山の子会』(兵庫県芦屋市)には令和5年(2023年)4月以降、貸付金や仮払金として7億2800万円を支出しており、これが利益相反取引にあたるが、私学法で義務付けられている理事会の事前承認を得ていませんでした。

 

平成医療学園、13億円超の関連当事者取引に私学法違反の疑い

 

こちらのページによると『山の子会』は令和7年(2025年)3月時点で約9億6000万円の債務超過に陥っており、職員給与の未払い回避を目的とする支出の側面があったとしています。さらに令和5年(2023年)4月、金融会社『全柔協FC株式会社』に6億円を貸し付けています。『全柔協FC株式会社』は平成27年(2015年)に大阪で設立された貸金業者で『全国柔整鍼灸協同組合』などの関連団体の金融・事業支援部門として機能している側面を持つといいます。平成医療学園理事長岸野氏はこの『全柔協FC株式会社』の過半数株式を掌握していると第三者委員会は判断しており、この貸付についても私学法違反との見解を示しているとあります。

 

更に国から研究社個人に支給された助成金を学園の経営資金に一時流用していたという報道もあります。

 

朝日新聞

大阪の学校法人が科研費5千万円超を一時流用 第三者委員会で調査

2026年6月6日 6時00分

 

報道によれば令和7年(2025年)、国から研究者個人に支給された助成金、合計5400万円を平成医療学園の経営資金に一時流用していました。流用していたのは国の科学研究費助成事業(科研費)により受け取った資金です。これは、研究者が応募し国の審査で支給が決まれば大学などの所属機関に支払われます。研究者は関連する経費の支出が生じると、大学側にその都度申請して必要額を受け取ります。平成医療学園は二度に渡り、科研費を管理する口座から資金を引き出して学園職員の給与支払いにあて、後日同金額を科研費管理口座に戻したといいます。

 

加えて昨年の時点で卒業生が「学友会は存在しない」と会費返還を求めて平成医療学園を提訴しております。

 

朝日新聞

「学友会は存在しない」 卒業生35人が会費返還求め学校法人を提訴

2025年5月14日 18時30分

 

存在しない学友会の会費を徴収されたとして、学校法人平成医療学園と同学園理事長に対し、卒業生35人が計195万円の返還を求め大阪地裁に提訴したもの。なおこの原告団の一人が科研費助成事業の流用疑いについて記者会見をしております。

 

複数の問題が報道されている平成医療学園。今後も注目しています。

 

甲野 功

 

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