開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:[email protected]
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

7月23日に公益社団法人日本理学療法士協会が以下のような声明を出しました。
【国民・関係団体の皆さまへ】理学療法士の名称の適正な使用について
以下に全文を掲載します。
『
【国民・関係団体の皆さまへ】理学療法士の名称の適正な使用について
2026年7月23日
お知らせ
理学療法士の名称の適正な使用について
公益社団法人日本理学療法士協会は、国民の皆様が安心して保健・医療・福祉サービスを利用できる環境を確保するため、理学療法士の名称が適正に使用されることを重要な責務と考えています。
理学療法士は、「理学療法士及び作業療法士法」に基づく名称独占の国家資格です。この名称は、国民が適切な専門職を識別し、安心してサービスを受けるための重要な役割を担っています。
本会は、厚生労働省への確認を踏まえ、「Physio(フィジオ)」をはじめ、「Physical Therapy(フィジカルセラピー)」や「〇〇理学療法士」など、理学療法士またはその資格を有する者であると誤認されるおそれのある名称についても、使用態様によっては「理学療法士を表示する名称」として名称独占の対象となり得ると認識しています。
したがって、理学療法士以外の職種について「理学療法士」や「Physio」等の名称を使用すること、また、そのような使用を推奨・誘導することは、国民や関係者に誤認を与えるおそれがあり、法令の趣旨に照らして十分な配慮が求められます。
本会は、すべての保健・医療・福祉専門職ならびに関係団体の皆様が、それぞれの資格制度と専門性を相互に尊重し、国民に対して正確で分かりやすい情報を提供することが、質の高い医療・福祉の実現につながるものと考えています。
今後も本会は、関係機関および関係団体との建設的な対話を重ねながら、理学療法士に対する国民の信頼を守り、法令の趣旨に沿った適正な名称使用と制度の適切な運用に努めてまいります。
公益社団法人日本理学療法士協会
会長 斉藤 秀之
』
まず理学療法士とは何かという話です。最近の世間的な認識では“国家資格を持つ整体師”とか“トレーナーの人”、単に“整体師”があるのではないでしょうか。「医療機関でリハビリテーションを担当する医療従事者」という本体の業務とはかけ離れたイメージが付いているのでないでしょうか。新潟医療福祉大学が高校生を対象にした調査したではスポーツトレーナーに必要と思う資格の第1位が理学療法士だったという報告があります。
昨年では理学療法士の大規模整体チェーンが倒産したというニュースがありました。
骨膜整体Filament、営業停止 川島社長雲隠れの噂も 全国200店舗の直営店ほぼ閉鎖、会員は動揺
このような報告やニュースから理学療法士は整体師であると認識している人が多いのではないでしょうか。整体師は民間資格であり免許ではありません。何だったら誰でも今日から名乗れば整体師になれます。それを規定する法律はないのです。しかし理学療法士は『理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年法律第百三十七号)』という法律に定められた国家資格免許であります。厚生労働省管轄の医療国家資格で最低3年間の勉強と年に一度の理学療法士国家試験に合格しないとなれません。私の持つあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師と同じ分野です。声明文にも『理学療法士及び作業療法士法』に基づく国家資格だと記載されています。
同法律において「理学療法」の定義がされています。
『
理学療法士及び作業療法士法 第二条 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
』
法律では小さい文字(例えばきゅうの“ゅ”とか)は大きい文字にするのでマッサージが“マツサージ”と表記されています。理学療法とは、<身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激・マッサージ・温熱その他の物理的手段を加えること>だと法律ではっきりと定義しています。
同じ第二条において「理学療法士」も定義もされています。
『
理学療法士及び作業療法士法 第二条 3 この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。
』
