開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:[email protected]
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

当院はネット予約システムを採用していません。それが不便という声を直接患者さんから聞いたことがありませんが、ネット予約システムが無いことは大きな機会損失だという意見があります。もちろんそのようなことは重々分かった上で採用していません。果たして予約システムは何が正解なのでしょうか。
世のサービスはネット上の自動予約が全盛です。今や医療機関でもネット予約ができます。飲食店はもちろん、ホテルや交通も。私も普段はネット予約を活用しています。ただこれが全て当てはまるかというと疑問があります。かといって電話だけというのも現在では非常識極まりないです。昨年、父が亡くなり1年近く相続関係で奔走しました。各種手続きにおいて電話でないとできないことが多数ありました。電話に出てくれればいいのですが自動音声に繋がり無駄な時間。電話が繋がるのに数十分かかることもありました。いっそのこと窓口に行った方が早い場合もあります。だからといってネット上で手続きをしようにもエラーが出て先に進めないこともあります。結局、不測の事態を考えると複数のやり方があることが望ましいのです。
余談ですが最近、銀行のアプリケーションを入れることにしました。今後必要になると考え、ずっと前からある口座を登録しようとしました。すると登録画面の途中でエラーが出て進めません。どうにもならないので近場の銀行窓口に行きました。そして行員の前で登録画面を見せて事情を説明します。すると行員からはお客様窓口に電話した方が早いと言われてその場で電話することに。連絡先と説明方法を教わった上で。銀行窓口にいるのに電話するという奇妙な状況ですが電話しました。繋がりにくかったのです窓口に繋がり。電話口で事情を説明しましたが簡単には分からないようで銀行窓口で20分ほど待ちました。結論は調査に時間がかかるので折り返し電話するので帰宅してお待ちくださいということでした。仕方がないので帰宅。しばらく仕事をしていると銀行から電話の連絡が来ました。銀行口座を作った際に電話番号を登録していなかったことが原因で口座に紐づける電話番号を登録してくださいと指示されます。どこで電話番号を登録できるのですか?と電話口で問うと、最寄りの銀行窓口でお願いしますとのこと。気が滅入りそうになりましたが、翌日また銀行窓口に行き身分証明書と印鑑を持参して電話番号を登録しました。もう少し効率よくできなかったのかなと思ってしまいます。
さて。ネット予約システムの話です。私もかつては導入を検討したことがありました。某口コミサービスにあるネット予約システムを使おうとしました。ところがシミュレーションすると色々と問題がありました。まずダミーで自分で予約を入れてみました。すると自動的に予約が完了します。当たり前なのですが、それは問題です。それは私が把握していないのに予約が完了しているのです。私一人で全ての業務を行うワンオペ業態です。施術中や移動中などスマートフォンやパソコンが開けない状況があります。その間に予約が入ってしまうと困るのです。というのは新規患者さんは時間がかかります。常連さんとは状況が違います。同じ60分だとしても実際にかかる時間に大きな差が出ます。新規の場合はかなり時間に余裕を持たないといけません。またネット予約以外にも口頭、電話、メールなど別のルートから予約を受け入れることがあり、その時にいちいちネット予約を確認しないといけないのは手間です。ダブルブッキングしたら大変なことになります。
ではネット予約は仮までで、こちらが確認のメールを送ったら本予約したらいい、という意見があります。そのようなネット予約システムもあります。ただそれならばメールや公式ラインで事足りないかという話です。一度こちらから折り返して確認するのですから。当院はネット予約システムはありませんが電話、LINE公式アカウント、Eメール、SNS(X、Instagram、facebook)のダイレクトメッセージ、Googleマップ、メッセンジャー、ホームページの予約・問合せフォームを持っています。いずれかに連絡してやり取りをすれば予約ができるようになっています。
