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~2026年キティ杯観戦~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 第5回キティ杯
第5回キティ杯を観戦しました

 

 

日曜日に東京大学本郷御殿下記念館で行われた第5回キティ杯を観戦しました。

 

学生競技ダンス連盟、通称「学連」。社交ダンスを競技として行う競技ダンス。その中で、大学単位で競技ダンスを行う団体が学連です。私は学連に所属する東京理科大学舞踏研究部を出ています。大学入学後に学連と出会ったことが人生を左右しました。現在あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業していますが究極の目的は学連選手のサポートをするため。自身を大きく成長させてくれた学連に恩返しがしたいのです。先週の日曜日に全日本選抜選手権大会が終わったばかりで翌週は東部日本ブロックのキティ杯。このキティ杯というのが非常に特殊な大会です。

 

社交ダンスは男女が組んで踊るもの。サルサやアルゼンチンタンゴらと同じようなペアダンスです。社交ダンスを競技として行い優劣をつけるのが競技ダンス。スタンダード(ボールルームあるいはモダンとも)とラテンアメリカンの2部門があり各5種目の合計10種目で競われます。学連では部歴2年生以降に専攻を決めるのが一般的で、スタンダード専攻とラテンアメリカン専攻に分かれます。プロやアマチュアの競技ダンス選手はどちらもやる場合があります。それが10ダンサー(10種目踊るので)であり、昨年大ヒットしたNetflix映画『10DANCE』はこの10ダンサーの話です。競技ダンスは男女ペアで踊ります。近年ダブルスという女性同士、男性同士の競技もありますが、基本は男女です。学連は<学校を背景とする団体競技>という原則があり、大学単位で活動します。そうなると大学内で男女比率が合わないと組むことができない場合があります。概ね女性部員の方が男性部員より多い世界なので組むことができない女性部員が誕生します。そのような女性部員をシャドーパートナーといいます。

シャドーとは影。競技ダンスで相手と組まないで一人で踊ることをシャドー、そのような練習をシャドー練習といいます。存在しない影と一緒に踊るが相手がいるものとして踊るといった意味合いです。それが転じて組むことができていない部員をシャドーというのです。厳密には誰かと組みたいという意志があるが組むことができない人。1年生のうちはローテーションといって大学内で順繰りに同学年の部員同士で組んでいきますので、1年生部員をシャドーとはいいません。そして社交ダンスでは男性をリーダー、女性をパートナーといいます。ですからシャドーリーダーというのもいます。決まった相手と組むことを固定といいます。固定相手を探すことを学連ではシャドー活動といい、同大学内で組めず他大学に相手を求めることを「シャドーに出る」という表現をします。ここら辺の事情はプロでもアマチュアでも同じなのですが学連は4年間という期限があり、大学生だけという縛りもあり、特殊環境であります。

 

シャドー練習という観点から学連には昔からシャドーコンペというイベントがあります。本来は男女ペアで踊る所を一人で踊り優劣を決めるというもの。私は30年前に東京理科大学舞踏研究部に入部した時点で夏合宿においてシャドーコンペが開催されていました。その前からずっと続いており、今も行われています。競技ダンスはリーダーの存在が競技結果に大きく左右されるもので、リーダーが上手ければパートナーがそれほど上手くなくてもそれなりに踊れるものなのです。もちろんそうではない場合もありますが、経験者なら誰もがだいたいそうなるよね、と納得するでしょう。だからこそ成績を相手にできない状況にするシャドーコンペを1年生と2年生に夏合宿で行わせて個々のレベルアップを計ってきたのが東京理科大学舞踏研究部です。他の大学でもだいたい開催しているようです。

 

そして今回観戦したキティ杯。これはパートナーだけが出場するソロ競技会なのです。パートナーのシャドーコンペを東部日本ブロック規模で行うという。2年生の前期(夏休み前)が終わると各大学は固定決めに入ります。時期にばらつきがありますが夏から秋くらいまでに2年生の固定が決定します。この時点でパートナーが大幅に余っているところはシャドーパートナーが大量に生まれます。そしてシャドー活動に突入するわけです。キティ杯はシャドー活動をする上で自己をアピールするための実績にすることが目的の一つ。そして仕方なくシャドーになっているシャドーパートナーに活躍の場を与えること。さらにリーダーの影響を無くして個の実力をみせる場。これらの目的が考えられます。前期最後の時期に行うのもシャドー活動のためだといいます。