理学療法士とは<厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者>であります。「厚生労働大臣の免許」が理学療法士国家資格免許であります。「業とする」というのは法律的な表現で「反復継続の意思を持って行うこと(有償無償は問わない)」と理解されるものです。
さて今回の日本理学療法士協会の声明文は理学療法士以外の職種が「理学療法士」や、「Physical Therapy(フィジカルセラピー)」、「〇〇理学療法士」、「Physio」などの、理学療法士だと想起させるものを含めた名称を使用することや、そのような使用を推奨・誘導することは、国民や関係者に誤認を与えるおそれがあるとして、暗に控えるように意志を示しています。理学療法士は英語表記だとPhysical Therapist(フィジカルセラピスト)でPTと略されます。フィジカルセラピーは理学療法ですね。非理学療法士がこれらの名称を用いることをダメだというわけです。『法令の趣旨に照らして十分な配慮が求められます。』という文言は、その前に表記した『理学療法士は、「理学療法士及び作業療法士法」に基づく名称独占の国家資格です。』という部分が根拠となっています。ここで名称独占について説明します。
名称独占とは、特定の資格を持つ者だけがその資格の名称を使用して業務を行うことが法律で認められている制度です。つまりその資格を持たない者がその名称を使用することは禁止されているのです。なぜこのような制度があるかというと、『有資格者以外の者がその資格の名称を用いて業務を行うことを禁じることにより、事業主や利用者にとって質の高い者の選択が容易となるようにするため』だと文部科学大臣のホームページにあります。理学療法士は名称独占の国家資格であり、理学療法士免許を持たない非理学療法士が「私は理学療法士です」と名乗って活動することは違法行為となるのです。
違法行為というのは「理学療法士及び作業療法士法」の第十七条に記載があります。
『
(名称の使用制限)
理学療法士及び作業療法士法 第十七条 理学療法士でない者は、理学療法士という名称又は機能療法士その他理学療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない。
』
ここでは理学療法士そのものはもちろん機能療法士や理学療法士にまぎらわしい名称の使用を禁じています。ですからPT、フィジカルセラピスト、フィジカルセラピー、フィジオ、美容理学療法士といった名称も対象になることでしょう。なおこの第十七条(名称独占)を破ると罰金が課されます。これも法律で明記されています。
『
(罰則)
理学療法士及び作業療法士法 第二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第七条第一項の規定により理学療法士又は作業療法士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、理学療法士又は作業療法士の名称を使用したもの
二 第十七条の規定に違反した者
』
このように30万円以下の罰金に処するのです。よって非理学療法士が理学療法士の名称を使用したり、名乗ったりすることは明確な違法行為であるわけです。日本理学療法士協会が非理学療法士による理学療法士の名称を使用しないように求めることは至極真っ当なことだと言えます。
さて、ここで疑問が生じるのです。理学療法士の名称を勝手に使用するものは何でしょうか?。声明文は【国民・関係団体の皆さまへ】という文言から始まっています。国民および関係団体に向けての声明です。まず国民といいますが、日本人で理学療法士ではないのに理学療法士の名称を使用したい人がいるのでしょうか。私は同じ厚生労働省管轄の国家資格持ちですが、理学療法士を名乗ろうと思ったことがありませんし、メリットも感じていません。どこかの病棟勤務だとしたら理学療法士と名乗ると得することがあるかもしれませんが、そんなことをしたらすぐにばれてしまいます。そして名称独占の法律違反を問われれば罰金を課されてしまいます。一般の人で理学療法士だと周囲に思わせておけば何かしらの得をするという人がいるのでしょうか。余談ですがあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師には名称独占がありません。そのため専門学校の関係法規の授業で、免許を持っていない学生が合コンで鍼灸師ですと名乗ってもそれ自体は罪になりません、と教わりました。そこで学生から、鍼灸師だと言っても合コンではもてないから、と反論がありました。理学療法士を名乗れば合コンでもてるのでしょうか。同じように関係団体というのは何をさしているのでしょうか。“理学療法士に関係する”団体なのでしょうか。“同じ厚生労働省関連資格の”団体なのでしょうか。国民はあまりにも範囲が広いですし、関係団体は具体的なことが記載されていません。