居酒屋に行くとスマートフォンやタブレット端末から注文ができるのに店員さんに口頭で注文する人っていませんか。定員さんからすると聞き間違いもあるのでシステムを介して注文してほしいというのが本音です。注文履歴が残って証拠になりますし。ところが店員に口頭で注文しないと気が済まない人が一部いて、料理を出して空いたグラスやお皿を片付けているところに「同じのを」みたいな注文をするのです。酔っているからかもしれませんが、全くお酒を飲まない私にはちょっと気になります。店員がタブレットやスマートフォンから注文してくださいとお願いすると、不服そうに愚痴をいう。機械が使えない高齢者も含めて、当院においても電話でないと嫌だという人が存在します。会社だと電話が一番確実で早いということも確かにありますし。そう考えるとネット予約システムだけというのは機会損失に繋がります。
もう一つネット予約システムの問題です。それは予約する際にメニュー選択をすること。うちだと10種類のコースとそれぞれに施術時間が決まっています。それを選択することになるのですが、予約時に決められないパターンをどうするのか。例えば腰痛があるという患者さん。按摩指圧がいいのか鍼灸がいいのか。はたまた他のものがいいのか。本人もどうしたらいいのか判別できないとしたら。また30分がいいのか60分がいいのかはたまた90分がいいのか。鍼灸というがお灸は熱いのか、鍼は痛くないか。このような不明、不安があります。ネット予約時にそれを決めないといけないことで躊躇する方もいます。当院は特にコースが大量にあるところなので目移りすることもあるでしょう。来院時に相談して決めさせてくださいという新規患者さんが何件もありました。そのような余白を残すためもありネット予約を採用しています。
他に聞かれた意見ですが、どんな症状に適しているのか分からないというもの。例えば『不眠で困っている人向け』のような。今抱えている症状に何が効くのか(効くと期待できるのか)素人には分からないのだから入口を明確にしてくという要望です。これは施術者側からするとかなり勇気がいることです。何かを選ぶということは何かを選ばないということ。例に挙げた『不眠に困っている人向け』と銘打った場合、“不眠に困っていない人”は素通りされてしまう可能性があります。そこに大きなパイ(市場)があればいいのですが。そうなると腰痛、肩こり、美容、ダイエットといった万人に当てはまることを打ち出したくなります。しかしそれでは競合が多すぎて差別化ができずあまり意義が見出せない。当院の場合だと施術内容のものと対象者のものと分けてコースを設定しています。施術内容(=技術)のものが「按摩指圧」、「鍼灸」、「鍼灸+按摩指圧」、「オイルマッサージ」、「タイ古式マッサージ」、「全身関節アプローチ」、「リフレクソロジー」で、対象者のものが「美容」、「リラクゼーション」、「機能回復訓練」、「社交ダンサーケア」です。前者はどの技術を用いるかで分けていて、後者は対象者の属性で分けています。対象者の属性とは美容に興味がある方、リラックスしたい方、社交ダンスをしている人、何かしらの症状で機能回復訓練が必要な方という感じ。ネット予約システムにすれば選択ボタンを増やしていくことになります。これが人によっては苦痛に感じることがあります。行政からのアンケートで25個くらいある中から属性を選ぶときに面倒だなと感じた経験が私はあります。そうなると、話をして決めたい、お勧めのものをお願いします、という方が楽な場合もあります。
予約システムというのは相互にコミュニケーションを取れる状況が最低限で、予約確定までを簡便にできるかというところが論点です。ネット経由でやり取り無しに選択すれば日時、時間、内容が決まって予約できるということが煩わしさがなくてネット予約システムが便利。一方できめ細かい対応がしにくいというデメリットが利用者側にあります。またこちら側のデメリットとして簡便に予約ができるということは、反対に簡単にキャンセルできるということです。ただキャンセルボタンをクリックすれば済む。そうなると枠を押さえて準備していたことが無駄になる上に、そこに入れられた予約分の機会損失にもなり、二重の損失になるのです。そのためにキャンセル料を取る、メールアドレスを登録させておくという対策が取られますが、なるべくやり取りをしたくない人はキャンセル時のやり取りもしたくないでしょう、なおのこと。
