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昨日、大阪で夏全が行われました。夏全とは学生競技ダンス連盟(学連)で個人最高を決める大会です。正式名称は『第63回全日本学生競技ダンス選手権大会』といいます。全日本ということで全国から大学が集まります。冬に『全日本学生競技ダンス選手権大会』が行われます。そのため前者を“夏全”、後者を“冬全”と学連では通称します。夏全は選抜の文字が入っていることから分かるように各ブロックから選抜された学校、個人の出場となります。対して冬全は学校単位の出場がどこでも可能です(個人の場合は制限があります)。夏全は予選が4種目、準決勝戦から5種目となる<5種目総合戦>。冬全は1組1種目だけの<1種目戦>。学連のレギュラー戦競技会の特徴として、基本は単科戦であり、各種目で優勝者を決定します。アマチュアやプロは上位級は全て5種目総合戦であるので各種目の優勝者を出す学連形式はしません。低い級だと2種目、3種目、4種目と種目数は減っても総合成績です。学連は大学4年間だけという期間の制限があるからなのでしょう。部歴4年生が出場しない大会では5種目総合戦もあるのですが。その学連で5種目総合のレギュラー戦は、東部日本ブロックでは、夏全が唯一。“学校を背景とする団体競技”という原則を持つ学連において個人で最も上手な選手を決める大会という面を持つのが夏全です。当然、大会の時間がかかるので出場者を選抜することになります。
冬全だと全国から大学が集まりますが1組1種目で各大学に出場組制限があるので時間が長くなりません。
学連は地区ブロックに分かれています。北から北海道ブロック、全東北ブロック、東部日本ブロック、中部日本ブロック、関西ブロック、中四国ブロック、全九州ブロックの7つ。私は東京理科大学舞踏研究部OBで東部日本ブロックです。東部日本ブロックは春東部戦と言われる大会で団体成績18位以上の大学が夏全に出場できます。大学として出場できない場合でも春東部戦で1種目でも決勝に残れば東部推奨枠として夏全出場ができます。今年の春東部では28校が出場したので10校の大学は夏全出場が叶わなかったということになります。またシャドーカップルといって別大学同士でペアを組んでいるカップルは個人枠となるので春東部戦で決勝入りしないと夏全に出ることができません。学校を背景とする団体競技ということでシャドーカップルは厳しい制限が課せられます。一方、団体成績が19位以下でも春東部戦決勝入りした選手は優秀であるとして夏全出場権が与えられるのですが、今年は3年生同士のカップル2組が東部推奨選手として出場しました。
昨年触れましたが、コロナ禍以降夏全出場はそれ以前よりも簡単になりました。東部日本ブロックでは廃部となる大学が出てきて春東部戦出場校が減りました。2022年のとき春東部戦出場校は20校でしたから出場できない大学は2校のみ。加えて、選手数が激減しているので決勝に残ることもかなり楽でした。それがここ2年で部員数も増えて復活する大学も現れて夏全出場は厳しくなっています。団体成績が望めない大学、シャドーカップルは決勝に残らないといけないのですが、学連選手の成長が早く新陳代謝が進みます。春東都戦という4月の大会で優勝した選手が春東部戦では決勝に残れず、また団体成績も18位に残れなかったたま夏全出場ができなくなりました。4年生で最後の夏ですが日本一に挑戦することもできず。かくいう私も大学2年、3年生の時は春東部戦の団体成績が残せず夏全出場ができませんでした。私の同期は春東都戦のチャンピオンでしたし、先輩は同じ春東都戦ファイナリスという上位選手でしたが夏全に出場できず。なお東部推奨枠ができたのは2002年からなので当時は春東都戦で団体成績を取らないと絶対に出場できない大会でした。他ブロックの制度は分からないのですが、今大会に出場した東部推奨選手はモダンで3組、ラテンで4組です。恐らくですが、北海道推奨枠がモダン2組、中部推奨枠がモダン1組、ラテン1組、関西推奨枠がモダン3組、ラテン1組です。他ブロックは背番号などから類推したものなので正確ではありません。
