開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
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7月17日。日進医療器株式会社から以下の発表がありました。内容を抜粋します。
『
2026年7月17日
日進医療器株式会社
鍼灸柔整部
訃報
弊社部長を務めておりました明渡昌和が、病気の為2026年6月9日に永眠いたしました。(享年69歳)
生前、明渡はSNSなどを通じて多くの鍼灸師の皆様、ならびに関係者の皆様と交流させていただき、 温かいご支援とご厚情を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。ご遺族のご意向を最優先とさせていただきましたため、皆様へのご報告が遅くなりましたこと、何卒ご容赦くださいませ。
本日のご報告にあたり、ご遺族より皆様へ向けたメッセージをお預かりしております。
●ご遺族からのメッセージ
「主人は日進医療器株式会社に再就職し、新しい分野での仕事に真摯に取り組んでおりました。その姿を家族として見守っておりましたが、主人が亡くなった今、皆様から仕事での様子や思い出を伺うことができましたら、大変うれしく思います。」
』
鍼灸師には「ユニコ」の方が馴染みのある日進医療器株式会社。医療系の器具を製作および販売するメーカーです。私に関係する商品では鍼関連(毫鍼、鍼管など)、灸関連(台座灸、棒灸など)、マッサージ関連(オイル、クリームなど)。また私は柔道整復師でもあるのでテーピングや包帯等の商品も該当します。鍼灸師界隈ですとユニコーンのマークが印象的なパッケージデザインの鍼をラインナップしているため、「日進医療器?ああユニコのことね」という感じです。また六角鍼管という六角形の鍼管を出しているところが特徴。他メーカーの鍼管は外側が丸い形をしています。六角鍼管は角が引っ掛かるので手に馴染みます。社長が鍼灸師でもある鍼製造企業。体に刺入する毫鍼は医療機器ですから製造には認定と品質管理が求められます。
日進医療器株式会社の鍼灸柔整部は、鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師向けの製品を扱う部署。そこの当時の部長だったのが故明渡昌和氏でした。
明渡さんと初めて出会ったのは、2018年5月15日、大塚にある鍼灸治療院森空堂だったと思います。もしかしたらそれ以前に学会等のブースでお見掛けしていたかもしれませんが、名刺交換をしてはっきりと認識したのはその日になります。8年も前。新型コロナウィルスなど聞いたことがない頃。この日はある鍼灸専門学生さんの要望により、臨床現場に立つ鍼灸師の施術を見てもらおうと学生向け鍼灸施術見学会が同地で行われていました。そこで私は臨床に出ている鍼灸師として施術デモンストレーションを受け持っていました。私を含めて4名が鍼施術をみせました。このとき明渡さんはわざわざ大阪から来場していたのです。私はそれまで別メーカーの鍼を利用していました。ユニコブランドの毫鍼は知っていましたが使用したことはありません。当日も別メーカーさんの毫鍼を使っていました。そのときは日進医療器さんが大阪のメーカーだとも知りません。それを知り、学術大会でも業界団体の全国大会でもない、いち学生のためのイベントのためにわざわざ東京までやってきたことに驚きました。
次に明渡さんと会ったのは同年2018年の7月23日でした。幕張にある関東鍼灸専門学校で行われた通称「カテンセミナー」と呼ばれるセミナーの会場。当時の関東鍼灸専門学校副校長だった内原拓宗先生が主にSNSで知り合った先生を呼んで、月に一回のペースでオープンセミナーを主催していました。内原先生のSNSアカウント名がカテンだったので、一連のセミナーをカテンセミナーと呼んでいました。この頃はSNS(当時のTwitter、現在のX)により、全国の鍼灸師が繋がり始めていました。学校、練習会、学会とは違う個人でのネット上の繋がり。新しいコミュニティが形成されてきました。明渡さんも「ユニコマン」のアカウント名で積極的に活動しており、情報発信と情報収集をしていました。そしてフットワーク軽く千葉県幕張の会場まで現れたのです。前回の学生向け施術見学会は東京の大塚でしたが、今回は千葉県幕張の関東鍼灸専門学校。新幹線で東京駅に着いてもそこから距離があります。しかも2つの駅のちょうど中間くらいで交通の便があまりよくありません。私は当日最寄駅から炎天下の中、会場に向かい汗だくになりました。やや熱中症気味に。そのような状況でも大阪から足を運ぶ明渡さんの印象が強くなりました。年齢をみてもSNSを運用し、体力的に厳しいところを訪れるという。