キティ杯の歴史は浅く今回で5回目。誕生したのはコロナ禍のときでした。第1回は2、3年生向けの大会で審査員を4年生が務めるというものでした。現役生が現役生の競技を審査する。自大学の後輩だけでなく他大学の。競技会では一緒になることもある。このとき審査員を務めた選手と話したことがありますが、とてつもないプレッシャーだったそう。スタンダード・ラテン両方の審査をするので専攻外の種目を審査できるのか。またこのときは推薦制だったそうで、この先輩の審査なら納得できるという人にオファーを出したそうで、それもプレッシャーだったそう。ふたを開けてみると大きな盛り上がりと感動に包まれたと複数の選手から声が上がりました。特に傍観者たるリーダーから。

昨年は東部シャドーコンペとしてリーダーの出場もあったのですが、時間がかかり過ぎるという理由からパートナーだけのキティ杯に戻りました。

 

今回、出場する来院選手が4名いたので私は現地に向かおうと決めました。初めてみるキティ杯でしたが、実際に体験した大会は非常に面白くて新たな発見がありました。

 

審査員はOGから7名。選手も審査員も全てパートナーという大会です。ジャッジペーパーという審査をする紙があるのですが、それを回収するのは女性部員の仕事です。それがキティ杯では男性部員。あのチャンピオンが働いていると思いました。衣装はダイアストーンが付いていないものという条件でかなり自由度が高くなっています。ドレスを着る正装の競技会とレオタード・パニエを着るそれが学連にはありますが、どちらでもない。ほぼドレスだろうといういで立ちから練習着という感じのものまで。スタンダード種目でもパンツルックだったり、ボディスーツのような衣装だったり。また背番号を付ける位置もそれぞれで、通常はリーダーの背中につける背番号を衣装に応じて付ける位置を工夫しています。そして背番号には舞研ネームと言われるあだ名が記載されています。背番号時代にイラストを入れている選手もいました。通常競技会では考えられないもの。自己プロデュースが必要だなと感じました

種目エントリー数も大きな差がありました。当日のヒート表をみると、ワルツ64選手、タンゴ50選手、スローフォックストロット53選手、クイックステップ31選手、ヴィニーズワルツ24選手、チャチャチャ59選手、サンバ60選手、ルンバ60選手、パソドブレ41選手、ジャイブ26選手でした。スタンダード部門はワルツ・タンゴ・スローフォックストロットに、ラテン部門はチャチャチャ・サンバ・ルンバにエントリーが集中。他の競技会ではここまで人数差が出ることはありません。よってクイックステップ・ヴィニーズワルツ・パソドブレ・ジャイブは2次予選からでした。そして予選が3次予選までで決勝戦はファイナルソロあり、オナーダンスありという。ファイナルソロとは決勝に残った選手が一組ずつ一人で踊ること。オナーダンスとは優勝者が披露するダンスのこと。レギュラー戦といわれる選手権大会以外でファイナルソロやオナーダンスがあるのは非常に珍しいのです。

 

出場選手は2年生から4年生。主に2、3年生です。出場に関しては各自の判断に任されますが、なるべく2、3年生は出場するよう要請が出たそう。1週間前に全日本選抜が大阪であったため出場選手はコンディションが大変だったでしょう。私の知る限り不参加の正規組選手も多かったです。一方で勝負にきている正規組もいました。注目は固定を組んでいない2年生や3年生のシャドー選手。最終成績をみると普段の競技会とは違うものでした。

 

パートナーのシャドーダンス。本来男女一組で踊る競技ダンスにとって異質なもの。競技ダンスでは、リーダーはパートナーの3倍練習しなさい、と言われます。私もそう言われてきました。男性とリーダーと称するように多くのことを男性(リーダー)が担います。骨格・筋力に優るリーダーがパートナーをエスコートする。競技会ではフロアーのどこから始める、どのステップをする、どこに向かうなどを判断するのはリーダーの役割。多くのステップを後退するパートナーは進行方向が見えないことが多いです。また背番号はリーダーが付けるのでリーダーのシルエットが悪いと悪印象。どれだけパートナーが上手でもチェックが入るのは難しくなります。予選が何ヒート目なのか確認するのも大概はリーダーの仕事です。