一方で今年から各大学の出場選手数が増えました。昨年まではモダン4組、ラテン4組だったのが今年から各5組まで出場できるようになりました。社交ダンスを競技として行う競技ダンス。競技ダンスにはスタンダード(ボールルーム)とラテンアメリカンの2カテゴリーがあります。学連ではモダンと呼んでいたのがスタンダードになり、現在ボールルームと呼ぶのが全体の流れになっています。モダンというのは学連くらいだよと、かつてバカにされていたのでした。しかし夏全の運営はモダン表記になっているのでここではモダンとします。夏全は20数年前から大阪で開催することが定着し、関西ブロックが運営を行います。冬全は東部日本ブロックで行います。余談ですが私が学生の頃は夏全は東部日本ブロックと他ブロックが隔年開催でした。具体的に言うと私が最初で最後の出場した夏全は東京(東日本)、翌年は名古屋(中部)、その翌年は東京(東日本)、その翌年は大阪(関西)というように。学生の自主運営で行われる学連は大会運営も学連現役生が行います。夏全の運営は関西学連が担うのですが、関西はモダン呼称というわけです。
そして今年から完全10種目に移行したため各5組まで出場数が増えました。競技ダンスはモダン5種、ラテン5種の合計10種目あります。長らく4種目総合で争われてきた夏全ですが数年前から準決勝から5種目になる一般的なやり方に移行。そしてもっとも部員数が多い東部日本ブロックが今年からレギュラー戦が10種目戦になりました。それにより東都戦、六大学戦、東部戦という東部日本ブロックの大会で出場選手数が増えました。それに伴ったのかどうかは定かではないですが夏全も各大学出場選手数が増えることに。よって団体成績が上位の大学は出場組が従来の最大8組から10組になりました。強豪校にいれば夏全出場しやすくなったのです。
各大学10組まで出場できるといっても出せるかは別の話。選手層が充実していないといけませんし、関西ブロック以外は遠征になり前日に宿泊するのが常。東京から選手が始発新幹線で行くとか、夜行バスで向かうというのはまず聞きません。そうなると枠があっても埋められないということもあります。事前エントリーで10組最大で出場したのは12校だけでした。それだけ簡単ではないのです。夏全も団体成績が出ますのでエントリーは埋めるに越したことはありません。ちなみに夏全は2020年に新型コロナにより初めての開催中止となりましたが、再開された2021年から昨年2025年まで北海道大学が団体優勝しております。事前エントリーではモダン141組、ラテン145組という全日本らしい規模になっています。これが各大学最大のエントリー数になったらもっと出場数は多くなるわけです。諸事情により出場しない大学もあり、来年以降はもっと増えるのではないでしょうか。当日の競技会はモダン・ラテン共に1次予選が16ヒートもあり、モダン138組、ラテン143組が出場しました。
会場は大阪の「東和薬品RACTABドーム」。かつて「なみはやドーム」といっていた場所。ここに選手だけなく審査員も全国から集まります。全日本戦の審査は各地区からプロ審査員が集まります。審査員の数は増えていき現在は各種11名、合計22名。地域は北海道、東部、中部、西部、九州。団体はJBDF、JDC、JCFという老舗プロ3団体から。男女ともにいます。審査員の主観で採点する競技ダンスは審査員の好みが成績に直結します。例えば意図的にこの選手にはチェックを入れないといったようなことが起きることがあります。それを防ぐために11名いると影響がないと言われています。地域も複数にし、団体も3団体から。私が学生の時は大会ごとに審査員を派遣する団体が一つだったので結果が大きく変わることが実際にありました。なぜあの選手が予選落ち?という変な結果に。また9名いて8名が1位をつける圧倒的な選手に6位をつける審査員がいたこともありました。選手も審査員も集まるのが大変ですが、それが全日本戦というもの。