そもそも理学療法士の名称を使用するのは理学療法士関連の人しかいないのではないでしょうか。お世辞にも理学療法士の実態を世間一般の人が理解しているとは思えません。理学療法士と作業療法士の区別がつくのは医療関係者くらいでは。整体師と理学療法士の区別もつかない人が多いと思われます。日本理学療法士協会は何かしらの目に余る事態を把握しているからこそホームページで声明を出したものだと推測できます。そしてそれは協会員でない。AIによれば全理学療法士の8割が加入するという公益財団法人である日本理学療法士協会。協会員に向けてならオープンにしないで身内で警告すればいいわけです。
ここで法律「理学療法士及び作業療法士法」における理学療法士の定義を振り返ってみましょう。
『
理学療法士及び作業療法士法 第二条
3 この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。
』
前半の厚生労働大臣の免許を受けてはいいとして、
①“理学療法士の名称を用いて”
②“医師の指示の下に”
③“理学療法を行うことを業とする”
という3つの条件を兼ね備えた者が理学療法士だと定義しています。条件①の名称を用いていない者は当然論外です。むしろ前半の理学療法士国家資格(つまり厚生労働大臣の免許)がないのに理学療法士の名称を使用している事態を日本理学療法士協会は問題視しているわけです。注目は②の“医師の指示の下に”を満たさない者は理学療法士ではないと解釈できることです。冒頭に理学療法士の解説で医療機関でということを書きました。理学療法士が医師の指示の下でない状況で業務を行うことを法律は想定していないはずです。それは開業権を法律で規定しないことからもうかがえます。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師は法的に施術所を開設することが認められており、それに関する法律の規定・規制が定まっています。いうなれば“医師の指示の下にない状態”で業務を行うことが認められているのです。
「理学療法士及び作業療法士法」の文面をそのまま読めば、
例え理学療法士免許を有していても、医師の指示の下にない状況で理学療法を行う者は理学療法士ではない
と解釈できると思われます。
ひょっとしてこの日本理学療法士協会が出した声明の相手は上記の人たちに向けたものではないのでしょうか。国家資格のある整体師と称して整体院をしている理学療法士や医師の指示なく独自判断でリハビリテーション行為を行っている理学療法士、美容関連を売りにしている理学療法士などを日本理学療法士協会は「理学療法士ではない」としているのではないかと。
ここで再び「理学療法士及び作業療法士法」における理学療法の定義を見てみましょう。
『
理学療法士及び作業療法士法 第二条 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
』
理学療法の定義として、対象は“身体に障害のある者”で、目的は“主としてその基本的動作能力の回復を図るため”と明記しています。身体に障害がない人を対象にした行為も、主として基本的動作の回復を図るためのものではない行為も、理学療法とは法律上は言わないと読み取れます。つまり理学療法士の定義で出した条件③の“理学療法を業とする”の理学療法すらしていない者は当然ながら理学療法士とはいわない。そのように日本理学療法士協会は考えていないか。そう推測します。
声明文にわざわざ『「理学療法士及び作業療法士法」に基づく名称独占の国家資格』と記載しています。この法律名、名称独占という用語、そして国家資格というのは私のような近い業種でないとピンとこない専門用語になると思います。今はすぐに調べることができるので敢えて書いてあるのかもしれませんが、この言葉が理解できる人や団体に向けたものなのではないでしょうか。法律を引き合いに出した以上、法律に準じていない者は例え国家資格免許を持っていたとしても理学療法士ではないからね、という意図を感じてしまいます。何より理学療法士でない者が理学療法士の名称を用いる利点があまり感じられないですし、協会が目に余るほどの問題を起こす(起こせる)のは当事者だけではないかと思うのです。国民、関係団体と枠を広げて曖昧にしているものの。
一体誰に向かって何を意図したものか定かではない今回の声明。分かる人は分かるはず(そうでなければする意味がない)。何が起きているのでしょうか。
甲野 功
コメントをお書きください