またリーダーがいないとできない足型・振り付けがあります。ラテンではリーダーに支えられているからできる体勢。リーダーの力を使って回るなど。東京理科大のシャドーコンペでは使用できるステップをベーシックステップに限定して行います。その制約で優劣をつけます。キティ杯では縛りがないのでできるのならばどんな振り付けにしても構いません。

 

普段はリーダーが担う役割を全て一人でこなすのがキティ杯です。入場してどこに立つのか。どんなステップをするのか。スローフォックストロットでは大勢の選手が同じところから始めるので大渋滞。そもそも後退していくステップで始めるので進行方向が見えません。やはり接触が増えます。リーダーならこのようなことが起きないようにスタート時の位置を調整するものですが、なかなか難しいよう。またLOD(ラインオブダンス)といって反時計回りに進むルールが競技ダンスにはあるのですが逆走してしまう選手も。音を外してしまいフロアー外からカウントと手拍子をされる。そんなシャドーだからこそのものがいくつか見受けられました。リーダーのシャドーコンペとは違っているなと思いました。

 

種目差もあります。ラテン部門の種目は組まないで一人で踊る部分が多いです。またリーダーと触れている箇所は基本片手だけです。ソロで踊るのに適しています。反対にスタンダードはリーダーと5か所がコネクションがあることが前提で、二人一組で踊るためバランスも若干変わります。スタンダードにおいて、パートナーが一人だけで踊れることは大事なのですが、完全に一人の自分本位のバランスで踊ると組んだときに上手くいかないのです。ここにシャドーコンペなのかソロダンスコンペなのかという議論が出てきます。シャドーコンペならばリーダーがいるものとして踊り、そのダンスを評価するもの。ソロダンスコンペならば個人の力量を評価するもの。ソロダンスならばそこにはいないリーダーの意識は必要ないです。会場で私が観ていて、どこにリーダーがいるのかな?というダンスもままありました。ソロダンスとしてみれば評価できるがシャドーダンスとするなら評価できないよね、という。審査員がどういう判断したのか気になりなるところです。

 

シャドー選手と固定を組んでいる選手の違いも感じます。ラテンでは固定を組んで常時競技会に出ている選手が圧倒的に強いと感じました。場慣れしている。ソロパートも多いです。一方でスタンダードだと固定を組んで決まったリーダーとずっと練習している方が相手のバランスが染みついているところがあるなと感じました。いつも一人で練習している、せざるおえない固定決め前の2年生やシャドー選手の方がガンガン動いているのかという気がしました。最終結果では3年生を押さえて2年生が優勝する種目もありました。パートナーのみの競技会の面白さで通常競技とは団体成績が変わりました。以下に団体成績を記載します。

 

第5回キティ杯団体成績

1位 青山学院大学

2位 一橋大学

3位 電気通信大学

4位 専修大学

5位 東京農業大学

6位 獨協大学

7位 東京大学

8位 東京理科大学

9位 慶應義塾大学

10位 上智大学

11位 東京外国語大学

12位 明治大学

 

参考までに6月に行われた春東部大学戦の団体成績がこちら。

 

第1位 東京大学

第2位 電気通信大学

第3位 慶應義塾大学

第4位 上智大学

第5位 青山学院大学

第6位 東京農業大学

第7位 東京理科大学

第8位 成蹊大学

第9位 東京科学大学

第10位 新潟大学

第11位 専修大学

第12位 明治学院大学

 

かなり順位が変わります。

 

当院に来院する学連選手はみな競技会で良い成績を残すために来ます身体のメンテナンスや施術を受けるというのは手段であって目的ではありません。私自身が学連選手であったからよく分かります。そして競技会で成績を出すためには競技会の特性や環境を知らないといけません。当たり前ですが私はキティ杯に出場したことはありません。今回動画ではなく現場で確認して得られるものがたくさんありました。実際の結果と自分が観た上での予想を照らし合わせたり、どのような進行なのかを確認したりするなど。これからシャドー活動をするパートナーにとってキティ杯の存在は大きいです。固定を組んでいるパートナーには個の実力を知る機会です。それを踏まえて私は日常の業務に活かさないといけないわけです。

 

令和に入ってキティ杯が誕生したのは時代の要請という気がしました。まだまだ男性優位なところがある競技ダンスにおいてパートナーによるパートナーのための大会。ファイナルソロは文字通り、ソロ(一人だけで)で踊ります。そこにはやりがいと不安とがあるでしょう。現場で観ることができて良かったです。

 

甲野 功

 

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