会場に行きませんでしたが来院している選手が出場するのでずっと結果をチェックしていました。春東都戦・春六大学戦・春東部戦と前哨戦といえる大会を観戦して東部日本の選手をみてきました。東部が全国で渡り合えるのか?という期待があります。かつては東部日本ブロックの選手が上位を総なめにした夏全。選手数が圧倒的に多いわけです。それがコロナ禍以降、東部学連の数が激減したのと地方レベルが急上昇したこともあり、東部の選手が上位独占とはならなくなりました。団体成績では絶対王者の北海道大学がいて、個人成績でも当然上位に。モダンではここ4年他ブロックがチャンピオンで東部からの優勝がありません。
当日は約140組から始まり、2次予選で72組、3次予選で36組と半分に減らされて、準決勝戦では3分の1の12組になります。準決勝戦で上位6組と下位6組に分けられます。学連特有のシステムで下位決勝戦という7位から12位を決定します。準決勝戦まで残れば、上位であれ下位であれ、もう一度踊ることになります。そして準決勝戦からは5種目に増えます。途中給水タイムがありますが5種目連続で2回踊るのでかなりハードです。なお上位決勝戦では各組1種目ソロで踊る「ファイナルソロ」もあるので6回連続で踊ることになります。夏全の準決勝戦入りは全国でベスト12なので、この段階でも相当な成績となります。
今年の夏全ではモダンが北海道2組、東部4組、関西1組、中四国3組、九州2組で、ラテンが北海道2組、東部8組、中四国1組、九州1組というブロック別でした。過去にモダン11組、ラテン12組が東部日本ブロックだった年があり、それに比べると全国で実力が拮抗しています。ラテンは東部勢が強いです。これが上位決勝になるとモダンが北海道1組、東部2組、中四国2組、九州1組に、ラテンは北海道1組、東部3組、中四国1組、九州1組という内訳になりました。北海道ブロックは2校しか学校がなく北海道大学が圧倒的。中四国ブロックは岡山大学の1強で準決勝戦以降の中四国は全て岡山大学になります。
準決勝戦からモダンではヴィニーズワルツ、ラテンではジャイブが追加され審査されます。東部日本ブロックは他ブロックに比べてこの2種目が競技会に無かったので練習不足が顕著でした。そのため近年、準決勝戦で落ちることが目立ちました。それが今年から完全10種目(各5種目)となり、その対応ができたことが成績に反映しているように思います。準決勝戦から上位決勝戦はまた見られ方が変わります。準決勝戦に6位以内の点数で上がってきても上位決勝戦に残れない選手もいますし、その逆もありました。そこはやはり追加種目もありますし、スタミナ・集中力も反映するでしょう。同じヒートでいっぺんにダンスをして審査されるのです。この中で特筆すべき選手がラテンの816番北海道大学の選手です。54チェックという圧倒的なチェックを得て上位決勝戦に1位通過です。11名の審査員が5種目なので55チェックが最大数。審査員一人だけが1種目にチェックを入れないだけであとは全てチェックを入れるという(=上位決勝戦に上げるという意志を示した)。この北海道大学の選手は総合優勝しました。モダンの方は予選から右肩上がりで評価をあげてきた351番東京大学の選手が総合優勝。ここ数年間はずっと他ブロックが優勝してきたモダン部門で、久しぶりにモダン総合優勝を東部選手が果たしました。
団体成績は優勝が岡山大学、2位が北海道大学、3位が東京大学でした。遂に夏全団体優勝を北海道大学から奪った岡山大学。昨年の団体2位からの悲願の優勝です。優勝カップが北海道大学から岡山大学に移りました。新型コロナ前は団体成績で無敵を誇った東京大学も復活してきたことがうかがえます。エントリー数が増えたことでより大学の総合力が問われる団体成績になります。
学連選手にとって熱い夏が終わりました。夏全は前期のハイライト。ほとんどの選手は悔しさを胸に秘めます。出場すら叶わなかった選手も。夏休みのオフシーズンに練習を重ねて後期、そして冬全に向けて研鑽を積むことでしょう。
甲野 功
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