治療時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休診日:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~小児への指圧~

浪越徳治郎(なみこしとくじろう)という方をご存知でしょうか。


指圧の元祖と言われ、マリリン・モンローやモハメド・アリに指圧をしたという方です。ある程度の年齢以上ですと、バラエティー番組に出演や、「指圧の心は母心、押せば命の泉湧く」というセリフを覚えているのではないでしょうか。
講師の人に聞いたのではっきりした話ではないのですが、浪越徳治郎氏は鍼灸師と柔道整復師の資格も取得したものの、指圧のみで治療することを心に決め、先の2つの免許を返納したという逸話があります。

 

この業界においては伝説の人物の一人であり、今日でも浪越学園日本指圧専門学校は鍼灸養成課程を持たない、あん摩マッサージ指圧師(厚生労働省認可の国家資格)の専科学校として独自の地位を築いています。
「浪越」のブランドは大きく、浪越出身は他と違うと一目置かれます。私もあん摩マッサージ指圧師として浪越の名前は大いに興味があるわけです。

 

現在は三代目、浪越徳治郎氏の孫にあたる浪越孝氏がご活躍されていますが、もう7年前くらいでしょうか、ある業界イベントで孝氏をお見掛けしたことがあります。イベントの審査員か来賓で参列していたと記憶しています。そのとき、司会に話を振られて少しスピーチをしました。内容がとても興味深く、忘れらません。

 

孝氏は生まれたばかりの頃、病弱で命が危ない状況だったそうです。初代の祖父に当たる徳治郎氏と二代目にあたる父の徹氏が新生児だった孝氏に指圧をして、一命を取りとめた。そうして今も元気に生きている。

という内容でした。

 

当時、私は既にあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師であり、毎日臨床に出ていました。そのとき孝氏の話を聞いて、赤ちゃんに指圧をして効果が出る?と疑惑の念がありました。子供が産まれるおろか、結婚もしていない頃でしたから赤ちゃんと接する機会は皆無。想像ができませんでした。
あの浪越家だから話が大きくなって伝説にしていしまったのだろう、とタカをくくっていたました。

 

それから年月が過ぎ、私も結婚し子供が二人生まれました。

妊娠期から逆子や安産の鍼灸を行い、出産後は小児鍼を始め赤ちゃんに対する治療を行ってきました。実際に赤ちゃんだった子供たちに触れることで、色々なことが分かってきました。実体験が頭で想像してものを越えて上書きされ、身についてきました。
あのとき浪越孝氏が話したことはこういうことだったのではないか、と経験がヒントになりました。

 

そしてつい最近、あの人は今というジャンルのテレビ番組で浪越孝氏のことが取り上げられたのです。そのときに、以前聞いたあのエピソードについても語っていました。
孝氏は未熟児で生まれ、母乳やミルクを飲むことができなかったそうです。そのとき祖父の徳治郎氏はお腹の胃腸のツボを触るか触らないかくらいの繊細な指圧で刺激していきました。すると胃腸機能が強くなり、無事ミルクを飲めるようになった。

これが真相のようです。


テレビのバラエティー番組ですから脚色が多かれ少なかれ入っているとは思いますが、大筋は納得できるものです。腹部には胃腸に関係する経穴(浪越指圧ではバイタルポイントと呼びますが)があり、赤ちゃんにあった刺激量に調節し指圧したのだと推測できます。実際には指で触れている手当てだったと思います。

 

以前書きましたがプロとしての感想は、弱いマッサージの方が強いそれよりずっと難しいのです。強く押すというのは肘を使うとか体の上から踏んでしまえば圧が強くなりますし、患者さんに見えなけれ背中や腰なら棒や消しゴムを使うという裏技もあります。それより弱い圧のマッサージで効果を出す方が遥かに高度な技術が必要なのです。病弱な新生児が相手だとすれば調節はとても精微なものでしょう。

 

ここ数年で新生児、乳幼児を触る経験が増えて感覚を磨くことができてきています。以前、半信半疑で聞いていた浪越家の話も今は信じられます。
私の治療の本分は「手当て」だと考えています。治療院のメールアドレスも「ajisai」ではなく「teate」にしています。
どれくらい研鑽を積めば浪越家のレベルに到達できるか見当もつきませんが、人さまに触る治療家として精進してきますし、新生児から乳幼児、児童といった子供たちへの治療もしていきたい。

 

ゆくゆくは、小児鍼という言葉があるように、小児指圧・小児按摩というものが定着することを願っています。

 

甲野 功

こちらもあわせて読みたい

治療技術について書いたブログはこちら→詳しくはこちらへ