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~あはき師になって10年~

一昨日25日はあん摩マッサージ指圧師免許の、昨日26日は鍼師および灸師の国家試験日でした。

私があん摩マッサージ指圧師と鍼灸師(合わせて、あはき師)の国家試験を受けたのが2007年(平成19年)のことでしたから、ちょうど10年前。すなわち、国家資格を取得してから10年が経過したことになります。
正確には合格通知が来て、厚生労働省の名簿登録をして初めて効力を発揮するのですが、実質国家試験を終わった瞬間があはき師としてのスタートとなります。

 

試験当日はとにかく緊張して大変でした。その年に問題傾向が変わって難度が上がったことを覚えています。分からない問題の印象が強くなり不安に駆られました。普段なら簡単な問題も解けない気がしました。
土日2日間の試験を終えて月曜日に母校で自己採点を行い、確実に合格している確証を得てほっとしました。

 

それから、新しい不安が生じます。
本当に鍼灸師になる。やっていけるのか

 

大学を卒業して社会人になるときとは、また異なった将来の不安でした。脱サラして手に職をつけようと整体の学校に通い始めたときとも違う将来の不安でした。

鍼灸師になってしまったという恐怖と、人さまを治療する現実を直視する不安がありました

 

私は以前から明言していますが、鍼を受けるのが嫌いでした。鍼を打たれると気持ち悪くなってしまします。だから鍼を人にするのも気が引けたものでした。
お灸をされるのは好きでしたが、他人にするのは抵抗がありました。多くの人が熱いのは嫌だ火傷が怖いと言いますから、施灸をして失敗したらどうしようと心配になりました。
元々あん摩マッサージ指圧師が取りたいがために、あはき3資格が取れる本科を受験しました。はっきり言えばついでに鍼灸師の資格を取ったわけです。そんな私が鍼灸をしてもいいのだろうか、という引け目がありました。

鍼灸専門学生のあいだはリラクゼーション店で働いていて、本当に苦しい症状の人は皆無でした。肩こり、腰痛、仕事の疲れ、といった訴えを持つお客さんを対象にしていました。気分よく寝かせるのが本業。それから、あはき師として治療行為に変えることができるのかという不安で一杯でした。

 

国家試験の自己採点が終わったときから就職活動が始まり、採用情報を調べる毎日が始まりました。
医療現場も治療院現場も知らない新人を雇ってくれるところはあるだろうか、今後のキャリアアップになるところはどこだろう、そんな心配もありました。もう学生では無い、腹を括ろうと決心した10年前のことでした。

あれから10年


あはき師に加え、柔道整復師も鍼灸専門学校教員資格も取得しました。独立しあじさい鍼灸マッサージ治療院という自分の場所を作りました。結婚もして子供が2人います。この10年で随分成長したな、と振り返るつもりで書き始めたのですが、改めて心に浮かんだのは

 

よく10年続いた、それは周囲の助けがあったから、周囲の皆様への感謝

 

でした。

 

この業界には5年生存率などという隠語があり、国家資格を取っても5年後もその資格を活かした仕事に就いていられる割合は高くはないと言います。資格を取った直後の不安、心配、自信の無さを考えれば、本当に10年後も治療の道一本で仕事をし生活できていることは奇跡かもしれません。10年続いたのはやはり周囲の助けがあったからに他ありません。

 

まず脱サラして収入が激減しても支えてくれた両親がいます。
両親からの経済的支援なしには鍼灸専門学校進学は不可能でした。実家に住み着いて随分すねをかじらせてもらいました。

 

あはき師を取って就職活動をし、内定を出してくださった鍼灸整骨院の院長たち。片手挿管も灸の捻りも下手くそだねと指摘してくれて、学生時代よりも練習する機会を与えてくれた先生。最初に来てほしいと内定を出してくださり、約4年勤めて修業させていただいた職場の院長(代表)。

 

嫌なことも辛いこともありましたが、成長する場であった鍼灸整骨院の職場
新人である私の施術を受けてくれた患者さん達。ときにクレームが入り、文句を言われ、泣きそうになりましたが、今となっては良い思い出です。

 

結婚して家族になった妻。子供が産まれるというのに教員養成科進学を後押ししてくました。クリニックを突然退職しても、信じてくれた義理のご両親。そして二人の娘。新しい家族ができたからこそ、踏ん張れたました。

 

柔道整復師に教員養成科と、30歳を過ぎて新たにできた学友達。一緒に勉強することで高めあうことができました。

 

多くの人に支えられてここまで続きました。ただただ感謝です。ありがとうざいます。

 

この10年を振り返って自分を褒めてみようと、次の10年の目標を考えようとしていました。ですが、それより、10年も鍼灸マッサージの仕事を続けられている現状を有難いと思うに至りました。
これからの10年、20年の事よりも周囲の皆様、環境に感謝すべきだと気持ちが変わりました。これまでも、これからも宜しくお願い致します。

 

甲野 功