これは同業者から聞いた話です。ある研究機関からの要望で一般の方に鍼灸をして鍼灸後の状態を研究するということを請け負った鍼灸院。料金は後日鍼灸院に支払われるので被験者は無料。ネットシステムで日時を決める。そうしたら無断キャンセルがあったそうです。これまで無断キャンセルなど無かったのに。また別の開業鍼灸師からは、敢えて予約をするのを難しくしていると言います。段階を踏まないとネット予約できない。そうすることで熱意のある患者さんを選別できて無断キャンセルを予防できるのだと。簡単に予約できるシステムは罪悪感なくキャンセルしてしまうという弊害があります。私も過去にある外部媒体で予約を承っていたのですが同じような経験があります。
電話、メール、LINE公式アカウント、ダイレクトメッセージなどなど。直接やり取りをすることである程度人となりがわかります。それは患者さんにとっても。私の対応が悪いと感じたら止めるでしょう。コンタクトをとってきたということはこちらからもコンタクトを取れるということ(しかしブロックする、無視するという選択肢はある)。予約するハードルが上がりますが無断キャンセルされる確率は下がると考えます。
利用者にとってネット予約システムが便利な理由がもう一つ。それはスケジュールが公開されていること。このメリットはかなり大きいでしょう。行こうと思っている時間帯が空いているのか否か。公開されていれば気兼ねなく予約しようと思います。ここが一番大きいのではないかと思われます。私がお客だとそう思います。ただ。当院のような完全ワンオペだと管理の手間がかかります。文字通り一人で全てをこなしています。臨床はほんのわずかくらい。洗濯、掃除、物品管理、会計、ホームページ・ブログ、SNS、資料作り、経営戦略など非常に多岐に渡ります。銀行に行く頻度も会社員の比ではありません(そういう部署の人には勝てませんが)。外出も多いです。そうなると予約が入った瞬間、割り込みで業務が入った瞬間、ネット上の予約スケジュールを更新していかないといけません。話を戻しますがそれが遅れてネット予約が入ってしまうとダブルブッキングになってしまいます。また仕事だけでなく家庭の事やPTA、地域の任務もあるので予定がどんどん埋まっていくことも。その都度スケジュールを更新するのがかなり工数としてのしかかってきます。昨年、突然父が亡くなった体験が生々しく残っていて不測の事態というのが突然襲ってくることを実感しています。大災害もそうです。ネットに情報を更新する余裕もない状況がありうるでしょう。またネット環境が脆弱だった場合はもうアウトです。
ネット状況といえばそのリスクもあります。ネット予約システムがダウンしたら。それだけだとお手上げ状態です。過去にホームページが更新できなくなった期間が数日ありました。X(当時はTwitter)が繋がらない時も。一つの予約システムに依存しているとそれが途絶えたときが危険です。そして利用しているネット予約システムが閉鎖する、あるいは大幅な利用料を値上げする、仕様が変わって意図しない負担が増える(利用者、管理者双方に)といった状況が生じた場合も困ります。利益が減る、手間が増える、ストレスが生じる。あましフェスで矢野敦子氏が仰っていましたが集客ツールと予約システムは異なります。ネット予約システムとして利用していたが実は集客ツールであり、しかも集客ツールに生命線(予約システム)を握られていたなんてことがあるわけです。
開院して12年。患者さんの利便性を考えています。導入した方がいいものが確かにあります。予約システムはずっと課題です。しかし置かれた状況を加味すると躊躇します。ネット予約システムや集客ツールが悪いのではありません。複数名、多店舗のところや業態によっては非常に有効です。うちのような一人院はいまのところ適さないと考えています。反対に目が覚めているときはほぼずっとスマートフォンでチェックをしているので深夜でも連絡が入れば対応しています。質問があれば答えますし。もちろん私自身で。それは24時間稼働のネット予約システムでは不可能なことです。何がいいのか模索し続けます。
甲野 功
コメントをお書きください