そして翌年の2019年4月。私のあじさい鍼灸マッサージ治療院に明渡さんが当時の部下と共に訪れてくれました。東京出張の際に訪問ルートに当院を入れてくれました。関西ならば社用車で周ることができるでしょうが、東京では公共交通機関を乗り継いで巡らないといけません。実際にそうでしたし。うちのような場末の一人鍼灸マッサージ院までわざわざ足を運んでくださいました。開院して5年で今よりもずっと知名度も人気もない頃です。ここでの明渡さん達の振る舞いに感銘を受けます。
明渡さんも部下の方も「うちの鍼灸器材を買ってください」「取引してください」といった売込みを一切しません。「まずユニコを知ってください」「営業担当である私のことを覚えてください」というスタンスでした。明渡さん達は話をしただけでした。本当に私と話をしただけでした。私がどこのメーカーの器材を使用しているか調べることもなく。話す内容は鍼灸メーカーの立場による、鍼灸業界の未来について。明渡さんはユニコとして鍼灸師、専門学校・大学、業界団体らとどのような付き合い方をしているのか、していきたいのかということを熱く語りました。本人は鍼灸師でないのに鍼灸業界のことをよく知っている、理解していると感心しました。業界にいても全然情報を知らない、状況を理解していない人が多数いるのに。当時の明渡さんは私と同じ業界への懸念を感じており、どうしていったらよいのかを深く考えていました。また年齢のことを気にしていて、定年まで時間が無いから今のうちにできることは何でも行動していくと語っていたことも印象的でした。明渡さんと理想論も含めて業界の未来について語り合いました。部下の方が「部長、そろそろ次に向かわないと間に合いませんよ」と顔に書いて時計を確認していても構わず情熱をもって未来について語っていました。結局、最後の方に、最低限これはしておかないと、という感じで部下の方がサンプル品とカタログを渡してきました。売り込みは一切なく、あったのは業界にかける情熱でした。
私は明渡さんと話をしながら、毫鍼や台座灸など消耗品をメーカーさんが作成し供給してくれなければ鍼灸師の仕事は成り立たないという現実を、再認識するに至ります。元々あん摩マッサージ指圧師になりたくてついでに鍼灸師になった身。特に鍼や灸に対して情熱がなく。もちろん器材にも。それがメーカー側の言葉を聴いて意識が変わりました。鍼は針金ではないし、灸は乾燥した草ではない。人体に直接使うものだから責任を持って製造しているのだと。この前後で私は日常使いの毫鍼をユニコに変えました。それは義理だけではなく製品のスペックと価格というシビアな目で見た上でのこと。しかし営業さんがユニコの存在を教えてくれなければ替えようがなかったのも事実です。
私は営業という仕事に良いイメージがありません。大学卒業後に新卒で半導体商社に勤めた経験があります。会社員時代に営業担当をして嫌な経験ばかりでした。最後はストレスが原因で体調を崩し人生初の入院をすることになります。それが脱サラしてこの業界に入る原因に。さらに企業を辞めからも幾度と嫌な営業を受けてきました。詐欺のような保険契約内容変更。開業してから日々掛かってくる失礼な電話営業。騙し討ちのような営業訪問。出入り禁止にしたところ、着信拒否設定にしている番号が山とあります。
営業というのはろくな仕事ではない。
そう思っていましたし、今もその感情が消えてはいません。それが日進医療器の明渡さんら鍼灸柔整部の営業さんと接することでずいぶんと嫌悪感が消えました。私自身が新卒で入社した商社で営業研修を数カ月受け、実際に営業経験があり、さらにあじさい鍼灸マッサージ治療院を開院してからは多数の営業をかけられる立場になり。どちらの立場も経験しているからこそ営業のひどい態度や対応が許せません。そんな私に、営業にも素晴らしい人がいる、それを教えてくれたのが明渡さんが部長を務めていた当時の鍼灸柔整部の方々でした。一言もユニコを使ってくれと言われたことがありませんが、今も毫鍼はユニコ、台座灸はユニコの長生灸を使っています。
新型コロナウィルスが蔓延した2020年以降はお会いする機会がなくなりました。コロナ禍では明渡さんや日進医療器さんも苦労されたと思います。わずかな機会でしたが生前の明渡さんにはお世話なりました。そして学ばせていただきました。明渡昌和さんのご冥福をお祈りいたします。
甲野 功
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